スーパーバリュー、2009年2月期決算、増収増益!
スーパーバリューが2009年2月期決算を4/14、公表した。売上高373.30億円(104.1%)、営業利益11.18億円(100.1%:売上対比2.9%)、経常利益9.52億円(103.0%:売上対比2.5%)、当期純利益5.62億円(104.6%:売上対比1.5%)と、増収増益となる好決算であった。今期は昨年11月に川口前川店、12月に入間春日町店の計2店舗を新規出店したことが大きく、売上が順調に推移した。スーパーバリューは現在、埼玉県を中心に10店舗を展開しており、この2店舗の昨年末の新規出店は今後の安定的な売上をもたらすものといえよう。また、今期も2店舗の新規出店予定とスーパーバリューは、積極的な出店攻勢をかけており、成長路線が鮮明である。
スーパーバリューの最大の強みは、経費比率にあるといえる。今期の経費比率は18.8%(昨年18.4%)と、昨年よりも0.4ポイント上昇したとはいえ、依然として、18%台を維持しており、この経費比率の低さが、競争力の源泉となっている。これに加え、商品構成が通常の食品スーパーマーケットと比べ、HC(ホームセンター)領域の商品を幅広く品揃えに加えており、品揃えが豊富なことも強みといえよう。
スーパーバリューの今期の商品構成比をみると、生鮮食品が34.0%、グロサリーが34.3%、HC関連が31.7%と3部門の柱が明確であり、バランスのよい商品構成になっている。ちょうど食品スーパーマーケットの商品群にHC関連の商品群を約3割付加した構造となっており、食品スーパーマーケットにない強みをもった独特な食品スーパーマーケットといえよう。
実際、スーパーバリューの最新店舗の入間春日町店のレイアウトを見ると、通常の食品スーパーマーケットと比べ独特な商品ゾーニングとなっており、HC関連の商品をうまく期み込み、その強みを最大に発揮するような工夫が見られる。通常の食品スーパーマーケットのレイアウトは壁面を生鮮、日配等の冷蔵什器でくくり、内側を非冷のグロサリーで占めるのが通常である。ところが、スーパーバリューは壁面を生鮮、内側に日配を配置し、グロサリーはHCの日用雑貨等と生鮮食品、日配とは別個にゾーニングし、独立したレイアウトをとっている。さらにHC関連は、別個にゾーニングし、店頭を園芸等に充てていることである。まさに、売上構成比1:1:1に分けた合理的なゾーニングである。
しかも、金額PI値=PI値×平均単価の公式どおりのレイアウトとなっており、生鮮・日配ゾーン、グロサリー・日用雑貨ゾーン、HCゾーンへ行くにしたがい、PI値が低くなるが、逆に平均単価は上昇し、金額PI値は一定の数字を維持するというゾーンニングである。HC関連を約3割にし、食品スーパーマーケットから、グロサリー30%を引き抜き、HC関連と融合させ、全体の調和をはかったところに独自性があるといえよう。
そして、この商品群を経費比率18.8%と極めて低い販売管理費で回すことにより、その分、粗利を引き下げ、価格競争力を強め、近隣からの圧倒的な集客をはかるというマーチャンダイジング政策であるといえよう。実際、今期の売上総利益は20.9%(昨年20.5%)であり、通常の食品スーパーマーケットよりも、平均5%以上は低い売価設定でも、利益が約2%は可能なマーチャンダイジング構造である。実際、差し引き、マーチャンダイジング力を算出すると、2.1%(昨年2.1%)となり、さらに、これに、不動産収入等の営業収入が0.9%(昨年1.0%)のり、結果、今期の営業利益は3.0%(昨年3.1%)となり、これに売上の伸びが加わり、増収増益となった。明らかに、食品スーパーマーケットとは一線を画す、HC関連商品をほどよく融合した独特な食品スーパーマーケットが確立されたといえよう。
ただ、ひとつ気になるのは、自己資本比率である。残念ながら、今期は13.7%(昨年12.4%)と、昨年よりは改善しているが、まだままだ10%台であり、負債に大きく依存した経営構造となっていることである。その負債の中身であるが、長短借入金等の合計が111.79億円(昨年115.55億円)であり、これは総資産202.34億円の55.2%と、経営に重くのしかかっている状況である。したがって、出店余力を見ると、出店にかかわる土地、建物、差入保証金等の合計は148.58億円(1店舗当たり14.85億円)と総資産の73.4%となり、その大半が負債、特に、長短借入金等に負う出店構造となっている状況である。ここから出店余力を見ると、差し引き、-59.7%となり、厳しい財務構造であるといえよう。
このように、スーパーバリューの今期決算は増収増益と、好決算となり、新規出店も2店舗増え、特に、売上は安定した成長軌道に乗ったといえよう。また、利益に関しても、今期は、新店への様々な投資等が前倒しぎみになり経費の増加がみられたが、その分、原価の改善で相殺し、マーチャンダイジング力は昨年と同じ数字となった。また、経費が上昇したとはいえ、依然として18%台をキープしており、競争力は十分である。残す課題は、財務にあるといえ、今後とも新規出店を行い、安定成長を図ってゆくためにも、いかに自己資本比率を引き上げ、負債に依存しない強固な財務基盤を作ってゆくかが課題といえよう。スーパーバリューが成長戦略と財務基盤の安定と、今後、どのようにバランスをとってゆくかに注目である。
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