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April 22, 2009

ハローズ、2009年2月決算、増収増益、利益伸び悩む!

   ハローズが2009年2月期の決算を4/10公表した。売上高629.89億円(110.1%)、営業利益20.80億円(101.8%:売上対比3.3%)、経常利益20.71億円(102.4%:売上対比3.3%)、当期純利益11.40億円(100.3%:売上対比1.8%)となり、増収増益の好決算となった。特に、売上が2桁の伸びとなる好調さである。ハローズは、昨年6月に丸亀店(香川県丸亀市)、11月に六条店(香川県高松市)、12月に笠岡店(岡山県笠岡市)、そして、今年に入り、2月に総社店(岡山県総社市)の合計4店舗と、積極的な新規出店をはたしており、これが売上増に大きく貢献したといえよう。ハローズは広島県19店舗、岡山県20店舗、香川県2店舗の計41店舗を展開しており、4店舗の新規出店は全体の約10%にあたる店舗数であり、新店効果が高い売上増に結びついたといえよう。

   一方、利益に関しては、残念ながら、売上の伸び率ほどは増益にはならなかったが、その要因を見てみると、まず、原価であるが、76.7%(昨年76.6%)と0.1ポイント増加している。今期は、ハローズのPB、ハローズセレクションを積極的に投入し、売上構成比は昨年の6.1%から6.7%へと、率にして110%近く伸びているが、原価を押し上げるまでには至らなかったようである。また、今期は、消費者の節約志向が定着し、各社,NBの値下げに走っており、ハローズも「低価格そのまんま宣言」「くらしらくらく宣言」「うれしい値」を総称した「生活防衛」企画として1,200品目を低価格でご提供しており、原価改善が難しい経営環境であったことも大きかったといえよう。結果、売上総利益は23.3%(昨年23.4%)となった。

   これに対して、販売費及び一般管理費であるが、22.6%(昨年22.2%)となり、今期は0.4ポイント上昇しており、経費増も利益圧迫要因となったといえよう。この結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、0.7%(昨年1.2%)と大きく下がっており、今期は減価、経費双方が上昇するという厳しい状況となり、利益が伸び悩んだ結果となった。これに、不動産収入、物流収入などのその他営業収益が2.6%(昨年2.4%)のり、営業利益が3.3%(昨年3.6%)となったが、0.3ポイント下がった。したがって、売上は110.1%と絶好調であったが、営業利益が伸び悩む結果となった。

   これに対して、財務面であるが、ハローズは経営目標として、「当社の経営上の目標指標は、総資産経常利益率(ROA)であります。当社は、この指標を達成するため、売上高経常利益率及び総資産回転率の向上を目指しております。」と、ROAを経営目標としている。そのため、ROA=売上高経常利益率×総資産回転率とし、この双方の目標をそれぞれ、4.0%、2.5回転として、ROA、10.0%を目指している。今期の売上高経常利益率は3.3%、総資産回転率は2.1回転であるので、掛けたROAは7.0%であり、目標達成率70%という状況である。

   また、双方の指標を引き上げるために、「売上高経常利益率におきましては、高収益商品の開発、情報システム及び物流システムの改革並びに固定費の削減等に取り組み、売上高経常利益率4.0%を目指しております。また、総資産回転率におきましては、用地の取得形態を賃借物件3に対し、取得物件1の割合を基準とし、主に事業用定期借地契約を行うことにより、新規出店に伴う設備投資額を抑え、総資産回転率2.5回を目指しております。」としている。

   実際、ハローズの出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計を見ると、183.14億円(1店舗当たり4.46億円)となり、総資産292.52億円に占める割合は62.6%となり、ここ最近の600坪タイプのNSCが主体となった店舗としは、資産を比較的低く抑えているといえよう。

   ただ、ROAは一方では自己資本比率×ROEとも分解でき、売上高経常利益率を引き上げつつ、自己資本比率の改善も重要な課題である。ハローズの現在の自己資本比率は33.9%(昨年38.8%)という状況であり、食品スーパーマーケットとしてはかなり低い数字であり、負債に依存する経営構造となっている。先の出店にかかわる資産を引いた出店余力は-28.7%という数字となり、出店構造も負債に大きく依存する状況である。実際、負債の主要項目である長短借入金等をみると、72.77億円であり、総資産の24.8%と財務を圧迫しており、今後、ROAを引き上げるためには、この負債を削減し、自己資本比率を引き上げることも重要な経営課題といえよう。ちなみに、現在、ROEは経常ベースで約20%であるので、自己資本比率が50%を超えれば、ROAは10%を超える計算となり、目標を達成することになる。

   このように、今期のハローズの決算は増収増益とはなったが、増収幅に比べ、増益幅が少なく、その要因は原価、経費の上昇によるところが大きい。いかに、この上昇に歯止めをかけるかが今期の経営課題といえよう。また、財務的には自己資本比率がまだまだ低い状況であり、今後、好調な決算をもとにいかに負債を削減するかも課題といえ、経営目標のROA10%を達成するためにも、この自己資本比率の改善は急務といえよう。ハローズの今後の安定成長を確保する上でも、この2点の経営改革をどのように打ち出すかに注目したい。

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