オークワ、2009年2月期決算、増収減益、財務圧迫?
オークワが2009年2月期の本決算を4/6公表した。営業収益2,765.86億円(110.0%)、営業利益76.04億円(96.9%:営業収益比2.7%)、経常利益76.71億円(94.9%:営業収益比2.8%)、当期純利益41.95億円(103.2%:営業収益比1.5%)となり、営業収益は2桁の増収と大きく伸び、当期純利益は昨対を超えたが、営業、経常利益ともに減益となるやや厳しい決算となった。
オークワは来期創業50周年を迎え、ここへ来て、成長を重視する経営戦略を強く打ち出しているといえ、今期110.0%、来期も108.5%の高成長を目指し、年商では3,000億円の営業収益を予想している。その来期であるが、営業収益3,000億円(108.5%)、営業利益76.50億円(100.6%:営業収益比2.5%)、経常利益77.00億円(100.4%:営業収益比2.5%)、当期純利益31.50億円(75.1%:営業収益比1.0%)と、大幅な増収予想ではあるが、営業、経常利益は横ばい、当期純利益は減益となる予想である。ここ最近、食品スーパーマーケット業界では、利益よりも売上を重視する経営戦略に舵を切る企業が多いといえるが、今期の決算結果、来期決算予想をみる限り、オークワも売上重視の経営戦略を強く打ち出しているといえよう。
今期、オークワが110.0%と営業収益が大きく増加した要因であるが、新規出店として、プライスカット岐阜柳津店(岐阜県)、プライスカット明石大久保店(兵庫県)、忠岡店(大阪府)、香芝インター店(奈良県)、スーパーセンターオークワ御所店(奈良県)、メッサオークワ高松店(和歌山県)と6店舗の新店の貢献が大きかったといえよう。これに加えて、昨年6月に愛知県、静岡県、岐阜県に17店舗の食品スーパーマーケットを展開しているパレを子会社化したことも大きかったといえる。オークワは、現在、子会社のヒラマツ7店舗を含め、167店舗であるので、パレの17店舗、新店の6店舗が増加したことにより、合計23店舗が増えたことが、大幅な増収要因である。
これに対して、減収となった要因を見てみたい。オークワの今期の原価であるが、74.8%(昨年74.6%)であるので、0.2ポイント原価の上昇がみられる。結果、売上総利益は25.2%(昨年25.4%)となった。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、25.9%(昨年25.7%)となり、0.2ポイント上昇している。今期はパレのM&A等もあり、経費が増加したものと思われるが、原価、経費双方が増加し、営業利益を圧迫しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-0.7%(昨年-0.3%)と昨年よりも、マイナス幅が広がった。
食品スーパーマーケットの理想的な経営は原価、経費減により、マーチャンダイジング力を極限まで高めることであり、次が原価減か、経費減を実現し、マーチャンダイジング力プラスにもってゆくことである。今期のオークワは減価、経費増となり、マーチャンダイジング力がマイナスとなり、営業収益が110.0%と大幅に伸びたにもかかわらず、減益となったといえ、このバランスをどうコントロールするかが、食品スーパーマーケットの利益の源泉であるといえよう。
そして、これに、不動産収入等の営業収入が3.6%(昨年3.5%)のり、結果、営業利益は2.9%(昨年3.2%)と0.3ポイント、率にして90.6%となり、営業収益110.0%ではカバーできず、減益となった。オークワの来期の中間決算の予想を見ると、増収減益であり、特に減益幅が広がる予想であるので、しばらく、この原価、経費減の構造が続くといえ、当面、原価、経費のバランスをどこで逆転させるかが課題といえよう。
一方、財務の内容であるが、今期は自己資本比率が58.6%(昨年61.2%)と高い水準ではあるが、昨年より若干下がったことがやや気になるところである。負債、特に、長短借入金等を見てみると、255.54億円(昨年201.09億円)と約50億円増加しており、総資産1,290.07億円に占める割合は19.8%とやや重くなりつつある。これに対し、資産の中でも食品スーパーマーケットにとって最も重要な出店関連の資産、土地、建物、差入保証金の合計を見てみると、953.25億円(1店舗当たり5.7億円)であり、総資産の73.8%となる。ここから、差し引き出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産を算出すると、-15.2%であり、負債に依存する出店構造であるといえ、今後、安定成長をはかる上には一段と自己資本比率を高めることが課題といえよう。
結果、今期のキャッシュフローを見ると、出店にかかわる固定資産の取得に137.71億円、投資キャッシュフローが発生しているが、営業キャッシュフロー76.26億円ではまかなえず、財務キャッシュフローの借入の増加に加え、現金及び現金同等物を取り崩しており、逆流のキャッシュフローである。ここが積極的に投資に踏み切るべきであるという経営判断が働いたものと思われるが、財務を圧迫する結果となった。
このように、今期のオークワは売上重視の積極的な経営戦略をとったといえ、営業収益は大幅な増加となったが、その分、原価、経費が増加し、減益となる結果となった。また、財務構造も借入が増え、自己資本比率を下げ、キャッシュフローも現状の資産を崩しての投資キャッシュフローを補う結果となっており、財務構造にも影響が出ているといえよう。来期予想を見ても、当面、この積極策が続くと思われるが、今後、どこかで、利益重視の経営戦略への転換も必要といえ、オークワの今後の経営動向に注目したい。
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