アークス、2009年2月期決算、増収増益、財務安定!
北海道のアークスが、2009年2月期の決算を公表した。売上高2,538.96億円(105.2%)、営業利益85.80億円(105.5%:売上対比3.3%)、経常利益93.81億円(105.6%:売上対比3.6%)、当期純利益49.72億円(101.3%:売上対比1.9%)と、増収増益となる好決算となった。北海道は現在、アークス、イオングループ、コープさっぽろの3つ巴の激しい競争が繰り広げられているが、その中での増収増益、しかも、年商がはじめて2,500億円を超える結果となった。
今期、アークスは、戦略業態、スーパーアークスを積極的に新規出店しており、昨年は、スーパーアークス大曲店(6月)、スーパーアークス戸倉店(7月)、スーパーアークスウエスタン北彩都(8月)と3店舗出店した。これでスーパーアークスは7店舗となり、業態確立がほぼ固まったといえ、今後、さらに出店が増えるものと予想される。また、スーパーアークス以外でも、グループの福原がフクハラ中標津店を新規出店するなど、今期はこれら新規出店を含め、総店舗数は172店舗となった。さらに、今期は、カインズとの業務提携の中で、カインズホーム大曲店を新規出店するなど、ホームセンターへの参入も果たしており、新たな展開にも踏み込んだ。
一方、今期は、利益も堅調であり、その要因を見てみると、まず、原価が77.2%(昨年77.4%)と、0.2ポイント改善しており、今期、多くの食品スーパーマーケットが原価改善に苦しむ中、アークスは原価を改善し、結果、売上総利益が22.8%(昨年22.6%)となった。通常の食品スーパーマーケットが25%前後であるので、アークスはかなり低い、売上総利益であり、この数字を見てもディカウント路線が鮮明であるといえる。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、19.4%(昨年19.2%)と、0.2ポイント上昇したが、それでも、20%を切っており、ローコスト経営であるといえる。
したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は3.4%(昨年3.4%)となり、昨年と同様の結果となった。経費上昇分を原価の改善で相殺した形であり、営業利益は売上上昇分と同じ、堅調な数字となった。アークスのマーチャンダイジング力の強さは、今期は0.2ポイント上昇したが、この20%を切る経費比率の強さにあり、この経費比率の低さが、ディスカントを支えており、結果、競争力を維持しつづけているといえる。また、さらに、今後はスーパーアークスに加え、「「革命的な価格」にチャレンジする取り組みとして「ビッグハウス太平店」「ビッグハウスノース」を実験店舗と位置付けし、新たな低価格業態の可能性を追求する」という。ますます、ローコスト、ディスカウント路線を徹底してゆく方針であるという。
これを受けて、通期予想であるが、売上高2,620.00 億円(103.2%)、営業利益90.50億円(105.5%:売上対比3.4%)、経常利益98.00億円(104.5%:売上対比3.7%)、当期純利益53.00億円(106.6%:売上対比2.0%)と、ほぼ、今期同様の堅調な数字を予想しており、今期の好調さが来期も維持される予想である。
では、財務面はどうかを見てみたい。まず、自己資本比率であるが、59.8%(昨年58.0%)と、昨年よりも改善されており、負債に依存しない経営が確立されつつあるといえよう。その負債の主要項目である、長短借入金等の合計であるが112.4億円(昨年139.07億円)と、昨年よりも約20億円強削減され、総資産993.47億円の11.3%となり、財務への負担は軽減されつつある。一方、資産の方を見てみると、今期の出店にかかわる資産、土地、建物、敷金・保証金等の合計は、739.10億円であり、これは総資産の74.3%となる。したがって、自己資本比率から引いた出店余力は-14.5%であり、まだ、負債に依存する出店構造ではあるが、今後、好調な決算結果を活かし、負債の圧縮が進めば、出店余力は増すといえよう。
これを受けて、キャッシュフローの流れであるが、営業キャッシュフローは67.13億円となり、投資キャッシュフローは-40.48億円であり、結果、フリーキャッシュフローは26.65億円とプラスの順流のキャッシュフローとなった。主な投資としては、新規出店用の有形固定資産の取得による支出35.59億円がほとんどであり、今後とも新規出店を継続的に実施してゆくものと思われる。そして、財務キャッシュフローであるが、-25.70億円であり、主な内容は長期借入金の返済による支出が33.15億円であり、ついで配当の14.00億円である。借入の返済が確実に進んでおり、財務改善がなされている。結果、トータルではわずかではあるが、現金及び現金同等物を増加させており、好調な決算内容が財務改善に結び付くキャッシュフローの流れである。
このようにアークスの今期の決算は増収増益の好決算となり、自己資本比率も上昇し、財務内容も確実に改善されつつあるといえる。戦略業態アークスも軌道に乗ったといえ、さらに、来期は、ローコスト経営を基盤とした新たなディスカウント業態の開発にも挑戦するという。北海道地区は日本の中でも消費環境がより厳しい地区といえ、節約志向は今後さらに深刻な状況が予想されるが、その中で、どのようなディスカントの新業態をアークスが開発するかに注目したい。
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