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April 09, 2009

サンエー、2009年2月期決算、増収減益、原価経費上昇!

   サンエーが2009年2月期の決算を4/6公表した。結果は営業収益1,311.06億円(102.7%)、営業利益81.46億円(95.7%:営業収益比6.2%)、経常利益83.79億円(95.5%:営業収益比6.3%)、当期純利益49.00億円(97.3%:営業収益比3.7%)と、増収減益となる決算であり、利益が伸び悩んだ決算となった。サンエーは、食品スーパーマーケット業界の中でも屈指の利益率であり、今期も営業利益が営業収益比で6.2%、売上高対比では6.4%となる高収益であるが、昨年と比べると、95.7%となり、依然、高収益ではあるが、95.7%と、約5%、昨年対比がダウンしたことは気になる数字である。

   その要因を見てみると、今期の原価は70.0%(昨年69.8%)と、昨年と比べ0.2ポイント原価が上昇している。結果、売上総利益は30.0%(昨年30.2%)となった。ただ、この30.0%は通常の食品スーパーマーケットでは考えられない極めて高い数字である。サンエーがこれほど高い利益率となるのは、食品スーパーマーケットの通常の商品以外に、粗利率の高い部門をようしているからである。

   サンエーは、現在、衣料品・住居関連用品・食料品を全て取り扱う「総合店舗」を21店舗、衣料品・住居関連用品を取り扱う「衣料・住関店舗」を2店舗、食料品・住居関連用品を取り扱う「食品店舗」を36店舗、「ドラッグストア」を1店舗展開していることに加え、「外食店舗」を17店舗、ビジネスホテル1軒、ペンション1軒を有している。特に、この中で粗利率が30%を超える商品部門は衣料品、外食、ホテルであり、この部門が高粗利をささえる源泉となっている。
  
   以前、数年前にサンエーが決算短信で公表した仕入、売上の売買差益を見てみると、衣料品は36.1%、外食・ホテルは67.9%であり、この2部門の粗利が突出しており、今期の売上構成比は11.4%、4.6%と合計しても16.0%であるが、相乗積をとると、4.1%、3.1%となり、合計7.2%となり、この2部門の粗利貢献度が極めて大きいことがわかる。食料品の粗利率は27.6%、住居関連の粗利率は25.1%であるので、これら、通常の食品スーパーマーケットの部門の粗利率が極端に高いわけではなく、衣料品、外食、ホテルの粗利貢献度がサンエーの粗利率を押し上げている要因である。
   
   一方、販売費及び一般管理費であるが、26.6%(昨年26.2%)と0.4ポイント上昇しており、今期は原価、経費の双方の上昇が利益を圧迫した要因となっている。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は3.4%(昨年4.0%)と0.6ポイントと大きくダウンした。率にして85.0%である。これに、営業収入である、テナント賃貸収入、その他収入が3.0%(昨年2.9%)加わり、営業利益が6.4%(昨年6.9%)となったが、昨年と比べ0.5ポイントのダウンである。結果、売上は102.7%と堅調ではあったが、営業利益は95.7%と減収となった。

   それだけ、業界屈指の利益を確保してきたサンエーでも、今期は原価の上昇と、経費の押し上げというダブルの利益圧迫要因が加わり、増益を達成できなかったといえ、ここ数ケ月の経済情勢の悪化はサンエーの利益にも影響をもたらしたといえよう。ただ、来期の通期決算予想に関しては、営業収益1,350.92億円(103.0%)、営業利益85.50億円(105.0%:営業収益比6.3%)、経常利益86.48億円(103.2%:営業収益比6.4%)、当期純利益51.89億円(105.9%:営業収益比3.8%)と増収増益の堅調な決算を予想しており、今期の減益は回復するとの見込みである。

   サンエーは今期、新規出店は、10月に「ジョイフル宮古店」(沖縄県宮古島市)、11月に「経塚シティ」(沖縄県浦添市)の2店舗のみであるが、その出店をささえる財務構造を見てみたい。まず、自己資本比率64.8%(昨年67.6%)と、極めて高い数字である。今期若干、数字が下がっているが、これは、金融機関の決済日が決算と重なり、負債、資産が62.70億円(総資産の7.7%)増加したためである。その負債の状況であるが、サンエーの長短借入金の合計は35.74億円(昨年37.91億円)と約2億円削減し、総資産804.83億円の4.4%である。経営への圧迫はほとんどないといえる。

   これに対して、出店にかかわる資産であるが、土地、建物、長期差入保証金の合計は458.29億円(昨年407.74億円)であり、総資産の56.9%であり、自己資本比率64.8%から差し引いた出店余力は7.9%となり、自己資本の範囲内で出店にかかわる資産を十分に賄える財務構造であり、出店余力は大きいといえよう。財務状況から見ると、今期2店舗の新規出店はやや少ないといえ、1店舗当たりの出店にかかわる資産は単純に全79店舗で割ると5.8億円であり、5店舗以上は新規出店が十分に可能な財務余力である。

   このように、食品スーパーマーケット屈指の高収益のサンエーが、この2009年2月期の決算では、増収とはなったが、減益となるやや厳しい決算となった。特に、原価、経費、双方の上昇が利益を圧迫しており、マーチャンダイジング力を落とす結果となった。今後も当面は厳しい消費環境は続くものと予想されるが、サンエーの財務状況は極めて健全であり、この強みを生かした積極的な経営戦略を期待したいところである。サンエーが、今後、どのような経営戦略を打ち出すかに注目したい。

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