マックスバリュ東北、2009年2月期決算、増収減益!
イオングループの食品スーパーマーケット、マックスバリュ東北の2009年2月期の決算が4/6、公表された。これで、マックスバリュグループはすべて決算が終了し、4/14予定の本体、イオンの決算をまつばかりである。4/11の日経新聞では、「イオン最終赤字30億円、前期衣料品など苦戦」との見出しで、決算予想記事を掲載しているが、今期、イオングループは厳しい決算が予想されるといえよう。
さて、マックスバリュ東北であるが、営業収益926.64億円(105.8%)、営業利益0.23億円(15.1%:営業収益比0.02%)、経常利益0.21億円(9.3%:営業収益比0.02%)、当期純利益-19.67億円となり、増収減益、特に、当期純利益は赤字となる厳しい決算であった。マックスバリュ東北は前期も赤字決算であり、厳しい経営が続いている。
そこで、まず、マックスバリュ東北が増収になった要因を見てみると、現在、マックスバリュ東北は総店舗数が89店舗であり、今期は新店が3月に「浜田店」(青森県)、4月に「本荘中央店」(秋田県)、5月に「たかのす店」(秋田県)、「平賀店」(青森県)、9月に「大曲福田店」(秋田県)と5店舗の新規出店を果たし、閉店が4店舗であったので、1店舗増という状況であった。また、既存店の3店舗をディスカウントタイプのザ・ビックに業態転換したが、既存店は99.7%%と昨年を下回ったので、今期の増収105.8%は、新店の貢献によるところが大きかったといえよう。
これに対し、減収となった要因であるが、原価が76.8%(昨年76.3%)と0.5ポイントと大きく上昇しており、結果、売上総利益が23.2%(昨年23.7%)と下がり、利益がこの時点でダウンしている。今期は、トップバリュの積極的な導入により利益改善を目指していたが、予想以上に競合店との価格競争が激化したことが大きかったという。マックスバリュ東北は青森県25 店舗、秋田県36 店舗、山形県27 店舗、岩手県1 店舗の合計89 店舗を北東北一円に展開しているが、この地区は、地元食品スーパーマーケットに加え、イオングループのSC、スーパーセンターも数多く展開している地域でもあり、同グループの競合も含め、厳しい競合状況であり、価格競争が激化しているのが現状である。本ブログでも取り上げたが、この北東北では、食品スーパーのベルプラス(盛岡市)、伊徳(秋田県大館市)、タカヤナギ(秋田県大仙市)、スーパーマーケットマルイチ(盛岡市)等の資本業務提携の動きなどもあり、合従連衡も激しい勢いで進んでおり、競争はますます激化しているといえよう。
一方、経費の方であるが、25.6%(昨年25.9%)と0.3ポイント下がっており、経費の削減は進んだが、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.4%(昨年-2.2%)と依然として、マイナスであり、しかもそのマイナス幅が広がるという厳しい状況である。これに不動産収入等のその他営業収入が2.4%(昨年2.4%)のり、営業利益は0.0%(昨年0.2%)と、ぎりぎりプラスとなったが、マックスバリュ東北の営業構造はマーチャンダイジング力のマイナス分を、不動産収入等のその他営業収益でカバーする構造となっており、今後、いかに、マーチャンダイジング力をプラスにもってゆくかも大きな経営課題といえよう。
では、この厳しい決算を受けて、財務面はどうであったかを見てみたい。まず、自己資本比率であるが、7.1%(昨年14.9%)という厳しい状況であり、資産の92.9%を負債で回している状況といえ、企業経営が極めて厳しい局面にあるといえよう。その負債の状況であるが、長短借入金等が120.33億円(昨年89.66億円)であり、昨年よりも約30億円増加し、総資産293.35億円に占める割合は41.0%となっており、経営を大きく圧迫している状況である。実際、キャッシュフローを見ると、投資キャッシュフロー31.32億円を財務キャッシュフロー30.67億円で賄っており、その中身は長短借入金である。すなわち、今期の新規出店のかかわる投資を借入で補い、財務を大きく圧迫する状況となっているといえる。
その新規出店にかかわる資産の状況であるが、土地、建物、差入保証金等の合計は218.49億円(1店舗当たり2.45億円)であり、総資産の74.5%となり、差し引き、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産は、-67.4%という状況であり、ほぼ、大半を負債、しかも、長短借入金等に依存した新規出店構造であるといえる。現時点でも限界に近い出店余力であり、この財務状況では今後の出店は極めて厳しい状況であるといえる。
これを受けて、マックスバリュ東北の来期の通期予想であるが、営業収益930.00億円(100.4%)、営業利益6.00億円(営業収益比0.6%)、経常利益5.00億円(営業収益比0.5%)、当期純利益1.00億円(営業収益比0.1%)という状況であり、新店による成長戦略は難しい状況といえ、既存店の底上げによる成長、そして、利益の確保の経営方針といえよう。
このように、マックスバリュ東北の2009年2月期の決算は売上げこそ、新店の効果により増収とはなったが、利益が極めて厳しい状況である。また、今期増収をもたらした新店の投資を負債、特に長短借入金等で賄い、財務状況が極めて厳しい状況に落ちいり、自己資本比率は7.1%となった。今後、まずは、この厳しい財務状況の改善が急務といえ、来期、マックスバリュ東北がどのような思い切った財務戦略を打ち出すかに注目したい。
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