アークランドサカモト、2009年2月期決算、HC部門増収!
アークランドサカモトが4/3、2009年2月期の本決算を公表した。アークランドサカモトはホームセンター部門の売上が72.6%と大半を占めるが、その他にもその他小売部門(6.3%)、卸売事業(9.9%)、外食事業(8.8%)、不動産事業(2.4%)と他の事業が約30%弱ある。これらすべての事業の売上高は、96.7%と減収とはなったが、中核のホームセンター部門の売上は102.0%と増収となり、今期はホームセンター事業が堅調な売上となった。
連結売上高が96.7%となった要因は、その他小売部門が59.9%、卸売事業が84.5%となったことにより、この2部門の減収が大きかった。ただ、それ以外の外食事業は111.3%、不動産事業は110.1%と好調な売上であった。また、堅調な売上となったホームセンター部門であるが、カー・レジャー用品103.4%(売上構成比8.5%)、園芸用品102.9%(売上構成比19.5%)、家庭用品100.7%(売上構成比25.7%)、DIY関連用品100.7%(売上構成比18.4%)、その他275.6%(売上構成比0.5%)という状況であった。
ここ数ケ月、特に、9.15のリーマンブラザーズショック以降、消費環境は厳しさを増し、高額商品、衣料品、住関連商品は苦戦を強いられている中、このアークランドサカモトの堅調な売上はアークランドサカモトの強さを際立たせているといえよう。特に、11店舗の既存店の売上も100.2%と昨対を超えたとのことで、改めて、アークランドサカモトが掲げてきた、「一店舗巨大主義+変化対応型店舗」の経営戦略がここへきて、さらに競争力を増しているようである。
今期、アークランドサカモトはランドクラブ2店舗の閉鎖、神戸みなと店からの完全撤退、ホームセンタームサシ新津店の閉店もあったが、ホームセンタームサシ酒田店の増床、6月にホームセンタームサシ名取店の新規オープンもあり、これらが寄与し、ホームセンター部門が堅調な売上となったといえよう。
そこで、改めて、アークランドサカモトの決算概要を見てみると、売上高は897.73億円(96.7%)、営業利益47.92億円(109.6%:売上対比5.3%)、経常利益48.35億円(107.4%:売上対比5.3%)、当期純利益8.39億円(58.6%:売上対比0.9%)と減収増益、当期純利益は特別損失の計上により、減益という結果となった。売上は伸び悩んだが、営業利益は109.6%という好調な数字となり、ホームセンター部門の売上が堅調であったこともさることながら、営業利益が大きく改善したことも今期決算の特徴である。
その営業利益が好調であった要因を見てみると、原価が68.4%(昨年70.0%)と1.6ポイントと大幅に改善しており、結果、売上総利益は31.6%(30.0%)と上昇した。一方、販売費及び一般管理費であるが、26.3%(昨年25.3%)と1.0ポイント上昇したが、差し引き、マーチャンダイジン力は5.3%(昨年4.7%)と0.6ポイント上昇した。アークランドサカモトはその他の営業収入等がないので、マーチャンダイジング力=営業利益であり、結果、営業利益が大きく上昇、特に、原価の改善が経費の上昇分を吸収したことが大きかったといえよう。なお、当期純利益が減益となった要因は、神戸みなと店の撤退にともなう固定資産処分損21.03億円である。
一方、アークランドサカモトの財務状況であるが、自己資本比率は44.8%(昨年44.4%)とやや改善しているが、依然として、負債が60%弱と大きいのが気になるところである。その負債の主要項目である長短借入金等の合計は181.49億円(昨年174.56億円)と若干減ってはいるが、総資産679.47億円に占める割合は26.7%とかなり大きな比重を占めている。
これに対して、資産、特に、成長戦略に直接かかわる出店関連の資産を見てみると、土地、建物、敷金保証金、そして、ホームセンター特有の棚卸資産の合計は539.95億円と総資産の79.4%となり、約80%である。特に、アークランドサカモトは一店舗巨大主義の出店戦略を採用していることもあり、出店にかかわる資産も膨大な金額である。ここから出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産を算出してみると、-34.6%となり、負債に依存する出店構造となっており、新規出店を安定的に行ってゆくには、負債如何にかかっており、やや厳しい財務構造であるといえよう。実際、アークランドサカモトも、「21年度につきましても引き続き既存店の強化に注力し、平成22年度より年に2店舗のペースで新規出店を進めてゆく計画であります。」とコメントしており、2年後からの新規出店となる見通しであるという。
これを受けて、通期予想であるが、売上高900億円(100.3%)、営業利益50.00億円(104.3%)、経常利益50.00億円(103.4%)、当期純利益25.00億円(297.8%)と増収増益の予想であり、利益重視の経営方針である。
このように、消費環境の激変により、厳しい決算が予想されたホームセンター業界であるが、アークランドサカモトの決算は減収増益、当期純利益は特別損失の計上により減益となったが、ホームセンター部門のみでは、11店舗の既存店もプラスとなり、増収となる堅調な決算となった。アークランドサカモトの掲げる一店舗巨大主義の戦略が競争力を増し、商圏内でのシェアを高めていると思われる。ただ、今後は改正街づくり3法の施行により、10,000平米以上の大型店は出店がしにくくなる上に、消費環境も一層の厳しさを増すと思われる。このような中、今後、アークランドサカモトがどのような経営戦略を打ち出すか、特に、2年後の新規出店の動向に注目したい。
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