ウォルマート、2009年3月売上、-1.9%、海外失速!
ウォルマートの売上が、この3月度、-1.9%(98.1%)となり、昨対をわずかではあるが、下回った。原因はウォルマート本体は2.6%(102.6%)と堅調な売上であったが、海外の売上が-14.8%(85.2%)と大きく失速したためである。昨年9.15のリーマンブラザーズショック以来、アメリカ初の金融不安が世界中にひろがり、その結果、各国通貨に対し、ドル高が発生し、為替レートの関係で、ウォルマートのドル換算での売上が激減しているためである。ウォルマートは、「海外の売上は-22.6%の為替の影響が出ており、実質、7.8%の海外部門は増収ではあるが、差し引き-14.8%のマイナスとなる」とコメントしており、いかに為替の影響が大きいかがわかる。
ウォルマートの海外事業は、「Argentina, Brazil, Canada, Chile, China, Costa Rica, El Salvador, Guatemala, Honduras, India, Japan, Mexico, Nicaragua, Puerto Rico and the United Kingdom.」の15ケ国であり、これら海外事業の売上は、この3月度の数字を見ると、80.74億ドル(約8,000億円)となり、ウォルマート全体の売上に占める比率は22.3%である。したがって、10%の為替の影響で、相乗積をとると、約2%、20%で約4%、全体への影響がでることになり、この3月度は、この為替変動がウォルマート全体に大きく影響し、全体の売上が-1.9%(98.1%)となったものといえよう。
その海外の状況であるが、イギリスのアズダはこの3月度は国内シェアを拡大し、好調であったという。メキシコのウォルマートも堅調な動きであり、特に客数が伸びたという。カナダはやや苦戦しているという。特に、既存店が厳しいとのことで、これは、アメリカのウォルマートも同様であるが、イースター祭が今年は3月から4月にずれ込み、この影響が衣料品などで見られるという。ブラジルも同様にイースター祭の影響があるといい、客単価は上がったが、客数がダウンし、やや厳しい状況であるという。
一方、アジア地区では、中国はデフレが影響し、消費が慎重となっているという。客数はあがったが、客単価の落ち込みがみられるという。そして、日本の西友であるが、既存店が5ケ月連続で堅調な推移であるという。やはり、昨年来のKY(価格安く)キャンペーンが効いているようで、特にグロサリーの日配、冷凍食品、パンが好調であるという。また、酒部門でイギリスのアズダから輸入したワインが好調であり、全体を底上げしているという。ただ、衣料品、住関連用品は軟調であり、やや厳しい状況であるという。
これを受けて、ニューヨーク株式市場も反応しており、ウォルマートの5/8のこの売上速報直前の株価は52.61ドルであったが、4/9の売上速報が公表された日には、50.66ドルと下落した。通常は2,000万株前後の売買高であるが、この日は倍の4,000万株を超える大商いとなり、売りが先行した。ただ、ここ最近のウォルマートの株価は3月に入り、上昇気味で推移しており、2月は46ドル近辺で推移していた状況を考えると、4/9の50.66ドルはまだ高め水準といえ、投げ売りという状況ではなく、しばらく、様子を見る必要があろう。
一方、ウォルマート本体の方であるが、ウォルマート部門は、237.50億ドル(約2兆4,000億円)となり、昨対では102.6%と堅調な数字であった。ただ、9週間累計では105.0%であるので、2月度と比べると、海外部門ほどではないが失速ぎみといえよう。ウォルマート部門はサムズクラブを除くすべての業態が入っており、主力のスーパーセンター、ディスカウントストア、そして、食品スーパーマーケット等であり、全体の売上構成比は約65%である。そして、全体の約12%を占めるサムズクラブ部門であるが、43.82億ドル(約4,400億円)となり、伸び率は102.2%であった。9週間累計でも、102.6%であるので、ほぼ横ばいで推移しているといえよう。
これに対して、ウォルマートの既存店の数字であるが、ウォルマート部門、サムズクラブ部門合計で100.7%とぎりぎり昨対を超えた状況である。その内訳は、ウォルマート部門が100.6%、サムズクラブ部門が101.3%であった。この数字はガソリンなど燃料を含んでのトータルな売上数字である。昨年は資源、エネルギー価格の高騰により、ガソリンが値上げし、ウォルマート、特にサムズクラブにとっては燃料の売上がそのまま売上増につながったが、今年に入り、相場が下がり、サムズクラブには逆風が吹いており、燃料のインパクトは-4.9%(95.1%)となっている。
このように、ウォルマートのこの3月度の売上はイースター祭の4月へのずれ込みもあるが、海外部門の為替の影響があまりに大きく、全体の数字を押し下げ、マイナス成長となった。また、ウォルマート本体に関しても、2月度と比べると、イースター祭を考慮しても、数字が失速気味で推移しているといえ、やや、ここへきて、ウォルマートも売上を確保するのに苦労しているようである。ただ、イースター祭が加わる4月度は、反動で売上がはね上がる可能性もあり、次回、4月度の数字が、イースター祭のプラス分を含め、どこまで改善するかを見る必要があろう。海外部門に関しては、依然として厳しい数字が予想され、その動向も気になるところである。しばらくは、ウォルマートも売上の安定しない推移となりそうである。
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