セブン&アイH、2009年2月決算、減収、海外響く!
セブン&アイHが4/9、2009年2月期の決算を公表した。営業収益5兆6,499.48億円(98.2%)、営業利益2,818.65億円(100.3%:営業収益比4.9%)、経常利益2,793.06 億円(100.4%:営業収益比4.9%)、当期純利益923.36 億円(70.7%:営業収益比1.6%)と、減収となり、利益に関しても、営業、経常段階ではわずかに増益となったが、当期純利益は減収となる厳しい決算となった。
減収となった要因であるが、円高により、アメリカのセブンイレブンがドル換算では売上が堅調であったにも関わらず、円換算では94.5%となったことが大きかった。また、国内全体も99.6%と伸び悩み、特に、百貨店事業が96.9%となったことが響いたといえる。ちなみに、為替レートであるが、1ドルが103.48円であり、昨年が117.85円であったので、10%強、昨年より、円高となっている。また、来期も95.00円であり、いっそう円高が進むとの予想であり、海外比率が高いセブンイレブンは経営への影響が大きいといえる。
特に、コンビニエンスストア事業は加盟店の売上では、日本の方が高いが、決算に計上される営業収入では、海外比率が約75%であり、今回、この海外部門が94.5%となったことがセブン&アイHの売上全体に響いたといえる。セブン&アイHの営業収益は特に、このセブンイレブンの北米比率が高く、全体の5兆6,499.48億円の内、1兆7,631.75億円と約30%にも及ぶ。したがって、北米の円高による為替の影響はもろに全体に響くほど大きいといえよう。ちなみに、中国を含め、他の海外事業は804.01億円であり、わずか1.4%である。余談だが、この3月度のウォルマートの売上が昨対を割ったのも、約25%弱の海外部門の為替差損であり、セブン&アイHも同様の影響を受けたといえよう。
セブン&アイHの事業別の営業収益の構成比であるが、コンビニエンスストア事業が2兆3,086.90億円(40.8%)、スーパーストア事業(GMS、食品スーパーマーケット等)2兆1,250.29億円(37.6%)、百貨店事業9,938.77億円(17.5%)、フードサービス事業1,027.11億円(1.8%)、金融関連事業1,248.66億円(2.1%)、その他となる。したがって、コンビニエンスストア事業と百貨店事業の合計は58.3%となり、約60%の事業が減収となったことが今期の減収の要因といえよう。
これに対し、営業利益の状況であるが、原価は74.4%(昨年74.0%)と0.4ポイント上昇した。資源、エネルギー関連の影響が大きかったといえるが、今期は特に、セブンプレミアムを積極的に投入し、粗利改善をはかったが、数字にはまだ明確には表れていないようである。この原価について、主な事業部門を見てみると、セブイレブンジャパン19.1%(昨年21.2%)、イトーヨーカ堂74.4%(昨年74.3%)、ヨークベニマル75.7%(75.6%)、そごう76.1%(昨年75.8%)、西武百貨店76.7%(昨年76.3%)、セブン&アイ・フードシステムズ35.0%(35.8%)という状況であり、原価改善となったのはセブンイレブンジャパンのみであり、全体体に、原価が上昇気味で推移したといえよう。
結果、売上総利益は25.6%(昨年26.0%)と、0.4ポイント下がった。一方、販売費及び一般管理費であるが、31.0%(昨年30.8%)となり、0.2ポイント上昇した。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は-5.4%(昨年-4.8%)であり、0.6ポイント下がっており、厳しい結果となった。原価、経費双方が上昇しており、利益を大きく圧迫する要因となっている。ちなみに、イオンのマーチャンダイジング力は-8.5%(昨年-7.8%)であり、この時点で3ポイントほど収益性の違いが表れている。特に、イオンは売上総利益が28.3%(昨年28.7%)と高めであるが、販売費及び一般管理費も36.8%(昨年36.5%)と際立って高いという特徴がある。
そして、これにその他の営業収入が10.9%(昨年10.2%)と0.7ポイント上乗せされ、営業利益が5.5%(昨年5.4%)と増益となったが、その他営業収入のプラス分の貢献が大きいといえ、商品売買から得られる粗利、マーチャンダイジング力は、依然厳しい状況である。
さて、これに対し、財務状況であるが、今期は自己資本比率47.9%(昨年51.1%)と、やや下がったことが気になるところである。負債の中の主要項目である有利子負債の状況を見てみると、7,938.67億円(昨対103.6%)となり、総資産3兆7,270.60億円の21.3%とやや重い状況である。特に、百貨店事業の3,369.39億円、金融関連事業の2,315.17億円が大きく、合計約70%を占め、この2部門が負債に負う事業構造となっていることが、財務を圧迫しているといえる。
そして、これを踏まえて、出店構造であるが、資産の中の出店に関する資産、土地、建物、長期差入保証金の合計であるが、1兆6,245.57億円であり、総資産の43.5%である。したがって、自己資本比率から差し引いた出店余力は、4.4%のプラスとなり、財務構造的には負債に依存しない出店が可能な状況といえる。
このように、セブン&アイHの2009年2月期の決算は減収となり、売上がやや伸び悩んだ感はあるが、その要因は円高による北米の影響と、構造的に厳しい百貨店事業によるところが大きかったといえよう。また、利益に関しては、原価、経費双方が上昇したが、その他営業収入でカバーしており、ぎりぎりプラスとなったが、やはり、原価、経費、双方の上昇は気になるところである。また、財務状況に関しては、百貨店の有利子負債が大きいといえるが、それをカバーする自己資本比率を確保しており、出店余力はプラスとなり、財務は安定しているといえよう。ただ、今後は、これまで成長戦略の中核を担ってきたコンビエンスストア事業がtaspo効果も弱まり、低成長が予想される中、スーパーストア事業の役割が鍵を握るものと思われる。すでに打ち出しているPRICE、ARIOを含め、ヨークベニマル等の食品スーパーマーケット事業に関し、セブン&アイHがどのように経営資源を投入し、成長戦略を打ち出すかに注目したい。
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