イズミ、2009年2月決算、5,000億円突破、増収減益!
イズミが2009年2月期の決算を4/13に公表した。年商が今期、5,000億円を突破し、食品スーパーマーケット業界としては、イズミはGMS、SCタイプの業態ではあるが、はじめて5,000億円を超えた。すでに公表された食品スーパーマーケット業界の決算で5,000億円近い年商規模の食品スーパーマーケットはライフコーポレーション4,629.68億円、平和堂4,122.14億円、イズミヤ3,811.31億円、マルエツ3,423.37億円、フジ3,211.57億円等であり、食品スーパーマーケット業界もいよいよ、年商5,000億円が視野に入ってきたといえよう。
そのイズミの決算結果であるが、5,002.93億円(106.3%)、営業利益204.12億円(82.3%:営業収益比4.0%)、経常利益196.38億円(79.3%:営業収益比3.9%)、当期純利益127.34億円(93.2%:営業収益比2.5%)と、増収減益となり、今期は成長戦略に重点を置いた結果となった。特に、個別の営業収益は4,578.03億円(115.3%)と2桁の伸びである。一方、利益は、減益とはなったが、営業収益対比では、営業利益、経常利益ともに約4%となり、収益性は比較的高い数字であり、イズミはGMS、SCタイプの食品スーパーマーケットでありながら、収益も確保できているのが特徴である。
では、まず、今期、イズミの年商が5,000億円を超えた要因を見てみたい。イズミは現在83店舗であるが、ドミナントエリアは地元中国地方が53店舗(売上構成比49.2%:昨対112.8%)、九州地方20店舗(売上構成比43.3%、昨対115.4%)、その他10店舗(売上構成比7.3%:昨対126.0%)と各地区、いずれも2桁を超える好調な売上であった。また、商品別にみると、食料品109.6%(売上構成比32.8%)、衣料品108.6%(売上構成比16.7%)、住居関連品111.2%(売上構成比8.8%)、そして、テナント120.6%(売上構成比34.4%)と、いずれも好調な売上であった。ただ、既存店は食料品100.5%、衣料品96.4%、住居関連品100.0%、テナント97.0%と伸び悩んでおり、新規出店による売上増であるといえる。今期、イズミはゆめタウン出雲店(島根県)、ゆめタウン三豊店(香川県)、ゆめタウン丸亀店(香川県)と、いずれも大型SCを出店しており、この新店効果が大きかったといえよう。
次に、利益面についてであるが、特に、イズミの特徴はSC業態が主力フォーマットであるため、テナント構成比が34.4%と高いのが特徴である。そのため、営業利益も個別決算では21.1%となっているが、商品別の粗利率は食料品26.4%、衣料品37.1%、住居関連品31.5%と、この合計は30.3%と、極めて高い粗利率である。これが、22.0%まで下がるのは、テナントの粗利率が8.2%であり、しかも、売上構成比が34.4%と高いためである。
ただ、これだけ、粗利率が低くなっても、営業利益、経常利益が約4%と、高収益になるのは、これ以外に、不動産収入、物流収入などの営業収益が4.8%(昨年4.7%)と、通常の食品スーパーマーケットの2倍以上あるからである。実際、今期のイズミのマーチャンダイジング力を見てみると、原価は78.0%(昨年77.6%)と0.4ポイント上昇しており、売上総利益は22.0%(22.4%)となった。一方、販売費及び一般管理費も22.6%(21.6%)と1.0ポイントと大きく上昇している。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-0.6%(昨年0.8%)とプラスからマイナスへと転じた。これに先の不動産収入、物流収入等の営業収入が4.8%(昨年4.7%)のり、営業利益が4.3%(5.5%)と、高収益を生み出している。昨年は5%を超えており、イズミの利益構造は、マーチャンダイジング力では収支トントンで、不動産、物流収入等がそっくり、営業利益となる構造であることがわかる。
今期は特に、結果としては4.3%の営業利益となったが、マーチャンダイジング力は大きくマイナスに転じており、しかも、原価、経費、双方の上昇がみられ、商品面ではかなり厳しい状況であったことがわかる。ただ、経費比率は上昇したとはいえ、22.6%と、GMS、SC業態主体の食品スーパーマーケットとしては、低い経費比率であり、これが、イズミが高収益を生み出す要因のひとつといえよう。
一方、イズミの出店構造を見てみたい。イズミの自己資本比率は28.6%とかなり低い数字であり、資産の大半を負債に依存する経営構造である。その負債の主要項目である長短借入金等の合計は1,726.54億円(昨年1,643.31億円)となり、昨年よりも100億円弱増加し、総資産3,851.59億円の44.8%とかなり重い構造である。これに対し、資産の中の出店にかかわる項目、土地、建物、差入敷金及び保証金等の合計は2,785.70億円であり、総資産の72.3%となる。したがって、差し引き、出店余力は-43.7%であり、負債に大きく依存する出店構造である。
このように、今期のイズミは年商が食品スーパーマーケット業界ではじめて5,000億円を突破し、今期は、特に主力のSC業態、ゆめタウンにシフトした成長戦略を強く打ち出したといえる。ただ、原価、経費双方の上昇がみられ、成長戦略も負債に大きく依存する構造となっており、今後、安定成長を目指してゆくためには、財務構造の改善が課題といえよう。ただ、イズミは、GMS、SCを主体とする食品スーパーマーケットであるが、経費比率は22.6%と低い営業構造であり、これはイズミの強さであるといえ、競争力はまさに食品スーパーマーケットと互角であるといえよう。今後、イズミがさらに成長路線を堅持するか、財務改善に踏み込むか、今後のイズミの経営戦略に注目である。
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