« エコス、2009年2月期決算、減収減益、厳しい決算! | Main | No.2、中堅食品スーパーマーケット苦戦、2009年2月決算 »

May 06, 2009

No.1、中堅食品スーパーマーケット苦戦、2009年2月決算

   地方の代表的な中堅食品スーパーマーケット、北海道の北雄ラッキー、長野のマツヤ、四国のマルヨシセンター、3社の2009年2月期決算を見ると、いずれも、今期は厳しい決算となった。現在、地方の中堅食品スーパーマーケットは2つの競合にさらされている。ひとつは、イオン、セブン&アイH等のナショナルチェーンとの競合であり、そして、もうひとつは地元の有力食品スーパーマーケットとの直競合である。この2つの競合の中で、競争に打ち勝ち、売上を上げ、利益を出すのは至難の技であり、ここへきて、厳しい経営が続いているといえよう。

   まず、それぞれの決算の概要を見ると、北雄ラッキーであるが、売上高451.12億円(99.9%)、営業利益3.92億円(76.7%:売上対比0.86%)、経常利益2.69億円(71.1%:売上対比0.59%)、当期純利益3.34億円(344.2%:売上対比0.74%)と、当期純利益は増益であったが、営業経常段階では減収減益となった。マツヤは売上高357.28億円(108.7%)、営業利益4.57億円(79.1%:売上対比1.27%)、経常利益3.42億円(77.7%:売上対比0.95%)、当期純利益0.08億円(2.4%:売上対比0.02%)と増収、大幅な減益となった。そして、マルヨシセンターであるが、営業収益456.01億円(100.6%)、営業利益7.33億円(133.8%:営業収益比1.6%)、経常利益3.83億円(227.3%:営業収益比0.83%)、当期純利益-5.37億円と、営業経常段階では増収増益とはなったが、当期純利益が赤字という厳しい決算となった。
   
   この3社は、いずれも地方の中堅食品スーパーマーケットであり、売上規模も年商400億円前後とほぼ同じであり、まさに、地元の中堅食品スーパーマーケットであるといえる。現在、食品スーパーマーケットの年商規模は今期決算ではイズミの5,000億円強を頂点に、2,000億円から3,000億円規模の有力食品スーパーマーケットが各地区で群雄割拠している状況である。そして、その有力食品スーパーマーケットと激しく競合しているのが、年商500億円から1,000億円規模の中堅食品スーパーマーケットであるといえる。

   その代表的な3社が、北雄ラッキー、マツヤ、マルヨシセンターであるといえるが、今期決算結果は、マツヤは比較的堅調な売上であったが、利益に関しては、いずれも厳しい状況といえ、しかも、営業利益が売上対比1%前後という低い利益率である。競合状況が売上以上に、利益に直に影響が出ているといえ、利益を生み出すのが、いかに厳しい状況であるかが伺われる決算結果といえよう。

   そこで、この3社の営業利益算出の構造を見てみたい。まず、北雄ラッキーであるが、原価は75.1%(昨年751%)と昨年同様の原価となり、結果、売上総利益は24.9%(昨年24.9%)となった。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、26.4%(昨年26.2%)となり、0.2ポイント経費が上昇している。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.5%(昨年-1.3%)と、マイナス幅が広がり、これに不動産、配送手数料等の営業収入が2.4%(昨年2.4%)のり、営業利益を0.9%(昨年1.1%)とプラスにもっていったが、経費の上昇が今期の営業利益を下げた結果となった。

   これに対し、マツヤであるが、原価は75.7%(昨年75.2%)と大きく上昇し、結果、売上総利益は24.3%(昨年24.8%)と下げた。一方、販売費及び一般管理費であるが、26.0%(昨年26.3%)と、こちらは0.3ポイント削減しており、結果、マーチャンダイジング力は差し引き-1.7%(昨年-1.5%)とマイナス幅がさらに広がった。これに営業収入が3.0%(昨年3.2%)のり、結果、営業利益は1.3%(昨年1.7%)と下げる結果となった。そして、マルヨシセンターであるが、原価は74.5%(昨年75.0%)と0.5ポイント改善した。結果、売上総利益は25.5%(昨年25.0%)と改善した。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.0%(昨年25.0%)と昨年同様の数字となり、マーチャンダイジング力は差し引き0.5%(昨年0%)とプラス0.5%となった。これに営業収入が1.1%(昨年1.2%)のり、営業利益は1.6%(1.2%)と上昇した。

   こう見ると、いずれも、マーチャンダイジング力がマイナスか、わずかなプラスという状況であり、不動産収入、物流手数料収入等で営業利益を押し上げている構造であり、本来の食品スーパーマーケットとしての商品売買から得られる利益で経費を賄うマーチャンダイジング力が競争の激化により、大きくプラスにもっていけない状況にあるといえる。特に、3社ともに、経費比率が25.0%前後であり、この経費比率をいかに下げられるかが課題といえよう。そのためにも、経費削減以上に、販売効率、特に坪売上をいかに引き上げ、相対的に経費比率を下げるマーチャンダイジング戦略が課題といえよう。

   このように、ここでは、北雄ラッキー、マツヤ、マルヨシセンター、3社の2009年2月期の営業構造を見てみたが、いずれも、経費比率が25.0%前後と高め水準となり、原価の改善で利益を出すのが難しい状況にあるといえる。したがって、営業利益の源泉が不動産収入、物流手数料収入等に頼らざるを得ない利益構造となり、マーチャンダイジング力が問われる営業構造となっているといえよう。まずは、経費比率、そして、原価改善をはかり、営業収入に頼らない、マーチャンダイジング力をいかに高めるかが喫緊の課題といえよう。

有料版プレミアム、決算と新MD特集!今週の内容!   お申し込みはこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ  資料集
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!

« エコス、2009年2月期決算、減収減益、厳しい決算! | Main | No.2、中堅食品スーパーマーケット苦戦、2009年2月決算 »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference No.1、中堅食品スーパーマーケット苦戦、2009年2月決算:

« エコス、2009年2月期決算、減収減益、厳しい決算! | Main | No.2、中堅食品スーパーマーケット苦戦、2009年2月決算 »