No.1、中堅食品スーパーマーケット苦戦、2009年2月決算
地方の代表的な中堅食品スーパーマーケット、北海道の北雄ラッキー、長野のマツヤ、四国のマルヨシセンター、3社の2009年2月期決算を見ると、いずれも、今期は厳しい決算となった。現在、地方の中堅食品スーパーマーケットは2つの競合にさらされている。ひとつは、イオン、セブン&アイH等のナショナルチェーンとの競合であり、そして、もうひとつは地元の有力食品スーパーマーケットとの直競合である。この2つの競合の中で、競争に打ち勝ち、売上を上げ、利益を出すのは至難の技であり、ここへきて、厳しい経営が続いているといえよう。
まず、それぞれの決算の概要を見ると、北雄ラッキーであるが、売上高451.12億円(99.9%)、営業利益3.92億円(76.7%:売上対比0.86%)、経常利益2.69億円(71.1%:売上対比0.59%)、当期純利益3.34億円(344.2%:売上対比0.74%)と、当期純利益は増益であったが、営業経常段階では減収減益となった。マツヤは売上高357.28億円(108.7%)、営業利益4.57億円(79.1%:売上対比1.27%)、経常利益3.42億円(77.7%:売上対比0.95%)、当期純利益0.08億円(2.4%:売上対比0.02%)と増収、大幅な減益となった。そして、マルヨシセンターであるが、営業収益456.01億円(100.6%)、営業利益7.33億円(133.8%:営業収益比1.6%)、経常利益3.83億円(227.3%:営業収益比0.83%)、当期純利益-5.37億円と、営業経常段階では増収増益とはなったが、当期純利益が赤字という厳しい決算となった。
この3社は、いずれも地方の中堅食品スーパーマーケットであり、売上規模も年商400億円前後とほぼ同じであり、まさに、地元の中堅食品スーパーマーケットであるといえる。現在、食品スーパーマーケットの年商規模は今期決算ではイズミの5,000億円強を頂点に、2,000億円から3,000億円規模の有力食品スーパーマーケットが各地区で群雄割拠している状況である。そして、その有力食品スーパーマーケットと激しく競合しているのが、年商500億円から1,000億円規模の中堅食品スーパーマーケットであるといえる。
その代表的な3社が、北雄ラッキー、マツヤ、マルヨシセンターであるといえるが、今期決算結果は、マツヤは比較的堅調な売上であったが、利益に関しては、いずれも厳しい状況といえ、しかも、営業利益が売上対比1%前後という低い利益率である。競合状況が売上以上に、利益に直に影響が出ているといえ、利益を生み出すのが、いかに厳しい状況であるかが伺われる決算結果といえよう。
そこで、この3社の営業利益算出の構造を見てみたい。まず、北雄ラッキーであるが、原価は75.1%(昨年751%)と昨年同様の原価となり、結果、売上総利益は24.9%(昨年24.9%)となった。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、26.4%(昨年26.2%)となり、0.2ポイント経費が上昇している。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.5%(昨年-1.3%)と、マイナス幅が広がり、これに不動産、配送手数料等の営業収入が2.4%(昨年2.4%)のり、営業利益を0.9%(昨年1.1%)とプラスにもっていったが、経費の上昇が今期の営業利益を下げた結果となった。
これに対し、マツヤであるが、原価は75.7%(昨年75.2%)と大きく上昇し、結果、売上総利益は24.3%(昨年24.8%)と下げた。一方、販売費及び一般管理費であるが、26.0%(昨年26.3%)と、こちらは0.3ポイント削減しており、結果、マーチャンダイジング力は差し引き-1.7%(昨年-1.5%)とマイナス幅がさらに広がった。これに営業収入が3.0%(昨年3.2%)のり、結果、営業利益は1.3%(昨年1.7%)と下げる結果となった。そして、マルヨシセンターであるが、原価は74.5%(昨年75.0%)と0.5ポイント改善した。結果、売上総利益は25.5%(昨年25.0%)と改善した。一方、販売費及び一般管理費であるが、25.0%(昨年25.0%)と昨年同様の数字となり、マーチャンダイジング力は差し引き0.5%(昨年0%)とプラス0.5%となった。これに営業収入が1.1%(昨年1.2%)のり、営業利益は1.6%(1.2%)と上昇した。
こう見ると、いずれも、マーチャンダイジング力がマイナスか、わずかなプラスという状況であり、不動産収入、物流手数料収入等で営業利益を押し上げている構造であり、本来の食品スーパーマーケットとしての商品売買から得られる利益で経費を賄うマーチャンダイジング力が競争の激化により、大きくプラスにもっていけない状況にあるといえる。特に、3社ともに、経費比率が25.0%前後であり、この経費比率をいかに下げられるかが課題といえよう。そのためにも、経費削減以上に、販売効率、特に坪売上をいかに引き上げ、相対的に経費比率を下げるマーチャンダイジング戦略が課題といえよう。
このように、ここでは、北雄ラッキー、マツヤ、マルヨシセンター、3社の2009年2月期の営業構造を見てみたが、いずれも、経費比率が25.0%前後と高め水準となり、原価の改善で利益を出すのが難しい状況にあるといえる。したがって、営業利益の源泉が不動産収入、物流手数料収入等に頼らざるを得ない利益構造となり、マーチャンダイジング力が問われる営業構造となっているといえよう。まずは、経費比率、そして、原価改善をはかり、営業収入に頼らない、マーチャンダイジング力をいかに高めるかが喫緊の課題といえよう。
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