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May 02, 2009

丸久、2009年2月期決算、増収増益、好調、財務が課題!

   丸久が2009年2月期の決算を4/8、公表した。結果は営業収益760.04億円(112.3%)、営業利益37.50億円(108.7%:営業収益比4.9%)、経常利益35.87億円(111.1%:営業収益比4.7%)、当期純利益16.70億円(115.4%:営業収益比2.2%)となる、増収増益となる好調な決算となった。しかも、営業利益率も4.9%と高く、今期決算を公表した食品スーパーマーケット業界の中でも高収益の決算となった。

   丸久の営業収益が2桁を超えた要因は、4店舗の新規出店が大きかったといえる。昨年6月にアルク彦島店(山口県)、8月にアルク桜木店(山口県)、11月にアルク廿日市店(広島県)、そして、今年1月にアルク港町店(山口県)を出店しており、その結果、現在、丸久本体は53店舗となった。なお、連結では、子会社のサンマート、かいたが加わり、合計78店舗となる。特に、今期、丸久の4店舗の新店は53店舗のほぼ10%に当たり、しかも、アルクというSSMタイプの業態であり、全体への売上貢献が大きかったといえる。しかも、丸久は今期、既存店も堅調に推移しており、売上は103.3%であった。特に、全体の売上の約80%を占める生鮮食品と加工食品が103.4%、104.3%と好調であったことが大きかったといえよう。

   一方、営業収益だけでなく、営業利益においても高収益をもたらした要因を見てみたい。今期の原価は75.0%(昨年74.8%)となり、昨年よりも0.2ポイント上昇した。結果、売上総利益は、25.0%(昨年25.2%)となった。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、22.3%(昨年22.5%)と、0.2ポイント削減しており、経費の方は改善している。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、2.7%(昨年2.7%)となり、昨年同様の数字となった。原価の上昇を、経費の削減で相殺しており、マーチャンダイジング力を昨年同様の数字とし、しかも、2.7%と食品スーパーマーケット業界のマーチャンダイジング力としては、高い数字である。そして、これに、不動産収入、その他収入の営業収入が2.4%(昨年2.5%)とのり、結果、営業利益は5.1%(昨年5.2%)と、わずかに、0.1ポイント下がったが、5%を超える高収益となり、売上とあいまって、営業利益が大きく上昇した。なお、この数字は売上対比であり、冒頭に掲げた数字は営業収益対比であるので、比率に若干の誤差が生じているが、売上対比では5%を超える、高収益であった。

   丸久は、この売上対比の営業利益が5%を超えるという、食品スーパーマーケット業界の中でも、高収益であり、マーチャンダイジング力と不動産、その他の営業収入とのバランスもよいのが特徴である。特に、経費比率を22%前半で抑えていることが、高収益をもたらしているといえ、食品スーパーマーケットにとって、経費比率を20%前後に抑えられるかどうかが、マーチャンダイジング力をプラスにもってゆき、結果、営業利益を高い水準で維持できるかどうかのポイントであることが、丸久の数字を見るとわかる。

   では、今期、順調に新規出店を果たした丸久の出店余力を見てみたい。まず、丸久の自己資本比率であるが、27.1%(昨年24.0%)と、昨年より改善しているが、まだ低い数値であり、負債に70%以上依存している財務構造となっている。その負債の主要項目である長短借入金等の合計であるが、158.86億円(昨年159.61億円)となり、総資産341.47億円の46.5%であり、経営に重くのしかかっている状況である。したがって、資産に目を転じると、出店にかかわる資産である土地、建物、差入敷金保証金等の合計は239.02億円であり、総資産の69.9%であるので、出店余力は差し引き、-42.8%となり、負債に大きく依存する財務構造である。今期、長短借入金の増加なしに、4店舗の新規出店を果たしてはいるが、出店余力は、厳しいものがあり、今後、一層の自己資本比率の改善が急務といえよう。

   ちなみに、丸久の今期のキャッシュフローの流れを見てみると、営業キャッシュフローは29.26億円、投資キャッシュフローは-21.74億円であり、その内訳は固定資産の取得による支出、すなわち、新店関連が大半を占めている。結果、フリーキャッシュフローは7.52億円となり、順流である。そして、財務キャッシュフローであるが、-7.80億円であり、その内訳をみると、若干であるが、長短借入金等を削減している。その結果、トータルのキャッシュフローは、-0.28億円と、わずかに現金及び現金同等物を取り崩してはいるが、ほぼ営業キャッシュフローの範囲内で回っており、長短借入金等の削減はあまり改善されなかったが、新規出店はキャッシュフローの範囲内であることがわかる。

   このように、丸久の今期の決算は増収増益の好決算となり、新規出店もキャッシュフローの範囲内で4店舗の出店を果たすことができた。ただ、残念ながら、自己資本比率は27.1%と脆弱であり、負債、特に長短借入金等が財務に重くのしかかっている状況である。今期は、財務の改善よりも、成長戦略に重きを置いた経営戦略であったが、今後は、財務改善のバランスをとることも、中長期的には避けて通れない課題であるといえ、丸久が、来期以降、どのようなバランスのとれた経営戦略を打ち出すかに注目である。

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