ヤマナカ、2009年3月期決算、増収減益、厳しい決算!
ヤマナカが5/1、2009年3月期の決算を公表した。結果は営業収益1,149.01億円(102.5%)、営業利益9.69億円(80.8%:営業収益比0.84%)、経常利益11.55億円(82.6%:営業収益比1.00%)、当期純利益-2.08億円と、増収とはなったが、減益、特に、当期純利益は厚生年金基金脱退に伴い、特別掛金11.20億円の特別損失の計上が響き、赤字決算となった。ヤマナカは食品スーパーマーケット以外に、スポーツクラブ事業、その他事業を連結しているが、その売上構成比は10%以下であり、食品スーパーマーケット70店舗の展開が事業構造の中心である。
ヤマナカが今期、減益になった要因であるが、原価が74.8%(昨年74.7%)と、約0.1ポイント上昇している。今期は特に、後半、小売業全体が空前の価格競争に突入し、さらに、地元愛知県ではトヨタ自動車をはじめ、現地産業が厳しい経営に陥るなど、ヤマナカのドミナト商圏、愛知県は価格競争が厳しかったといえよう。ヤマナカも、「節約志向・低価格志向に対応し、「チャレンジプライス商品」としてお買い得品を増やすとともに、「価格変えません厳選200品目」や「生活応援 値下げ宣言」と銘打ち、生活必需品を中心にお値打ち品を提供し、・・」と、価格政策を強く打ち出したという。その結果の今期の原価であるが、0.1ポイントの上昇にとどめており、善戦といえよう。したがって、売上総利益は25.2%(昨年25.3%)となった。
一方、経費面であるが、今期の販売費及び一般管理費は29.0%(昨年28.8%)と、0.2ポイント上昇した。人件費の上昇に加え、地代家賃、水道光熱費、減価償却費の上昇がみられる。既存店が98.7%にとどまったことも、相対的に固定費を上げる要因となったことも大きかったといえよう。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-3.8%(昨年-3.5%)と、マイナス幅が広がった。この数字を見る限り、食品スーパーマーケットとしては、経費比率が30%近い、高い数字であり、逆に、売上総利益が25%前半と低い数字であり、本来、正反対の数字が食品スーパーマーケットとしては、望ましいといえ、まずは、経費構造をいかに見直すかが喫緊の課題といえよう。
そして、これに、営業収入が4.7%(昨年4.6%)のり、最終的に営業利益は0.9%(昨年1.1%)とプラスにはなったが、1%を切る厳しい状況であり、しかも、営業収入でマーチャンダイジング力を大きくカバーする営業構造といえ、食品スーパーマーケットというよりも、GMSに近い営業構造といえよう。
ちなみに、食品スーパーマーケットのみの個別決算のマーチャンダイジング力、営業利益の構造であるが、原価77.5%(昨年77.5%)、売上総利益22.5%(昨年22.5%)、販売費及び一般管理費26.1%(昨年26.1%)、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は、-3.6%(昨年-3.6%)である。一方、営業収入は4.4%(昨年4.5%)であり、営業利益は0.8%(0.9%)であり、さらに、粗利が下がり、食品スーパーマーケットとしては、かなり低い粗利構造であり、ディスカウント業態に近い、価格志向のマーチャンダイジングを強く打ちだしているといえよう。
一方、さらに気になるのは財務面であり、特に、自己資本比率が32.8%(昨年38.7%)と30%台である点である。ヤマナカの自己資本比率は過去5年間30%台であり、負債に大きく依存する経営が続いており、苦しい財務状況である。その負債の有利子負債の状況であるが、198.18億円(昨年210.13億円)と昨年よりも若干削減されてはいるが、総資産473.33億円に占める割合は41.8%と重くのしかかっており、有利子負債をいかに軽減するかが大きな財務問題であり、経営課題といえよう。
したがって、出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計は306.95億円となり、これは総資産の64.8%となる。したがって、差し引き、出店余力、自己資本比率-出店にかかわる資産は、-32.0%と、負債に大きく依存する出店構造であり、しかも、その大半を有利子負債に負う状況といえよう。今後、安定した成長戦略をとってゆくには、かなり、厳しい財務状況といえ、いかに、有利子負債を削減し、自己資本比率を向上させるかが、急務といえよう。
今期のキャッシュフローを見ると投資キャッシュフローでは、新規出店のためと思われる有形固定資産の取得による支出を16.13億円(昨年13.85億円)しており、新規出店への備えは積極的である。ただ、今期は特に、営業キャッシュフローが12.24億円(昨年18.40億円)と厳しい状況であり、しかも、財務キャッシュフローも-14.54億円(昨年-7.75億円)と有利子負債の削減、配当等がかさみ、結果、現金及び現金同等物を13.77億円取り崩すという状況である。今後、有利子負債を削減し、安定した成長戦略を描く上においても、マーチャンダイジング力の改善により、営業キャッシュフローをいかに充実させるかが課題といえよう。
このように、今期、ヤマナカは特損が響き、当期純利益が赤字決算となる厳しい状況となった。ただ、特損は一時的なものであるが、現状のマーチャンダイジング力、出店余力を見る限り、構造的に厳しい状況にあるといえよう。今後、ヤマナカとしては、まずは、マーチャンダイジング力の充実、特に、食品スーパーマーケットの競争が厳しく、粗利が取りにくい経営環境の中、経費構造をどう見直すかが利益を捻出するための課題といえよう。そのためには、既存店の数字の引き上げが最優先課題といえ、今後のヤマナカの既存店の動向に注目したい。
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