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May 16, 2009

いなげや、2009年3月期決算、増収増益、ドラック堅調!

   いなげやが5/12、2009年3月期の決算を公表した。営業収益2,281.91億円(100.4%)、営業利益39.60億円(101.9%:営業収益比1.73%)、経常利益42.21億円(100.1%:営業収益比1.84%)、当期純利益16.80億円(135.9%:営業収益比0.73%)となり、増収増益ではあったが、微増の決算であった。いなげやは、連結では食品スーパーマーケットのいなげやに加え、ドラックストアのウェルパーク等が加わっており、今期の売上は特に、ドラックストアの堅調な数字が加わり、増収を達成している。そこで、P/L、B/Sについてはドラックストアを抜いたいなげや本体の個別決算を主にし、連結は必要に応じて参考に見てみる。
  
   その個別決算結果であるが、営業収益1,787.39億円(99.8%)、営業利益26.64億円(100.9%:営業収益比1.49%)、経常利益28.70億円(90.7%:営業収益比1.60%)、当期純利益12.04億円(119.8%:営業収益比0.67%)となり、減益となった。ただ、経常利益は減益とはなったが、営業利益、当期純利益は増益であった。ちなみに、いなげやとドラックストアのウェルパークの店舗数であるが、いなげやは127店舗、ウェルパークは84店舗であり、連結では合計211店舗となる。
  
   では、個別決算をもとに、いなげやの営業状況を見てみると、原価は74.1%(昨年73.8%)と0.3ポイント原価の上昇がみられる。結果、売上総利益は25.9%(昨年26.2%)となった。一方、販売費及び一般管理費であるが、29.5%(昨年29.4%)と、こちらも、0.1ポイント上昇している。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は-3.6%(昨年-3.2%)と、0.4ポイント下がった。それにしても、この-3.6%のマーチャンダイジング力は、食品スーパーマーケットとしては、かなり厳しい数字であるといえよう。特に、経費比率が売上対比30%近い数字となっており、ここまで上昇すると、食品スーパーマーケットの商品構成の中では粗利で相殺できるカテゴリーは惣菜ぐらいであり、厳しい数字である。いなげやとしては、まず、この経費比率をいかにひき下げるかが、経営の最優先課題といえよう。
   
   したがって、このマーチャンダイジング力をプラスにもってゆくには、不動産収入、物流手数料収入等で相殺するしかなく、今期のこれらを合計した営業収入は5.2%(昨年4.8%)と、昨年より0.4ポイント上回った。食品スーパーマーケットで営業収入が5%を超えるのは珍しく、かなり大きな金額である。結果、営業利益は1.6%(昨年1.6%)と差し引き、昨年と同様の数字とはなったが、今期は原価、経費双方が上昇しており、これを営業収入で相殺した形であり、利益を捻出するのが厳しい1年であったといえよう。
   
   一般に経費比率が高めになる要因としては、食品スーパーマーケットは装置産業といわれるように、多額の資産を必要とする。今期のいなげやの出店にかかわる資産、土地、建物、差入保証金の合計は356.88億円であり、1店舗当たり2.81億円となる。通常の食品スーパーマーケットと比べると、比較的低い数字ではあるが、総資産に占める割合は52.3%となる。そして、この中の土地を抜いた資産には減価償却費がかかり、これが経費比率を高める要因となり、店舗面積が大きくなればなるほど、経費比率が自然上昇することになり、その分、その店舗面積に見合う売上、利益を確保する必要がある。
  
   いなげやの今期の店舗当たりの売場面積は440.6坪であり、食品スーパーマーケットとしては標準的な数字であるといえよう。問題は、1坪当たりの売上であり、これを見ると、341.88万円であり、この数字が低く、結果、減価償却費をはじめ、固定費等の経費比率を相対的に引き上げているといえる。したがって、今後、経費比率を引き下げるためには、粗利の改善も重要なマーチャンダイジングの課題であるが、それ以上に、この坪売上をいかに引きあげるかを、マーチャンダイジング面だけでなく、店舗開発そのものについても見直す必要がありそうである。仮に、現状の売上を前提に売場面積を350坪にすると、坪売上は430万円、300坪にすると502万円となり、格段と坪売上が向上、当然、固定費が劇的に下がることになる。
  
   一方、いなげやの今期の自己資本比率であるが、54.4%(昨年55.0%)とやや下がってはいるが、50%を超えており、財務的には、出店にかかわる資産の合計が52.3%であり、出店余力が差し引き1.3%となり、バランスがとれており、負債に依存することなく、出店が可能な財務構造であるといえる。今後、負債の有利子負債129.7億円、総資産の16.5%が削減されてくると、出店余力はさらにまし、成長戦略を有利に展開できることになる。
  
   このように、いなげやの今期の決算は連結ではドラックストアが寄与し、増収増益とはなったが、個別では減収となる結果となった。ドラックストアは比較的好調であったが、いなげや本体が厳しい状況であったといえ、今後、新規出店をどのように果たし、増収を確保するかが課題といえよう。ただ、そのためには、原価、経費バランスが悪く、現状の経費が異常に高い状況である。まずは、既存店の経費比率をいかに引き下げるか、そのためにもマーチャンダイジングの改善だけでなく、店舗開発そのものの見直しも課題といえよう。ちょうど、来月からは改正薬事法が施行されるので、この追い風にのり、ウェルパークと連携し、いなげの中に薬売場を入れ、グロサリーを再編することも一考であろう。今期のいなげやの特に既存店の店舗改装の動向に注目したい。

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