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May 15, 2009

九九プラス、2009年3月期決算、増収減益、来期回復!

   九九プラスが5/12、2009年3月期決算を公表した。結果は、営業総収入1,342.46億円(109.1%)、営業利益2.61億円(65.2%:営業総収入比0.19%)、経常利益3.16億円(88.6%:営業総収入比0.23%)、当期純利益-5.04億円)となる、増収減益、当期純利益は赤字となる厳しい決算となった。ただ、四半期別に営業利益の推移をみると、昨年の第4四半期に最大の赤字を計上してから、業績がV字回復しており、今期、第3四半期には黒字転換、第4四半期も黒字幅を拡大と、業績は確実に上向いている。

   したがって、来期の通期予想は営業総収入1,233.00億円(119.2%)、営業利益13.60億円(632.6%:営業総収入比1.10%)、経常利益13.80億円(464.6%:営業総収入比1.12%)、当期純利益14.00:前期は赤字)と大幅な増収増益予想であり、業績が急回復する見通しである。ただ、営業総収入比でみると、営業利益は1.10%と依然として、低い状況であり、今後、さらに、マーチャンダイジング力の改善が課題といえよう。なお、営業総収入が119.2%と大幅な伸びとなるが、この中には、新店による増収もあるが、それ以上に、この5/1からバリュローソンを吸収合併し、ローソンストア100が70店舗加わることが大きい。

   さて、今期、減収となった要因を営業構造から見てみると、まず、原価であるが、ここからはすべて、売上対比の数字で見たてみたい。九九プラスは、直営以外に、FCもあり、営業総収入は、売上に加盟店からの収入や、その他の営業収入が加わったものであるので、純粋に商品売買から得られるマーチャンダイジングの実態を表しているとはいえない。そこで、商品売買による営業力、すなわち、マーチャンダイジング力を見るために、ここでは売上を基本にすえての営業構造を見てみる。

   原価は75.9%(昨年73.3%)となり、2.6ポイントと大幅な上昇となった。九九プラスの平均単価はまさに100円であるので、100円の商品の75.9円が原価であるということであり、昨年はこれが73.3円であったということである。結果、売上総利益、粗利は24.1%(昨年26.7%)と厳しい結果となった。これまで、見てきた食品スーパーマーケットの決算と比べても、この原価の上昇は異常であり、特に、今期前半の物価上昇が九九プラスを直撃した結果といえよう。

   一方、経費の方であるが、販売費及び一般管理費を見てみると、25.8%(昨年26.4%)となり、0.4ポイント削減した。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-1.7%(昨年0.4%)と、昨年の黒字が一気に赤字になり、経費の削減が原価の大幅上昇に追いつかず、マーチャンダイジング力が大きくマイナスになった状況である。これに、加盟店収入、不動産、物流手数料などの営業収入が1.9%(昨年0)のり、最終的には営業収入が0.2%(昨年0.3%)とわずかなプラスにはなったが、原価の上昇が大きく経営に響いたといえよう。なお、九九プラスは、今期から営業収入に加盟店収入、その他収入を計上しており、昨年はその他の営業収入はなく、売上高のみであり、計上方法の変更があったようである。

   それにしても、原価がここまで上昇するのは、構造的な問題があったといえよう。売価が100円で抑えられている100円ショップという業態であるため、原価が上昇しても売価を変えるわけにはいかず、中身の見直し、すなわち、容量の変更、原材料の見直しなど、まさに、マーチャンダイジングの全面的な政策見直しが必要といえ、そのスピードが、原価の上昇スピードについていけなかったと推測される。逆にいえば、昨年、特に前半は異常な速さでの原価上昇が起こったといえよう。

   ただ、これだけ厳しい、原価に振り回された経営状況であったにもかかわらず、キャッシュフローを見ると、営業キャッシュフローは22.65億円(昨年16.02億円)と昨年より、上昇している。これは減価償却費のプラス分が大きかったといえ、当期純利益のマイナスを十分にカバーした。そして、投資キャッシュフローであるが、-17.21億円(昨年-22.32億円)と、投資額は減っているが、新店にかかわる有形固定資産の取得による支出は増加しており、今後も新店が期待できそうである。結果、フリーキャッシュフローは5.44億円(昨年-6.30億円)と、昨年の逆流が順流となっており、余裕が生まれている。そして、財務キャッシュフローであるが、-27.68億円(昨年-5.39億円)と、今期は長期借入金を26.53億円返済し、財務基盤の強化をはかっている。トータルでは-22.25億円(昨年-11.69億円)と、連続で現金及び現金同等物を取り崩してはいるが、財務体質は、改善されている。自己資本比率も、以前の30%台から41.0%(昨年40.1%)と上昇がみられる。

   このように、今期、2009年3月期の九九プラスの決算は増収減益、当期純利益は赤字となる厳しい決算とはなったが、その要因は大幅な原価高にマーチャンダイジング力がついてゆけなかった前半の状況を引きずっての結果であり、後半以降は原価も落ち着き、むしろ下げに転じ、利益の急回復がみられる。また、財務状況はむしろ好転しており、借入の返済も進み、自己資本比率の上場も見られ、財務基盤も健全化が進みつつあるといえよう。来期はいよいよ、ローソンとの資本業務提携の効果が本格的に表れてくることが期待され、攻めの積極的な経営が求められるといえる。今後、九九プラスがどのような積極策を打ち出すかに注目である。

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