家計調査データ速報、2009年3月度、伸び悩む!
家計調査データの最新、2009年3月度が5/1、総務省統計局から公表された。全体の金額は1日1世帯当たり10,021.94円(昨対99.4%)、外食を除く食品は1,942.03円(99.2%)となり、双方ともに、わずかに昨対を下回り、この3月度は消費が伸び悩んだ結果となった。また、外食を含む食品も2,370.58円(98.1%)と、さらに数字は下がり、ここへきて、家計は消費を抑制しはじめたといえよう。ちなみに、この数字をもとにエンゲル係数を算出してみると、2370.58円÷10,021.94円=23.6%となり、日本国民は現在、食品に約2割強費やしていることになる。また、この中には、外食が含まれているので、食品小売比率を算出すると、1942.03円÷10,021.94円=19.3%となり、わずかに2割を切る状況であり、およそ、消費の20%が食品小売業への支出といえる。
このような中で、食品スーパーマーケットで取り扱う消費項目の状況を見てみると、伸びた項目は、油脂・調味料107.94円(102.0%)、穀類219.52円(101.7%)、菓子類237.06円(101.4%)、酒類110.45円(100.9%)、飲料113.81円(100.1%)の5項目であるが、いずれも、伸び率はわずかであり、消費が伸び悩んでいる状況が鮮明である。逆に、消費が下がった項目を見てみると、魚介類228.39円(95.5%)、果物87.81円(96.3%)、野菜・海藻268.71円(97.4%)、調理食品251.97円(99.0%)、乳卵類106.87円(99.8%)、肉類209.55円(99.8%)という状況であり、特に、生鮮関係が厳しい状況であった。昨年まで好調であった肉類もここへきて、伸び悩んでおり、消費環境が大きく変わりつつあるといえよう。
そこで、この3月度、その他を除き、伸び率の高かった細目を見てみると、No.1はウィスキー3.90円(155.1%)であり、ダントツである。ここ最近、ウィスキーは絶好調であり、2月度3.75円(141.2%)、1月度2.87円(158.9%)、昨年12月度4.39円(122.5%)、11月度3.77円(125.6%)、10月度3.61円(140.0%)、9月度3.03円(95.9%)、8月度3.45円(125.9%)、7月度3.03 袁(104.4%)、6月度3.63円(109.0%)、5月度2.87円(88.1%)、4月度2.63円(61.7%)、そして、3月度2.52円(60.0%)という、状況である。昨年が大きく、落ち込んでおり、その反動もあると思われるが、それを加味しても、明らかに伸びているといえよう。
No.2はバナナ16.13円(140.8%)であり、これも異常値が続いており、逆に、この高い数字が定着したといえよう。昨年中盤のバナナダイエットがはやって以来、数字が落ちることなく続いており、しかも、消費額が16円台と極めて高い数字である。ここで取り上げている消費額は1世帯1日当りに換算した数字であるので、ほぼ、食品スーパーマーケットの金額PI値と同じ数字となっている。したがって、10円を超えるカテゴリーは重点カテゴリーといえ、バナナの16.13円は極めて高い超重点カテゴリーといえる高い数値である。
以下、ベスト10まで見てみると、No.3. キウイフルーツ2.00円(134.8%)、No.4冷凍調理食品13.42円(128.8%)、No.5かに2.87円(123.6%)、No.6ぎょうざ5.48円(119.7%)、No.7かき(貝)2.61円(119.1%)、No.8スパゲッティ4.52円(116.7%)、No.9ぶどう0.23円(116.7%)、そして、No.10さやまめ5.13円(114.4%)となる。こう見ると、昨年前半の冷凍餃子、冷凍食品問題の反動や値上げ関連商品等が伸びているといえ、これらの消費額が伸びているというよりも、もどったか、値上げにより底上げされた感が強いといえる。
これに対して、特に、消費額が下がった細目を見てみると、みかん5.16円(69.3%)、カステラ2.52円(75.0%)、干しいわし1.00円(77.5%)、干ししいたけ1.42円(78.6%)が80%以下である。ついで、90%以下を見てみると、はくさい漬1.77円(80.9%)、魚介のつくだ煮2.68円(81.4%)、あじ4.03円(81.7%)、乾うどん・そば3.29円(82.9%)、煮干し1.03円(84.2%)、たらこ7.13円(85.0%)、いか7.03円(86.9%)、ほうれんそう6.26円(87.4%)、ねぎ6.81円(87.6%)、ピーマン4.39円(87.7%)、ぶどう酒5.35円(87.8%)、もち2.45円(88.4%)、にんじん5.97円(88.9%)、調理パン9.77円(89.1%)、うなぎのかば焼き4.29円(89.9%)である。
やはり、全体の傾向を反映し、伸びた細目よりも、下がった細目の方が多く、しかも、幅広く、様々な分類に及んでおり、この結果を見ても、この3月度の消費額は厳しい状況であるといえよう。昨年前半から続いていた資源、エネルギー関連の相場高による値上げ関連商品の好調さは、昨年後半の金融危機により、一変し、一転、インフレからデフレに転じ始めた動きが明らかであるといえる。当時はその影響でPBが空前のラッシュとなり、トップバリュ、セブンプレミアム等が存在感を増し、消費者からの強い支持を受けたが、この状況を見ると、明らかに、NBの価格が下がり始めており、PBの価値が相殺されつつあるといえ、消費環境が変わりつつあるといえよう。
この家計調査データと同時に公表されたCPI(消費者物価指数)も、昨対を割り、明らかにデフレ感が漂いはじめているといえ、これまでとも違い、昨年とも大きく違う消費環境に突入したといえ、食品スーパーマーケットとしても、この数字を冷静に受け止め、マーチャンダイジング戦略をここで再構築する段階にきたといえよう。4月移行の数字がどういう結果となるかを見極める必要があるが、この時点で消費の潮目が変わったといえそうである。
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