« Chain Store Age、5/15号、ガムのPI値分析記事を投稿! | Main | バロー、2009年3月期決算、増収減益、個別も同様! »

May 19, 2009

ヤマザワ、2009年3月期決算、増収減益、厳しい決算!

   ヤマザワが5/13、2009年3月期の決算を公表した。結果は、売上高911.78億円(100.2%)、営業利益22.31億円(87.6%:売上対比2.4%)、経常利益22.68億円(88.2%売上対比2.5%)、当期純利益7.89億円(52.3%:売上対比0.9%)と、増収、大幅な減益となる厳しい決算となった。なお、個別決算も、営業収益808.33億円(100.2%)、営業利益21.12億円(79.3%:営業収益比2.6%)、経常利益21.51億円(79.8%:営業収益比2.7%)、当期純利益9.40億円(64.0%:営業収益比1.2%)であり、同様に大幅な減益であり、今期は厳しい決算となった。ヤマザワは子会社にドラックのヤマザワ薬品、惣菜、日配等の商品供給を行うサンコー食品があるが、連結、個別どちらも厳しい状況であり、特に、今期は食品スーパーマーケットが厳しい状況であったといえよう。

   では、減益となった要因はどこにあったかを、連結決算で見てみたい。まず、原価であるが、71.8%(昨年71.4%)と0.4ポイント上昇している。このひとつの要因は、今期、ヤマザワは販促面に力を入れており、生活応援セール(月間特売)、月のはじめの元気市(イベント)、おどろきのびっくり価格(超特売)、水曜均一セール(均一)、メーカー値上げ対抗の価格凍結に加え、今期からは新たに8の日のヤマザワハッピーDayを実施するなど、販促面が強化された。この中には、メーカーとタイアップし、原価を下げられる企画もあるが、ヤマザワが自ら原価を下げざるをえない企画もあり、これらが原価を圧迫した要因も大きいといえよう。

   また、ヤマザワはポイントカードの活用に積極的であり、すでに、約60万人のIDカードを保有している。店舗数が60店舗であるの、1店舗約1万人のIDとなり、この顧客への特別値引きも大きいといえよう。今期、ポイント費用引当金繰入額は3.65億円(昨年3.38億円:107.9%)と増加しており、売上に占める割合は0.4%であり、原価に直接反映されることはないにしても、間接的に、ポイントカードの顧客がセール品の購入比重が増加すれば、結果として、原価を引き下げる要因となろう。

   一方、経費の方であるが、今期は25.8%(昨年25.3%)と、こちらも0.5ポイント上昇しており、原価と合わせると、0.8ポイントの上昇となった。原価、経費ともに上昇がみられ、ダブルで粗利を引き下げており、結果、売上総利益は28.2%(昨年28.6%)となり、ここから、差し引き、マーチャンダイジング力=営業利益は、2.4%(昨年3.3%)となり、昨年と比べ大幅なダウンとなった。特に経費面では先ほどのポイントカード関連も大きいが、光熱費等の上昇も見られる。

   ちなみに、ヤマザワの今期の単体の部門別の原価を見ると、生鮮食品は過去3年間で最も低い数字であり、結果粗利率は29.4%と高め水準であった。ただ、これ以外のすべの部門の原価上昇がみられ、特に、販促と密接に絡む、売上構成比も高い日配食品、加工食品の原価上昇が大きかったといえよう。

   では、財務面の方であるが、今期の自己資本比率は62.7%(昨年62.4%)と0.3ポイント上昇している。今期は厳しい決算であったにも関わらず、自己資本比率は上昇しており、しかも、60%を超えるという食品スーパーマーケットとしては安定した数字である。その要因を負債面、資産面から見てみると、まず、負債であるが、固定負債が削減されており、特に、長期借入金が昨年は5.0億円であったが、今期は0となり、有利子負債は短期のみに絞られた形である。その短期の有利子負債であるが、20.50億円(17.78億円)と若干増加、長期合計では20.50億円(昨年22.78億円)と削減している。したがって、有利子負債は削減され、総資産397.88億円の5.2%と経営には大きな負担とならない状況となった。

   これに対して、資産面であるが、特に、食品スーパーマーケットにとって、最も重要な出店にかかわる資産、土地、建物、敷金及び保証金の合計であるが、269.21億円(昨年254.58億円:1店舗当たり4.48億円)と、昨年よりも若干増加しているが、総資産に占める割合は67.7%とやや重い状況である。したがって、自己資本比率が62.7%と高いにもかかわらず、差し引き、出店余力は5.0%と、ちょうど、有利子負債5.2%分、負債に依存する出店構造となっているが、ほぼ、自己資本の範囲内での出店が可能な状況といえよう。したがって、マーチャンダイジング力が改善し、営業利益がプラスに転じれば、ほぼ自己資本の範囲内で新規出店が可能財務構造となろう。

   ちなみに、今期のキャッシュフローの投資面を見てみると、出店にかかわる投資といえる有形固定資産の取得による支出は26.80億円(16.39億円)と大きく増加しており、今後、出店を増やしてゆくものと思われる。ただ、来期の通期予想は利益の回復は予想されるもの売上は100.4%であるので、依然として、成長は厳しい状況が続くと思われる。

   このようにヤマザワの今期決算は増収とはなったが、伸び率はわずかであり、しかも、大きく減益となる厳しい決算となった。特に、原価、経費双方の上昇がみられ、ダブルでマーチャンダイジング力を引き下げている。売上が厳しい状況の中で、原価、経費が上昇するという局面にあり、まずは、既存店の活性化が先決であろう。既存店の数字を引き上げる中で、相対的に固定費を削減し、その後、原価の改善に入るということになろうか。いずれにいせよ、来期も厳しい消費環境が予想され、今後、ヤマザワがどのような経営戦略を打ち出すかに注目といえよう。

有料版プレミアム、決算と新MD特集!今週の内容!   お申し込みはこちら!
週間!食品スーパーマーケット最新情報、まぐまぐ  資料集
Mixi(ミクシィ)に食品スーパーマーケット最新情報のコミュニティを創設!

« Chain Store Age、5/15号、ガムのPI値分析記事を投稿! | Main | バロー、2009年3月期決算、増収減益、個別も同様! »

Comments

Post a comment

Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.

(Not displayed with comment.)

TrackBack


Listed below are links to weblogs that reference ヤマザワ、2009年3月期決算、増収減益、厳しい決算!:

« Chain Store Age、5/15号、ガムのPI値分析記事を投稿! | Main | バロー、2009年3月期決算、増収減益、個別も同様! »