バロー、2009年3月期決算、増収減益、個別も同様!
バローが2009年3月期の決算を公表した。バローは食品スーパーマーケットを主体とした企業ではあるが、傘下に子会社18社、関連会社4社、関連会社の子会社1社で構成される一大企業グループである。そのグループには、食品スーパーマーケットをはじめ、食品メーカー、不動産業などをかかえ、さらに、小売業でも業種が多岐に渡り、ホームセンター、ドラックストア、スポーツクラブなどがある。そこで、本ブログでは、連結決算よりも、個別決算、すなわち、食品スーパーマーケットとホームセンターを中心に今期決算を見てゆきたい。
まず、連結決算の結果であるが、営業収益3,363.42億円(105.8%)、営業収入97.95億円(93.4%:営業収益比2.9%)、経常利益101.86億円(94.0%:営業収益比3.0%)、当期純利益33.87億円(81.9%:営業収益比1.0%)と、増収減益となった。また、本業の個別決算は、営業収益2,261.14億円(105.1%)、営業利益52.95億円(84.1%:営業収益比2.3%)、経常利益64.20億円(88.1%:営業収益比2.8%)、当期純利益24.98億円(85.8%:営業収益比1.1%)と、同様に増収減益となる、厳しい決算となった。連結、個別を比較すると、営業収益比で67.2%、営業利益で54.0%となるので、個別の位置づけは、今期、約70%の売上で約50%の利益を生み出しているという状況といえ、個別の本業の方がやや利益が厳しかったといえよう。
そこで、個別の営業利益が減益となった要因を見てみたい。まず、原価であるが、75.25%(昨年75.45%)と、0.20ポイント削減された。結果、売上総利益は24.75%(昨年24.55%)と上昇した。今期、バローは新規PBとして、Vセレクト、Vクオリティ、Vオーガニックを2008年4月に立ち上げ、6月にはPBを統括する子会社Vソリューションを設立しているが、これらのPBが原価を引き下げた要因のひとつであろう。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、27.85%(昨年26.57%)となり、経費が1.28ポイントと大幅に増加している。特に、配送費、人件費、賃借料、減価償却費などに増加が見られる。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-3.10%(昨年-2.02%)と1.08ポイント下がっており、しかも、-3%台とかなり、大きなマイナスである。原価は改善できたが、経費が上昇したことにより、商品売買から得られる利益、マーチャンダイジング力がマイナスとなった状況である。これに不動産賃貸収入、運送収入等の営業収入が5.63%(昨年5.18%)のり、結果、営業利益は2.53%(昨年3.16%)と、プラスにはなったが、経費増が大きく、昨年よりも下がり、売上増でカバーできなかった状況である。ちなみに、不動産収入と運送収入であるが、今期の数字は運送収入の方が大きく、営業収入の中で57.4%と約60%弱であり、運送収入の利益貢献度が高いといえよう。
営業構造を見る限り、バローはGMSによく似た構造であり、マーチャンダイジング力、特に、経費増によるマイナスを多額の営業収入でカバーするという構造である。ちなみに、営業関連の収入を比較すると、売上高104.6%、不動産賃貸収入113.0%、運送収入114.5%となり、伸び率で見ると、運送収入の伸びが大きく、ついで、わずかな差で不動産賃貸収入であり、バローの営業利益への営業収入、特に、運送収入の貢献度が大きくなりつつあるといえよう。
一方、少し気になるのが財務面、特に自己資本比率である。今期の個別の自己資本比率は34.7%(昨年36.4%)と、30%台であり、連結では32.0%(昨年32.4%)と、さらに低い点である。約70%が負債に依存している財務構造といえ、今後、この自己資本比率をいかに引き上げるかが優先度の高い経営課題であるといえよう。
では、その約70%を占める負債の構造であるが、特に、有利子負債の状況を見ると、今期は534.01億円(昨年445.97億円)という状況であり、昨年よりも約90億円増加しており、総資産1,291.52億円に占める割合は41.3%とかなりの比重を占めている点である。したがって、食品スーパーマーケットにとって、最も重要な出店構造を見ると、まず、出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は645.33億円となり、これは総資産の49.9%となり、自己資本比率を大きく超える状況となる。ここから、差し引き、出店余力を見ると、自己資本比率-出店にかかわる資産は、-15.2%となり、負債に依存した出店構造であり、今後、安定した新規出店を図ってゆくには、厳しい財務構造といえよう。
このように、今期、2009年3月期のバローの決算は、連結、個別ともに、増収減益という厳しい決算となり、借入依存度が総資産対比で49.9%となり、自己資本比率も30%台と財務的にも厳しい状況である。ただ、来期の個別の通期予想は営業収益3,590.00億円(106.7%)、営業利益107.00億円(109.2%:営業収益比3.0%)、経常利益108.00億円(106.0%:3.0)、当期純利益38.00億円(112.2%:営業収益比1.0%)と増収増益予想であり、今期の状況が一転する好決算が予想される。現状の厳しい状況を改善するためにも、まずは、マーチャンダイジング力、特に、今期、上昇した経費比率をいかにおさえ、プラスに近づけるかが喫緊の課題といえよう。今後、バローがどのようにマーチャンダイジング力を改善してゆくかに注目したい。
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