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May 10, 2009

ヤオコー、2009年3月決算、増収増益、2,000億円へ!

    いよいよ、この連休明けから、食品スーパーマーケット業界の2009年3月期の決算の公表が始まった。先週、今週の2週間がピークであり、大半の食品スーパーマーケットの決算の公表が行われる予定である。その中でも注目の食品スーパーマーケットの1社、ヤオコーの2009年3月期の本決算が5/7に公表された。概要は、営業収益2,082.86億円(103.0 %)、営業利益81.68億円(104.5%:営業収益比3.92%)、経常利益81.42億円(104.3%:営業収益比3.90%)、当期純利益47.06億円(111.3%:営業収益比2.25%)と、増収増益となる好決算となった。

   食品スーパーマーケットの決算では、決算概要として、ヤオコーのように営業収益で公表する場合と、売上高で公表する場合と2通りある。営業収益とは売上高+その他営業収益のことであり、この、その他営業収益は、不動産収入、物流手数料収入等のことである。本来の食品スーパーマーケットの営業成績を純粋に見るのであれば、まずは、売上高、そして、次が販売費及び経費、そして、ここから差し引き、マーチャンダイジング力を示し、これに、その他営業収益を足し、営業利益を算出することが望ましいし、食品スーパーマーケットの実態をよく表しているといえよう。

   ここで、あえて、このマーチャンダイジング力に言及したのは、ヤオコーは、この4/1から5/11まで、「おかげさまで売上2,000億円達成、お客様感謝キャンペーン」を実施しており、営業収益ではなく、売上高を意識しているからである。営業収益では、すでにヤオコーは、昨年の3月度決算で2,022.53億円と2,000億円を達成しており、企業全体としては、2,000億円を超えている。ところが、売上高では、今期決算時は1,997.32億円とほんのわずか、微妙に2,000億円に達していない。当然、昨年の売上高は1,942.83億円であり、2,000億円には達していない。これに、85.54億円のその他営業収益が加わり、営業収益が2,000億円を超え、今期は2,082.86億円となるからである。営業収益よりも、売上高の方が食品スーパーマーケットの根幹指標であるという意識が感じられるキャンペーンであるといえよう。

   さて、そのマーチャンダイジング力であるが、今期の原価は71.18%(昨年71.21%)とわずかであるが、改善した。結果、売上総利益は28.81%(昨年28.78%)と粗利の改善がわずかではあるが、進んだ。一方、販売費及び一般管理費であるが、29.00%(昨年28.86%)と、わずかに上昇した。今期は、経費の改善が若干であるが、厳しかったようである。ただ、29.00%はかなり、高い経費比率であるといえ、当然、この高い経費比率では、マーチャンダイジング力は差し引き、-0.19%(昨年-0.08%)とマイナスとなり、商品売買から得られる粗利で、経費がまかなえない営業構造である。これに、不動産収入、物流手数料等の営業収入が4.28%(昨年4.10%)のり、結果、営業利益は売上対比で4.08%(昨年4.02%)とわずかであるがプラスになり、これに売上高増があいまって、営業利益が昨年対比で104.5%となった。

   確かに、営業利益は104.5%と増益となり、堅調な結果であったが、少し気になるのは、もともと高めの経費比率が今期はさらに若干上昇し、結果、原価の改善が相殺され、差し引き、マーチャンダイジング力のマイナス幅が微妙に広がったことである。ヤオコーとしては、まさに、売上、しかも、既存店、さらには、坪当たりの売上を今後いかに引き揚げ、経費を絶対的に引き下げるだけでなく、相対的に固定費を引き下げるマーチャンダイジング力の強化が一層必要であろう。

   一方、今期のヤオコーの財務バランス、自己資本比率を見てみたい。今期は43.5%(昨年43.3%)である。これに対して、食品スーパーマーケトにとって最も重要な出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金等の合計であるが、480.79億円であり、これは総資産738.00億円(1店舗当たり7.38億円)の65.1%となり、結果、自己資本比率でどれだけまかなえっているかの出店余力を見ると、差し引き-21.6%であり、かなりの出店にかかわる資産を負債に負う財務構造である。その負債であるが、有利子負債が109.87億円と総資産の14.8%であり、これ以外の負債にも負っている財務構造であり、この財務構造を見る限り、今後、成長余力を高めるためにも、一層の自己資本比率の充実、理想は20%アップの60%以上であろうが、当面は50%以上が経営課題といえよう。

   このように、2009年3月期のヤオコーの決算は増収増益と堅調な結果となったが、依然として、マーチャンダイジング力は若干であるが、マイナスであり、特に、経費比率を今後、いかに下げるかが課題であるといえよう。また、財務的には、自己資本比率が43.5%と食品スーパーマーケットが安定成長を目指す上にはやや低めの数字であり、もう10%、できれば20%の改善をし、安定的な成長戦略を描きたいところである。これも、マーチャンダイジング力が改善されれば、自然、キャッシュフローが増大し、借入を削減し、自己資本の充実が図れるので、まずは、マーチャンダイジング力をいかに高められるかが喫緊の課題であるといえよう。今期は売上高で年商2,000億円を超えることが確実となったが、同時に、利益バランス、財務バランスを一段と高めたいところである。今期、ヤオコーが、今期決算を踏まえて、どのような戦略を打ち出すかに注目したい。

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