ユニバース、2009年4月期決算、増収増益、堅調!
ユニバースが5/25、2009年4月度の決算を公表した。食品スーパーマーケット、上場企業約60社の中では4月決算はユニバースのみである。その結果であるが、売上高955.61億円(101.5%)、営業利益33.86億円(101.4%:売上対比3.5%)、経常利益34.79億円(101.5%:売上対比3.6%)、当期純利益18.77億円(136.2%:売上対比2.0%)となり、増収増益の堅調な決算となった。売上が101.5%となった要因は昨年8月に営業権を取得したマルエス主婦の店2店舗をUマートとして改装オープンしたことに加え、この4月に44店舗目となる紫波店(岩手県)を新規オープンしたためである。
ユニバースは早くから、店舗の大型化に挑戦しており、44店舗の合計の売場面積は今期95,477平米であり、1店舗当たり2,170平米(658坪)となり、通常の食品スーパーマーケットが400坪前後であるので、全体として、一回り大きい売り場面積を誇っている。結果、売場、通路幅等ゆったりとれ、品揃えも豊富に揃えられ、大型カートでの買い物も可能である。したがって、まとめ買いの顧客も多く、結果、金額PI値(客単価)は今期2,192円となり、その中身はPI値(1人当たり買上点数)が1,160%(11.6個)、平均単価が188円となり、通常の食品スーパーマーケットよりも、PI値がかなり高いのが特徴である。チェーンストア全体の平均PI値が1,160%(11.6個)は極めて高い数字であり、通常は1,000%(10.0個)前後であり、最近では、900%(9.0個)ぐらいの食品スーパーマーケットも多い状況であり、ユニバースのPI値は極めて高い数値であり、マーチャンダイジング上の強みといえよう。
そのマーチャンダイジング力であるが、今期の原価は74.46%(昨年73.55%)と、昨年と比べ約1ポイント弱上昇がみられる。これは、特に、昨年10月以降、消費環境が激変し、価格競争が激しくなり、ユニバースも段階的に価格を下げざるをえなくなったことが大きかったといえよう。ユニバースは当初は、「この価格のままでご奉仕します」というスローガンであったが、これが、「価格を引き下げ、ご奉仕します」に変わり、さらに、今年に入り、「安さに挑戦!家計応援価格」となり、1,800品目のプライスダウンを断行しており、これらを含め、昨年後半からの価格訴求が原価に影響を与えたといえよう。結果、売上総利益は25.54%(昨年26.45%)と下がり、昨年と比べやや厳しい粗利となった。一方、販売費及び一般管理費であるが、21.99%(昨年22.90%)と、原価とは反対に約1ポイント強改善が進んだ。
したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は3.55%(昨年3.55%)となり、昨年と同じ比率となった。今期は原価の上昇分を経費の削減でカバーしたことになり、マーチャンダイジング力を維持した結果となった。また、昨年後半から、ユニバースがあいつで価格訴求が可能であった要因も、この経費比率の低さにあるといえ、平均658坪という大型食品スーパーマーケットとしては、21.99%は抑制された経費比率といえ、ここもユニバースの強さのひとつといえよう。ただ、通常は店舗面積が大きくなると、坪売上が下がり、経費比率が上昇傾向になりがちであるが、ユニバースは、全体の売上を引き上げ、経費を相対的に下げる方向を打ち出している。ユニバースの1店舗当たりの平均売上は今期21.7億円であり、これは通常の食品スーパーマーケットが15億円前後であるので、極めて高い売上といえよう。この売上の高さが、経費比率を引き下げる要因のひとつと考えられるが、今後、坪売上329万円をさらに、引き上げると、経費比率はさらに改善できるのではないかと思われ、まだまだ、経費比率の改善は可能なようにも思われる。
一方、財務の方であるが、今期の自己資本比率は60.6%(昨年56.0%)と、昨年よりも改善している。その要因を負債面から見てみると、有利子負債が32.71億円(昨年51.27億円)と激減しており、総資産365.95億円に占める割合は8.9%となり、10%を下回り、有利子負債の削減が進んだ。実際、キャッシュフローの財務面を見ると、長期借入金の返済による支出が19.86億円と返済が進んでおり、しかも、昨年も21.71億円返済している。この2年間で約40億円、長期借入金を削減しており、結果、自己資本比率が60%台と安定的な数字となった。
これに対して、出店にかかわる資産面であるが、土地、建物、差入保証金の合計は240.41億円(1店舗当たり5.46億円)となり、総資産の65.6%である。1店舗当たり、5.46億円は通常の食品スーパーマーケットと比べると、やや多い出店にかかわる資産であるといえるが、658坪という大型食品スーパーマーケットとして見ると、むしろ低い資産といえよう。結果、出店余力は-5.0%となり、ほぼ有利子負債の分がそっくり、マイナス分といえ、若干、負債に依存する出店構造であるが、来期も同様に有利子負債の返済が進めば、来期から出店余力はプラスに転じるので、来期以降は安定した出店余力を確保できることになろう。
ユニバースは中長期的に年商1,200億円を目指しており、そのためには安定的な新規出店が不可欠であり、今後、さらに有利子負債を削減し、いかに自己資本比率を引き上げるかが財務的な経営課題といえよう。また、当然、1,200億円の年商を目指すには、M&Aも必要といえ、株価を引き上げ、企業価値を高めることも課題といえ、そのためにも、財務の安定化は不可欠である。
このように、2009年4月度のユニバースの決算は増収増益となった。特に、後半以降の原価の上昇を、経費削減で乗り切り、マーチャンダイジング力を昨年同様に維持し、安定したキャッシュフローを確保した。結果、財務的にも有利子負債を削減し、自己資本比率を引き上げ、出店余力が増し、今後の安定した成長戦略を目指す基盤が整いつつあるといえよう。今後、ユニバースがいつ積極的な新規出店、そして、M&Aに打ってでるかに注目である。
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