CPI、2009年3月度、昨対割れ、デフレか?
総務省統計局が5/1、2009年3月度のCPI(消費者物価指数)を公表した。5/2の日経新聞でも取り上げられているが、「デフレの影再び、消費者物価、1年半ぶり下落」、「小売り値下げ競争、今月電気代下げ、「夏に2%低下」見方」多く」という見出しの記事であり、デフレの懸念を伺わせる記事内容である。CPIの指数は、大きく、3つの公表数字がある。総合指数、生鮮品を除く総合指数、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数である。この3月度は、いずれの指数も昨年対比では下落傾向となった。
実際、総務省が公表したコメントは、「(1) 総合指数は平成17 年を100 として100.7 となり、前月比は0.3%の上昇。前年同月比は0.3%の下落となった。(2) 生鮮食品を除く総合指数は100.7 となり、月比は0.3%の上昇。前年同月比は0.1%の下落となった。(3) 食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は98.8 となり、前月比は0.3%の上昇。前年同月比は0.3%の下落となった。」というものであり、CPIの下落傾向が鮮明であるといえよう。
総務省では、この3つの数字をグラフで示し、過去3年間と比較している。これを見ると、特に、(3)の食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数が今年に入り、3ケ月連続で最も低い数字となっており、食料品、エネルギー以外は明確なデフレ傾向であるといえる。(1)の総合指数、(2)の生鮮食品を除く総合指数は、この3月度は昨年を下回ってはいるが、過去2年間と比べると、まだ上回っている。しかも、昨年は過去2年間と比べ、大きく上回っていることからも、昨年の食料品、エネルギーが異常値であったことがわかる。また、この(1)、(2)のグラフを見ると、昨年9月が転機となっており、9月までは、CPIが上昇傾向にあったが、9月以降下がりはじめ、特に、11月から急降下であるので、まさに、9.15のリーマンブラザースショックがCPIの転機となったといえよう。
では、この3月度の10大費目の前年同月比と寄与度を見てみたい。最も、大きく下がった費目は交通・通信であり、-5.4%(寄与度-0.76%)である。ついで、教養・娯楽-1.1%(寄与度-0.12%)、生鮮食品-2.1%(寄与度-0.09%)となり、この3つの費目が全体への影響度の大きかった。少し意外だったのは、光熱・水道であり、1.6%(寄与度0.11%)と、値下げが5月ということで、3月度は、まだ、プラスとなっており、5月以降は、この費目も下がってくると思われ、さらに、CPIは下落傾向が鮮明になるのではと予想される。
逆に、この3月度、10大費目で上昇したものを見てみると、生鮮食品を除く食料が2.9%(寄与度0.65%)と最も大きく、食品の値上げの影響が、この3月度はまだ大きいといえる。これも、ここ最近、特に、小売業側から、強い値下げが起こりはじめており、一部、メーカーも値下げに踏み切るなど、動きがあり、4月移行は、下がり始めるのではないかと予想される。ついで、先にあげた光熱・水道1.6%(寄与度0.11%)となり、教育0.8%(寄与度0.03%)となる。
こう見ると、この3月度はCPIが下落傾向にはなっているが、そもそも、昨年4月頃から鮮明になった、資源エネルギーへの投機による異常な高騰による、食品の値上げラッシュの影響がまだ尾を引いているといえ、今後、その影響が急激に弱まると予想されるので、次回、4月以降、この3月以上に下落傾向が鮮明になるのではないかと予想される。日経新聞の見出しにあるように、「デフレの影再び」がまさに懸念される状況といえよう。
さて、では、ここで、さらに、詳細な状況を、特に、食品スーパーマーケットの取扱い商品を中心に見てみたい。まずは、中分類の状況であるが、下落したのは、他の光熱-31.0%、教養娯楽用耐久財-21.0%、自動車等関係費-9.6%、生鮮野菜-4.1%、家庭用耐久財-3.9%である。逆に上昇したのは、電気代8.1%、教科書・学習参考教材7.6%、菓子類6.7%、ガス代6.1%、乳卵類5.6%である。
次に、詳細な状況であるが、ねぎ-24.2%、さといも-21.0%、れんこん-17.4%、にんじん-15.5%、だいこん-15.1%、さやいんげん-13.9%、り んごB-13.3%、レモン-13.1%、はくさい-11.5%、キャベツ-11.4%、キウイフルーツ-10.6%が、10%以上昨年対比がマイナスになった項目であり、すべて青果となった。ついで、5%以上下落した項目はえのきだけ-9.8%、アスパラガス-9.7%、かれい-9.4%、グレープフルーツ-9.2%、さんま-8.9%、生しいたけ-8.9%、ミネラルウォーター-8.7%、かぼちゃ-8.5%、風味調味料-8.4%、レタス-6.6%、オレンジ-6.6%、牛肉B-5.8%、調理カレー-5.7%、たこ-5.5%、かつお-5.0%、たまねぎ-5.0%である。生鮮食品がほとんどであるが、一般食品も一部見られる。
このように、この3月度のCPI(消費者物価指数)は下げ基調が定着しつつあるといえる。昨年の4月から、資源エネルギー価格の高騰に端を発した食品等の値上げにより、大幅に上昇傾向となったCPIも4月以降は、ここ最近の小売業の動き、メーカーの動き、そして、政府の動向を見ると、さらに下げ基調が加速されるのではないかと予想される。今後は、むしろ、日経新聞の記事のように、デフレ懸念の方が心配される状況といえ、この数ケ月で明らかにCPIはインフレからデフレ基調に反転したといえよう。
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