DS好調、大黒天物産、2009年度、第3四半期決算!
食品スーパーマーケットの2009年、2月度、3月度の決算の公表が終わったが、全体的に今期決算は増収減益が多かったのが特徴といえる。あと、2009年度で残っている決算は、4月度1社、5月度3社、9月度4社、そして、12月度1社であるが、その中で、5月度決算となる、大黒天物産の第3四半期が4/8に公表されているので、大黒天物産の今期決算を占う上で、見てみたい。特に、大黒天物産は、食品スーパーマーケット業界の中でもDS、ディスカウント業態であり、昨年後半から、消費環境が激変し、節約志向に本格的に突入した中でのDSの状況を見る上でも象徴的な食品スーパーマーケットといえよう。
まず、大黒天物産の第3四半期決算、2008年6月1日から2009年2月28日までの結果であるが、売上高536.31億円(113.8%)、営業利益26.88億円(149.0%:売上対比5.0%)、経常利益26.54億円(149.6%:売上対比4.9%)、当期純利益14.05億円(147.8%:売上対比2.7%)と、増収増益の、しかも、大幅な増益となる好決算であった。また、残された、3ケ月を含む、通期予想であるが、売上高710.00億円(110.3%)、営業利益32.60億円(118.1 %:売上対比4.6%)、経常利益32.00億円(117.8%:売上対比4.5%)、 当期純利益17.00億円(120.6%:売上対比2.4%)と、同様に大幅な増収増益予想である。
では、これだけ決算が好調な要因を営業構造から見てみたい。まず、原価であるが、76.9%(昨年76.8%)と、僅かではあるが上昇しているが、ほぼ同じ原価率といえよう。結果、売上総利益は23.1%(昨年23.2%)となった。一方、販売費及び一般管理費であるが、18.1%(昨年19.4%)と、1.3ポイントと大幅に下げており、激減している。結果、18%前半という、食品スーパーマーケットとしては、驚異的な経費比率となった。
これだけ、経費比率が下がる要因としては、単純な経費の削減では難しいといえ、既存店の大幅な売上増による固定費の相対的な削減が寄与したのではないかと推測される。今期、大黒天物産の新店は移転、リニューアルを除くと、10月のラ・ムー米子北店、11月のラ・ムー赤穂店の2店舗であり、この決算時には全店52店舗であるので、売上113.8%は、既存店の押し上げが相当大きいと推測される。事実、大黒天物産は、この11月まで月別の売上速報を公表していたが、その11月度の売上速報では、全体の売上が110.2%、既存店が107.5%、累計では113.7%、既存店が104.8%という状況であり、前半よりも、後半の方が既存店の売上が伸びている状況であった。したがって、この第3四半期決算においても、既存店の売上の伸びは大きいと推測され、その結果、経費比率が18%台前半と驚異的な数字となったと推測されよう。
結果、差し引き、マーチャンダイジング力、大黒天物産の場合は営業利益とイコールになるが、5.0%(昨年3.8%)と、5%台と高い数字を達成した。原価も通常の食品スーパーマーケットと比べると5%程度低いが、経費はさらに低い数字であり、この経費比率の低さが、DS、ディスカウントストアの最大の特徴といえ、結果、仕入コストを下げることはもちろん、粗利も下げて売ることも可能となり、競合店が太刀打ちできない圧倒的な価格差を出すことが可能となる。
では、この結果、キャッシュフローがどのような状況であったかを見てみたい。まず、営業キャッシュフローであるが、18.68億円(昨年9.56億円)と、約2倍の営業キャッシュフローとなり、豊富なキャッシュとなった。その要因は、税金等調整前四半期純利益が26.46億円(昨年17.73億円)と、約10億円増加していることが大きい。こう見ると、やはり、キャッシュフローはマーチャンダイジング力にあるといえ、この数字をいかに改善するかが、食品スーパーマーケットにとっては最も重要な要素であることがわかる。
次に、投資キャッシュフローであるが、24.24億円(昨年12.18億円)と、約10億円増加しており、今期は有形固定資産の取得による支出は8.03億円(昨年10.20億円)と昨年よりは少なかったが、定期預金の預入による支出が15.00億円(昨年0)と大きく、結果、フリーキャッシュフローは-5.56億円(-2.62億円)と昨年同様、マイナスとなったが、営業キャッシュフローが大きく増加し、定期預金へ大部分が移ったといえる。
そして、財務キャッシュフローであるが、フリーキャッシュフローがマイナスとなり、現金及び現金同等物を14.92億円取り崩すことになったが、借入等は増やすことなく、逆に、長期借入金の返済6.39億円、配当金1.69億円、自己株式の取得1.1億円等に充てている。結果、自己資本比率は52.8%(昨年48.1%)と上昇しており、借入金比率が減り、財務的にも改善が見られた。
このように、この第3四半期の大黒天物産の決算結果は絶好調であり、大幅な増収増益となり、特に、ディスカウントストアの本領でもある経費比率が18%台前半まで削減できたことが大きく、マーチャンダイジング力、大黒天物産の場合は営業利益とイコールであるが、5.0%となった。そして、これが、結果として、自己資本比率の改善にもつながり、財務の改善も進んだ。すでに、5月も残すところ数日であり、本決算に入ることになるが、今期、大黒天物産の決算はこの第3四半期決算同様、好決算が期待できよう。改めて、食品スーパーマーケット業界のDS、ディスカウントストアの好調さを裏付ける結果といえよう。
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