日経MJで第三のビールを特集、節約志向に乗る!
日経MJ、先週5/11号で、第三のビールの特集記事が組まれた。バイヤー調査、ヒット分析という特集記事であり、見出しは、「のどごし<生>が圧倒、ブランド力など高評価」であり、84社のバイヤーアンケートをまとめたものである。内容は、大きく2つに分かれ、ブランド採点表とメーカー採点表にまとめられている。その結果、ブランド採点表では、のどごし<生>(キリンビール)が332点でトップ(満点は420点)、メーカー採点表ではアサヒビールが289点でキリンビールの287点と小差でトップとなった。
ここ最近、第3のビールは絶好調であり、POSデータで見ると、発泡酒を抜き、ビールにつぐ数字となっている食品スーパーマーケットもあり、極端なケースでは、ビールをも上回る場合すらある。各社も、ここに照準を絞って力を入れており、新商品があいついで投入され、TVCMに積極的である。
第三のビールが伸びた最大の要因は、日経MJでも指摘しているように、節約志向の高まりから価格が安い第三のビールに需要がシフトしたとうのが正解であろう。実際、実勢価格を代表的な350ml×6缶パックで見てみると、ビールが1,100円ぐらいであるのに対し、発泡酒は750円ぐらい、そして、第三のビールは650円ぐらいである。したがって、第三のビールはビールの半値であり、発泡酒よりも100円安いという状況であり、価格的には絶対的な優位性を確保している状況である。
さて、ブランド採点表の結果であるが、総合評価では、のどごし<生>(キリンビール)が332点でトップであったが、特に、評価の高かった項目は、ブランド力94点、テレビCMなどの広告・宣伝の92点、リピート購入率91点が、90点以上の高評価だった。今回、評価対象のブランドは各社13ブランドであり、評価は13ブランド×評価項目13項目=169通りあるが、90点以上を獲得したのは、この3つのみであり、この3項目がのどごし<生>のバイヤーの評価ポイントといえよう。ちなみに、80点以上は、総合評価300点で2位のクリアアサヒ(アサヒビール)のリピート率、総合評価289点で3位の金麦(サントリー酒類)の味のみであり、のどごし<生>は80点台はなく、あとの10項目は
すべて70点以下となる。
逆に、のどごし<生>にも課題があり、利益率が何と6点しかなく、厳しい評価である。ただ、この利益率の最高得点は、金麦(サントリー酒類)の31点であるので、全バイヤーが売上は伸びているが、利益が取りにくいということで一致している評価であるといえよう。これ以外の項目でバイヤーが厳しい評価を下している項目としては、最高得点が45点を獲得したのどごし<生>(キリンビール)のPOPなど店頭販促物、52点を獲得した総合評価244点で3位の麦とホップ(サッポロビール)の素材・製法、54点を獲得したのどごし<生>(キリンビール)の消費者キャンペーン、イベント、同じく、54点を獲得したのどごし<生>(キリンビール)と金麦(サントリー酒類)の商品価値と価格バランスがあり、これらの項目が比較的バイヤーから第三のビールへの評価が低い項目である。
また、ちょっと意外な結果がでているのが、総合評価2位となったクリアアサヒ(アサヒビール)にトップ項目がひとつもなかったことである。No.2となった項目では、テレビCMなどの広告・宣伝、リピート購入率、素材・製法、消費者キャンペーン、イベント、POPなど店頭販促物など13項目中4項目あるが、No.1はなく、まさに、総合的に2位を獲得した形である。
一方、メーカー採点表であるが、2点の僅差、289点でトップとなったアサヒビールであるが、トップ項目は商品供給体制の73点、売場での販促策の提案・店舗応援の66点のみである。逆に、287点で2位となったキリンビールは10項目中6項目でトップであり、特に、企業イメージ87点、ブランド育成力80点、新商品の開発力73点、商品構成(ラインアップ)73点がバイヤーから高く評価された項目である。また、253点で3位となったサントリー酒類であるが、取引条件(仕入れ価格など)66点、営業担当者61点でトップ項目であった。特に、取引条件(仕入れ価格など)は、ブランド採点表の利益率とも連動しており、キリンビールは10点、アサヒビールも19点と低く、サントリー酒類が圧倒的な評価であることがわかる。
最後に、ブランド採点表の中で仕入基準の高い項目であるが、テレビCMなど広告・宣伝が74%、味が70%と高く、ついで、リピート購入率、ブランド力と続く。意外な項目としては、利益率が7番目であり、低い仕入基準であることである。バイヤーが利益よりも、消費者に目を向けており、売上を重視しているといえよう。また、この特集記事の最後に、「相次ぐ新商品の投入に困惑するバイヤーが多いようだ」と結んでいるが、実際、第三のビールは新商品の投入が多く、競争が激しいジャンルといえ、バイヤーとしては、定番の確立と新商品のバランスをどうとるかが、重要なマーチャンダイジングの課題といえよう。
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