西友、巣鴨店、店舗改装真近の売場を見る!
西友が昨年後半からKY(価格安く)キャンペーンを本格的にはじめ、西友の価格優位が浸透しはじめているといえよう。最近では、他店ちらしを持ち込めば同じ価格で販売という究極の地域最安値価格戦略も定着し、TVでのCMも価格に重点をおいた内容になるなど、徹底的に価格にこだわったものとなっている。毎月、公表されるアメリカのウォルマートの月次売上速報の中でも、最近は西友のコメントに変化が表れており、低価格政策が業績に反映されはじめ、特に食品が堅調な数字であるという内容が多い。実際、西友の食品売場は大きく変化しており、ここへきて、GMSの食品売場を脱却し、食品スーパーマーケットの原点を追求する売場づくりが本格的にはじまったといえよう。その典型的な売場づくりが、現在進行形で東京の巣鴨店で行われており、その売場を見る機会があった。
西友巣鴨店はこの6月中旬に改装オープンする予定であり、現在ほぼ、食品売場は原型が整い、食品を含め、全館24時間の営業を続けながら、改装へ向けて準備が進んでいる。改装オープン後に、再度、本ブログでも取り上げてみたいと思うが、食品売場はほぼ売場が出来上がっており、品揃えも充実し、KY(価格安く)も随所に見られ、現時点でも、西友がこれまでとどう変わったか、変わろうとしているかが、一目でわかる売場となっている。そこで、現時点で見た西友巣鴨店の状況から、西友が今後何を目指そうとしているのかをうらなってみたい。
西友巣鴨店を見ての第一印象は、原点回帰である。何への原点回帰かであるが、食品スーパーマーケットの本来の姿への原点回帰であり、脱GMSの食品売場といえよう。いままでの西友のイメージは全くなくなった印象であり、食品スーパーマーケットとして、完成度の高い売場、品揃え、価格訴求となった印象である。
西友巣鴨店は地下が食品売場となっており、エスカレータで地下へ下りると、全体の縦方向がかなり長い長方形の売場であり、食品スーパーマーケットのレイアウトとしてはひと工夫が必要である。以前はエスカレータよりの長方形の短い横の方にレジを配置し、全体が窮屈になり、かなり買いにくい売り場であった。ところが、今回の改装では、レジが縦側のエスカレータよりに移動し、売場全体がすっきりした回遊性の高いレイアウトに変わった。長方形を最大限に活かすには、この方が商品面からも、顧客面からも合理的な選択であるといえよう。
その結果、縦長の長方形を活かした食品スーパーマーケットの原点を追求した商品レイアウトを組むことが可能となり、事実、そのようなレイアウトへとまさに生まれかわったといえよう。食品スーパーマーケットにおいて、レイアウトを組む時の最大のポイントは、生鮮3品+惣菜の配置、PI値最高部門のひとつ日配の位置、グロサリーのエンド本数、酒の配置、そして、これらと客導線とをどう有機的に結びつけるかがポイントであり、そのために、全体を縦横斜めから見て、PI値で可能な限り、シンメトリーにしてゆくことが、結果から見て、作業と顧客満足度を同時に満たす最適バランスとなる。今回の西友巣鴨店のレアイウトはまさに、限りなく、理想に近いレイアウトとなっており、仮に、私が図面を引いたら、このようなレイアウトになったと思う。
まず、入口から入って、長方形の縦長を活かして、左壁面に青果、そして、6尺ぐらいの平台が壁面と平行に配置され、その後に、青果の続きから、鮮魚、精肉が長方形の横正面一杯まで配置され、冷蔵平台什器も青果の平台に沿って置かれ、生鮮強化型のレイアウトとなっている。そして、長方形の反対側の縦の先頭に惣菜が配置され、レジへと続くレイアウトである。したがって、壁面は生鮮3品+惣菜となる。問題のPI値の高い日配であるが、鮮魚、精肉と向かい合う形で長方形の奥側の縦に和洋日配、冷凍食品、パンが配置され、ちょうど、長方形の奥の縦のゾーンは鮮魚、精肉、惣菜に日配が囲まれたゾーンとなっており、すっきりしたレイアウトとなった。そして、グロサリーであるが、縦長ということで、縦に10本ぐらい配置され、その結果、エンドが青果側に約10本、レジ側に約10本出来上がった。さらに、酒のコーナーはエスカレータ寄り、日配とは反対側の長方形の横にゾーン展開され、品揃えも充実したものとなった。これを売場の中央に立って、縦横斜めに見てみると、まさに食品スーパーマーケットとして理想的なレイアウトに仕上がったのではないかと思う。
さらに、ここに、KY(価格安く)政策が商品の随所に導入され、食品スーパーマーケットの使命ともいえる、いかに、顧客の家計を助けるかという、ほとんどの重点商品での価格訴求が徹底したといえる。恐らく、これだけ、広い売場で、買いやすく、しかも、品揃えが豊富で、価格が安い食品スーパーマーケットは都心部の駅前立地では他にないといえ、この完成度が今後増してくれば、間違いなく、西友の食品は復活するのではないかという期待がもてる売場に仕上がったように思う。6月中旬の西友巣鴨店の全館リニュールオープンに期待したい。
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