マックスバリュエクスプレス、川口末広店を見る!
イオンの小型食品スーパーマーケットの戦略店舗、マックスバリュエクスプレス1号店、川口末広店を見る機会があった。すでに、3/24にオープンしており、約1ケ月後という、オープン景気も終わり、落ち着いた段階での夕方の視察となった。店舗面積は927平米(280坪)、24時間の小型食品スーパーマーケットであり、改正薬事法にも対応した薬売場もあり、しかも、店頭に惣菜を配し、対コンビニを意識した都市型食品スーパーマーケットである。
埼玉県川口市は、いま、食品スーパーマーケット業界でも最も注目度の高い地区のひとつである。ここには、オーケー、ザ・プライス2店舗、ビックAのディスカウント業態がすでにオープンしており、これに加え、アリオの食品部門、ヤオコー、ベルク、マルエツ、サミット、コモディイイダ等の食品スーパーマーケットがひしめき合っており、大激戦地区となっている。
この中で、マックスバリュエクスプレスはJR川口駅からは少し離れ、駅で一番近い駅は埼玉スタジアムに通じている埼玉高速鉄道の元郷駅が最も近い駅であり、ここから徒歩5、6分ぐらいのところである。この近くにはヤオコーとサミットがあり、少し、JR川口駅の方へもどるとビックAもあるが、比較的、ディスカウントエリアからは離れており、ここ一角だけ、価格がやや高めの食品スーパーマーケットが競合し、川口駅前や、さらに、西川口とは商圏的に一線を画したエリアである。
川口駅周辺にはオーケー、ザ・プライスがあり、また、西川口周辺にもザ・プライスがあるので、この周辺にマックスバリュエクスプレスが出店していたら、価格競争の面でかなり厳しい状況になったと思われるが、この元郷駅周辺ということで、やや価格競争からは離れた位置での出店となった。ただ、逆に、生鮮、惣菜の強いヤオコー、グロサリーの充実したサミットとは、ほぼ直の競合となっており、マックスバリュエクスプレスの優位性をどう確立するかが問われるといえよう。
さて、川口商圏における価格競争の現状であるが、ちょうど視察した、この日のザ・プライスのちらし価格であるが、この日はゴールデンウィークでもあり、83円均一セールがメインであった。これに対して、マックスバリュエクスプレスは、この情報を事前にキャッチしていたと見え、5円安い78円均一セールを打ち出していた。プライスの価格をかなり、意識しているといえる。ただ、たまごに関しては、プライスが10個パック73円で打ち出しているのに対し、マックスバリュエクスプレスは98円であり、さらに、ザ・プライスが冷凍食品半額を超目玉として打ち出しているのに対し、マックスバリュエクスプレスは冷凍食品はちらしには掲載していない。これ以外にも、ザ・プライスは圧倒的な価格面での単品ちらし訴求を打ち出しており、ちらしを見る限り、マックスバリュエクスプレスがかなり押され気味である。
また、ザ・プライスと真っ向から価格でぶつかっているオーケーであるが、西友のKY(価格安く)キャンペーン同様、「ナショナルブランド商品については、地域一番の安値を保証しています。当店の通常売価が、競合店の価格(特売品、目玉商品も含む)より高い場合、私たちは値下げし、「競合店に対抗して値下げしました」の表示をつけて販売しています。」と、ちらしで宣言しており、実際、売場の随所にこのPOPが張られ、川口ではおそらく、ザ・プライスと並び、プライスリーダーとなっている。チラシでは、さらに、メーカー希望小売価格、商談時使用売価よりも、30%から40%、中には50%以上安い価格のナショナルブランドの商品が100品以上掲載されており、際立った安さを醸し出している。
価格政策を見る限り、このように、マックスバリュエクスプレスはナショナルブランドよりも、トップバリュで安さを打ち出しているので、オーケー、ザ・プライスとは対照的な価格政策であり、これが、川口の顧客にどこまで受け入れられるかが今後の大きな課題であろう。
こう見ると、マックスバリュエクスプレスはコンビニの24時間サービスを取り入れ、コンビニにない生鮮と日配、グロサリーの品揃えを充実させている点では、コンビニには十分な対抗力があるといえるが、食品スーパーマーケットとして見た場合は、一部商品を除き、価格面ではトップバリュ中心では対抗が厳しく、また、品揃え面では絞り込まれており、十分でない。コンビニ的な食品スーパーマーケットのみの商圏では十分な力が発揮できると思うが、本格的な食品スーパーマーケットの競合の多い、今回の川口のような商圏では、どのような特徴を顧客に打ち出すかが難しいのではないかと思われる。ただ、食品スーパーマーケットとしての新しい試みとして、改正薬事法への本格的な対応がなされており、薬剤師、登録販売者をおいた医薬品、H&BCコーナーは小型店としてはモデルとなるコーナーが出来上がっており、完成度も高い売り場である。
今後、このマックスバリュエクスプレスが首都圏の都市部で本格展開ができるかどうかは、日本を代表する本格的な様々なタイプの食品スーパーマーケットがひしめき合う、この川口でどこまで、消費者に受け入れられるかにかかっているといえよう。まだオープンまもない時期であるが、今後、6ケ月後、1年後の状況がどのような結果となるか気になるところである。
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