電子マネ-、急増、1億3,000万枚!
6/6の日経新聞に電子マネーの普及状況の記事が掲載された。記事の見出しは、「電子マネー、1人1枚、発行1億3,000万枚に」、「手軽さ受け決済1兆円超、現金文化が土台に」であり、この4月か3月時点の各社の電子マネーの発行枚数と月間決済件数の一覧表が掲げられた記事である。この表には各社の昨対の数字も掲載されており、これを見ると、この表に掲載されていない、電子マネーも含め、主要10規格の合計発行枚数は1億2,654万枚(昨対132%)、月間決済件数1億1,197万件(昨対132%)であり、どちらも昨対132%と急激な勢いで伸びていることがわかる。
特に、食品スーパーマーケットにとっても気になるnanacoとwaonの状況であるが、nanacoは777万枚(昨対135%)、月間決済件数は2,900万件(昨対104%)であり、waonは1,158万枚(昨対213%)、月間決済件数は2,050万件(昨対331%)という状況であり、waonがこの1年で急成長していることがわかる。記事の中でも、waonはイオングループの3,000店以外に吉野家など外部利用店を広げ、現在約28,000店で使えるようになったとのことであり、外部店舗の貢献が大きいといえよう。
ここから、1件当たりの電子マネーの利用件数を算出してみると、まず、全体は1億1,197万件÷1億2,654万件であるので、0.88件となる。したがって、全体の電子マネーは1ケ月に1件を切る決済状況であり、毎月という月間の頻度では使われない電子マネーがかなりあるといえよう。では、nanacoではどうかを計算してみると、2,900万件÷777万枚であるので、3.73件であり、ほぼ1週間に1回弱という割合であり、全体と比べると、約4倍の数字である。これに対してwaonであるが、2,050万件÷900万枚であるので、2.28件であり、ほぼ、2週間に1回という割合である。nanacoの方がセブンイレブンに特化している分、決済件数の頻度が高いといえよう。
ちなみに、日経に掲載された他の電子マネーを同様に計算してみると、edyは2,450万件(昨対122%)÷4,840万枚(昨対102%)=0.51件であり、ほぼ2ケ月に1回の割合である。Suicaは2,621万件(昨対119%)÷2,589万枚(昨対126%)=1.01件であり、ほぼ月1回の件数である。PASMOは1,078万件(昨対141%)÷1,227万枚(昨対205%)=0.88件であり、ちょうど全体と同じ数字であり、1ケ月に1回を下回る件数である。そして、iDであるが、決済件数は非公表であるので、発行枚数のみであるが、1,158万枚(昨対164%)である。こう見ると、nanacoの月間3.73件は断トツの数字であり、ついで、waonの2.28件となり、流通系の電子マネーが数字で見てもよく使われているのが鮮明である。ただ、nanacoの月間決済件数の伸び率が昨対104%と伸び悩んでいることがやや気になるが、月間3.73件は電子マネーとしては、限界に近い数字であるのかもしれない。
そこで、nanacoについて、もう少し、数字を掘り下げてみると、仮に、この777万枚がセブンイレブン約12,000店舗のみで発行され、使われていると仮定した場合、1店舗当たりでは、777万枚÷12,000店舗であるので、647.5枚となる。また、決済件数は2,900万件÷12,000店舗であるので2,415.7件となる。nanaco 1枚当たりでは、先ほどと同じ3.73件である。これを1日当りに直すと、80.5件となる。セブンイレブンの1日当たりのレジ通過客数は約1,000人であるので、これはレシート枚数、すなわち、決済件数を表しているので、1日1,000件の決済件数であるといえる。したがって、ここから、電子マネーのシェアを計算してみると、80.5件÷1,000件となり、8.05%、約10%弱となることがわかる。また、nanacoの発行枚数、1店舗当たり、647.5枚は客数1,000人の6割強となるが、実際のセブンイレブンの利用者数は食品スーパーマーケットのポイントカードの状況から類推すると、1日の客数の4倍から5倍はあると思われるので、4,000人で16.1%、5,000人で13.0%となる。
ここから、セブンイレブンにおける電子マネーの状況を推定すると、来店顧客(レシートではなく、ID)の15%前後がnanacoを保有し、その顧客が月に3.73回使用し、1日当たりでは全部で80.5件であり、全体の割合は約10%弱ということになろう。あくまでも、nanaco、777万枚がすべてセブンイレブンの電子マネーであると仮定した場合の想定数値である。
したがって、これが電子マネー1枚当たりの決済件数が最高のカードの実態といえるので、これが高いか低いか、そして、将来、電子マネーが食品スーパーマーケット、コンビニ等、小売業での決済手段のどのくらいの比重を占めるのかであるが、強気に見て、顧客の20%から30%が保有し、決済も20%から30%というところが、当面の限界値であり、目標値といえよう。
このように、日経新聞で現時点での電子マネーの普及状況が集計され、発行枚数、決済件数ともに、日本国民の人口にほぼ等しくなり、昨対130%で増加している状況が明らかになった。ただ、電子マネー決済件数No.1のnanacoで見ても、現時点での店舗での顧客保有率、利用率とも20%から30%であり、残り70%から80%は現金顧客であるといえ、通常のポイントカードが顧客保有率、利用率ともに、70%から80%である現状と比較すると、対照的な数字である。当面、電子マネーの普及はさらに進むであろうが、顧客にとっても、店舗にとっても単純なポイントカードの優位性は依然続くものといえよう。
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