神戸物産、2009年10月期中間決算、回復基調!
神戸物産の2009年10月期の中間決算が6/5公表された。結果は、売上高618.57億円(129.6%)、営業利益2.54億円(79.2%:売上対比0.4%)、経常利益2.22億円(188.1%:売上対比0.4%)、当期純利益1.21億円(130.6%:売上対比0.2%)と営業段階では減益となったが、経常、当期純利益段階では、増収増益となる、回復基調の中間決算となった。昨年の中間決算は、減収減益、しかも、営業、経常、当期純利益ともに、大幅な減益であったので、まだ、売上対比では利益は低いものの、数字は確実に回復しており、今後、期待がもてる決算結果といえよう。
また、通期に関しても、売上高1,310.00億円(122.3%)、営業利益18.75 億円(184.0%:売上対比1.43%)、 経常利益18.75億円(235.3%:売上対比1.43%)、当期純利益11.10億円(250.6%:売上対比0.74%)と大幅な増収増益となる予想であり、しかも、後半の方が数字が大きく上向いており、神戸物産の数字が明らかに回復しつつあるといえよう。
この中間期、神戸物産の売上が特に増加している要因は、積極的な新規出店にある。この期間に18店舗の新規出店を果たし、結果、総店舗数は494店舗となった。特に、地方エリアが10店舗、直轄エリアが8店舗と、地方エリアの勢いが増しており、外食産業自体は厳しい経営環境にあると思われるが、業務スーパーの出店はここへきて、むしろ好調であるといえ、新店が売上増に大きく寄与している状況である。
一方、利益の方であるが、原価は95.9%(昨年94.6%)となり、昨年よりも、1.3ポイント上昇しており、今期は原価の上昇が大きかったといえる。結果、売上総利益は4.1%(昨年5.4%)となり、粗利が下がったことが、営業利益に響いたといえよう。神戸物産は直営店舗数は2店舗であるので、494店舗のほぼ全部がFCといえ、売上総利益は商品売買から得られる利益ではなく、FCからの加盟店収入であり、売上総利益が5%前後となる収益構造となる。これに対して、経費の方であるが、販売費及び一般管理費は3.7%(昨年4.7%)となり、昨年と比べ1.0ポイントと大幅に削減された。結果、営業利益は0.4%(昨年0.7%)と、0.3ポイント下がっており、売上が129.6%と好調に推移したが、相殺できず、結果、営業利益は減益となった。経費は削減できたが、原価の上昇が大きかったといえよう。
今期、営業利益が減益になったにも関わらず、経常利益が増益となった要因は、昨年は営業外損失が為替差損、デリバティブ評価損が大きく、今期は損失が少なく、経常利益段階では増益となり、当期純利益もそれに順じて、増益となったためである。こう見ると、営業段階では、まだ原価が不安定であるが、後半は通期予想を見る限り、大幅に回復する見込みであり、どのタイミングで、どのくらい改善するのか気になるところである。
次に、キャッシュフローの流れを見てみたい。この中間期には、投資キャッシュフローが-19.78億円であり、その中身は、有形固定資産の取得による支出が-18.44億円と大半を占め、積極的な新規出店へ投資が向けられていることがわかる。昨年は-17.77億円であり、有形固定資産の取得による支出は-10.86億円であったので、大きく増加しており、経営が攻めに転じているのがわかる。その原資である営業キャッシュフローであるが、10.50億円と投資キャッシュフローを下回っており、フリーキャッシュフローが-9.28億円とマイナスとなっているが、昨年は4.76億円であり、フリーキャッシュフローは-13.01億円とさらにマイナスであるので、昨年よりは、改善しているが、それでもマイナス幅は大きいといえよう。したがって、財務キャッシュフローで賄う状況となり、短期借入20.00億円が増加し、財務キャッシュフローは、17.08億円となった。その結果、トータルでは4.00億円増加したが、短期借入が増えたことは気になるところである。これに対し、昨年は、財務キャッシュフローが-2.88億円であり、トータル-16.02億円となり現金及び現金同等物がマイナスとなった。
こう見ると、営業キャッシュフローが不十分といえ、今後、さらに成長をしてゆくためにも、営業利益をいかに増加させるかが大きな経営課題といえよう。今期は財務キャッシュフローでみたように短期借入金を調達したので、結果、負債が増加し、自己資本比率は42.3%(昨年48.3%)と下がる結果となった。実際、負債の中の有利子負債は20.65億円となり、前期決算時の0.68億円から、ほぼこの短期借入分が増加した恰好であり、結果、総資産292.21億円に占める割合は、7.1%となった。まだ、大きな比重を占めているわけでないが、結果、自己資本比率が下がっており、後半、どこまで削減できるかが課題といえよう。
一方、資産面であるが、土地、建物の出店関連の資産は63.44億円であり、総資産の21.7%であり、通常の小売業と違い、FC主体の事業構造であるので、低いと思われる。では、資産の中で比重を占めているのは何かであるが、流動資産が207.30億円と総資産の70.9%を占めており、極めて高い比率である。その主要項目は現金及び預金97.84億円(総資産の33.4%)、売掛金67.76億円(23.1%)、商品34.16億円(11.7%)と合計199.76億円となり、ほぼすべてである。これも通常の小売業とは大きく違うところであり、特に、売掛金が資産の23.1%とかなりの比重である。こう見ると、神戸物産にとっては、新規出店を安定的に果たしてゆくには、土地、建物も重要であるが、それ以上に、FC本部特有の売掛金、商品が重要であり、これを足すと、総資産の56.5%となり、この資産比率と自己資本比率のバランスが安定成長のポイントといえよう。今期は差し引き、14.2%分、負債に負う財務構造であり、今後、さらに、自己資本比率を増強させ、安定成長につなげたいところであろう。
このように、この中間決算の神戸物産の結果は、昨年よりも改善の兆しが見え始めたが、営業利益段階では、まだ、原価の上昇が利益を圧迫しており、今後、いかに、原価を抑えられるかが課題といえよう。ただ、通期予想は、この営業利益が大きく改善する予想であり、次の、第3四半期どこまで、原価が改善するかに注目したい。
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