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June 09, 2009

ホールフーズマーケット、最新決算、第2四半期を見る!

   すでに、本ブログでも取り上げているが、ウォルマートの最新決算、2009年度、第1四半期は海外部門が為替変動の影響で、減収減益となったが、ここ数年、好調を維持していた自然食品専門の食品スーパーマーケット、ホールフーズマーケットのここ最近の動向はどうであるかを、この第2四半期決算をもとに見てみたい。そのホールフーズマーケットの結果であるが、ウォルマート同様、この第2四半期、4/12までの12週間は減収減益の厳しい決算となった。28週累計では、売上はわずかにプラスとなったが、利益は減益となり、増収減益となるやはり、厳しい決算である。ホールフーズマーケットもここへきて、成長がストップしたといえよう。

   ホールフーズマーケットは、この5年間、自然食品専門の食品スーパーマーケットとして、急成長を遂げた企業である。その推移をみると、2003年(117.0%:既存店108.6%)、2004年(122.8%:既存店114.9%)、2005年(121.6%:既存店112.8%)、2006年(119.3%:111.0%)、2007年(115.3%:既存店107.1%)、2008年(123.6%:既存店104.9%)と、急成長を遂げてきた。しかし、直近を見ると、2009年第1四半期(100.4%:既存店96.0%)、2009年第2四半期(99.5%:既存店95.2%)という結果となり、今年に入り、急に売上が下がったことがわかる。アメリカにおける金融不安による消費環境の悪化をもろに受けた結果といえよう。

   そこで、この第2四半期の経営状況をより、詳しく見てみたい。まず、売上は先に見たように、第2四半期は全体が99.5%、既存店は95.2%という状況である。では、原価はどうであったかであるが、65.3%であり、これは、通常の食品スーパーマーケットではありえない高い数字である。結果、売上総利益、粗利は34.7%となり、ウォルマートの24.7%と比べても10%も違い、日本の食品スーパーマーケットでもここまで高い粗利の企業は皆無であり、極めて高い数字であるといえよう。逆にいえば、この粗利の高さが自然食品を扱う食品スーパーマーケットの最大の強みともいえよう。

   一方、経費であるが、ホールフーズマーケットは通常の小売業と違い、経費を細かく細分化しており、大きくは店舗段階での経費、本部経費、改装、店舗移転等の経費に分けている。したがって、それぞれの段階で利益が計算されており、利益を生み出す要因を特定することができるようになっている。まず、店舗段階であるが、26.9%であり、粗利も高い分、店舗段階でも相当の経費をかけていることがわかる。ここで一旦利益が確定され、店舗貢献利益は、7.8%となる。次に、本部であるが、3.1%であり、ここまでの累計で30.0%となり、利益は4.7%である。通常はここで終わるが、さらに、開発関連が別に計上され、プレオープン費用、移転、閉店、リースなどの費用は別計上であり、1.00%となり、結果、営業利益は3.7%となり、減収の上に、昨年が4.0%であったので、減益となった。それにしても、ここまで、経費を段階的に分けて、利益を算出している企業は、管理会計ではあっても、決算での公表では珍しいといえる。

   結果、3.7%という営業利益であるが、粗利が34.7%に対し、31.0%の経費であり、経費も十分にかけ、特に店舗段階での経費が26.9%と高く、逆にいえばそれだけ、自然食品であるがゆえの商品管理、顧客サービスに費用がかかるのであろうと思われる。ウォルマートと対極の経営戦略であり、コストをあげて、その分、粗利を確保し、結果、利益を生み出すという利益構造であり、ホールフーズマーケット独特の商いといえよう。

   では、財務面はどうかを見てみたい。まずは、自己資本比率(ここでは純資産比率)であるが、42.1%である。したがって、約60%弱が負債であり、その最大の項目を見ると、有利子負債が743億円であり、総資産の20.3%である。これを昨年、2008年度と比べると、昨年は総資産の27.3%であったので、削減されており、有利子負債の削減が進んでいる。余談だが、このB/Sを見ると、負債の項目において、流動負債の合計はあるが、固定負債の合計はなく、流動負債+固定負債の総合計があるだけであり、流動負債を重視しているこがわる。ちなみに、流動負債は総資産の17.9%である。

   一方、資産の方であるが、出店にかかわる資産である土地、建物等は51.6%であり、これに在庫8.7%を加えると、60.3%となり、ここから出店余力を計算すると、差し引き、-18.2%となる。負債にかなり依存した財務構造といえ、今後、安定した成長を目指す上にももう少し、自己資本比率を引き上げたいところであろう。

   また、キャッシュフローであるが、投資キャッシュフローは-185億円(昨年-111億円)と増加しており、特に、新規出店への投資が昨年よりは控え目であるが、大半を占めている。営業キャッシュフローは315億円(昨年161億円)と大幅に増加しており、結果、フリーキャッシュフローは130億円と大きくプラスとなった。そして、財務キャッシュフローであるが、205億円(昨年10億円)となった。これは有利子負債が増えたわけではなく、むしろ、長期借入金を返済しており、投資関連の収入があったためである。結果、トータルのキャッシュフローが大きく増加しており、キャッシュフローは極めて良い流れであったといえよう。

   このように、この直近、2009年度の第2四半期の決算は減収減益となる厳しい決算となったが、意外に、財務内容は安定しており、特に、キャッシュフローは昨年と比べ大きく改善している。今後、アメリカの消費環境がどう変化するかにもよるが、当面は低成長が続くと思われ、今回の決算のように、財務の改善をはかりつつ、成長の機会を狙うという経営が続くのではないかと思われる。今後のホールフーズマーケットの動向に注目である。

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