消費者物価指数、2009年4月度、昨対割れ続く!
消費者物価指数(CPI)が5/29、総務省統計局から公表された。この日は、本ブログでも既に取り上げた家計調査データも同時に公開されており、5/30、31が土日の週末にあたるので、この日は金曜日ということもあり、月末の各種統計ラッシュとなった。その結果であるが、消費者物価指数は総合指標、相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指標、そして、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数に分けて公表されるが、いずれの指標でも昨対を下回り、物価は明らかに、昨年と比べ、下落傾向にあるといえよう。
特に、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は他の2つと違い、過去4年間で最低の水準となり、しかも、平成17年度を100としても98.9となり、下落傾向が鮮明である。総合指標、相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指標では、昨年は下回っているものの、過去4年間の中では一昨年、その前年よりは、依然として大きく上昇ぎみである。これを見る限り、生鮮食品以外の食料品、エネルギー関連がまだ、全体を押し上げているといえ、この2つが、今後、落ち着いてくると、総合指数も、生鮮食品を除く総合指標も大きく下落することが予想され、今後、ますます、物価が下落傾向となり、昨年のインフレからデフレへと消費環境が激変することになろう。
そこで、問題の生鮮食品を除く食料品、エネルギー関連の消費者物価を見てみたい。まず、食料品であるが、家計調査データでは好調であった穀類と菓子類が前年同月比で103.3%、105.9%と大分類ではトップ2となっている。家計調査データでのこの2部門の好調さは物価上昇に負うところが大きかったといえ、数量よりも、平均単価の上昇が、消費額を押し上げた大きな要因であったといえよう。したがって、今後、この2部門の物価上昇が落ち着くと、消費額も下がる可能性が高く、消費状況もこの2部門次第で大きく変化するといえよう。
この2部門についで、物価上昇がみられる部門は、調理食品102.7%、油脂・調味料102.3%、乳卵類102.2%である。これを公表されているグラフで見ると、昨年は生鮮を除く食料品が1月以降、10月まで右上がりの急上昇で物価が上昇していき、10月以降、下がることなく高値圏で止まっており、現在でもその高値が続いている状況である。したがって、10月に近づくに従い、昨年との物価の差が縮まりつつあるので、今後、月を追うごとに、物価指数は下がってくることが予想される。さらに、この5月から小麦粉の価格も下がりはじめたので、その差はいずれ近いうちに逆転し、昨年を下回ることになろう。こう見ると、あとは、エネルギー関連の状況次第ということになる。
そこで、エネルギー関連のグラフを同様に見てみると、昨年はすでに1月段階で高値圏にあり、5月以降、さらに、物価が急激に上昇し、8月には125%を超えるピークとなった。そして、その後、世界的な金融不安が起こり、各種相場が急落、それに伴い、エネルギー関連の物価も急落し、12月には105%まで下がった。現在も、この105%前後で推移しているが、すでに、過去4年間の状況に近いところまで下がっており、生鮮を除く食料品よりも、物価は安定しており、現時点でも安定期に入ったといえよう。
したがって、この4月度の消費者物価指数の中でも、これまで物価を押し上げていたエネルギー関連はすでに沈静化しつつあり、生鮮食品を除く食料品も月を追うごとに、物価が昨年と比べ下がる傾向が明らかであり、さらに、今後、小麦粉をはじめ、原料価格が下がり始めれば、一段と下がることが予想される。この状況を見る限り、今後、物価は徐々に下がり、昨年のインフレからデフレへすでに転換しはじめつつあるといえ、今後は、その傾向が鮮明になるのではないかと予想される。
実は、この兆候は依然から耐久消費財では明確に表れており、この4月のテレビ(薄型)は-26.6%の下落であり、パソコンはデスクトップ型が-40.3%、ノート型が-45.2%、カメラが-34.8%と大きく下落している。これらを含む、家庭用耐久財全体も-4.6%という状況であり、いつ、食料品もここまで極端に落ちることはないと思うが、物価が下がってもおかしくない状況に入りつつあるといえよう。ちなみに、この4月段階、特に、特徴的な項目として、連休話題となった高速自動車国道料金が-9.7%、新型インフルエンザ関連の外国パック旅行が-15.1%、宿泊料が-1.5%と下がっており、これらは、次の5月度も引き続き、大きく下がるのはないかと思われる。
このように、この4月度の消費者物価指数は昨対で見ると、すべての指数が下がっており、その中でも食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は過去4年間で最低となり、平成17年度を100としても98.9と下がっている状況である。今後、食料品、そして、すでに下がり始めたエネルギー関連の状況を見ると、今後はさらに物価が下がることが予想され、昨年とは全く反対の消費環境となることになろう。インフレからデフレへの転換である。その意味で、今後はデフレの中でどのように対応するか、昨年とは逆の経営戦略が求められるといえ、食品スーパーマーケットにとっても経営の転換期に入ったといえよう。
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