家計調査データ、2009年4月度、食品99.5%!
家計調査データ2009年4月度が総務省統計局から5/29公表された。結果は、外食を除く食品は1世帯1日当たり、1,939.43円(99.5%)と若干下がり、陰りが見え始めたといえよう。外食を含む食料は2,352.87円(99.5%)、全体は10,211.33円(98.6%)と、全体の消費はさらに下がる傾向がでており、ここへきて、消費者の節約志向が鮮明になったといえよう。ちなみに、3月度の外食を除く食品は1,942.03円(99.2%)、2月度は1,934.39円(99.5%)、1月度は1,793.74円(102.2%)、昨年12月度は2,646.16円(99.9%)、11月度は2,019.07円(102.9%)、そして、10月度は1,982.81円(101.9%)という推移であるので、3ケ月連続のマイナスであり、消費の陰りが見え始めたといえる。
このような中で、昨対100%を超えた部門は穀類223.57円(102.7%)、菓子類211.73円(102.4%)、乳卵類110.20円(101.3%)、油脂・調味料107.47円(101.1%)、果物85.20円(100.9%)、飲料121.53円(100.2%)酒類111.83円(100.0%)と11部門中7部門と大半を占めるが、その伸び率はわずかであり、全体を押し上げるまでにはいたっていない状況である。特に、昨年を下回った4部門には、魚介類222.43円(95.3%)、肉類207.70円(95.8%)、野菜・海藻284.87円(98.8%)、調理食品252.90円(99.3%)と、果物以外の生鮮食品、そして、惣菜が入っており、食品スーパーマーケットの主力部門である生鮮、惣菜の消費状況が厳しい結果である。また、昨年は絶好調であった肉類もダウンしており、全体へ与える影響も大きいといえよう。
そこで、まず、好調な部門、穀類223.57円(102.7%)、菓子類211.73円(102.4%)を見てみたい。この2部門の中で、特に110%%以上伸びた項目は、穀類では、小麦粉(2.37円:110.9%、消費世帯のみ10.52円:110.8%、消費世帯の割合22.5%:100.1%)、スパゲッティ(4.20円:110.5%、10.76円:100.6%、39.0%:109.9%)、カップめん(8.67円:110.2%、18.62円:98.3%、46.5%:112.0%)という状況である。この数字の中で、初めの数字は全消費世帯の平均数字であり、2つ目が対象項目の消費世帯のみの数字であり、そして、3つ目がその対象項目の消費世帯の割合である。この3つの関係は全体の消費額=対象項目の消費額×対象項目の消費世帯の割合となっている。したがって、全体の消費額を対象世帯のみの消費額が多かったか、それとも対象世帯が新たに増えたのかを判別することができ、同じ110%伸びた項目でも、その中身の違いをみることができる。
こう見ると、この4月度は小麦粉は消費世帯の消費額が大きく増加しての伸びであり、スパゲティ、カップめんは消費世帯の割合が増えての伸びであることがわかる。小麦粉そのものは新たな消費世帯を増やしてはいないが、消費世帯の量が増えたか、平均単価が上昇したかであるが、恐らく、この段階では、小麦価格はまだ高い状況が続いており、量が増えずに、平均単価が昨年よりも高いために、消費額が上昇しているのではないかと推測される。5月からは小麦粉の価格が下がっているので、5月度の数字には変化が現れるのではないかと思う。そして、スパゲティ、カップめんは逆に、消費世帯が増えての全体の消費額の上昇であり、この2項目はあきらかに、新規顧客を増やしているといえ、消費世帯の需要シフトがみえる。ちなみに、即席めんは(4.77円:108.3%、15.06円:104.4%、31.7%:103.8%)という状況であり、同様に好調であるが、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合も増加しており、理想的な消費額の伸びである。
ついで、菓子類であるが、カステラ(2.63円:119.7%、23.02円:108.8%、11.4%:110.0%)、アイスクリーム・シャーベット(18.97円:113.6%、31.45円:106.3%、60.3%:106.8%)、キャンデー(7.03円:112.2%、14.99円:106.0%、46.9%:105.9%)と、この3項目が110%以上伸びており、好調である。しかも、いずれも、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合もバラン良く伸びており、菓子は特に好調である。
これに対して、この4月度、消費が厳しかった部門を見てみたい。魚介類222.43円(95.3%)、肉類207.70円(95.8%)であり、いずれも、95%台と厳しい状況である。この中で、特に、消費が落ち込んだ項目は、魚介のつくだ煮(2.63円:78.2%、19.62円:85.3%、13.4%:91.7%)、いわし(1.70円:79.7%、12.35円:92.0%、13.8%:86.6%)が70%台であり、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合も下がっており、厳しい状況である。また、生鮮魚介では、かつお(5.43円:83.6%、20.71円:89.6%、26.2%:93.3%)、さしみ盛合わせ(14.00円:91.7%、45.78円:96.1%、30.6%:95.4%)、まぐろ(15.63円:92.7%、34.79円:92.9%、44.9%:99.8%)など、主力項目が伸び悩んでおり、しかも、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合も双方下がっており、厳しい状況である。
また、肉類については、昨年は絶好調であった鶏肉が、(34.43円:99.6%、42.37円:99.4%、81.3%:100.2%)と伸び悩んでおり、今期は、この数字を維持できるかが課題といえよう。それ以外でも牛肉(50.30円:92.0%、75.00円:92.5%、67.1%:99.4%)、豚肉(67.10円:96.3%、71.83円:96.3%、93.4%:100.0%)、そして、加工肉でも、ハム(12.40円:95.1%、20.18円:96.6%、61.5%:98.5%)と厳しい状況であり、全体的に伸び悩んでいる状況である。
このように、この4月度は、消費全体も、食品も消費額が伸び悩み厳しい状況になった。特に、この4月度は生鮮関連部門がほぼ全滅という状況であり、食品スーパーマーケットにとっては、主力部門であり、全体に大きく響いたのではないかと懸念される。昨年の値上げ関連商品の好調さ、節約志向に合致した商品の伸びが、以前よりも見られなくなりつつあり、消費環境が新たな局面に入りつつあるといえよう。ここしばらくは、消費環境がどのようにかわるか、見極めることが重要といえ、今後、極めて先行きが不透明な段階に入るのはないかと懸念される。次回、5月度の家計調査データに注目したい。
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