コンビニ売上速報、2009年5月度、失速!
この1年間、taspo効果により、順調に売上を伸ばしてきたコンビニが、この5月(2009年)、失速した。全体が103.1%となり、4月(106.5%)、3月(106.5%)、2月(104.8%:営業日数が1日少ない)、1月(109.6%)と、今年に入っても好調な売上を維持してきていたが、この5月は、明らかに失速したといえ、いよいよ、taspo効果も終わり、今後は、既存商品力でいかに売上を確保するかが問われることになる。taspo効果のピークは昨年7月の114.0%であり、この月は猛暑も加わったため、さらに売上が押しあがっており、今後、コンビニは極めて厳しい季節を迎えることになろう。
折しも、先のブログでも取り上げたが、公正取引委員会がセブンイレブン・ジャパンへ排除措置命令を出し、セブンイレブン・ジャパンもこの7月から15%の廃棄商品の負担をもつことを決定したということで、年間約100億円近くの本部経費の負担が予想されるという。今後、この動きは他のコンビニチェーンへも波及することは必至であり、利益に直接影響を与えることも考えられる。したがって、taspo効果が切れることによる売上への影響、公正取引委員会の排除措置命令による利益への影響と、減収減益要因がコンビニ業界に当面重くのしかかり、コンビニは一転、厳しい経営環境になると予想される。
さて、この5月度のコンビニの数字を見ていて一番気になるのは、既存店の数字が大きくダウンしたことである。昨年の6月から、今年の4月までほぼ1年間コンビニの既存店は約5%前後で安定した数字を維持してきたが、この5月度は1.0%という僅かな伸びであり、明らかに既存店の数字が失速したことが、全体の売上ダウンに結びついているといえよう。taspoがいかに、力強く、既存店の数字をこの1年間押し上げてきたかがわかる。
全体の数字をもう少し詳しく見てみると、店舗数は101.8%で微増であるが、この数字はこの1年間かわらず、ほぼ一定の数字である。したがって、ここからも、この1年間の好調さは新店が寄与したわけではなく、taspo効果による既存店の底上げが売上の好調さを支えていたといえる。また、客数、客単価を見ると、客単価は横ばいか、マイナス気味で推移しており、この5月度も98.6%(既存店98.5%)と、ここ数ケ月ほぼ同じ数字である。ところが、客数が104.6%(既存店102.5%)と、これまで、全体が110%前後、既存店が105%強くらいであったので、ほぼ、半減しており、特に、既存店の客数がダウンしたことが大きいといえよう。こう見ると、taspo効果は、客数、客単価では客数、全店、既存店では既存店と既存店の客数を力強く引きあげたことが、売上増の要因であったことがわかる。
では、これを商品面で見るとどうであろうか。昨年1年間の平均と比較してみると、ファストフードを含む日配品99.2%(昨年平均101.8%)、加工食品100.3%(昨年平均102.1%)、たばこを含む非食品110.2%(昨年平均118.5%)、サービス106.6%(97.3%)という、この5月度の結果である。これを見ると、taspo効果はまさにたばこを含む非食品に明確に表れており、しかも、この売上構成比が31.5%と全体の約1/3を占め、ここが昨年は約20%近く伸びたため、相乗積で6%の売上貢献効果があり、これが売上増の原動力となっていたことが明らかである。それが、この5月は半減、110.2%となったことが売上失速の要因であることがわかる。また、サービス部門が伸びているが、この構成比はわずか4.4%であり、全体の貢献度は1%にも満たず、全体への貢献度は小さい。
さて、これを受けて、コンビニ各社の株価の動きであるが、この売上速報が公表されたのが6/22であり、公正取引委員会のセブンイレブン・ジャパンへの排除措置命令が出されたのが、奇しくも、同日、6/22であり、この日はコンビニ業界にとって、ダブルパンチのマイナス圧力が加わったといえる。したがって、6/25の日経でも、コンビニ各社の株価の記事が掲載されているが、それを見ると、6/24の株価は、セブン&アイHは4日続落となり、5/7以来の安値を付けているという。実際、セブン&アイHの翌日の株価、6/23は、通常の約2倍となる約500万株の大商いとなり、前日比35円安の2,280円、その翌日も、同様の大商いであり、前日比50円安の2.230円となっている。記事では、ローソンも前日比40円安、ファミリーマートも50円安とのことであり、さらに、記事の中ではゴールドマン・サックス証券がローソンの株の投資判断を「買い」から「中立」に引き下げたという。また、他のコンビニの株価であるが、サークルKサンクスも3日続落であり、ミニストップも3日続落であり、コンビニ全体の株価が下がりはじめたといえよう。
このように、6/22はコンビニ業界にとって転機となる象徴的な日となり、taspo効果が切れ、売上高の失速となった5月度の売上速報が公表されたことに加え、公正取引委員会がセブンイレブン・ジャパンへ排除措置命令を出し、今後、廃棄商品対象への値引き販売が可能となり、コンビニにとっては減益要因を招く恐れが高く、利益減への影響が懸念されることになる。その意味で、6/22はコンビニ業界にとって、新たなスタートなる転換期ともいえ、今後、改めて、成長戦略、収益拡大戦略を場合によっては、ビジネスモデルそのものを見直す必要も含め、抜本的な改革にもとづき、再構築する必要に迫られたといえよう。コンビニ各社、業界全体の今後の動向に注目したい。
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