オーケー2011年3月期経営目標、130%成長は可能か!
先のブログで、オーケーの今期、2009年3月期の決算の大幅な増収増益について解説したので、ここでは、オーケーの経営内容、特に、出店余力とキャッシュフローの状況を見てみたい。オーケー自らも目標としているにように、オーケーは「借入無しで年率30%成長を達成する」を経営目標に掲げている。しかも、この経営目標達成を2011年3月期においているので、残すところ、あと2年である。今期の数字は、114.4%であるので、さらに、15%強成長率を高める必要があり、今期でいえば、売上高が約2,000億円であったので、約300億円プラスということになる。オーケーの平均売上が約30億円であるので、あと10店舗近く必要であり、今期は6店舗の新店であったので、合計16店舗の新店が必要であったことになる。
オーケーとしては、この年率30%の成長を果たして行くためには、既存店の成長率が10%、新店が20%としているので、20%で計算しても、来期でいえば、2,000億円の20%、すなわち、400億円となり、少なく見積もっても、10店舗以上の新規出店が必要となる。また、既存店の成長率10%も今期の客数が102.3%であるので、客単価にもよるが、少なくとも客数を105%以上、できれば、客数だけで110%欲しいとところであり、オーケーも既存店の客数110%を目標としている。
ちなみに、ここまでオーケーが130%の成長にこだわるのは、現在の年商約2,000億円が130%で成長した場合、1年後2,600億円、2年後3,380億円、3年後4,394億円、4年後5,712億円、5年後7,425億円、6年後9,653億円、7年後1兆2,549億円、8年後1兆6,314億円、9年後2兆1,208億円、そして、10年後2兆7,571億円となり、15年後には年商10兆円を超え、ウォルマートに追いつくからである。もちろん、この時のウォルマートの売上がどうなっているかにもよるが、オーケー自身もいっているが、ウォルマートやカルフールに追いつくためには130%の成長はどうしても必要だという認識である。
実際、オーケーは、カルフールが日本へ参入する際、1987年に共同で日本の小売市場の調査を実施しており、将来、日本全国にオーケーを出店してゆく青写真はできていると思われ、カルフールとは当時は極めて友好関係にあったといえる。その後、たてつづけに、現在すでに目標達成したが、「総経費率15%」、「経常利益率5%」を打ち出し、さらには、高品質・Everyday Low Price徹底のため、特売チラシを廃止するなども打ち出しており、ウォルマート以上にEveryday Low Priceを達成し、ウォルマート以上の経営数値をも実現している。さらに、グロサリー自動発注全店稼働、一般食品・菓子・飲料での自動棚割を開始、青果発注システムを稼働するなど、まさに、ウォルマート同様のITの活用にも独自に踏み切っている。カルフール、ウォルマートへ本気で追いつき、追い越そうという経営目標を明確にもっているといえ、その象徴的な目標数字が130%成長であるといえよう。
では、それを支える財務状況はどうかを今期の決算から見てみたい。まず、肝心の自己資本比率であるが、今期は35.8%(昨年31.4%)となった。これは、この5年間では最高の数字であり、2005年18.8%、2006年23.9%、2007年28.8%、2008年31.4%であるので、確実に上昇しており、経営の安定化がはかれつつある。ただ、まだ、負債に65%弱負っている状況であり、その最大の負債が買掛金を除けば、有利子負債であり、147.01億円(昨年145.88億円)と総資産683.22億円の21.5%を占めており、経営に重くのしかかっていることである。これが今後、好調な決算をもとに返済が進めば、自己資本比率は50%を優に超えてくるので、経営の安定が一層進むことになろう。
一方、資産面であるが、今期の出店にかかわる資産である土地、建物、敷金及び差入保証金の合計であるが、378.55億円であり、これは総資産の55.4%であり、1店舗当たり6.8億円である。したがって、自己資本比率から差し引いた出店余力は-19.6%であり、ちょうど有利子負債21.5%と相殺される数字といえ、現段階では負債に依存する出店構造といえよう。
したがって、今後、少なくとも新店を10店舗以上のペースで作ってゆくには、金額ベースで少なくとも約70億円の資産を確保する必要があり、そのためにも、この出店余力の一層の改善が課題といえよう。ただ、キャッシュフローの営業キャッシュフローは今期108.46億円と100億円を超えているので、今期においてもキャッシュフローの範囲内で10店舗の新規出店は可能といえ、事実、現在すでに新規出店を果たした店舗を含め、今後8店舗の新規出店すべて自己資金の調達で賄っている状況である。
このように、すでに、現在の新規出店はキャッシュフローの範囲内での出店が果たされており、過去に借り入れた有利子負債を今後、どう豊富なキャッシュフローから削減してゆくか、新店とのバランスがポイントといえ、この115%の成長は、好調な増収増益が維持できればちょうどバランスがとれた成長であるといえる。ただ、さすがに130%はさらに財務、経営改革が必要といえ、現在進めている新株発行路線の推進か、思い切って上場による資金調達か、あるいは、さらに収益率を引きあげキャッシュフローを増大させるかが必要といえよう。オーケーが2年後に掲げている2011年、130%成長目標をどのように実現してゆくのか、今後のオーケーの経営動向に注目である。
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