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June 11, 2009

相鉄ローゼン、24時間化へシフト!

   相鉄ローゼンが、6/10から、そうてつローゼン並木店(神奈川県)にて、24時間営業を開始することが明らかになった。神奈川新聞の電子版、カナコロが報じているところによると、この並木店が24時間化の1号店となり、今期中に20店舗近くまで、24時間か、大幅な時間延長に踏み切るという。特に、注目は、午後9時から翌午前中8時までの業務を人材派遣会社に委託することで人件費を抑制でき、しかも、派遣社員が夜間の品出しや棚整理を担当し、業務としては24時間体制になるということである。

   すでに、首都圏では西友、マルエツ等が24時間化に踏み切っているが、相鉄ローゼンが24時間化に踏み切ることで、食品スーパーマーケット業界としても、特に、都心部においては、24時間営業を検討する段階に入ったといえよう。食品スーパーマーケット業界では、広島のハローズが全約40店舗、ほぼすべての店舗で24時間営業を実施し、先行しているが、その状況を見ると、ポイントは24時間店舗運営システムに加え、24時間物流システム、24時間情報システムの三位一体の24時間システムが必須である。特に、24時間物流システムは一朝一夕では難しく、物流センターからの1店舗当たり6便の4温度帯の配送システムが必須といえる。西友に関しても、24時間体制の首都圏東西の2物流センターを完備してから、24時間化を加速しており、今回の相鉄ローゼンに関しても、24時間物流システムをどう完成度をあげてゆくかが課題となろう。

   ここで、ハローズの24時間のお客様へ商品を供給する体制を見てみたい。24時間の中でも、最も重要な時間帯は比較的お客様の少ない、0時から6時までの6時間であるが、ここでのハローズの店内作業は品質賞味期限のチェック、清掃に加え、物流センターから納品されてくるデイリー、グロサリー等の商品補充陳列が主な店内業務となる。そして、そのためには、24時間4温度帯6便の物流システムが大きなカギを握っており、0時にデイリー、グロサリー、資材の積込み、2時にデイリー、デリカの積み込み、5時にパン、デリカの積み込みと、ここに6便の内3便を集中させ、原則、生鮮以外の商品物流、店内での作業を集中させている。ここまで、この6時間を有効に、約40店舗近くで実現している食品スーパーマーケットはハローズ以外にないといえ、これがハローズの食品スーパーマーケットとしての強みのひとつとなっている。

   ちなみに、ハローズの物流センターでのこれ以外の積み込みの時間であるが、12時にデイリー、デリカ、パン、青果、16時に青果、20時にグロサリー、資材であり、0時から6時までがいかに重要な時間帯であるかがわかる。当然、12時間営業、10時間営業では、この時間帯の有効活用はできず、その営業時間内に物流も集中することになり、かなり、忙しい店内作業、物流作業となる。その意味では、24時間営業は、24時間物流システム、24時間情報システムが支えているといっても過言ではなく、相鉄ローゼンがこのような仕組みをどのように構築してゆくかが気になるところである。

   その相鉄ローゼンの2009年2月期の決算であるが、売上高913.49億円(98.8%)、営業利益2.77億円(37.1%:売上対比0.3%)、経常利益-1.68億円、当期純利益-12.78億円と減収減益、経常利益、当期純利益は赤字となる厳しい決算であった。自己資本比率も22.7%(昨年26.2%)と、悪化し、約80%を負債に依存する経営状況となり、厳しい状況である。相鉄ローゼンが24時間化に踏み切る背景には、まずは売上を確保し、利益につなげて行きたいという切実な背景があるといえよう。

   この決算数字を見ると、特に、経常利益段階で赤字になっているが、これは、相鉄ローゼンによれば、「9月に判明した鮮魚部門の期限表示違反問題で17店舗の鮮魚販売を一時中止した影響、・・」が大きく、「鮮魚部門の委託先変更に伴う諸費用や不採算事業所4店舗の閉鎖費用を特別損失に計上」したことが影響しているという。ただ、営業段階でも大きく減益となっており、その状況を見ると、原価は71.6%(昨年71.6%)と昨年と同水準を維持し、売上総利益は28.4%(昨年28.4%)となったが、販売費及び一般管理費が32.3%(昨年31.7%)と0.6ポイント上昇し、差し引き、マーチャンダイジング力が-3.9%(昨年-3.3%)とマイナス幅が広がった。これに、不動産収入、物流収入等の営業収入が4.2%(昨年4.1%)のり、結果、営業利益が0.3%(昨年0.8%)となり、営業減益となった。

   これを見ると、今期は原価は昨年の水準を維持できたが、経費が上昇しており、今後、店舗の24時間化が進むことで、売上の改善はみられると思うが、それに伴い、経費の上昇も起こる可能性があり、相鉄ローゼンがこれらのバランスをとり、いかに、収益の改善につなげられるかが課題といえよう。食品スーパーマーケットも、24時間化が現実の問題となりつつあるといえ、今回の相鉄ローゼンの取り組みが、今期の厳しい決算を改善する転機となるか、今後の動向に注目である。

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