改正薬事法スタート、食品スーパーマーケットの意義!
いよいよ、改正薬事法が6/1をもってスタートした。新聞、雑誌、そして、テレビなどがこぞってとりあえげているが、改めて、今回の改正薬事法が食品スーパーマーケットにとって、どのような意義があるかを考えてみたい。食品スーパーマーケットはこれまで、医薬部外品はもちろん扱っていたが、医薬品を薬剤師なしで扱うのははじめてであり、その意味で、食品スーパーマーケットにとっては、酒以来のラインロビングであり、医薬品をどう取り扱い商品の中に組み込むかが最大の課題である。
酒の時も、当初は苦労したが、比較的短期間で取り扱い商品に組み込まれ、いまでは、売場の一角を占め、商品部内に酒専門のバイヤーが置かれ、スムーズに運営がいっている。売上構成比も5%前後となっており、10%は欲しいところだが、安定した売上を達成するまでになったといえよう。今回も医薬品を受け入れること自体はさほど苦労せずにゆくと思われるが、導入にあたっては大きく2つの問題があるといえよう。
ひとつは、登録販売者の確保であり、もうひとつは、医薬品の売上構成比が酒よりもさらに低く、数%止まりとなる可能性が高いことである。この2つの問題がネックになっており、いまひとつ、食品スーパーマーケットとしては、酒の時のような熱気がないのが実態といえよう。ただ、この2つの問題をクリアーしつつ、徐々に、医薬品が食品スーパーマーケットに浸透してゆくことは間違いなく、医薬品を食品スーパーマーケットの戦略商品のひとつに位置づけられるか否かが、今後の明暗を分けることになろう。
そこで、この2つの問題を改めて考えてみたい。まず、登録販売者の確保であるが、これがなかなか難しい。昨年来、各都道府県で試験が実施され、現在、合格者は約6万人である。したがって、単純に47都道府県数で割ると1,300人弱であり、この人数では全く数が足りない状況である。ドラックストアだけでも、最新の商業統計平成19年度版によれば、12,671店舗であり、1店舗数人は必要であるので、大半はドラックストアが確保することになろう。食品スーパーマーケットは17,882店舗であり、コンビニ43,318店舗、その他、医薬品を新規に扱う可能性の高い小売業が数万店舗はあるので、このペースで合格者が増えて、対象店舗に販売登録者が配置されるまでには、数年はかかるものと思われる。
しかも、登録販売者の受験資格は、実務経験1年以上が必要であり、ドラックストアに有利になっており、新規参入の場合は、スカウトするか、徐々に経験を積んで、合格者を増やしてゆく以外になく、食品スーパーマーケットとしては、急ぐのであれば、ドラックストアとの業務提携か、思い切ってM&Aをかけるということになろう。したがって、登録販売者の問題は、今後、数年かかる課題であるといえる。
次に、医薬品の売上構成比の問題であるが、今回、登録販売者で扱える医薬品は第2類、第3類であり、大衆薬の9割といわれている。一見、多いように思われるが、食品スーパーマーケットにとって期待できる売上は、さほど大きいとはいえない。最新の家計調査データ、2009年4月度でみると、酒の場合は1世帯1日当り111.83円であり、食品全体が1,939.43円であるので、構成比は5.8%である。同様に、医薬品の数字を家計調査データから拾ってみると、大衆薬の感冒薬4.53円、胃腸薬3.00円、外傷・皮膚病薬1.50円、他の外用薬7.03円となり、合計16.06円であり、これに、+αがあっても、30円、最大50円ぐらいが限界であるといえよう。したがって、現状の食品スーパーマーケットの取り扱い商品1,939.43円の0.8%にしかならず、30円でも1.5%、50円でも2.6%であるので、医薬品だけでは、数%の売上構成比が限界といえ、酒の半分以下と予想される。
そのため、専門性からいえば、当然、バイヤーを置かなければならないところであるが、売上規模からいうと、1部門をたてるには、売上構成比が低すぎ、1カテゴリーに近い数字となる。食品スーパーマーケットの典型的なカテゴリーでいえば、豆腐16.00円、ビール35.63円、牛乳45.10円であるので、ちょうど豆腐ぐらいのイメージであり、がんばって、ビール、さらに、強化して牛乳ぐらいの売上の数字といえよう。したがって、この問題を解決するには、商品、売場の再編成が必須といえ、医薬品を新たなコンセプトのもとに根本からとらえなおすことが求められるといえる。
そのキーワードが、セルフメディケーションであろう。このキーワードのもとに、医薬品だけでなく、これまで食品スーパーマーケットとしては縮小均衡に陥り、売場が縮小されつづけてきた雑貨売場との融合であり、セルフメディケーションに関連する雑貨を医薬品を中心に深く掘り下げ、商品分類を再構築し、売場を再編成し、新たなセルフメディケーション部門を商品部内に設置することであろう。そして、今後、数年かけて、全店のグロサリー売り場を改装し、セルフメディケーション売場を新たにつくり上げ、売上構成比も最低5%、できれば、10%以上を目指すべきであろう。
ここまで中長期的に考えて今回の改正薬事法の施行による医薬品に取り組んでゆかないと、食品スーパーマーケットとしては、中途半端に医薬品を導入し、経費倒れの非効率な売場となってしまいかねない。いずれにせよ、やっと、医薬品分野への挑戦が食品スーパーマーケットとして始まったといえ、今後の各社の取り組みに注目したいところである。
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