消費者物価指数2009年5月100.6%、前年比-1.1%!
6/26、総務省統計局から2009年5月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数は平成17年度(2005年)を基準として、現在の物価がどのくらいの水準にあるかを見たものであるが、同時に、昨年同時期との比較、前月との比較も集計されている。結果は平成17年度(2005年)比で100.6%とやや上回ったが、昨年同時期との比較では1.1%マイナス、98.9%と大きく下がっており、デフレ傾向が鮮明になりつつあるといえよう。
消費者物価指数はこの総合指数に加え、相場による値動きの変動が激しい生鮮食品を除く総合指数、さらに、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数もグラフ付きで公表されていが、いずれも、この5月は大きくダウンしている。特に、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は、それ以外の総合指数が昨年よりは、下がっているが、それ以前の過去2年間と比べると、まだ、高めであるのに比べ、最も低い数字となっており、グラフを見ると、デフレ傾向はより、鮮明な状況である。
また、総合指数であるが、昨年は5月以降、8月までほぼ右上がりに物価が上昇し、インフレがちょうど、この時期から鮮明になったのに対し、今年は、4月度を境に、右下がりとなり、この5月度は明らかに下降している。ちょうど、4月から5月にかけて、昨年と比べると扇型にその差が急拡大しつつあり、5月がまさに転機といえ、昨年とは正反対へグラフが動きつつある。これを見ても、デフレ傾向がより鮮明である。昨年の数字を見る限り、10月まで、この傾向は続くものと思われ、今後、当面、昨対が意味をなさなくなり、デフレを前提としたマーチャンダイジング政策が大きなポイントとなろう。
とはいっても、全体的にみれば、確かに、昨対98.9%(1.1%マイナス)で、その差が開きつつあるが、こと食品のみに限定すれば101.0%であり、若干プラスである。その要因を見てみると、最大の上昇率は菓子であり、104.2%である。ついで、102.0%の穀物類であるので、菓子はこの5月は異常値であり、これが食品全体をも押し上げているといえよう。その要因は今月からキャンデーが大幅に上昇し、先月比123.8%、昨年比121.3%となったことが大きく、これに、すでに値上げしているビスケット116.0%、ポテトチップス110.1%、せんべい106.5%などが続く。
菓子についで、上昇率が高いのは穀物類であるが、その中身は小麦粉113.0%が断トツであり、まさに、菓子の原料でもあり、菓子の値上げの原因ともいえよう。ついで、乾しうどん107.5%、もち米106.0%、カレーパン104.0%、あんパン104.0%と続く。余談だが、消費者物価指数の集計はほぼ家計調査データと同じであるが、この例のように、菓子パンの中からカレーパン、あんパンなど、象徴的な商品をピックアップして物価を調べており、よりわかりやすい工夫がなされている。
これ以外では野菜・海藻101.6%、乳卵類101.5%、調理食品(惣菜)101.5%、油脂・調味料101.2%も物価が上昇しており、食品はまだまだ、若干物価高が続いているともいえる。
ただ、逆に物価が下がったものもあり、飲料97.8%(-2.2%)が最も大きく、ついで、酒類99.3%(-0.7%)、肉類99.3%(-0.7%)となる。飲料では、ミネラルウォーター92.2%、果物ジュースが95.4%、炭酸飲料95.7%、コーヒー・ココア95.9%と、この4項目の下げが特に大きいといえ、食品では、飲料から値下げが大きく始まっているといえよう。ついで酒では、ウィスキー98.3%、発泡酒98.5%、ビール98.9%であり、肉類では牛肉Bが91.2%と大きく下げている。ちなみに、牛肉Bは輸入品、チルド(冷蔵)、ロース(肩ロースは除く)であり、主に輸入牛肉である。
では、この5月度の物価全体を押し下げている要因は何であるかであるが、その最大の項目は、エネルギー、家電、外国パック旅行である。消費者物価指数の集計では寄与度も公表されているが、それを見ると、エネルギー-0.98、家電-0.15であり、これを足すと、-1.13となり、この2部門の影響がいかに大きいかがわかる。外国パック旅行も-0.09であり、1項目のみでみるとかなり大きな数字である。
そこで、エネルギー、家電の中身を見てみると、灯油66.2%(-33.8%)、ガソリン73.6%(-26.4%)と、の2部門が大きく、特に、ガソリンは金額も大きいので、寄与度はこれだけで-0.75もあり、ガソリン価格は消費者物価を左右する重要な要因であることがわかる。家電では、パソコン(ノート型)51.4%(-48.6%)、パソコン(デスクトップ型)56.7%(-43.3%)、カメラ65.9%(-34.1%)、テレビ(薄型)72.4%(-27.6%)と大きく下落している。ただ、寄与度はいずれも0.05以下であり、これら教養娯楽用耐久財を合計して、寄与度-0.15となる。
このように、消費者物価指数(CPI)が、全体としては、この5月から明らかに下がりはじめており、しかも、グラフを見ると、昨年のこの時期からの上昇傾向とは対照的な動きであり、このまま推移すると、この数ケ月で昨年と比べ、極端なデフレ環境となることになろう。ただ、こと食品はまだプラス環境といえ、デフレ傾向とはやや趣を異にしており、当面、その推移を注意深く見守る必要がある。来月以降、この全体的なデフレ傾向がいつまで、どのくらいの規模で続くか、しっかり見極める必要があろう。
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