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June 2009

June 30, 2009

消費者物価指数2009年5月100.6%、前年比-1.1%!

   6/26、総務省統計局から2009年5月度の消費者物価指数(CPI)が公表された。消費者物価指数は平成17年度(2005年)を基準として、現在の物価がどのくらいの水準にあるかを見たものであるが、同時に、昨年同時期との比較、前月との比較も集計されている。結果は平成17年度(2005年)比で100.6%とやや上回ったが、昨年同時期との比較では1.1%マイナス、98.9%と大きく下がっており、デフレ傾向が鮮明になりつつあるといえよう。

   消費者物価指数はこの総合指数に加え、相場による値動きの変動が激しい生鮮食品を除く総合指数、さらに、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数もグラフ付きで公表されていが、いずれも、この5月は大きくダウンしている。特に、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は、それ以外の総合指数が昨年よりは、下がっているが、それ以前の過去2年間と比べると、まだ、高めであるのに比べ、最も低い数字となっており、グラフを見ると、デフレ傾向はより、鮮明な状況である。

   また、総合指数であるが、昨年は5月以降、8月までほぼ右上がりに物価が上昇し、インフレがちょうど、この時期から鮮明になったのに対し、今年は、4月度を境に、右下がりとなり、この5月度は明らかに下降している。ちょうど、4月から5月にかけて、昨年と比べると扇型にその差が急拡大しつつあり、5月がまさに転機といえ、昨年とは正反対へグラフが動きつつある。これを見ても、デフレ傾向がより鮮明である。昨年の数字を見る限り、10月まで、この傾向は続くものと思われ、今後、当面、昨対が意味をなさなくなり、デフレを前提としたマーチャンダイジング政策が大きなポイントとなろう。

   とはいっても、全体的にみれば、確かに、昨対98.9%(1.1%マイナス)で、その差が開きつつあるが、こと食品のみに限定すれば101.0%であり、若干プラスである。その要因を見てみると、最大の上昇率は菓子であり、104.2%である。ついで、102.0%の穀物類であるので、菓子はこの5月は異常値であり、これが食品全体をも押し上げているといえよう。その要因は今月からキャンデーが大幅に上昇し、先月比123.8%、昨年比121.3%となったことが大きく、これに、すでに値上げしているビスケット116.0%、ポテトチップス110.1%、せんべい106.5%などが続く。

   菓子についで、上昇率が高いのは穀物類であるが、その中身は小麦粉113.0%が断トツであり、まさに、菓子の原料でもあり、菓子の値上げの原因ともいえよう。ついで、乾しうどん107.5%、もち米106.0%、カレーパン104.0%、あんパン104.0%と続く。余談だが、消費者物価指数の集計はほぼ家計調査データと同じであるが、この例のように、菓子パンの中からカレーパン、あんパンなど、象徴的な商品をピックアップして物価を調べており、よりわかりやすい工夫がなされている。

   これ以外では野菜・海藻101.6%、乳卵類101.5%、調理食品(惣菜)101.5%、油脂・調味料101.2%も物価が上昇しており、食品はまだまだ、若干物価高が続いているともいえる。

   ただ、逆に物価が下がったものもあり、飲料97.8%(-2.2%)が最も大きく、ついで、酒類99.3%(-0.7%)、肉類99.3%(-0.7%)となる。飲料では、ミネラルウォーター92.2%、果物ジュースが95.4%、炭酸飲料95.7%、コーヒー・ココア95.9%と、この4項目の下げが特に大きいといえ、食品では、飲料から値下げが大きく始まっているといえよう。ついで酒では、ウィスキー98.3%、発泡酒98.5%、ビール98.9%であり、肉類では牛肉Bが91.2%と大きく下げている。ちなみに、牛肉Bは輸入品、チルド(冷蔵)、ロース(肩ロースは除く)であり、主に輸入牛肉である。

   では、この5月度の物価全体を押し下げている要因は何であるかであるが、その最大の項目は、エネルギー、家電、外国パック旅行である。消費者物価指数の集計では寄与度も公表されているが、それを見ると、エネルギー-0.98、家電-0.15であり、これを足すと、-1.13となり、この2部門の影響がいかに大きいかがわかる。外国パック旅行も-0.09であり、1項目のみでみるとかなり大きな数字である。

   そこで、エネルギー、家電の中身を見てみると、灯油66.2%(-33.8%)、ガソリン73.6%(-26.4%)と、の2部門が大きく、特に、ガソリンは金額も大きいので、寄与度はこれだけで-0.75もあり、ガソリン価格は消費者物価を左右する重要な要因であることがわかる。家電では、パソコン(ノート型)51.4%(-48.6%)、パソコン(デスクトップ型)56.7%(-43.3%)、カメラ65.9%(-34.1%)、テレビ(薄型)72.4%(-27.6%)と大きく下落している。ただ、寄与度はいずれも0.05以下であり、これら教養娯楽用耐久財を合計して、寄与度-0.15となる。

   このように、消費者物価指数(CPI)が、全体としては、この5月から明らかに下がりはじめており、しかも、グラフを見ると、昨年のこの時期からの上昇傾向とは対照的な動きであり、このまま推移すると、この数ケ月で昨年と比べ、極端なデフレ環境となることになろう。ただ、こと食品はまだプラス環境といえ、デフレ傾向とはやや趣を異にしており、当面、その推移を注意深く見守る必要がある。来月以降、この全体的なデフレ傾向がいつまで、どのくらいの規模で続くか、しっかり見極める必要があろう。

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June 29, 2009

日経MJ、6/24、第42回小売業売上高ランキング2008!

   日経MJが第42回目となる2008年度版、小売業売上高ランキングを公表した。この調査は日経MJが1,534社の小売業に調査票を送付し、有効回答のあった775社中、上位500社の売上高のランキングを集計したものである。500社の合計売上が56兆6,800億円とのことであるので、先に取り上げたブログで、日本の食品マーケットを概観したが、小売業全体の売上が134兆5,716億円であったので、シェア42.1%であり、やはり、この数字を見ても、日本の小売業マーケットはいかにすそ野が広いかがわかる。
  
   今回の結果を見て、おおよその数字であるが、ベスト10が1兆円、ベスト100が1,000億円、ベスト500が100億円という数字であり、500社以内に入るには、100億円の売上高が必要といえ、小売業としては、100億円の売上高が最初のステップといえよう。ちなみに、200億円で400位、300億円で300位、400億円で250位、500億円で200位、600億円で170位、700億円で150位、800億円で130位、900億円で120位であり、100億上がるたびに、順位間隔が狭まり、より、売上達成の困難さが表れているといえよう。
  
   さて、今回のNo.1であるが、昨年同様、セブン&アイHの5兆6,499億円である。No.2は僅差で、昨年同様、イオンであり、5兆5,230億円であり、この2社が小売業全体の中では頭抜けた売上規模である。No.3は昨年同様、ヤマダ電機であり、2兆349億円であり、ここまでが、小売業界の中で2兆円を超える企業である。以下、1兆円を超えた小売業を見てみると、No.4三越伊勢丹H、1兆4,266億円、No.5ユニー、1兆1,902億円、No.6J.フロントリテイリング、1兆966億円、No.7ダイエー、1兆408億円の7社である。この7社が2008年度の売上高が1兆円を超えた小売業である。
  
   食品スーパーマーケット業界では、No.15にイズミが5,002億円(106.3%)で入り、トップである。ようやく、食品スーパーマーケット業界も、5,000億円を超えはじめたといえる。No.16にはライフコーポレーションが4,629億円(105.3%)と5,000億円に迫る勢いであり、No.20にも平和堂が4,122億円(97.9%)と、4,000億円を超えており、食品スーパーマーケット業界もいよいよ、年商5000億円の時代に入りつつあるといえよう。
   
   この20番台から30番台は食品スーパーマーケットが数多く登場し、ちょうど、この付近が、年商2,000億円から3,000億円であり、ここが食品スーパーマーケットのトップクラスの年商規模といえよう。その食品スーパーマーケットのランキングを見てみると、No.24イズミヤ、3,811億円(100.0%)、No.27ヨークベニマル、3,488億円(105.7%)、No.29マルエツ、3,423億円(102.0%)、No.31バロー、3,363億円(105.8%)、No.32フジ、3,211億円(99.9%)、No.33ベイシア、3,070億円と、ここまでが売上高3,000億円以上の食品スーパーマーケットである。

   そして、ここからが2,000億円台となり、No.39オークワ、2,765億円(110.0%)、No.41コープこうべ、2,659億円(98.9%)、No.43アークス、2,538億円(105.2%)、No.44東急ストア、2,478億円(98.0%)、No.46コープさっぽろ、2,387億円(100.3%)、No.47サミット、2,363億円(104.6%)、No.49万代、2,334億円(106.6%)、No.51いなげや、2,281億円(100.4%)、No.52マックスバリュ西日本、2,162億円(110.4%)、No.54カスミ、2,083億円(102.7%)、No.55ヤオコー、2,082億円(103.0%)と続く。以上が、売上高2,000億円以上の食品スーパーマーケットであり、全部でちょうど20社である。

   ちなみに、食品スーパーマーケット以外で、売上高2,000億円以上の気になる小売業を見てみてみると、ビックカメラNo.11(6,307億円)、ファーストリテイリングNo.12(5,864億円)、コジマNo.17(4,598億円)、しまむらNo.21(4,118億円)、ドン・キホーテNo.22(4,049億円)、マツモトキヨシHNo.23(3,922億円)、カインズNo.28(3,467億円)、大創産業No.30(3,412億円)、コメリNo.38(2,775億円)、オートバックスセブンNo.42(2,591億円)、ニトリNo.45(2,440億円)、カワチ薬局No.48(2,339億円)、青山商事No.56(2,065億円)等である。
  
   また、この売上高ランキング以外にも、様々な数値の比較も日経MJでは特集されているが、その中でいくつか気になる数値を見てみると、販売管理費ランキングであるが、ホールディング、FC本部などを除くと、オーケーの14.7%が断トツであり、ついで、マルアイ15.7%、アオキスーパー15.8%となり、これ以外では、ベイシア17.3%、大黒天物産18.7%、オオゼキ18.0%などが食品スーパーマーケットでは経費比率の極めて低い企業である。逆に粗利率では、サンエーの30.0%、三徳の29.8%、ヤスサキの29.2%が極めて高く、これ以外では、ヨークマート28.8%、クイーンズ伊勢丹28.5%が高い数値である。
   
   このように2008年度の小売業の売上高ランキングが、日経MJから公表されたが、食品スーパーマーケットはベスト50に約50社が入り、健闘しているといえよう。また、地域スーパー、地方スーパーともに、売上高伸び率が百貨店、全国スーパー(GMS)、生協等が伸び悩む中、専門店とともに堅調な伸びを示しており、小売業界全体を牽引しているといえよう。そして、今期は昨年好調であったコンビニもtaspo効果が薄れ、売上は失速することが予想され、食品スーパーマーケットの小売業界における役割はますます重要な位置を占めることになろう。食品スーパーマーケットも年商2,000億円から3,000億円の企業の層が厚くなっており、5,000億円を超える企業も誕生した。今期は厳しい年になると思われるが、食品スーパーマーケットの今後の成長にさらに期待したいところである。

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June 28, 2009

コンビニ問題、ロスチャージ問題と単品管理!

   すでに、本ブログでは数回に渡って、コンビニ問題についてとり上げているが、新聞、雑誌、ブログなどを見ると、どうも、論点がずれているようであり、何が問題なのかがつかみ切れていないように思える。そこで、改めて、コンビニ問題について、考えてみたい。コンビニ問題が理解しにくい最大の理由は、独特なコンビニ会計にあり、いわゆる、ロスチャージ問題にあるといえよう。

   では、ロスチャージとは何かであるが、これは、依然、本ブログでも取り上げたコンビン会計独特のチャージ金額の算定式にすべての答えがある。ここを理解しないと、コンビニ問題は解けないといえ、どうも、新聞、雑誌、ブログではここがあいまいになっているがゆえに、議論がかみ合わないように思える。改めて、その独特なチェージ金額の算定式を取りあげると、

   チャージ金額=本件売上総利益×チャージ率=(売上高-純売上原価)×チャージ率={売上高-(本件総売上原価-廃棄ロス原価-棚卸ロス原価-仕入値引高)}×チャージ率

   であり、これをさらに展開すると、

   チャージ金額=売上高×チャージ率-本件総売上原価×チャージ率+廃棄ロス原価×チャージ率+棚卸ロス原価×チャージ率×仕入値引高×チャージ率

   となる。

   ここで、本件とついているのは、この問題が最高裁で争われた時のものをここでは取り上げたので、最高裁が本件とつけているのは、まさに、これがコンビニ独特の売上総利益であるためである。また、よく勘違いされるが、このチャージ金額は本部だけのものではなく、加盟店も同様であり、この数式は、本部、加盟店双方の共通のチャージ計算式である。本部だけにすべての項目にチャージがかかっているだけでなく、加盟店も同様にチャージがかかっており、その意味では平等な計算式であり、この数式自体は、確かに独特ではあるが、どちらに有利、不利は存在しない。強いていえば、チャージ率であり、この比率をどのくらいにするかが問題といえば問題であろう。

   さて、具体的な数値をいくつか、この数式に当てはめてみる。まず、チャージ率50%で、原価300円、売価500円の弁当を10個仕入れ、8個売価500円で売れ、2個廃棄した場合である。

   この場合、本部、加盟店双方のチャージ金額は、売上高×チャージ率-本件総売上原価×チャージ率+廃棄ロス原価×チャージ率であるので、売上高(売価500円(売価)×8個(販売個数))×チャージ率(50%)-本件総売上原価(原価300円×10個)×チャージ率(50%)+廃棄ロス原価(原価300円×2個)×チャージ率(50%)=(4,000円×50%)-(3,000円×50%)+(600円×50%)=2,000円-1,500円+300円=800円であり、これがチャージ金額であり、これは、本部、加盟店双方のチャージ金額である。したがって、ここまでは問題がないが、ここから、廃棄ロスを加盟店が全額負担した場合、800円-600円=200円となり、加盟店の収入が200円となり、ここが問題の本質といえる。

   次に、同様に、廃棄ではなく、2個を半額で値引きした場合のチャージ金額を計算すると、500円×8個に半額販売の売上が加わり、250円×2個が売上となり、売上は4,000円+500円の4,500円となり、これにまずチャージ率50%がかかり、2,250円となる。ここから仕入原価300円×10個×チャージ率50%=1,500円を引き、750円となる。そして、これに、見切り金額500円×チャージ率50%、250円が加わり、750円+250円で1,000円となり、これがチャージ金額である。これは、本部、加盟店双方のチャージ金額である。そして、ここで見切り金額500円をどちらが負担するかになるが、仮に加盟店が全額負担すると、1,000円-500円=500円となり、加盟店の収入は500円となり、ここが問題の本質である。

   したがって、チャージ金額自体は本部、加盟店、計算式からもわかるように同じ金額であり、問題の本質は廃棄ロス原価、見切り原価金額をどちらがどれだけ負担するかということであり、これまで全額加盟店が負担することが前提となっていたことに問題の本質がある。

   こう見ると単品管理の本質も見えてくる。ことチャージ金額という観点から単品管理を見ると、単品管理の究極はジャストインタイムで廃棄、値引きなしであるので、単品管理が完成すると、廃棄、値引きが0となり、すべて定価で売れることになる。先のケースでは500円×10個×チャージ率50%+原価300円×10個×チャージ率50%=2,500円-1,500円=1,000円であるので、本部、加盟店ともに1,000円となり、これが理論上、最高の本部、加盟店双方のチャージ金額となる。

   ただ、先に見たように、見切り金額を加盟店負担とすれば、本部は廃棄以外は常に、最高のチャージ金額となるので、単品管理は廃棄、見切りを加盟店負担を前提とすれば、0に近づけ、加盟店のチャージ料金は変わらないが、実質収入を最高数値に近づける究極の販売技術といえる。廃棄、見切りが加盟店負担という仕組みが前提となる限り、単品管理の精度が加盟店の利益を左右することとなり、単品管理はその意味で、コンビニ独特の、特に加盟店にとっては死活問題となる販売技術といえよう。 

   セブンイレブンが単品管理にこだわり、そのための情報システムを含め、単品管理の教育体系を構築してきた背景には、これまでのコンビニの利益配分の仕組みを前提とすれば、加盟店の実質収入を最高に近づける確実な方法であったからであるといえよう。仮に、同じ仕組みの中でコンビニが競合すれば、単品管理の差が加盟店の利益の格差そのものとなり、他チェーンと決定的な差別化を図ることが可能となる。その意味で、単品管理はコンビニ経営にとっては、加盟店の利益と直結するものであり、コンビニのビジネスモデルの根幹技術といえよう。

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June 27, 2009

西友巣鴨店、改装オープン、品揃え豊富、低価格!

   以前、本ブログで取り上げた西友巣鴨店が6/25、全面改装、リニューアルオープンした。当日は新聞紙大のちらしが、各紙、かなり広域まで入り、新店オープン並みの力のいれようである。表面のキャッチフレーズは、「西友が大変だ!」であり、裏面では、「驚かせちゃってごめんなさい!価格の安さもお買物の便利さも品揃えも、こんなに大きく変わりました!」というコピーである。

   実際、この日の夕方、視察してみたが、これまでの西友とは全く違い、見違えるような変身ぶりである。特に、西友巣鴨店は、改装前は品揃えも、価格もそこそこの店だったので、近隣の食品スーパーマーケット、特に、線路挟んで巣鴨駅の反対側のサミットにかなり顧客を奪われていた面が強かったといえる。これまでの最大の強みは24時間営業のみであったともいえ、西友の存在感がかなり薄かったといえる。それが、今日の売場を見る限り、価格、品揃え、そして、レイアウト、ともにサミット以上といってよい売場が出来上がっており、特に、価格面では、ちらしのコピーでも、「地域でいちばん安いお店をめざします」との宣言通りの、間違いなく、地域一番の安さであるといえよう。

   改装前の西友は時々利用していたが、地下が食品売場であったので、1階、2階の衣料、住関連売場へ足を運ぶことはなかったが、今回は、改装オープンでもあり、地下の食品売場へ下りる前に、1階、そして、2階もじっくり見てみた。以前は、過去のGMSの商品分類そのままの、地下食品、1階衣料(ファッション)、2階住関連という売場づくりであったと思うが、今回の改装では、購買頻度別に商品ゾーンニングがなされているようであり、まさに、顧客視点から全館の全商品の全面見直しがなされている売場となったといえよう。

   1階には婦人ファッションと化粧品、日用品、そして、医薬品が配置されており、しかも、品揃えが充実している。特に、シャンプーリンス、毛染めなどはドラックストアとひけをとらない品揃えと価格訴求であり、売場だけを見ると、西友とは思えず、ドラックストアと見違えるほどの充実ぶりである。日用品も以前は縦長のお店の中で、縦にゴンドラを配列していたが、壁面と垂直にゴンドラを切り、エンドで重点商品の価格訴求をかけ、品揃えの充実はもちろん、価格も限界まで下げており、安いといえる。

   特に、びっくりしたのは、ペット売場であり、以前、猫の首輪を買いに、近隣の食品スーパーマーケット、ドラックストアへ買い回ったことがあるが、どこにもおいてなく、遠くの専門店で購入したことがあるが、西友の今日の売場には猫の首輪まで品揃えされており、しかも、ペットフードも安く、充実していたのには驚いた。思わず、ペットフードを買いこんでしまった。また、2階は家電、紳士服、子供・ベビーの売場であり、ここでも、意外に、液晶テレビ、パソコン、自転車等が安く、価格に関しては専門店と十分に対抗できる価格を打ち出していた。

   そして、問題の食品であるが、以前は大枠のレイアウトのみの状況での視察だったが、今回は改装オープン初日でもあるので、すべての販売什器、販促物もそろい、内装もさすがに終わっており、改めて、西友巣鴨店の全面改装後の食品売場を視察してみた。

   まず、食品スーパーマーケットの基本、青果売場は予想以上に充実していた。平台がすべて多段式に工夫されており、品揃えの充実をはかっている。しかも、果物をはじめ、野菜も価格が安い。多段式平台は都心部では極めて有効であり、坪売上を引き上げるには最適といえ、柔軟な売場づくりの工夫がみられる。西友巣鴨店は縦長の店であるので、この多段式平台をたくさん配置することは極めて重要なマーチャンダイジング政策であるといえ、青果が、これひとつをとっても、以前より充実した売場となった。

   青果の平台の最後はびっくりすることにパンの売場が来ている。壁面は精肉、そして、直角にまがって、鮮魚と続くが、ちょうと精肉の正面、青果の平台の続きにパン売場である。菓子パンが精肉、壁面側、反対側が食パンであり、恐らく、この売場が菓子パンでは、日本一の金額PI値を達成するのではないかと思われる最高の場所である。菓子パンからは、すべて精肉、鮮魚と並行して内側が日配となり、漬物、直角に折れて、豆腐、こんにゃく、漬物の裏側が練製品となり、ここ周辺に洋日配も含め、冷凍食品、アイスクリーム、グロサリーの飲料も集結しており、充実した日配ゾーンが精肉と、鮮魚で囲まれて出来上がっており、ここは最高の金額PI値のゾーンとなった。そして、レジ側にいって、惣菜売場となり、冷惣菜、揚げもの、弁当、おにぎり、寿司と続く。

   グロサリーは縦長のお店を活かし、壁面の精肉、鮮魚と垂直にゴンドラが切られ、青果側から酒、食品、菓子、リーチインの冷凍食品、アイスクリームと続き、最後の大日配ゾーンへと続いて行く。すべてのカテゴリーの重点商品は価格訴求がかかっており、しかも、西友得意のEDLPである。

   このように、西友巣鴨店は以前の西友の面影は全くなくなったといえ、売場のあちこちに、赤い大きなPOPで「西友が大変だ!」というキャッチコピーがみられるが、このキャッチコピーに負けない、売場ができあがったといえよう。イトーヨーカ堂もザ・プライスでGMSを変身させたように、この西友巣鴨店を見る限りでは、西友も大きく変身するのではないかと大きな期待をいだかせる売場になったといえよう。今後、巣鴨商圏のお客様がどう反応するか、しばらくは戦々恐々、興味津津というところであろうか。今日の売場を見る限り、西友巣鴨店は良いスタートをきったといえよう。

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June 26, 2009

コンビニ売上速報、2009年5月度、失速!

   この1年間、taspo効果により、順調に売上を伸ばしてきたコンビニが、この5月(2009年)、失速した。全体が103.1%となり、4月(106.5%)、3月(106.5%)、2月(104.8%:営業日数が1日少ない)、1月(109.6%)と、今年に入っても好調な売上を維持してきていたが、この5月は、明らかに失速したといえ、いよいよ、taspo効果も終わり、今後は、既存商品力でいかに売上を確保するかが問われることになる。taspo効果のピークは昨年7月の114.0%であり、この月は猛暑も加わったため、さらに売上が押しあがっており、今後、コンビニは極めて厳しい季節を迎えることになろう。

   折しも、先のブログでも取り上げたが、公正取引委員会がセブンイレブン・ジャパンへ排除措置命令を出し、セブンイレブン・ジャパンもこの7月から15%の廃棄商品の負担をもつことを決定したということで、年間約100億円近くの本部経費の負担が予想されるという。今後、この動きは他のコンビニチェーンへも波及することは必至であり、利益に直接影響を与えることも考えられる。したがって、taspo効果が切れることによる売上への影響、公正取引委員会の排除措置命令による利益への影響と、減収減益要因がコンビニ業界に当面重くのしかかり、コンビニは一転、厳しい経営環境になると予想される。

   さて、この5月度のコンビニの数字を見ていて一番気になるのは、既存店の数字が大きくダウンしたことである。昨年の6月から、今年の4月までほぼ1年間コンビニの既存店は約5%前後で安定した数字を維持してきたが、この5月度は1.0%という僅かな伸びであり、明らかに既存店の数字が失速したことが、全体の売上ダウンに結びついているといえよう。taspoがいかに、力強く、既存店の数字をこの1年間押し上げてきたかがわかる。

   全体の数字をもう少し詳しく見てみると、店舗数は101.8%で微増であるが、この数字はこの1年間かわらず、ほぼ一定の数字である。したがって、ここからも、この1年間の好調さは新店が寄与したわけではなく、taspo効果による既存店の底上げが売上の好調さを支えていたといえる。また、客数、客単価を見ると、客単価は横ばいか、マイナス気味で推移しており、この5月度も98.6%(既存店98.5%)と、ここ数ケ月ほぼ同じ数字である。ところが、客数が104.6%(既存店102.5%)と、これまで、全体が110%前後、既存店が105%強くらいであったので、ほぼ、半減しており、特に、既存店の客数がダウンしたことが大きいといえよう。こう見ると、taspo効果は、客数、客単価では客数、全店、既存店では既存店と既存店の客数を力強く引きあげたことが、売上増の要因であったことがわかる。

   では、これを商品面で見るとどうであろうか。昨年1年間の平均と比較してみると、ファストフードを含む日配品99.2%(昨年平均101.8%)、加工食品100.3%(昨年平均102.1%)、たばこを含む非食品110.2%(昨年平均118.5%)、サービス106.6%(97.3%)という、この5月度の結果である。これを見ると、taspo効果はまさにたばこを含む非食品に明確に表れており、しかも、この売上構成比が31.5%と全体の約1/3を占め、ここが昨年は約20%近く伸びたため、相乗積で6%の売上貢献効果があり、これが売上増の原動力となっていたことが明らかである。それが、この5月は半減、110.2%となったことが売上失速の要因であることがわかる。また、サービス部門が伸びているが、この構成比はわずか4.4%であり、全体の貢献度は1%にも満たず、全体への貢献度は小さい。

   さて、これを受けて、コンビニ各社の株価の動きであるが、この売上速報が公表されたのが6/22であり、公正取引委員会のセブンイレブン・ジャパンへの排除措置命令が出されたのが、奇しくも、同日、6/22であり、この日はコンビニ業界にとって、ダブルパンチのマイナス圧力が加わったといえる。したがって、6/25の日経でも、コンビニ各社の株価の記事が掲載されているが、それを見ると、6/24の株価は、セブン&アイHは4日続落となり、5/7以来の安値を付けているという。実際、セブン&アイHの翌日の株価、6/23は、通常の約2倍となる約500万株の大商いとなり、前日比35円安の2,280円、その翌日も、同様の大商いであり、前日比50円安の2.230円となっている。記事では、ローソンも前日比40円安、ファミリーマートも50円安とのことであり、さらに、記事の中ではゴールドマン・サックス証券がローソンの株の投資判断を「買い」から「中立」に引き下げたという。また、他のコンビニの株価であるが、サークルKサンクスも3日続落であり、ミニストップも3日続落であり、コンビニ全体の株価が下がりはじめたといえよう。

   このように、6/22はコンビニ業界にとって転機となる象徴的な日となり、taspo効果が切れ、売上高の失速となった5月度の売上速報が公表されたことに加え、公正取引委員会がセブンイレブン・ジャパンへ排除措置命令を出し、今後、廃棄商品対象への値引き販売が可能となり、コンビニにとっては減益要因を招く恐れが高く、利益減への影響が懸念されることになる。その意味で、6/22はコンビニ業界にとって、新たなスタートなる転換期ともいえ、今後、改めて、成長戦略、収益拡大戦略を場合によっては、ビジネスモデルそのものを見直す必要も含め、抜本的な改革にもとづき、再構築する必要に迫られたといえよう。コンビニ各社、業界全体の今後の動向に注目したい。

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June 25, 2009

セブンイレブン、公正取引委員会、何が問題か?

   6/22、公正取引委員会から、セブンイレブン・ジャパンに排除措置命令がだされた。すでに、新聞、テレビ、雑誌等のマスコミで大きく取り上げられているが、改めて、セブンイレブン・ジャパンの何が問題なのか、そして、今後、どのような方向にコンビニ業界が動いてゆくかのについて考えてみたい。
  
   まず、公正取引委員会の排除措置命令であるが、主文は全部で6項目である。その要約を改めて見てみると、デイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせている行為の取りやめ(主文1)、取締役会で決議(主文2)、加盟店、従業員へ周知徹底(主文3)、今後も禁止(主文4)、行動指針の改定、資料の作成、定期的な研修および監査(主文5)、公正取引委員会への実施状況の3年間報告(主文6)である。
  
   問われているのは、セブンイレブン・ジャパンの優越的地位を乱用して、デイリー商品の原価相当額の負担を軽減する機会を失わせていることであり、これにより、セブンイレブン・ジャパンの加盟店が不利益をこうむっているとのことである。どのくらいの不利益があるかも、排除措置命令書には具体的に示されており、「加盟者が得る実質的な利益は,売上総利益からロイヤルティの額及び加盟店で廃棄された商品の原価相当額を含む営業費を差し引いたものとなっているところ,平成19年3月1日から平成20年2月29日までの1年間に,加盟店のうち無作為に抽出した約1,100店において廃棄された商品の原価相当額の平均は約530万円となっている。」とのことである。
  
   仮に、12,000店舗で計算すると636億円となる。今回の排除措置命令にもとづき、すでに、セブンイレブン・ジャパンがアクションを起こし、15%の廃棄ロス分をこの7月から本部が負担するとのことであるが、15%は同様に計算すると95.4億円にあたり、約100億円の本部負担費用の増加となる。ただ、残り、約500億円強は依然として、加盟店側の負担となり、今後、さらに、加盟店側との駆け引きが続くものといえよう。
  
   では、なぜ、ここまで公正取引委員会が踏み込んで、セブンイレブン・ジャパンに排除措置命令を出しているかについてであるが、その背景には、コンビニ独特の廃棄ロスの会計上の処理の問題があり、現状では、加盟店側に不利であるとの認識があるためと思われる。公正取引委員会も、参照条文の注4でその仕組みを説明している。「コンビニエンスストアのフランチャイズ契約においては,売上総利益をロイヤルティの算定の基準としていることが多く,その大半は,廃棄ロス原価を売上原価に算入せず,その結果,廃棄ロス原価が売上総利益に含まれる方式を採用している。この方式の下では,加盟者が商品を廃棄する場合には,加盟者は,廃棄ロス原価を負担するほか,廃棄ロス原価を含む売上総利益に基づくロイヤルティも負担することとなり,廃棄ロス原価が売上原価に算入され,売上総利益に含まれない方式に比べて,不利益が大きくなりやすい。」とのことであるが、一読して、分かりにくい説明である。
  
   そこで、この問題がつい最近、最高裁まで争われた事案のなかで用いられた数式を見ると、以下のようになる。チャージ金額=本件売上総利益×チャージ率=(売上高-本件純売上原価)×チャージ率={売上高-(本件総売上原価-廃棄ロス原価-棚卸ロス原価-仕入値引高)}×チャージ率である。

   問題は売上総利益が何であるかであるが、通常の小売業の会計では、いわゆる、原価を期首棚卸+期中仕入-期末棚卸を原則として、計算するので、廃棄ロスの原価は期中仕入の中に含まれており、原価として計算される。ところが、上記数式のチャージ金額のところを見ると、本件純売上原価の中身は、本件総売上原価と廃棄ロス原価は別であり、販売された商品の原価は原価として組み入れられるが、廃棄ロス原価は販売された商品の原価から引かれるため、売上高-のマイナスが廃棄ロス原価の-と掛け合わされ、プラスとなり、売上高に足されることになる。上記、数式をもう一歩展開すると、売上高×チャージ率-本件総売上原価×チャージ率+廃棄ロス×チャージ率+棚卸ロス原価×チャージ率+仕入値引高×チャージ率であり、廃棄ロスはもちろん、値下げロス、棚卸ロス原価を含めチャージがかかることになり、これがいわゆるロスチャージ問題である。

   したがって、制度上、定価で売りきることが前提となった仕組みであるといえ、これまでコンビニが定価販売にこだわってきたのは、このように制度上、値崩れをふせぐ独特の強い仕組みが背後にあったことも大きい要因といえよう。この観点から、今回の排除措置命令を見ると、ロスチャージ問題には直接踏み込んでいないが、事実上、廃棄ロス×チャージ率を値引きを認めることで0に近づけようとする命令であるといえ、事実上のロスチャージ問題を解決しようという意図が見える。ただ、仕入値引高×チャージ率等は依然としてかかり、根本的なロスチャージ問題は残っているといえる。

   今回の公正取引委員会のセブンイレブン・ジャパンへの排除措置命令は、コンビニ業界として、このロスチャージ問題を改めて検討せざるをえない状況に入ったともいえ、公正取引委員会は、それを事実上、今回の排除措置命令を出すことで、暗に要求しているように思える。その意味で、今回の排除措置命令は、これで終わりではなく、これから新たな課題が、コンビン業界全体に問われたといえ、セブンイレブン・ジャパンだけではなく、コンビニ業界全体がどう対応するか、業界としても明確な方針を打ち出す必要があるように思える。

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June 24, 2009

トライアルカンパニー、2009年3月期決算を公表!

   トライアルカンパニーが2009年3月期の決算を公表した。今期決算で大きく昨年と変化したのは資本金である。昨年のトライアルカンパニーの資本金は4.49億円と売上規模の割合には小さく、純資産も合計27.01億円と総資本455.23億円のわずか5.9%であり、負債に95%弱依存する厳しい経営が続いていた。ところが、今期公表された決算を見ると、資本金が19.49億円と約4倍となり、それに伴い、純資産も61.20億円となり、総資産521.13億円の11.7%と10%を超えるまでになった。それでも、依然として、90%弱負債に依存している状況は変わらず、厳しい経営状況ではあるが、資本金が大きく増加したことは今後の成長戦略を描く上でも、大きな改善といえよう。

   では、その資本をどこから調達したかであるが、昨年の12月に第三者割当方式により、日本政策投資銀行にA種優先株を発行し、約30億円資金調達したことによる。結果、資本金はその内、半分の約15億円を組み込み、これまでの4.49億円から19.49億円となり、大きく資本金、そして、純資産が増加したといえる。

   これに関して、トライアルカンパニーは、「従来、当社では今年度の株式上場を展望しておりましたが、サブプライム問題の影響による株式市場の混乱と、景気後退により当社が得意とする低価格市場の成長性が高まっている局面において、経営の自由度を維持するため、当面上場を延期することを決定し、それに代替する資本増強の手段として、本優先株式の発行を行うことといたしました。」と、コメントしており、本来は、今期上場し、資金調達を実施する予定であったが、経済情勢等を考慮し、代替案としての資本増強であるとしている。今回はA種優先株であり、議決権等はないと思われ、経営権が移ることはないと思われるが、資本としては大きな変化である。

   トライアルカンパニーは、資本が増強したとはいえ、約90%弱を負債に依存している状況であり、その中身は買掛金が200.01億円(昨年161.44億円)と最も大きく、総資産の38.3%、ついで、有利子負債の174.27億円(昨年189.30億円)であり、総資産の33.4%となる。したがって、資産の約70%を買掛金と有利子負債で回している経営状況といえ、資本の増強は最大の経営課題であったといえよう。

   その資産の状況であるが、出店にかかわる資産である土地、建物、資金及び保証金の合計は212.18億円(昨年189.55億円)と総資産の40.7%である。これにディスカウントストア特有の在庫が136.78億円(昨年112.47億円)と総資産の何と26.2%もあり、これも出店関連の資産に含めると、総資産の66.9%となる。したがって、純資産比率11.7%から差し引いた出店余力は、-55.2%であり、ほぼ大半を負債で補う出店構造であり、経営的にはかなり厳しい状況といえよう。

   ちなみに、トライアルカンパニーの現在の店舗数は97店舗であるので、1店舗当たりの出店にかかわる資産は3.59億円、在庫を抜くと2.18億円であり、在庫を入れても、通常の食品スーパーマーケットより少ない出店にかかわる資産であり、在庫を抜いた場合はさらに少ない資産での出店が可能な独特な出店構造であるといえる。これは、これまで、居抜き出店が多く、現在でも居抜き出店を出店戦略に据えているためと思われる。トライアルカンパニーが急激に店舗数を増やし、急成長した要因はここにあるといえ、出店にかかわる資産を居抜き出店を基本にし、極力抑え、買掛金と有利子負債に依存した成長戦略をとってきたためと思われる。その意味で、今後の成長を安定的に進めてゆくためには、資本の増強が避けて通れない経営課題といえ、今回、日本政策投資銀行にA種優先株を引き受けてもらうことになったと思われる。

   そこで、今期の決算結果であるが、売上高1,711.00億円(昨対113.76%)であり、積極的な新規出店により、急成長を遂げているが、営業利益は9.46億円(昨対36.4%:売上対比0.56%)と、大きく減益となった。経常利益10.04億円(昨対39.12%:売上対比0.58%)、当期純利益4.18億円(32.7%:売上対比0.24%)も減益であり、しかも、営業利益は、売上対比0.5%と今期は極めて厳しい決算であったといえよう。

   営業利益が大きく減益になった要因であるが、原価が84.35%(昨年83.80%)と、上昇がみられる。結果、売上総利益は15.65%(昨年16.20%)と、減少しており、今期は、原価の上昇が大きかったといえる。それにしても、売上総利益15.65%はかなり低い利益といえ、いかに、トライアルカンパニーがディスカウント業態であるかがわかる。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、16.34%(昨年15.15%)であり、経費にも上昇がみられる。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は、-0.69%(昨年1.05%)とマイナスとなった。原価、経費双方が上昇しての厳しい営業状況であったといえよう。これに、不動産収入等の営業収入が1.25%(昨年0.68%)のり、結果、営業利益は0.56%(昨年1.73%)と大きく減益となり、売上高の113.76%でもカバーできなかった状況である。

   このように、2009年3月期のトライアルカンパニーは売上高は好調に推移したが、営業利益が原価、経費、双方の上昇がみられ、大きく減益となり、厳しい決算結果となった。また、予定していた上場が見送りとなり、A種優先株を発行し、新たな資金調達を行ったが、まだ純資産比率は11.7%と低い状況であり、今後、一層の財務の改善が課題といえよう。今後、北海道のカウボーイへの資本参加を含め、積極的な新規出店も計画されているが、いかに、収益を回復し、財務基盤を固めるかが優先課題といえ、今後のトライアルカンパニーの動向に注目したい。

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June 23, 2009

オーケー2011年3月期経営目標、130%成長は可能か!

   先のブログで、オーケーの今期、2009年3月期の決算の大幅な増収増益について解説したので、ここでは、オーケーの経営内容、特に、出店余力とキャッシュフローの状況を見てみたい。オーケー自らも目標としているにように、オーケーは「借入無しで年率30%成長を達成する」を経営目標に掲げている。しかも、この経営目標達成を2011年3月期においているので、残すところ、あと2年である。今期の数字は、114.4%であるので、さらに、15%強成長率を高める必要があり、今期でいえば、売上高が約2,000億円であったので、約300億円プラスということになる。オーケーの平均売上が約30億円であるので、あと10店舗近く必要であり、今期は6店舗の新店であったので、合計16店舗の新店が必要であったことになる。

   オーケーとしては、この年率30%の成長を果たして行くためには、既存店の成長率が10%、新店が20%としているので、20%で計算しても、来期でいえば、2,000億円の20%、すなわち、400億円となり、少なく見積もっても、10店舗以上の新規出店が必要となる。また、既存店の成長率10%も今期の客数が102.3%であるので、客単価にもよるが、少なくとも客数を105%以上、できれば、客数だけで110%欲しいとところであり、オーケーも既存店の客数110%を目標としている。

   ちなみに、ここまでオーケーが130%の成長にこだわるのは、現在の年商約2,000億円が130%で成長した場合、1年後2,600億円、2年後3,380億円、3年後4,394億円、4年後5,712億円、5年後7,425億円、6年後9,653億円、7年後1兆2,549億円、8年後1兆6,314億円、9年後2兆1,208億円、そして、10年後2兆7,571億円となり、15年後には年商10兆円を超え、ウォルマートに追いつくからである。もちろん、この時のウォルマートの売上がどうなっているかにもよるが、オーケー自身もいっているが、ウォルマートやカルフールに追いつくためには130%の成長はどうしても必要だという認識である。

   実際、オーケーは、カルフールが日本へ参入する際、1987年に共同で日本の小売市場の調査を実施しており、将来、日本全国にオーケーを出店してゆく青写真はできていると思われ、カルフールとは当時は極めて友好関係にあったといえる。その後、たてつづけに、現在すでに目標達成したが、「総経費率15%」、「経常利益率5%」を打ち出し、さらには、高品質・Everyday Low Price徹底のため、特売チラシを廃止するなども打ち出しており、ウォルマート以上にEveryday Low Priceを達成し、ウォルマート以上の経営数値をも実現している。さらに、グロサリー自動発注全店稼働、一般食品・菓子・飲料での自動棚割を開始、青果発注システムを稼働するなど、まさに、ウォルマート同様のITの活用にも独自に踏み切っている。カルフール、ウォルマートへ本気で追いつき、追い越そうという経営目標を明確にもっているといえ、その象徴的な目標数字が130%成長であるといえよう。

   では、それを支える財務状況はどうかを今期の決算から見てみたい。まず、肝心の自己資本比率であるが、今期は35.8%(昨年31.4%)となった。これは、この5年間では最高の数字であり、2005年18.8%、2006年23.9%、2007年28.8%、2008年31.4%であるので、確実に上昇しており、経営の安定化がはかれつつある。ただ、まだ、負債に65%弱負っている状況であり、その最大の負債が買掛金を除けば、有利子負債であり、147.01億円(昨年145.88億円)と総資産683.22億円の21.5%を占めており、経営に重くのしかかっていることである。これが今後、好調な決算をもとに返済が進めば、自己資本比率は50%を優に超えてくるので、経営の安定が一層進むことになろう。

   一方、資産面であるが、今期の出店にかかわる資産である土地、建物、敷金及び差入保証金の合計であるが、378.55億円であり、これは総資産の55.4%であり、1店舗当たり6.8億円である。したがって、自己資本比率から差し引いた出店余力は-19.6%であり、ちょうど有利子負債21.5%と相殺される数字といえ、現段階では負債に依存する出店構造といえよう。

   したがって、今後、少なくとも新店を10店舗以上のペースで作ってゆくには、金額ベースで少なくとも約70億円の資産を確保する必要があり、そのためにも、この出店余力の一層の改善が課題といえよう。ただ、キャッシュフローの営業キャッシュフローは今期108.46億円と100億円を超えているので、今期においてもキャッシュフローの範囲内で10店舗の新規出店は可能といえ、事実、現在すでに新規出店を果たした店舗を含め、今後8店舗の新規出店すべて自己資金の調達で賄っている状況である。

   このように、すでに、現在の新規出店はキャッシュフローの範囲内での出店が果たされており、過去に借り入れた有利子負債を今後、どう豊富なキャッシュフローから削減してゆくか、新店とのバランスがポイントといえ、この115%の成長は、好調な増収増益が維持できればちょうどバランスがとれた成長であるといえる。ただ、さすがに130%はさらに財務、経営改革が必要といえ、現在進めている新株発行路線の推進か、思い切って上場による資金調達か、あるいは、さらに収益率を引きあげキャッシュフローを増大させるかが必要といえよう。オーケーが2年後に掲げている2011年、130%成長目標をどのように実現してゆくのか、今後のオーケーの経営動向に注目である。

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June 22, 2009

オーケー、2009年3月期決算を公表、大幅増収増益!

   食品スーパーマーケット業界注目の決算、オーケーの2009年3月期の決算が3/19、公表された。オーケーは、子会社が数社あり、連結と個別の双方の決算を公開しているが、売上高の差はわずか数億円であり、ほぼ同じ数字であるが、それぞれの指標の率が多少違うところもあるので、必要に応じて双方を見てゆきたい。まず、連結であるが、売上高1,925.19億円(114.4%)、営業利益96.54億円(123.1%:売上対比5.01%)経常利益98.92億円(124.2%:売上対比5.13%)、当期純利益53.27億円(114.6%:売上対比2.76%)となり、大幅な増収増益となった。

   また、個別決算についても、売上高は1,921.55億円(114.5%)、不動産収入を含めた売上高1,923.43億円(114.4%)、営業利益96.34億円(123.0%:売上対比5.01%)、経常利益98.26億円(124.2%:売上対比5.11%)、当期純利益52.65億円(114.6%:売上対比2.73%)となり、同様に大幅な増収増益となった。特に、客数前年比が115.4%、既存店客数前年比も102.3%(昨年102.2%)と、なったことが大きく、オーケーの客数が力強く伸び、売上を押し上げた結果といえよう。
   
   オーケーの客数政策については、オーケーはここ数年他社にない、強力な固定客化をはかっており、その効果が着実に表れてきつつあるといえよう。ひとつは、会員カードの活用であり、2006年にオーケークラブを発足させ、会員は当初の消費税額3%が割引されるという特典があり、この時点で80万人の会員を獲得している。3%の割引はいまでも継続しており、通常1%、0.5%というポイントカードが多い中、オーケーの還元率は際立った高さであり、毎日、3倍ポイントを実施している状況と同じである。食品業界ではヤマダ電気の食品売場が3%ポイントをほぼ全食品につけているが、現在では、この2社の還元率が食品業界では、際立っているといえよう。オーケークラブの会員であるが、その後も順調に拡大し、2年後の2008年には120万人、そして、今期、その1年後には158万人となり、この1年で約30万人拡大し、急ペースで会員が増加している。現在、55店舗であるので1店舗約3万人という驚異的な数字であり、この158万人がオーケーの客数をささえる基盤となっているといえよう。
   
   そして、もうひとつの客数政策は、他社にないユニークなもので、顧客へのオーケーの株式販売である。顧客にオーケーの経営に参画してもらうという究極の固定客化ともいえ、2007年からはじまり、この時、2007種類株式227,400株を、2,500円/1株で発行、株主数は2,274名増加し、株主資本が5.68億円増え、資本金はその約半分を組み入れ、12億2,925万円になった。そして、2008年度も同様に、2008種類株式515,600株を3,074.80円/1株で発行し、株主数は2,601名増加し、2007年度の約3倍、15.85億円の株主資本が増え、その半分の7.92億円を資本金に組み入れ、資本金は20億2,193万円となった。この株式は議決権はないが、現在普通株式の資本金9.45億円を合計では、超えており、まさに、オーケーの経営そのものを顧客が支えるまでになったといえ、究極の固定客化であるといえよう。したがって、株主資本比率もここ数年では最高となり、35.8%(昨年31.3%)となった。まだまだ、比率は低いが、着実に改善しており、顧客の会員158万人と顧客の株主4,875名がオーケーの力強い経営の屋台骨をささえているといえよう。
   
   一方、オーケーの今期の大幅な増益をもたらした営業構造はどのような状況であるかを見てみたい。まず、原価であるが、ここからは、小売業本体の個別の数値を見てゆくことにするが、原価は80.3%(昨年80.4%)であるので、結果、売上総利益は19.7%(昨年19.6%)と、昨年より0.1ポイント改善した。20%を下回る売上総利益であり、まさに、ディスカウントストアの典型的な数字といえよう。上場食品スーパーマーケットでは、ここまで売上総利益が低い企業はアオキスーパーの16.6%のみであり、アオキスーパーも営業収入がこれに3.2%加わり、営業総利益は19.8%となるので、19.7%は恐らく、食品スーパーマーケット業界屈指の低さであるといえよう。
   
   これに対して、経費であるが、販売比及び一般管理費が14.7%(昨年14.9%)であり、驚異的な経費比率である。先のアオキストアも16.7%であり、15%を切る経費比率は食品スーパーマーケットとしては、限界に近い数値であるといえよう。これも、既存店の数字が今期堅調であったことも大きいといえ、オーケーの強力なディスカウントを支える原動力となっている。結果、営業利益は5.0%(昨年4.7%)であり、0.3ポイント改善しており、原価、経費双方が改善されての、営業利益の大幅増益であり、食品スーパーマーケットとしては、理想の決算結果であったといえよう。
   
   このように、食品スーパーマーケット注目のオーケーの2009年3月期の決算結果であったが、大幅な増収増益の好決算となり、原価、経費ともに改善され、客数も大きく増加するなど、ここ最近の決算の中でも特に好調な決算であったといえよう。しかも、顧客への株式発行により、株主資本をこの2年で20億円強、増強させており、事実上の上場ともいえ、新たな資金調達が可能となり、結果、自己資本比率も上昇し、経営が安定したといえる。今後、ますます、新規出店がしやすい環境が整ったといえ、当面、オーケーの快進撃は続くものといえよう。次回、中間決算の結果にも注目である。

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June 21, 2009

最近のお気に入り帳票、品揃えはこれでチェック!

    PI値の研究開発を続けて、かれこれ20年余りになる。その間、PI値を活用した帳票を数多く作ってきた。20年前の帳票、10年前の帳票、そして、最近の帳票と、それぞれ研究成果とその時の時代を反映していて、改めて見てみると感慨深いものがある。現在でも様々な帳票を開発し、実践投入しているが、最近の最もお気に入りの帳票は、品揃えを一目でチェックできるように工夫した帳票であり、名前がまだついていないが、ここでは、仮称、品揃えMD評価表と呼んでみたいと思うが、この品揃えのチェック帳票である。

   すでに実践投入して、数年になるが、いまでは、MD評価表の補足帳票として位置づけ、現場からも好評である。この品揃えMD評価表であるが、きっかけは菓子パンのマーチャンダイジングの研究から生まれた帳票である。通常のPI値のマーチャンダイジングへの活用は、重点商品を見つけ出し、その商品を極限まで強化することが多い。特に、生鮮、惣菜、日配食品では、重点商品の選定と強化で70%から80%は、マーチャンダイジングの改善が可能であるといっても過言ではない。  

   ところが、グロサリーや一部の生鮮食品、惣菜、日配では重点商品をどんなに強化しても、全体の数字が改善しないカテゴリーが厳然としてあり、これらのカテゴリーは、重点商品よりも、むしろ品揃えの見直しを行わないとマーチャンダイジングが改善できないといえ、通常のPI値の活用では歯が立たないカテゴリーである。その典型的な商品が菓子パンといえ、食品スーパーマーケットの全カテゴリーの中で、恐らく、最多のSKUで構成されたカテゴリーであるといえよう。

   どのくらいあるかであるが、少なく見積もっても月間500SKUは優に超える。これだけSKUが多いカテゴリーはひょっとすると世の中の全商品カテゴリーの中でNo.1かもしれない。したがって、この500SKUの中から重点商品を選定し、それを強化しても菓子パンのマーチャンダイジングは良くならず、場合によっては、悪くなることすらある。菓子パンはむしろ品揃えを見直した方がはるかにマーチャンダイジングが改善し、しかも、劇的に変わるのが、これまで得られた菓子パンのマーチャンダイジングの研究成果のひとつである。

   そこで、この品揃えの改善にPI値を活用することはできないかと考え、開発された帳票が仮称、品揃えMD評価表である。当初は菓子パンでもっぱら活用していたが、最近ではほとんどのカテゴリーに、MD評価表の補助帳票として活用し、その帳票をもとに各カテゴリーの重点商品の強化に加え、品揃えの改善もはかっている。 

   では、その品揃えMD評価表とはどんな帳票かであるが、評価指標を金額PI値だけに絞り、縦に、全SKU、横に、全店舗を並べ、全店平均の金額PI値でソートを掛けたMD評価表である。金額PI値だけに指標を絞っているので、通常のMD評価表の金額PI値=PI値×平均単価の3つの評価指標に、金額PI値の順位を入れた1SKU4行から、1行になるので、ほとんどのカテゴリーはA4 1枚か数枚で収めることが可能である。 

   そして、金額PI値の大きさを見て、A、B、C、場合によっては、Dランクまでわけて品揃えを判断することになる。たとえば、Aランクは0.5円以上、Bランクは0.2円以上、Cランクは0.05円以上、Dランクはそれ以下などである。そして、この時、品揃えの評価特有のスパイスを加えると、より効果的な品揃えの評価が可能となる。よく、使っているスパイスが導入店金額PI値である。これは、菓子パンなどでは典型的であるが、C、Dランクの商品はまず、全店共通の品揃えはないといっても過言ではなく、各店導入(発注)、未導入(未発注)がまちまちであり、ばらつくのが実態である。むしろ、バラツくべきであるともいえ、このバラツキの中から、最適な品揃えを目指すことの方が現実的であろう。ここまで商品部が決めると、かえって品揃えが硬直化し、顧客のニーズと乖離することが起こるともいえる。そもそも、これらの商品のPI値は見えないほど低いので、その差異を分析し、品揃えを確定することに意味があるとは思えないし、無理があるといえよう。

   この導入店金額PI値を活用し、全体の金額PI値とズレが大きい商品は無条件に品揃えに加える工夫をすることが大きなポイントであり、さらに、その中でも、導入店の中で最高の金額PI値をチェックし、一目で把握できるように、ラインマーカー等で目立たせるとより効果的である。それを見ているだけで、発注したくなるといえよう。

   これ以外にも実践的な工夫は数多くあるが、工夫次第でこの品揃えMD評価表は実践的で使いやすい帳票に磨き上げることが可能といえ、今後、さらにブラッシュアップしていきたいと思う。当初は菓子パンではじめた品揃えMD評価表であるが、最近では、牛乳、豆腐等の日配品やグロサリーにも活用しており、これまでPI値では十分にフォローできなかった品揃え面の強化に大きく役立ちはじめている。改めて、商品の品揃えの重要性を認識しつつあるといえる。特に、現在の最新の研究テーマはID-POSのID金額PI値の活用に移ってきているが、品揃えの重要性はより増しており、今後は、ID-POSデータを活用した新品揃えMD評価表の開発に挑戦したいと思う。

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June 20, 2009

食品スーパーマーケット、第1四半期決算、公表はじまる!

   食品スーパーマーケット業界、2010年2月期、第1四半期決算の公表がはじまった。6/18、平和堂が2010年2月期の第1四半期決算を公表したが、今後、続々と、各食品スーパーマーケットの公表がはじまるといえ、今期の食品スーパーマーケット業界の業績をうらなう上で、重要な数値といえ、本ブログではいち早く、各社の動向を取り上げてゆきたい。その平和堂であるが、営業収益950.23億円(94.3%)、営業利益20.40億円(79.6%:営業収益比2.1%)、経常利益20.01億円(81.1%:営業収益比2.1%)、当期純利益8.04億円(101.6%:営業収益比0.8%)と、当期純利益は増益となったが、営業、経常段階では減益となる厳しい決算となった。

   この第1四半期決算では同時に、通期予想も公表しているが、それを見ると、営業収益4,050.00億円(98.2%)、営業利益105.00億円(96.8%)、経常利益105.00億円(96.1%)、当期純利益60.00億円(114.6%)と、ほぼ、同様の傾向である。平和堂は、年商4,000億円を超える、食品スーパーマーケット業界でもトップクラスの売上を誇る企業であり、この第1半期決算、そして、通期予想を見る限り、今期、食品スーパーマーケット業界は、昨年度と一転、厳しい決算が予想されそうである。

   平和堂自身も、「当小売業界におきましても、消費者の生活防衛意識が一層顕著となる中、低価格志向での販売競争による収益悪化や引き続きの競争激化で経営環境は大変厳しい状況が続きました。」と、コメントしているように、ここへ来て、経済情勢は昨年のインフレからデフレへ大きくシフトしており、売上が確保しにくい状況に入ったといえよう。 

   一般に、金額PI値(客単価)=PI値×平均単価で、顧客1人当たりの売上を表すことができるが、デフレになると、平均単価が下がるため、PI値がこれまで通りの数字であれば、金額PI値は下がることになる。したがって、小売業としては、PI値を上げるために、より販促を強化することになるが、販促の前提が、価格訴求となるため、デフレ気味で平均単価が下がっているにもかかわらず、さらに、価格訴求をかけることになり、一層、価格競争が激化することになる。それで金額PI値がもどればよいが、たとえもどったとしても、原価があがり、利益が減り、減益となりかねず、デフレ局面では小売業は経営が極めて厳しい状況になるのが通常である。

   このような厳しい局面を乗り切るには、販売管理費をいかに抑えるかが経営の盛衰を決めることになり、デフレ局面では、販売管理費の低い企業が有利となり、企業間格差が鮮明になるといえる。したがって、この第1四半期決算は、企業間格差が一段と開くことが予想され、食品スーパーマーケット業界にとっては、格差が鮮明になる決算となろう。

   余談だが、セブン&アイHがセブンプレミアムよりもさらに安いプライベートブランド、ザ・プライスを開発するという。イオンはすでに、トップバリュよりもさらに安いベストプライスを出しているが、そもそも、プライベートブランドが価格訴求の商品であるにもかかわらず、さらに価格訴求の新たなプライベートブランドを出すというのであるから、屋上屋を重ねることになるが、そこまで、消費動向は切迫しているということであり、今期は、昨年のインフレの状況が一変し、空前の価格競争が小売業界全体で繰り広げられる可能性が高まったといえよう。

   そこで、平和堂の原価、経費の状況を見てみると、原価は71.30%(昨年70.86%)となり、0.44ポイント上昇しており、結果、売上総利益は昨年28.70%(昨年29.14%)と、この時点で減益となった。一方、販売費及び一般管理費であるが、33.37%(昨年33.96%)と、0.59%引き下げており、経費の削減は進んでいる。今期の厳しい消費環境に対応し、原価の上昇を経費の削減で補っており、差し引き、マーチャンダイジング力は、-4.67%(昨年-4.82%)となり、依然として大きくマイナスではあるが、若干改善している。これに、不動産収入、物流収入等の営業収入が 6.96%(昨年7.56%)のり、最終的に営業利益は2.29%(昨年2.74%)と、0.45ポイント下がり、減益となった。今期は、売上も94.8%となったため、営業利益は昨年と比べ一段と厳しい結果となったといえよう。

   これを見ると、平和堂は、原価の上昇を経費の削減で一旦は補ったが、不動産収入や物流収入などの営業収入が減少したため、結果、営業利益が減益となっている。特に、営業収入は売上と連動する面が大きいといえ、売上の不振が影響したといえよう。この第1四半期は、原価の上昇と売上の減少のダブルでの減益要因が大きかったといえ、それだけ、消費環境が厳しい状況にあったといえよう。

   このように、平和堂の第1四半期決算が公表されたが、営業、経常段階で減収減益となる厳しい決算結果であったといいえ、ここへきて、消費環境が激変しているといえよう。昨年のこの時期は資源エネルギー関連の空前の上昇により、消費はインフレ環境であったが、昨年後半の9.15リーマンブラザースショック以降、明らかに情勢が一変、その影響が現在も続き、デフレ環境が色濃く表れている。平和堂の決算結果もその影響を大きく受けているといえよう。今後もこの情勢はしばらくは続くと思われ、今期、食品スーパーマーケット業界は厳しい経営環境となりそうである。

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June 19, 2009

日本の食品マーケットを概観してみる!

   最近、日本全体の食品マーケットについて、よく質問を受けるようになった。そこで、改めて、日本全体の食品マーケットがどのような構造になっているのかを小売業の業態別に概観してみたい。分析データは経済産業省が3年に一度公表している商業統計の最新、平成19年度版をベースに見てみたい。このデータでは、店舗数、売上金額、売場面積まで見ることができ、しかも、前回調査、平成13年度との比較もされており、この3年間でどのような変化があったかを知る上もでも貴重な日本全体の全小売業を業態別に集計した資料といえよう。

   まず、小売業全体の構造であるが、総売上金額は134兆5,716億円である。この中には当然、衣食住、ドラックもすべて含まれての数字である。ちなみに、今期決算のイオン、セブン&アイHのGMS、金融を含め全業態の合計営業収益が10兆8,807億円であるので、その構成比は8.0%であり、いかに、日本の小売業はすそ野がひろいかがわかる。

   そこで、食品マーケットであるが、最大シェアは何といっても、食料品スーパー、すなわち、食品スーパーマーケットであり、17兆534億円(12.6%)となる。ついで、食料品専門店であり、これが7兆1,586億円(5.3%)となり、コンビニが6兆9,609億円(5.1%)でほぼ並ぶ。食料品専門店は文字通り食料品専門であり、八百屋、鮮魚店、精肉店、お菓子屋さんなどである。そして、次が食料品中心店で、5兆3,991億円(4.0%)であり、いわゆる食品を中心のよろづやといえよう。

   ここまで、イオン、セブン&アイHなどのGMSが上がってこなかったが、次が、総合スーパー、GMSである。約2兆9,758億円(2.2%)である。GMSは全体では7兆4,397億円であるが、食品構成比をおよそ40%と見て、2兆9,758億円と見積もってみた。そして、最後が百貨店約1兆5,376億円(1.1%)となる。百貨店も全体では7兆6,883億円であるが、食品構成比を20%と見積もっての数字である。

   さて、これで食品の合計金額が出そろったが、すべて、合計すると41兆857億円となる。約40兆円となり、全体の中での構成比は30.5%、小売業全体売上の約30%が食品マーケットであるといえる。こう見ると、食品マーケットはまさに食品スーパーマーケットを中心に動いているといえ、イメージ的にはイオン、セブン&アイHなどのGMSが食品マーケットも制しているように思えるが、実態は違い、こと食品に関しては、食品スーパーマーケットが約40%を握るNo.1業態であるといえる。GMSはわずか7.2%である。ちなみに、コンビニ16.9%、食料品専門店17.4%、食料品中心店13.1%、そして、百貨店3.7%となる。

   以上が食品マーケットの実態であるが、これを店舗数と売場面積で見てみると、食品スーパーマーケット17,882店舗(1,081平米:327坪)、コンビニ43,318店舗(114平米:34坪)、GMS 1,583店舗(10,012平米:3,033坪)、食料品専門店175,780店舗(35平米:10坪)、食料品中心店97,754店舗(59平米:18坪)、そして、百貨店272店舗(23,411平米:7,094坪)となる。こう見ると、売場面積では、ちょうど、コンビニの10倍が食品スーパーマーケット、食品スーパーマーケットの10倍がGMSとなっていることがわかる。

   また、これを店舗数で見てみると、GMS 1店舗当たり、食品スーパーマーケットが約10店舗存在し、コンビニが約30店舗存在し、食料品専門店が約100店舗存在する構造となっており、GMSの回りを10店舗の食品スーパーマーケットが取り囲んでいる状況である。そして、その食品スーパーマーケットを食料品店が10店舗取り囲んでいる状況である。また、コンビニはその合間を縫って、食品スーパーマーケットの回りを約3店舗で取り囲んでいる状況といえよう。

   さて、では、食品マーケットの約40%を占める食品スーパーマーケットの中身をもう少し見てみたい。食品スーパーマーケットはすでに約50社近くが上場しているが、この約50社の総売上を見ると、約9兆円ぐらいとなり、全体に占める割合は50%強となる。したがって、主要約50社で約50%、それ以外の残りの食品スーパーマーケットで約50%となり、小売業全体でもそうだが、食品マーケットのNo.1業態の食品スーパーマーケットでもすそ野がいかに広いかがわかる。ちょうど、各都道府県に1社づつ強力な食品スーパーマーケットが存在しているような状況であり、各地区で、上場食品スーパーマーケット1社とその他の食品スーパーマーケットとシェアを分け合っている状況といえよう。
  
   このように、日本の食品マーケットは業態としては約40%のシェアを食品スーパーマーケットが抑えているとはいえるが、その食品スーパーマーケットの中では、上場約50社でも約50%のシェアであり、食品マーケットはいかにすそ野が広いかがわかる。大きな流れとしては、食品スーパーマーケットが食料品専門店を吸収し、GMSの食品からシェアを奪い、コンビニとともに、食品マーケットのシェアを拡大している状況とはいえるが、その流れは意外にゆるやかであるといえよう。今後、食品マーケットの動向はシェアNo.1の食品スーパーマーケットが鍵を握っているといえるが、いつ、業界再編が本格的に起こってもおかしくない状況であり、その動向が気になるところである。

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June 18, 2009

ID-POSデータ、客は商品にしかつかない!

   時代は明らかにID-POSデータの活用に動き始めている。現在、POSデータには大きく2種類のデータがある。ひとつは純粋な商品販売データであり、これは商品ごとの販売金額と販売点数のデータであり、通常のPOS分析で、一般に活用されているデータである。そして、もうひとつは、IDがついた商品販売データであり、ID-POSデータといわれるものであり、いま最も小売業界、メーカー等で注目されているPOSデータである。どこが違うのか、ひとことでいえば、商品ごとにIDが付与されているか否かであるが、IDが付与されると、そんなに違いがあるのかということになるが、実際に使ってみると、違いというよりも、次元が違うという印象であり、単純に比べること自体が難しいといえよう。

   なぜか。通常のPOSデータは商品の売上金額、売上数量までしか把握することができないので、そこから判断できるのは、商品の売上金額、売上数量の大小である。いわゆるABC分析の延長となり、ごく簡単にいえば売れ筋、死に筋の判断が最大の活用方法といえよう。ここから、死に筋、いわゆるZ商品をカットし、新商品と入れ替えることによって、売れ筋だけを残そうというのが単品管理の極意といえる。また、PI値を活用したPOS分析では、逆に売れ筋を重点商品としてピックアップし、この商品に経営資源を集中し、限界まで重点商品を伸ばそうというのがPI値分析の極意といえる。この場合、死に筋は、放っておくか、勝手に消えるのを待つことになる。ひょっとすると、いつか重点商品に転換するかもしれないからである。

   いずれにせよ、従来のPOS分析ではこの辺までが限界といえ、商品の販売動向を売上金額と売上数量から判断し、マーチャンダイジング、マーケティングへ活用してゆくことがポイントとなる。

   では、その商品にIDが付与された場合はどうなるかであるが、商品の見方が売上金額、売上数量から見るのではなく、まず、その商品の購入IDがどのような購買をしているのかを最初に見ることになる。そして、次に、可能な限り、そのIDにどのような特徴があるかを明らかにしてゆくことになる。したがって、単純な商品の売上金額、売上数量はあまり意味がなく、重視するのは、IDから見た場合という、必ず、枕詞にIDから見た場合という言葉がつくことになり、視点が商品からID、すなわち、顧客に移ることになる。

   余談だが、小売業の格言のひとつに、「店は客のためにある」という言葉がある。また、私が約20年前にコンサルティングをスタートした時に、当時の上司から、「客は商品にしかつかない」という言葉を教わり、いまでも、これは大切にしている。いま、思えば、どちらも、顧客と商品の関係を端的に表しており、まさにID-POSのテーマであるといえよう。ところが、これまで小売業が活用してきたデータは商品からの一方通行のものだけであり、顧客からのという視点が欠けていたといえる。商品の売上金額、売上数量は詳細なデータが把握できるが、肝心のその商品を購入している顧客、すなわち、IDデータはつい最近まで実践に活用されることはごく一部の企業を除き、ほとんどなかったといえよう。

   これは、日本中の小売業の中核組織が商品部にあり、その延長線上に店舗があり、店長をはじめ、各従業員が商品部の延長となっていることからも明らかである。現段階では小売業の組織上に、顧客、IDを管理する部門がほとんど存在しないのが実態である。本来、その最前線に店長がいて、店長と店舗スタッフが一丸となって、その店舗の来店顧客へ、商品を通じて最大のサービスを提供すべく、動くことが小売業の本質であり、商売の原点であると思われるが、どうも、そうならかなったところに、小売業の格言とのずれが生じているように思える。

   その意味で、ID-POSは本来の小売業の原点にもどるための手段のひとつであり、商品を売上金額、売上数量からだけで見るのではなく、まず、その商品の購入IDの視点にたって見直し、その商品の購入IDにとって、もっとも購入しやすい、できうる限りの最高のサービスをもって、その商品を提供し、また、そのような商品を提供する環境、空間を作ることを、店長を中心に店舗スタッフ全員で議論し、実践してゆくことが本質であるように思える。

   ID-POSはまだはじまったばかりといえ、今後、取り組みはじめた小売業、そして、そのデータを活用するメーカーで、様々な創意工夫がなされ、徐々に実践投入され、完成度を増してくるものと思われる。ただ、最も大切なことは、顧客からの視点にたった商品の分析を行い、その結果を顧客に返し、それを繰り返すことによって、顧客と商品の関係を強固なものとし、顧客にとって、その商品を購入するには最適な環境、空間となる店舗を作り上げることであるといえよう。

   電子マネーも急激な勢いで普及しはじめており、さらに、食品スーパーマーケット各社も、この数年で独自のポイントカードを本格導入しはじめ、ID-POSデータを分析する環境は整いつつあるといえる。今後、このID-POSを活用し、顧客と商品との関係が見直され、どのように小売業、そして、メーカーが新たなマーチャンダイジング、マーケティング戦略を打ち出すかに注目したい。

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June 17, 2009

餃子の王将、にわかに存在感増す、株価急騰!

   6/14の日経ヴェリタス、最新号で、餃子の王将が12、13ぺージすべてのぺージを割いて、全面特集が組まれた。見出しは、「王将フード、個店連邦の強み、店長にメニュー・接客の裁量権、客層広げる」であり、大東社長のインタビューを含め、他外食産業との違い、様々な経営数値の分析、特にキャッシュ創出力に注目するなど、盛り沢山の餃子の王将の特集記事である。日経ヴェリタスが注目するのも、当然といえば当然であり、現在、王将の株価は5月の決算発表以来、急騰を続けており、株価が加熱気味で推移している。しかも、業績に裏付けられファンダメンタルな面が評価されていると思われ、投機的な急騰ではないと思われる点である。

   また、2009年3月期の決算発表が5/13であるが、その後、間を置かず、5/18に220万株の自己株式の取得を表明しており、この株数は発行済株式数が約2,328万株であるので、約10%となり、金額でも33.24億円となる規模である。しかも、翌5/19には189.2万株を取得している。結果、自己株式が334万株となり、発行株式総数の15%強となり、これも株価を引き上げる大きな要因となったといえよう。

   王将の株価は、この5月の決算発表があるまでは1,500円前後で推移しており、売買高も低く、あまり変動のない状況であった。ところが、まさに、この5/13の決算発表の翌日、5/14、通常の約10倍の大商いとなり、株価が急騰、前日の1,492円が1,551円となり、その後は、ほぼ右45度の急角度で上昇を続けており、現在、1,800円前後で推移している。まさに、株価急騰の異常状態といえ、その要因がどこにあるのか、その答えを探るべく特集されたのが、6/14の日経ヴェリタスの記事につながったといえよう。

   そこで、王将の経営の現状を、2009年3月期の決算を含め、改めて確認してみたい。まず、ここ最近の王将の経営指標の中で注目すべきは、売上速報であろう。5月度の売上が全体では124.1%となったことであり、しかも、昨年も110.1%と伸びているにも関わらず、売上が大きく伸びたことである。5月が異常値ではなく、4月度も118.0%であり、しかも、昨年も105.4%であるので、安定した成長軌道に乗っているように思える数字の劇的な伸びといえる。さらに、驚くことに、通常、ここまで数字が伸びる場合は、新店によるところが大きいが、王将の場合は、既存店が大きく伸びていることである。5月度の既存店は121.2%であり、4月度の既存店も114.9%であり、全体の力強い売上の伸びは既存店に支えられた伸びであることが明らかである。さらに、その中身であるが、5月度は、客数が121.6%、客単価は横ばい、4月度もほぼ同様である。したがって、王将の好調さは既存店に支えられ、しかも、客数が大きく伸びているのが実態であり、小売業としては理想的な売上の伸びであるといえよう。

   次に、5/13に公表された本決算の状況を見てみたい。まず、結果であるが、売上高549.86億円(110.5%)、営業利益60.88億円(116.2%:売上対比11.1%)、経常利益61.90億円(117.9%:売上対比11.3%)、当期純利益32.16億円(118.5%:売上対比5.8%)と2桁の増収増益であり、通期予想もほぼ同様の増収増益であり、好調な決算結果である。

   そこで、次に、営業利益が好調であった原因を原価、経費の状況で見てみると、原価は30.9%(昨年30.7%)であり、結果、売上総利益は69.1%(昨年69.3%)と、原価が若干増加し、粗利が0.2ポイント下がっているが、ほぼ、横ばいといえよう。それにしても、食品スーパーマーケットの数字と比較すると全く正反対といえ、改めて外食の原価の低さが際立っているといえる。これに対して、販売費及び一般管理費であるが、58.0%(昨年58.8%)と、0.8ポイント下がっており、結果、差し引き、営業利益は11.1%(10.5%)と、0.6ポイントの上昇となり、これに売上の大幅な伸びと相まって、営業利益が大きく増加した。今期は、原価よりも、経費の削減が進んだといえ、それも、既存店の好調さが相対的に固定費を引き下げ、好決算に結びついたといえよう。

   一方、財務面であるが、自己資本比率は50.1%(49.0%)と若干改善しているが、まだ、負債に約50%負っている状況といえる。その要因は、有利子負債が163.2億円(昨年156.06億円)と、昨年よりは若干増加しており、総資産502.95億円の32.4%とかなりの比率を占めているためである。

   そこで、キャッシュフローを見てみると、営業キャッシュフローは63.52億円(昨年52.11億円)と約10億円増加しており、投資活動のキャッシュフロー、-27.76億円(昨年-36.47億円)を賄い、結果、フリーキャッシュフローは、35.76億円(昨年15.64億円)と大きく増加している。そして、財務キャッシュフローであるが、ここで有利子負債を削減しても良かったと思われるが、実際は-1.58億円(昨年-24.29億円)と、今期は、フリーキャッシュフローの活用をせず、結果、トータル34.14億円(昨年-8.65億円)と、内部留保に充てたといえる。そして、これが、その後の自社株買いに充てられたのではないかと思われる。

   こう見ると、王将は増収増益という好調な決算、そこから生み出された豊富なキャッシュフローを今期は財務改善よりも、投資家向けに活用したといえ、もう少し、財務改善に活用してもよかったのではないかとも思うが、今後、東証への上場等を考えると、株主対策を優先したのではないかと思われる。ただ、この好調さが続けば、5年ぐらいで自己資本は大きく改善するといえよう。今後、この豊富に生み出されるキャッシュをもとに経営の選択肢が大きく広がったといえ、王将の今後の動向に注目である。それにしても、小売業の経営は既存店の活性化が極めて重要であることを、王将が改めて実証したといえよう。

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June 16, 2009

パワーカテゴリー2009、チェーンストアエイジで特集!

   恒例のパワーカテゴリー2009、2008年度下半期がチェーンストアエイジ6/15号で特集された。この特集は食品スーパーマーケットで扱っているグロサリー商品の大半のカテゴリーを網羅する内容であり、カテゴリー内売上シェアトップ20、点数PI前年月別推移、地域別点数PI、そして、解説記事として、売上の構造、直近のトレンド、成長のための視点があり、現状のグロサリーの全体動向をつかむ上では、参考になる内容である。特に、今回は、9.15のリーマンブラザーズショック後の昨年10月から今年3月までの6ケ月間の動向を示しており、非常に興味深い内容である。

   今回取り上げられたカテゴリーは、食品では、キャンディ・キャラメル、中華調味料、ルウカレー、スパゲティ、お茶漬けの素、インスタントカップめん、ヨーグルト、ごま油、味噌、食用油、キムチ、マヨネーズ、炒め物調味料、ガム、低カロリー甘味料、砂糖、食パン、コーヒードリンク、インスタントコーヒー、簡易抽出型コーヒー、ドリンク剤、緑茶飲料の22カテゴリーである。酒では、ビール、発泡酒、ワイン(果実酒)、ウィスキー、RTD(缶チューハイ、缶カクテル)、日本酒、新ジャンルアルコール飲料の7カテゴリーである。そして、雑貨では、乾電池、ティシュペーパー、シェービング、トイレ用芳香剤、室内用芳香剤、防虫剤、除湿剤、ローソク、たわし・スポンジ、線香、家庭用手袋、身体洗い用品、ベビー用紙オムツ、キャットフード、犬用品・用具の15カテゴリーである。

   まず、パワーカテゴリーの中で、対前年月別推移をみると、9.15のリーマンブラザーズショック後の昨年10月の点数PIが各カテゴリー、大きく落ち込んでおり、厳しい10月であったことがわかる。特に、一昨年は10月の数字が比較的良かったこともあり、その差が大きいのが特徴である。ちなみに、10月の点数PIが前年を上回ったのは今回の全掲載46カテゴリ-の中では0である。一昨年の状況もあるが、10月は厳しい状況であったことがわかる。

   その後、11月以降になると、昨対を超えるカテゴリーがみられはじめる。そのカテゴリーを見てみると、中華調味料、ルウカレー、キムチ、ガム、新ジャンルアルコール飲料、家庭用手袋のわずか6カテゴリーである。この中で、その後、数字が回復するのは、中華調味料、ルウカレー、キムチ、新ジャンルアルコール飲料の4カテゴリーのみである。ただ、12月以降で見れば、インスタントコーヒー、ワインなどが加わるが、それでもかなり厳しい回復状況といえよう。また、逆に、昨年を6ケ月間一度も越えられなかった厳しいカテゴリーもあり、低カロリー甘味料、食パン、ドリンク剤、ビール、発泡酒、乾電池、ジェービング、室内用芳香剤、防虫剤、除湿剤、ローソク、身体洗い用品、ベビー用紙オムツ等、13カテゴリーに及ぶ。

   こう見ると、昨年10月から、今年3月までの6ケ月間は全体としては、かなり、厳しい状況であったといえ、昨年10月、11月の最悪期を脱したとはいえ、回復までには至っていず、消費の回復までにはもう少し時間がかかりそうな傾向が出ているといえよう。ただ、この6ケ月の中で、前半よりも、後半の方が点数PIが伸びているカテゴリーが多いのは明らかであり、回復基調にあるとはいえる。

   次に、カテゴリー内売上シェアトップ20の状況を見てみたい。カテゴリーをPOSデータで分析すると、大きくタイプが2つに分かれるのが通常である。重点商品のシェアが高いカテゴリーと重点商品のシェアが低いカテゴリーである。今回もパワーカテゴリー2009で取り上げられた各カテゴリーの状況を見ると、重点商品のシェアの高いカテゴリーをベスト5で約30%以上と定義すると、中華調味料、ルウカレー、お茶漬けの素、ごま油、キムチ、マヨネーズ、低カロリー甘味料、砂糖、コーヒードリンク、インスタントコーヒー、簡易抽出型コーヒー、ドリンク剤、緑茶飲料、ビール、発泡酒、ウィスキー、新ジャンルアルコール飲料、ティシュぺーパー、防虫剤、除湿剤、ローソク、線香、ベビー用紙オムツ、犬用品・用具の24カテゴリーであり、ほぼ半分である。

   この中に、インスタントカップめん、ヨーグルト、食パンが入っていないのが違和感があるかもしれないが、食パンはやや微妙であるが、インスタントカップめん、ヨーグルトはどちらかというと、品揃えが重要なカテゴリーであり、順当な結果である。カップめん、ヨーグルトの新商品が数多く開発されるのもその傾向を示しているといえよう。

   このように、特に、今回のパワーカテゴリー2009はちょうど、対象期間が昨年10月から今年3月までの6ケ月間ということで、タイミング的にも、最も消費動向が激変した時期であり、興味深い傾向が表れているといえる。また、次の、4月から9月までは、前年と比べ、経済情勢、消費動向ががらっと変わっており、さらに興味深い数字となろう。次回のパワーカテゴリー2009に期待したい。


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June 15, 2009

チェーンストアエイジ、6/15号、焼酎、POS分析を投稿!

   チェーンストアエイジ、最新号、2009年、6/15号で焼酎のPOS分析の記事を投稿した。この企画は昨年もこの時期に同様のPOS分析の記事を投稿しており、前回の内容も踏まえ、今回はより、詳細な分析を試みた。注目は、混和の躍進である。焼酎は醸造過程の違いから、甲類、乙類の2つに分かれ、甲類がどちらかというと原料の風味が薄れ、よりアルコール純度の高い焼酎であるのに対して、乙類は原料の風味がほぼそのまま残り、いわゆる本格焼酎といわれる焼酎である。これに対して、混和は、双方の良さを活かした焼酎であり、ここ最近その存在感を急激に増している焼酎である。

   実際、チェーンストアエイジの記事の図1で昨年のPOSデータと今年のPOSデータを比較した表を掲載したが、混和の伸び率は焼酎全体がほぼ横ばいの中、115.3%と大きく伸びており、甲類の93.8%、乙類の104.1%と比べても際立った伸びといえる。この数字はTOPNAVI-NETの全国約400店舗の食品スーパーマーケットのPOSデータを集計したものであり、今回は、特に、12月の異常値を抜いた9月から11月の3ケ月間の累計数値を比較したものである。ただ、中身の記事は、12月も含め、4ケ月間のPOSデータでの分析を試みている。実際、各メーカーの動向も混和は好調とのことで、焼酎の中で、今年は、混和に注目という記事の内容である。

   ただし、混和はまだ焼酎全体の中では、10%弱というシェアであり、甲類の約40%、乙類の約50%と比べると、まだまだシェアは低く、記事の見出しのひとつにもあるように、「じわりと存在感を増している、・・」が正確な実情を表しているといえよう。前回の記事では、甲類、特に、乙類に焦点を当てた記事内容であったので、今回は、あえて、この混和をメインに取り上げてみた。

   さて、焼酎の数字をどう判断するかであるが、焼酎は今回分析対象の全国の食品スーパーマーケット約400店舗では、甲類440品、乙類1,588品、混和135品という膨大な商品の販売実績があり、合計2,163品と2,000SKUを超える数にのぼる。したがって、各食品スーパーマーケットでは品揃えが大きく違い、特に、乙類は食品スーパーマーケット独自の品揃えとなる傾向が高い。実際、記事の図2、3を見ると、400店舗の内、客数PI値5%、すなわち、およそ20店舗ぐらいの食品スーパーマーケットで共通の焼酎は甲類50品、乙類100品、混和14品のみであり、これを客数PI値0.5%、数店舗ぐらいまで下げても、277品、717品、79品であり、客数PI値0.5%以下、すなわち、1、2店舗の食品スーパーマーケットだけで扱っている焼酎が数多く存在するのが実態である。

   ここから重点商品を決め、品揃えを確定するのは至難の業であり、各バイヤーの腕の見せどころのひとつといえる。特に、乙類は品揃えが豊富であり、本格焼酎と呼ばれるように、麦、芋、米、その他の独特な香りを残した焼酎であり、希少価値の高いものもあり、調達することすら難しいものもある。今回の記事の中では、混和をメインにした内容ではあるが、重点商品については、甲類、乙類も一覧表を示しているので、参考にして欲しい。

   また、今回も、特に、各単品のml単価も計算して表示して見たが、これを見ても、甲類と乙類の違いは鮮明である。甲類の重点商品はほぼ0.5円前後であるが、乙類は0.5円以下のものは重点商品には一品もなく、すべて0.5円以上であり、1.0円弱ぐらいが多く、甲類の3割から5割増しという価格の商品で占められているのが実態である。さらに、甲類の重点商品には、1.0円を超える商品が1品もないが、乙類の重点商品には、1.0円を超えるものもあり、中には2.0円を超えるものまであり、プライスゾーンが全く違うのが実態である。

   これに対して、混和は、まさに、その中間に近いが、やや甲類に近い価格体系であるといえ、今回、POSデータでも伸びが確認できたのは、乙類の本格焼酎の香りを残しつつ、甲類の価格に近い値段で購入でき、それが消費者の節約志向に合致し、浸透し始めたのではないかと推測される。この微妙なプライスラインが混和の特徴のひとつともいえる。

   ちなみに、金額PI値であるが、甲類、乙類、混和の特にAランクを比較すると、甲類は2,000円から3,000円(1人当たり2.0円から3.0円)、乙類は2,000円から1,000円、混和は1,000円弱ぐらいであり、少し差があるのが実態である。これは、PI値よりも、平均単価の差が大きく、特に、甲類は、価格も安いことから、重点商品は、4Lの大容量が多く、乙類は1.8Lが多いのが実態であり、4Lの重点商品はごくわずかである。また、混和は乙類に近く、1.8Lが多いが、750ml、900mlもあり、より、小容量が多いのが特徴である。

   このように、焼酎は酒の中でも独特な商品のひとつといえ、低価格、大容量、そして、重点商品特化型の甲類、高価格、中容量、品揃え重視型で本格的な香りの楽しめる乙類、双方の中間、あえていえば、甲類の価格で乙類の香りが楽しめるという、どちらかというと乙類に近い混和と、それぞれ特徴が明確な商品群であるといえる。今回の記事は昨年の11月から12月の4ケ月間のPOSデータの結果であるので、ここ最近の節約志向を見ると、今年は焼酎への需要が一層増すことが予想される。年間最大の焼酎の需要期、年末に向け、今期の焼酎のマーチャンダイジングを、このPOS分析データを参考に、いまからじっくり検討し、取り組んで欲しいところである。

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June 14, 2009

日経MJ、新製品週間ランキング、新製品続々!

   6/12、恒例の日経MJ新製品週間ランキングが公表された。ここ最近、好調な飲料部門、菓子部門、その他食品部門であるが、今週もこの3部門で新製品が数多く登場し、注目である。また、金額PI値ランク500円(1人当たり0.5円)を超える新製品が今週は6品、Bランクの300円を超える新製品が6品、そして、200円を超えるCランクの新製品が7品となっており、金額PI値もかなり高い水準となってきた。今後、定番にいかに組み入れるかが、迷うところであろう。

   そこで、まず、好調な飲料部門であるが、注目は、麒麟麦酒、フリー350mlであり、飲料1位、今週の全新製品の中でもNo.1の金額PI値669円となった。カバー率も対象49チェーン250店舗の大半をカバーし、95.6%の中での数字であり、注目の新製品といえよう。初登場は4/5であるので、すでに、2ケ月を超え、安定したAランクを維持しているといえ、高水準である。十分、定番として可能な高い水準の数字といえ、フリーが定着しつつあるといえよう。

   飲料部門2位は花王、ヘルシアスパークリング500mlペットボトルであり、金額PI値590円とAランクの高い数値であるが、先週比285円のマイナスと大きく数字を下げており、気になるところである。今後、どの辺で数字が落ち付くか見極める必要があろう。3位は日本コカ・コーラ、爽健美茶2L、金額PI値578円、500mlも5位で金額PI値458円で入っており、爽健美茶は2L、500ml双方とも好調な数字をキープしている。日本コカ・コーラは、今週、9位にファンタもみもみフローズングレープ340ml、金額PI値239円、18位にオレンジ340ml、金額PI値139円が初登場でランクインしており、ここへきて、新製品開発が積極的である。また、新製品では、17位にキリンビバレッジ、午後の紅茶アジアンストレート<無糖>500mlペットボトル、金額PI値141円で登場しており、今後、どこまでランキングを上げてくるか注目といえよう。

    飲料部門では、これ以外にも、4位にアサヒ飲料、三ツ矢サイダーオールゼロ500mlペットボトルが金額PI値Aランクの530円で入っており、Aランクが4品と好調な数字で推移しており、注目である。また、順位は12位であるが、先週76位から躍進中のヤクルト本社、ヤクルトカロリーハーフ65ml×5本が金額PI値176円と先週比133円と大幅に増加しており、今後、注目の新製品といえよう。

    飲料部門についで、注目は菓子部門であるが、ベスト3を森永製菓が独占した。しかも、今週初登場の新製品であり、金額PI値もカバー率も高い数字であり、注目である。1位は、ミルクティーパイ2枚パック×6袋、金額PI値422円、2位はティークッキー2枚パック×7袋、金額PI値351円、そして、3位はレモンティークッキー1枚パック×10袋、金額PI値300円であり、いずれも、Bランクと菓子部門としては高い水準である。しかも、カバー率は72.4%、72.8%、72.0%といずれも70%を超えており、今後の動向が気になるところである。

   4位はカルビー、ポテトチップスうすしお味60g、金額PI値292円と、依然として好調さを維持しており、6位にもコンソメパンチ60gが金額PI値183円で入っており、60gのポテトチップスは完全に消費者に受け入れらたといえよう。5位はカバヤ食品、生キャラメル2袋×5、金額PI値269円であり、ここまでが、金額PI値Cランク以上の菓子部門の新製品である。

   菓子部門については、森永製菓以外にも、明治製菓が立て続けに4品、初登場でランキングに入った。8位のおじゃがやみつきのチーズ味80g、金額PI値135円、10位におじゃがやみつきのコンソメ味80g、金額PI値109円、11位に大粒たけのこの里バニラチーズケーキ40g、金額PI値105円、そして、15位に大粒きのこの山ティラミス40g、金額PI値90円である。ここへきて、各社新製品の投入があいついでおり、菓子部門も今後注目である。

   そして、もひとつ、今週の注目部門であるが、その他食品部門である。1位、2位は先週同様、山崎製パン、MR.BRAIN脳トレパン(DHA入り塩キャラメルチョコクリーム&ホイップ)1個、金額PI値639円、日清食品、カップヌードル77g、金額PI値523円が入り、いずれも金額PI値Aランクであり、注目である。ただ、1位の脳トレパンは、先週比金額PI値513円ダウンと急激に数字が落ちており、今後、どこで止まるかが気になるところである。その他食品では、この2品以外に、金額PI値は低いが新製品があいついで登場しており、この部門もアクティブに動いているといえよう。べスト10に入った3品を見てみると、3位に敷島製パン、十勝バターキャラメルスティック6本入り、金額PI値179円、4位に東洋水産、マルちゃん黒い豚カレー焼そば112g、金額PI値153円、そして、6位に日本ルナ、バニラヨーグルト100g×3、金額PI値117円で、初登場でランクインしている。

   このように、今週の新製品は飲料部門、菓子部門、その他食品部門に新製品があいついで登場し、しかも、上位の新製品はいずれも、高水準の金額PI値であり、この3部門が新製品全体を大きく牽引しているといえる。今後、メーカー各社がどのような新製品を開発してくるか、しばらくは、これら3部門を中心に動いてゆくのはないかと思われる。来週以降も新製品週間ランキングの動向に注目である。

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June 13, 2009

ポイント、どう企業経営に位置づけるか?

   前回のブログでヤマダ電機の食品のポイント戦略についてとりあげたが、たまたま、6/12の日経新聞に、ポイントに関する記事が掲載された。その見出しは、「ポイントやマイレージ、会計処理、海外で厳格化」、「国内導入なら、航空会社の減収要因に」であり、まさに、ポイントの会計処理の記事である。内容は、今後、ポイント処理の国際基準が導入されると、会計上では、売上、負債に影響が出る可能性があり、企業の経営状況を判断する上で、特に、初年度は前年度と比べ大きな違いが出る可能性があるとのことである。なお、このポイントの国際会計基準を導入するかどうかは、2012年度に最終決定されるとのことで、当面、各社、まちまちの会計処理が続くが、数年後には、ポイントの会計処理がいずれにせよ、統一されると思われ、いまの内から、食品スーパーマーケット業界でも準備が必要といえよう。

   確かに、現在、食品スーパーマーケットはもちろん、各小売業のポイントの会計処理に関してはまちまちであるといえよう。P/L上では、ポイントを売上から引く場合、経費に計上する場合があり、この2つは計上位置が正反対であり、売上から引けば、当然、売上減となり、減収になる可能性がある。逆に、経費に計上すれば、経費増となり、営業利益に響き、減益となる可能性があるが、差し引き、0となるので、実質、営業利益は変わらないといえば、変わらないと思われるが、経費増が気になるところであろう。

   B/S上ではどうかであるが、これも、使われずに残ったポイント分を算定し、負債のポイント引当金に計上することが多いが、その金額の計上額が、各社まちまちであり、心理上、低く見積もる傾向があり、実際の金額よりも小さい場合が多い。

   日経の記事の中では、国際会計基準を適用した航空会社の事例が2つ紹介されている。ひとつは、エールフランスの2009年3月期決算であり、今期、約1,115億円の最終赤字になり、その原因がポイント計上をさかもどって適用した結果、売上高の4%にもあたる負債が増え、資本の部が大きく減少したという。そして、もうひとつは、カンタス航空であり、未使用時のマイレージの負債を売上の12%に当たる金額を計上した結果、純利益が7%減少したという。いずれも、国際会計基準に則って、厳格にポイント金額を適用したことによる経営へのダメージであるという。

   では、国際基準ではどうなるかであるが、まず、P/L上では、ポイントは売上への計上に一本化されることになる。したがって、ポイント対象商品が売れた瞬間に、そのポイント相当分が売上から引かれることになり、実質、値引き処理と同等の会計が適用されることになる。したがって、ポイントがこれまでのように、企業の会計から隠れてしまい、見えなくなることがなくなる。企業としては、確実に、ポイント分の売上が減少することになるので、従来の売上と比較する場合、しばらくは、その分を差し引いて見る必要があろう。また、同時に、ポイントが使われようが、使われまいが、ポイント全額が負債に計上されることになる。したがって、この金額がその時点での、未使用ポイント総額となるので、企業におけるポイントの金額が明確になる。

   そこで、ポイントが実際使用された時はどうなるかであるが、従来は、費用として計上するのが一般的であったが、これが、国際会計基準では売上として計上されることになる。また、同時に、その相当額が負債から削減されることになる。見方を変えれば、ポイント分のお金をいったんお客様に貸し、その分を負債に計上し、お客様がポイント分のお金を使った時点で、売上に計上し(返済?)、負債がその分、削減されるという構造であり、その意味ではすっきりした会計処理であるといえよう。

   まさに、ポイントが第2の通貨という位置づけになり、企業としては、その通貨をお客様への商品の販売と同時に、一定額を発行し、その通貨の使用を様々な販促手段を通じて促し、その企業とお客様の間でその通貨が流通するという世界ができあがるというイメージといえよう。

   こう見ると、国際会計基準適用後は、各企業がポイント文化圏を独自に作ることになり、日銀のやっている金融政策と同様な様々な政策がとられることになろう。たとえば、マネーサプライ、すなわち、通貨発行量を調整し、インフレ、デフレを誘導をするとか、交換レートを変更し、顧客の販売促進を促すとか、他社の通貨(ポイント)との交換を促し、為替相場を設定するとか、強制的に通過を買い上げたり、売ったりする公開市場操作とか、円だけでなく、ドル、元との交換等も可能になろう。また、このような中央銀行だけでなく、様々なポイント専用の銀行が新たに生まれ、新ビジネスも登場するのではないかと思われる。

   いずれにせよ、ポイントは会計処理を含めて、まだまだ流動的な段階ではあるが、今後、電子マネーの勢いを見るまでもなく、確実に小売業界に深く、広く浸透しはじめてゆくと思われる。食品スーパーマーケットとしては、国際会計基準がいずれ適用されることを前提に、ポイントの経営戦略を検討しておきたいところである。

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June 12, 2009

ヤマダ電機の食品売場を見る、意外なポイントの使い方!

   高崎駅前のヤマダ電機の大型店、LABIの食品売場を見る機会があった。地下1階でかなりのスペースを割いて、生鮮品を除く、食品、雑貨、ドラックを大きく展開しており、グロサリーストアといった印象である。すぐに、目につくのは、各商品のプライスカードに示されたポイントであり、原則、全商品に3%ポイントが明示されているのが印象的であった。品揃えは、かなり絞り込んでおり、そのかわり、限界まで価格訴求をかけ、さらに、ポイントをつけるという徹底的にポイントにこだわった販売手法である。

   そのポイントについては、念の入りようで、当日のちらしを見ると、戦略商品には3%以上の10%ポイントがつき、それが、かなりの数に及ぶ。一例をあげれば、ドリンクのおーいお茶、伊右衛門等500ml、87円がさらに、10%ポイントがつく。同様に、2L、165円も10%ポイントがつく。ちらしには、「ケース買いが絶対お得!」というコピーもあり、価格訴求をかけたケース売りの飲料に、さらに10%ポイントがつけば、確かにお買い得であろう。さすがに、ここまでポイントにこだわった食品スーパーマーケットはあまり見ないといえ、独特なポイントの活用方法であるといえよう。

   そのケース売りであるが、たとえば、ペプシネックスは500mlが87円、ケース24本が2,040円(1本85円)であり、これに、10%ポイントがつくことになる。したがって、この10%ポイントをより強調するために、ドリンク関連の10%ポイントのちらし商品はすべて、ケース売りの場合の価格も明示されており、10%ポイントのお買い得感がより、増幅される演出になっている。また、米も同様に、10%ポイント商品があり、北海道きらら5kg、1,780円に10%ポイント、同様に10kg、3,280円に10%ポイントがついている。これ以外では、冷凍食品を超特価で売り、さらに、10%ポイントがつくなど10%ポイントが戦略的に使われているのが、ヤマダ電機の食品のマーチャンダイジングの特徴といえよう。

   また、この戦略的な10%ポイントに加え、日替り商品、特価品も多数あり、価格政策が2重、3重に張り巡らされており、ちらしのタイトルのように、「安さ全開、暮らし、元気宣言!」、「ヤマダなら食品・ドリンク、生活用品も激安!」と、文字通りの商品訴求となっているといえよう。さらに、ちらしには、YAMADAのサッカーボールを持ち、YAMADAのユニフォームを着たサッカー日本代表の中村俊輔選手が右手人さし指を突きあげた写真も掲載されており、激安を印象づけ、インパクトのあるちらしとなっている。

   ちなみに、日替わり商品であるが、日清チキンラーメン5食入り、298円、サンヨー、カップスター(しょうゆ、みそ、しお、カレー南ばん)、各95円、アクエリアス、コカコーラ500ml、各79円(先着100本、お1人様各2本限り)、王子ネピア、ネピアネピネス160W×5コパック(先着60点限り)、198円、ライオン消臭ブルーダイヤ(先着80点限り)、198円、キッコーマン本つゆ1L(先着30点限り)、248円などであり、日替わり、限定ゆえ、かなりの価格訴求であるといえよう。

   こう見ると、ヤマダ電気が食品をどう企業戦略の中で位置づけているかが明解である。特に、戦略上、ポイントが大きなキーとなっていることがわかる。食品の価格訴求をかけ、家電顧客以外の新規顧客を獲得し、店舗全体の客数を増やすと同時に、特に、食品の商圏である小商圏、足元商圏の来店頻度を引き上げようという狙いもあると思われるが、実は、さらに重要な狙いは、家電で貯めたポイントの使い道の選択肢を広げ、B/Sの負債を効果的に削減することの方が大きいように思える。なぜなら、本当に食品の購入顧客を大きく増加させるのであれば、当然、生鮮、日配の充実は必須であり、かつて、百貨店が生鮮カテゴリーキラーをこぞってテナントに入れたように、生鮮、日配の強い食品スーパーマーケットをテナントに入れた方が早いし、確実だからである。ヤマダ電機があえて、自社にこだわり、しかも、グロサリーに特化し、ポイントにこだわるのは、そこに答えがあるといえよう。

   実際、今期のヤマダ電機の決算数値を見ると、経費において、ポイント販促費が1,534.18億円(昨年931.64億円)と、何と、約1,500億円、通常の中堅食品スーパーマーケットの年商分使われており、しかも、伸び率は164.6%と驚異的な数字である。売上対比でも8.2%であり、食品スーパーマーケットでは考えられないポイント比率である。ちなみに、広告宣伝費が302.85億円であるので、いかに、ポイント費用が大きいかがわかる。

   そして、これ以上に経営上、重要なポイントは、B/S上における負債のポイント引当金である。今期は177.00億円(昨年72.00億円)であり、昨年対比245.8%であり、総資産7,784.89億円の2.27%、流動負債1,735.33億円の10.2%であり、存在感のある負債となりつつある。したがって、負債を早く、できれば、家電を購入したその日に削減でればベターであり、そのための、最も有力な戦略商品を食品、特に、グロサリーと位置づけたのではないかと思われる。

   食品スーパーマーケットは食品の中でだけでポイントというID客数PI値(来店頻度)を引きあげる最大の武器を回さざるを得ないが、ヤマダ電気はメインの家電を中心に、今回のように食品を加えることができるので、総合的にポイントがうまく流れ、負債が圧縮され、さらに、家電顧客のID客数PI値(来店頻度)を引きあげ、既存店の売上アップにつながるのではないかと思われる。今後のヤマダ電機の食品、特に、ポイントの活用に注目である。

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June 11, 2009

相鉄ローゼン、24時間化へシフト!

   相鉄ローゼンが、6/10から、そうてつローゼン並木店(神奈川県)にて、24時間営業を開始することが明らかになった。神奈川新聞の電子版、カナコロが報じているところによると、この並木店が24時間化の1号店となり、今期中に20店舗近くまで、24時間か、大幅な時間延長に踏み切るという。特に、注目は、午後9時から翌午前中8時までの業務を人材派遣会社に委託することで人件費を抑制でき、しかも、派遣社員が夜間の品出しや棚整理を担当し、業務としては24時間体制になるということである。

   すでに、首都圏では西友、マルエツ等が24時間化に踏み切っているが、相鉄ローゼンが24時間化に踏み切ることで、食品スーパーマーケット業界としても、特に、都心部においては、24時間営業を検討する段階に入ったといえよう。食品スーパーマーケット業界では、広島のハローズが全約40店舗、ほぼすべての店舗で24時間営業を実施し、先行しているが、その状況を見ると、ポイントは24時間店舗運営システムに加え、24時間物流システム、24時間情報システムの三位一体の24時間システムが必須である。特に、24時間物流システムは一朝一夕では難しく、物流センターからの1店舗当たり6便の4温度帯の配送システムが必須といえる。西友に関しても、24時間体制の首都圏東西の2物流センターを完備してから、24時間化を加速しており、今回の相鉄ローゼンに関しても、24時間物流システムをどう完成度をあげてゆくかが課題となろう。

   ここで、ハローズの24時間のお客様へ商品を供給する体制を見てみたい。24時間の中でも、最も重要な時間帯は比較的お客様の少ない、0時から6時までの6時間であるが、ここでのハローズの店内作業は品質賞味期限のチェック、清掃に加え、物流センターから納品されてくるデイリー、グロサリー等の商品補充陳列が主な店内業務となる。そして、そのためには、24時間4温度帯6便の物流システムが大きなカギを握っており、0時にデイリー、グロサリー、資材の積込み、2時にデイリー、デリカの積み込み、5時にパン、デリカの積み込みと、ここに6便の内3便を集中させ、原則、生鮮以外の商品物流、店内での作業を集中させている。ここまで、この6時間を有効に、約40店舗近くで実現している食品スーパーマーケットはハローズ以外にないといえ、これがハローズの食品スーパーマーケットとしての強みのひとつとなっている。

   ちなみに、ハローズの物流センターでのこれ以外の積み込みの時間であるが、12時にデイリー、デリカ、パン、青果、16時に青果、20時にグロサリー、資材であり、0時から6時までがいかに重要な時間帯であるかがわかる。当然、12時間営業、10時間営業では、この時間帯の有効活用はできず、その営業時間内に物流も集中することになり、かなり、忙しい店内作業、物流作業となる。その意味では、24時間営業は、24時間物流システム、24時間情報システムが支えているといっても過言ではなく、相鉄ローゼンがこのような仕組みをどのように構築してゆくかが気になるところである。

   その相鉄ローゼンの2009年2月期の決算であるが、売上高913.49億円(98.8%)、営業利益2.77億円(37.1%:売上対比0.3%)、経常利益-1.68億円、当期純利益-12.78億円と減収減益、経常利益、当期純利益は赤字となる厳しい決算であった。自己資本比率も22.7%(昨年26.2%)と、悪化し、約80%を負債に依存する経営状況となり、厳しい状況である。相鉄ローゼンが24時間化に踏み切る背景には、まずは売上を確保し、利益につなげて行きたいという切実な背景があるといえよう。

   この決算数字を見ると、特に、経常利益段階で赤字になっているが、これは、相鉄ローゼンによれば、「9月に判明した鮮魚部門の期限表示違反問題で17店舗の鮮魚販売を一時中止した影響、・・」が大きく、「鮮魚部門の委託先変更に伴う諸費用や不採算事業所4店舗の閉鎖費用を特別損失に計上」したことが影響しているという。ただ、営業段階でも大きく減益となっており、その状況を見ると、原価は71.6%(昨年71.6%)と昨年と同水準を維持し、売上総利益は28.4%(昨年28.4%)となったが、販売費及び一般管理費が32.3%(昨年31.7%)と0.6ポイント上昇し、差し引き、マーチャンダイジング力が-3.9%(昨年-3.3%)とマイナス幅が広がった。これに、不動産収入、物流収入等の営業収入が4.2%(昨年4.1%)のり、結果、営業利益が0.3%(昨年0.8%)となり、営業減益となった。

   これを見ると、今期は原価は昨年の水準を維持できたが、経費が上昇しており、今後、店舗の24時間化が進むことで、売上の改善はみられると思うが、それに伴い、経費の上昇も起こる可能性があり、相鉄ローゼンがこれらのバランスをとり、いかに、収益の改善につなげられるかが課題といえよう。食品スーパーマーケットも、24時間化が現実の問題となりつつあるといえ、今回の相鉄ローゼンの取り組みが、今期の厳しい決算を改善する転機となるか、今後の動向に注目である。

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June 10, 2009

神戸物産、2009年10月期中間決算、回復基調!

   神戸物産の2009年10月期の中間決算が6/5公表された。結果は、売上高618.57億円(129.6%)、営業利益2.54億円(79.2%:売上対比0.4%)、経常利益2.22億円(188.1%:売上対比0.4%)、当期純利益1.21億円(130.6%:売上対比0.2%)と営業段階では減益となったが、経常、当期純利益段階では、増収増益となる、回復基調の中間決算となった。昨年の中間決算は、減収減益、しかも、営業、経常、当期純利益ともに、大幅な減益であったので、まだ、売上対比では利益は低いものの、数字は確実に回復しており、今後、期待がもてる決算結果といえよう。

   また、通期に関しても、売上高1,310.00億円(122.3%)、営業利益18.75 億円(184.0%:売上対比1.43%)、 経常利益18.75億円(235.3%:売上対比1.43%)、当期純利益11.10億円(250.6%:売上対比0.74%)と大幅な増収増益となる予想であり、しかも、後半の方が数字が大きく上向いており、神戸物産の数字が明らかに回復しつつあるといえよう。

   この中間期、神戸物産の売上が特に増加している要因は、積極的な新規出店にある。この期間に18店舗の新規出店を果たし、結果、総店舗数は494店舗となった。特に、地方エリアが10店舗、直轄エリアが8店舗と、地方エリアの勢いが増しており、外食産業自体は厳しい経営環境にあると思われるが、業務スーパーの出店はここへきて、むしろ好調であるといえ、新店が売上増に大きく寄与している状況である。

   一方、利益の方であるが、原価は95.9%(昨年94.6%)となり、昨年よりも、1.3ポイント上昇しており、今期は原価の上昇が大きかったといえる。結果、売上総利益は4.1%(昨年5.4%)となり、粗利が下がったことが、営業利益に響いたといえよう。神戸物産は直営店舗数は2店舗であるので、494店舗のほぼ全部がFCといえ、売上総利益は商品売買から得られる利益ではなく、FCからの加盟店収入であり、売上総利益が5%前後となる収益構造となる。これに対して、経費の方であるが、販売費及び一般管理費は3.7%(昨年4.7%)となり、昨年と比べ1.0ポイントと大幅に削減された。結果、営業利益は0.4%(昨年0.7%)と、0.3ポイント下がっており、売上が129.6%と好調に推移したが、相殺できず、結果、営業利益は減益となった。経費は削減できたが、原価の上昇が大きかったといえよう。

   今期、営業利益が減益になったにも関わらず、経常利益が増益となった要因は、昨年は営業外損失が為替差損、デリバティブ評価損が大きく、今期は損失が少なく、経常利益段階では増益となり、当期純利益もそれに順じて、増益となったためである。こう見ると、営業段階では、まだ原価が不安定であるが、後半は通期予想を見る限り、大幅に回復する見込みであり、どのタイミングで、どのくらい改善するのか気になるところである。

   次に、キャッシュフローの流れを見てみたい。この中間期には、投資キャッシュフローが-19.78億円であり、その中身は、有形固定資産の取得による支出が-18.44億円と大半を占め、積極的な新規出店へ投資が向けられていることがわかる。昨年は-17.77億円であり、有形固定資産の取得による支出は-10.86億円であったので、大きく増加しており、経営が攻めに転じているのがわかる。その原資である営業キャッシュフローであるが、10.50億円と投資キャッシュフローを下回っており、フリーキャッシュフローが-9.28億円とマイナスとなっているが、昨年は4.76億円であり、フリーキャッシュフローは-13.01億円とさらにマイナスであるので、昨年よりは、改善しているが、それでもマイナス幅は大きいといえよう。したがって、財務キャッシュフローで賄う状況となり、短期借入20.00億円が増加し、財務キャッシュフローは、17.08億円となった。その結果、トータルでは4.00億円増加したが、短期借入が増えたことは気になるところである。これに対し、昨年は、財務キャッシュフローが-2.88億円であり、トータル-16.02億円となり現金及び現金同等物がマイナスとなった。

   こう見ると、営業キャッシュフローが不十分といえ、今後、さらに成長をしてゆくためにも、営業利益をいかに増加させるかが大きな経営課題といえよう。今期は財務キャッシュフローでみたように短期借入金を調達したので、結果、負債が増加し、自己資本比率は42.3%(昨年48.3%)と下がる結果となった。実際、負債の中の有利子負債は20.65億円となり、前期決算時の0.68億円から、ほぼこの短期借入分が増加した恰好であり、結果、総資産292.21億円に占める割合は、7.1%となった。まだ、大きな比重を占めているわけでないが、結果、自己資本比率が下がっており、後半、どこまで削減できるかが課題といえよう。

   一方、資産面であるが、土地、建物の出店関連の資産は63.44億円であり、総資産の21.7%であり、通常の小売業と違い、FC主体の事業構造であるので、低いと思われる。では、資産の中で比重を占めているのは何かであるが、流動資産が207.30億円と総資産の70.9%を占めており、極めて高い比率である。その主要項目は現金及び預金97.84億円(総資産の33.4%)、売掛金67.76億円(23.1%)、商品34.16億円(11.7%)と合計199.76億円となり、ほぼすべてである。これも通常の小売業とは大きく違うところであり、特に、売掛金が資産の23.1%とかなりの比重である。こう見ると、神戸物産にとっては、新規出店を安定的に果たしてゆくには、土地、建物も重要であるが、それ以上に、FC本部特有の売掛金、商品が重要であり、これを足すと、総資産の56.5%となり、この資産比率と自己資本比率のバランスが安定成長のポイントといえよう。今期は差し引き、14.2%分、負債に負う財務構造であり、今後、さらに、自己資本比率を増強させ、安定成長につなげたいところであろう。

   このように、この中間決算の神戸物産の結果は、昨年よりも改善の兆しが見え始めたが、営業利益段階では、まだ、原価の上昇が利益を圧迫しており、今後、いかに、原価を抑えられるかが課題といえよう。ただ、通期予想は、この営業利益が大きく改善する予想であり、次の、第3四半期どこまで、原価が改善するかに注目したい。

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June 09, 2009

ホールフーズマーケット、最新決算、第2四半期を見る!

   すでに、本ブログでも取り上げているが、ウォルマートの最新決算、2009年度、第1四半期は海外部門が為替変動の影響で、減収減益となったが、ここ数年、好調を維持していた自然食品専門の食品スーパーマーケット、ホールフーズマーケットのここ最近の動向はどうであるかを、この第2四半期決算をもとに見てみたい。そのホールフーズマーケットの結果であるが、ウォルマート同様、この第2四半期、4/12までの12週間は減収減益の厳しい決算となった。28週累計では、売上はわずかにプラスとなったが、利益は減益となり、増収減益となるやはり、厳しい決算である。ホールフーズマーケットもここへきて、成長がストップしたといえよう。

   ホールフーズマーケットは、この5年間、自然食品専門の食品スーパーマーケットとして、急成長を遂げた企業である。その推移をみると、2003年(117.0%:既存店108.6%)、2004年(122.8%:既存店114.9%)、2005年(121.6%:既存店112.8%)、2006年(119.3%:111.0%)、2007年(115.3%:既存店107.1%)、2008年(123.6%:既存店104.9%)と、急成長を遂げてきた。しかし、直近を見ると、2009年第1四半期(100.4%:既存店96.0%)、2009年第2四半期(99.5%:既存店95.2%)という結果となり、今年に入り、急に売上が下がったことがわかる。アメリカにおける金融不安による消費環境の悪化をもろに受けた結果といえよう。

   そこで、この第2四半期の経営状況をより、詳しく見てみたい。まず、売上は先に見たように、第2四半期は全体が99.5%、既存店は95.2%という状況である。では、原価はどうであったかであるが、65.3%であり、これは、通常の食品スーパーマーケットではありえない高い数字である。結果、売上総利益、粗利は34.7%となり、ウォルマートの24.7%と比べても10%も違い、日本の食品スーパーマーケットでもここまで高い粗利の企業は皆無であり、極めて高い数字であるといえよう。逆にいえば、この粗利の高さが自然食品を扱う食品スーパーマーケットの最大の強みともいえよう。

   一方、経費であるが、ホールフーズマーケットは通常の小売業と違い、経費を細かく細分化しており、大きくは店舗段階での経費、本部経費、改装、店舗移転等の経費に分けている。したがって、それぞれの段階で利益が計算されており、利益を生み出す要因を特定することができるようになっている。まず、店舗段階であるが、26.9%であり、粗利も高い分、店舗段階でも相当の経費をかけていることがわかる。ここで一旦利益が確定され、店舗貢献利益は、7.8%となる。次に、本部であるが、3.1%であり、ここまでの累計で30.0%となり、利益は4.7%である。通常はここで終わるが、さらに、開発関連が別に計上され、プレオープン費用、移転、閉店、リースなどの費用は別計上であり、1.00%となり、結果、営業利益は3.7%となり、減収の上に、昨年が4.0%であったので、減益となった。それにしても、ここまで、経費を段階的に分けて、利益を算出している企業は、管理会計ではあっても、決算での公表では珍しいといえる。

   結果、3.7%という営業利益であるが、粗利が34.7%に対し、31.0%の経費であり、経費も十分にかけ、特に店舗段階での経費が26.9%と高く、逆にいえばそれだけ、自然食品であるがゆえの商品管理、顧客サービスに費用がかかるのであろうと思われる。ウォルマートと対極の経営戦略であり、コストをあげて、その分、粗利を確保し、結果、利益を生み出すという利益構造であり、ホールフーズマーケット独特の商いといえよう。

   では、財務面はどうかを見てみたい。まずは、自己資本比率(ここでは純資産比率)であるが、42.1%である。したがって、約60%弱が負債であり、その最大の項目を見ると、有利子負債が743億円であり、総資産の20.3%である。これを昨年、2008年度と比べると、昨年は総資産の27.3%であったので、削減されており、有利子負債の削減が進んでいる。余談だが、このB/Sを見ると、負債の項目において、流動負債の合計はあるが、固定負債の合計はなく、流動負債+固定負債の総合計があるだけであり、流動負債を重視しているこがわる。ちなみに、流動負債は総資産の17.9%である。

   一方、資産の方であるが、出店にかかわる資産である土地、建物等は51.6%であり、これに在庫8.7%を加えると、60.3%となり、ここから出店余力を計算すると、差し引き、-18.2%となる。負債にかなり依存した財務構造といえ、今後、安定した成長を目指す上にももう少し、自己資本比率を引き上げたいところであろう。

   また、キャッシュフローであるが、投資キャッシュフローは-185億円(昨年-111億円)と増加しており、特に、新規出店への投資が昨年よりは控え目であるが、大半を占めている。営業キャッシュフローは315億円(昨年161億円)と大幅に増加しており、結果、フリーキャッシュフローは130億円と大きくプラスとなった。そして、財務キャッシュフローであるが、205億円(昨年10億円)となった。これは有利子負債が増えたわけではなく、むしろ、長期借入金を返済しており、投資関連の収入があったためである。結果、トータルのキャッシュフローが大きく増加しており、キャッシュフローは極めて良い流れであったといえよう。

   このように、この直近、2009年度の第2四半期の決算は減収減益となる厳しい決算となったが、意外に、財務内容は安定しており、特に、キャッシュフローは昨年と比べ大きく改善している。今後、アメリカの消費環境がどう変化するかにもよるが、当面は低成長が続くと思われ、今回の決算のように、財務の改善をはかりつつ、成長の機会を狙うという経営が続くのではないかと思われる。今後のホールフーズマーケットの動向に注目である。

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June 08, 2009

食品スーパーマーケット、決算後の株価は?

   ここへ来て、株価が急上昇している。日経平均の推移をみると、いよいよ、今週は1万円の大台にのるかどうかがポイントとなっており、6/5(金)の終値は、9,768.01円 (+99.05円、+1.02%)となり、あと200円強で1万円を超える。日経平均は3月中旬にV字回復基調に入っており、この1月からの推移を見ると、1月の初めは9,000円前後で推移していたが、その後、急落、3月中旬まで右下がりに急降下し、7,000円前後となった。その後、日経平均は反転、まさにV字に近い右上がりの力強い上昇基調となり、4月には年初の9,000円 前後まで回復した。その後、しばらくもみ合っていたが、5月に入り上昇を続け、6月に入り9,500円を超え、いよいよ1万円真近まで迫った。そこで、このような中で、決算発表を終えた食品スーパーマーケット業界の株価が、どのような推移をしているかを見てみたい。

   まず、まさに、ここ最近、直近の動きであるが、5日移動平均で見て、No.1の食品スーパーマーケットの株価はマルエツであり、481円(5日移動平均8.01%)である。小売業全体でも9位とベスト10に入っており、この数日は、大商いとなり、株価がいっきに上昇している。マルエツはここ最近、不安定な株価の動きであり、450円弱ぐらいで推移していたが、6月に入り、急上昇している。年初来高値が1/5の571円であるので、今後、この数字にどこまで迫れるかが、ポイントであろう。

   No.2はマルキョウであり、529円(5日移動平均6.65%)である。株価の推移を見ると、きれいに右上がりの上昇カーブに入っており、25日(19.95%)、13週(25.95%)、26週(32.25%)と、移動平均も中長期になるに従い上昇している。実際のチャートも3月初めには400円弱ぐらいで推移していた株価が、4月下旬ぐらいから急上昇に転じ、500円を超え、この6/5の529円はもちろん年初来最高値である。今後、注目の株価といえよう。

   No.3はマルヨシセンターであり、282円(5日移動平均4.83%)である。ただ5日移動平均では高い数字であるが、25日(0.00%)、13週(0.35%)、26週(-2.08%)と、不安定な動きである。No.4はアークランドサカモトであり、903円(5日移動平均4.39%)である。チャートを見ると、4月下旬までは750円前後で推移していたが、ここ最近は900円前後まで上昇しており、やや不安定な動きではあるが、すべての移動平均がプラスであり、今後の株価が気になるところである。そして、No.5はマックスバリュ中部であり、889円(5日移動平均2.77%)である。株価はここ数ケ月ほぼ横ばいで推移しているが、6月に入って、ここ数日上昇気味で推移している。

   以下、10社、ベスト15まで見てみると、No.6ドミ-520円(5日移動平均2.36%)、No.7いなげや929円(5日移動平均1.53%)、No.8ハローズ665円(5日移動平均1.37%)、No.9イズミヤ534円(5日移動平均1.32%)、No.10サンエー2,870円(5日移動平均1.30%)、No.11東武ストア309円(5日移動平均0.98%)、No.12マルヤ110円(5日移動平均0.91%)、No.13カスミ413円(5日移動平均0.73%)、No.14マックスバリュ東北605円(5日移動平均0.66%)、そして、No.15フジ1,714円(5日移動平均0.46%)である。

   以上が、ベスト6からベスト15までの食品スーパーマーケットであるが、この中で、明らかに株価が右上がりで推移しているのは、ハローズとイズミヤである。ハローズは25日(7.77%)、13週(12.33%)、26週(10.09%)とすべての移動平均がプラスであり、実際チャートを見ると、4月下旬までは570円前後で株価が下がり気味で推移していたが、その後株価は上昇、ほぼ右上がりに665円まで上昇している。また、イズミヤであるが、25日(4.50%)、13週(10.10%)、26週(3.68%)と、ハローズ同様、すべての移動平均がプラスで推移している。実際のチャートも3月の中旬以降から2ケ月以上、上昇気味で推移しており、一旦は400円近辺まで下がった株価が、現在500円を優に超え、年初来最高値をつけた1/5の610円に迫る勢いである。

   では、逆に、短期の5日移動平均が下がった株価を見てみたい。1位はマックスバリュ東海であり、1,124円(5日移動平均-2.26%)となった。チャートを見ると、まさに、6月に入って株価が反転しており、5月下旬までは上昇し、一時は1,200円を超えた株価が、ここ数日間大きく下げており、気になるところである。2位はタイヨー1,639円(5日移動平均-2.26%)である。タイヨーは商いが少なく、変動の激しい株価であるが、この数日間は株価を下げている状況である。3位はオークワ1,014円(5日移動平均-2.12%)であり、3/27年初来最高値1,464円をつけて以降、株価は下がり続け、商いも売り圧力が強く、厳しい株価が続いている。4位はベルク825円(5日移動平均-1.19%)である。ここ最近は上げ下げを繰り返しており、6月は下げているが、商いも小さく、急激な動きではない。そして、5位は天満屋ストアであり、814円(5日移動平均-0.85%)である。ここ数日は下げ基調であるが、この数ケ月間、ほぼ820円前後で推移しており、大きな下げではないといえよう。

   このように、ここへきて、日経平均がいよいよ1万円の大台に迫りつつあり、株価は回復基調に入ったように見える。食品スーパーマーケットもいま見たように、全体的に上場気味に推移しはじめているといえ、特に、6月に入って上昇に転じた企業が多い。マルキョウ、ハローズ、イズミヤのように、中長期的にも上昇しはじめている株価も見られるようになり、ほぼ、全体の動きに連動した動きといえよう。今週、そして来週と、食品スーパーマーケットはもちろん、全体の株価がどのような推移となるか注目である。

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June 07, 2009

電子マネ-、急増、1億3,000万枚!

   6/6の日経新聞に電子マネーの普及状況の記事が掲載された。記事の見出しは、「電子マネー、1人1枚、発行1億3,000万枚に」、「手軽さ受け決済1兆円超、現金文化が土台に」であり、この4月か3月時点の各社の電子マネーの発行枚数と月間決済件数の一覧表が掲げられた記事である。この表には各社の昨対の数字も掲載されており、これを見ると、この表に掲載されていない、電子マネーも含め、主要10規格の合計発行枚数は1億2,654万枚(昨対132%)、月間決済件数1億1,197万件(昨対132%)であり、どちらも昨対132%と急激な勢いで伸びていることがわかる。

   特に、食品スーパーマーケットにとっても気になるnanacoとwaonの状況であるが、nanacoは777万枚(昨対135%)、月間決済件数は2,900万件(昨対104%)であり、waonは1,158万枚(昨対213%)、月間決済件数は2,050万件(昨対331%)という状況であり、waonがこの1年で急成長していることがわかる。記事の中でも、waonはイオングループの3,000店以外に吉野家など外部利用店を広げ、現在約28,000店で使えるようになったとのことであり、外部店舗の貢献が大きいといえよう。

   ここから、1件当たりの電子マネーの利用件数を算出してみると、まず、全体は1億1,197万件÷1億2,654万件であるので、0.88件となる。したがって、全体の電子マネーは1ケ月に1件を切る決済状況であり、毎月という月間の頻度では使われない電子マネーがかなりあるといえよう。では、nanacoではどうかを計算してみると、2,900万件÷777万枚であるので、3.73件であり、ほぼ1週間に1回弱という割合であり、全体と比べると、約4倍の数字である。これに対してwaonであるが、2,050万件÷900万枚であるので、2.28件であり、ほぼ、2週間に1回という割合である。nanacoの方がセブンイレブンに特化している分、決済件数の頻度が高いといえよう。

   ちなみに、日経に掲載された他の電子マネーを同様に計算してみると、edyは2,450万件(昨対122%)÷4,840万枚(昨対102%)=0.51件であり、ほぼ2ケ月に1回の割合である。Suicaは2,621万件(昨対119%)÷2,589万枚(昨対126%)=1.01件であり、ほぼ月1回の件数である。PASMOは1,078万件(昨対141%)÷1,227万枚(昨対205%)=0.88件であり、ちょうど全体と同じ数字であり、1ケ月に1回を下回る件数である。そして、iDであるが、決済件数は非公表であるので、発行枚数のみであるが、1,158万枚(昨対164%)である。こう見ると、nanacoの月間3.73件は断トツの数字であり、ついで、waonの2.28件となり、流通系の電子マネーが数字で見てもよく使われているのが鮮明である。ただ、nanacoの月間決済件数の伸び率が昨対104%と伸び悩んでいることがやや気になるが、月間3.73件は電子マネーとしては、限界に近い数字であるのかもしれない。

   そこで、nanacoについて、もう少し、数字を掘り下げてみると、仮に、この777万枚がセブンイレブン約12,000店舗のみで発行され、使われていると仮定した場合、1店舗当たりでは、777万枚÷12,000店舗であるので、647.5枚となる。また、決済件数は2,900万件÷12,000店舗であるので2,415.7件となる。nanaco 1枚当たりでは、先ほどと同じ3.73件である。これを1日当りに直すと、80.5件となる。セブンイレブンの1日当たりのレジ通過客数は約1,000人であるので、これはレシート枚数、すなわち、決済件数を表しているので、1日1,000件の決済件数であるといえる。したがって、ここから、電子マネーのシェアを計算してみると、80.5件÷1,000件となり、8.05%、約10%弱となることがわかる。また、nanacoの発行枚数、1店舗当たり、647.5枚は客数1,000人の6割強となるが、実際のセブンイレブンの利用者数は食品スーパーマーケットのポイントカードの状況から類推すると、1日の客数の4倍から5倍はあると思われるので、4,000人で16.1%、5,000人で13.0%となる。

   ここから、セブンイレブンにおける電子マネーの状況を推定すると、来店顧客(レシートではなく、ID)の15%前後がnanacoを保有し、その顧客が月に3.73回使用し、1日当たりでは全部で80.5件であり、全体の割合は約10%弱ということになろう。あくまでも、nanaco、777万枚がすべてセブンイレブンの電子マネーであると仮定した場合の想定数値である。

   したがって、これが電子マネー1枚当たりの決済件数が最高のカードの実態といえるので、これが高いか低いか、そして、将来、電子マネーが食品スーパーマーケット、コンビニ等、小売業での決済手段のどのくらいの比重を占めるのかであるが、強気に見て、顧客の20%から30%が保有し、決済も20%から30%というところが、当面の限界値であり、目標値といえよう。

   このように、日経新聞で現時点での電子マネーの普及状況が集計され、発行枚数、決済件数ともに、日本国民の人口にほぼ等しくなり、昨対130%で増加している状況が明らかになった。ただ、電子マネー決済件数No.1のnanacoで見ても、現時点での店舗での顧客保有率、利用率とも20%から30%であり、残り70%から80%は現金顧客であるといえ、通常のポイントカードが顧客保有率、利用率ともに、70%から80%である現状と比較すると、対照的な数字である。当面、電子マネーの普及はさらに進むであろうが、顧客にとっても、店舗にとっても単純なポイントカードの優位性は依然続くものといえよう。

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June 06, 2009

日経MJ、新製品週間ランキング、好調!

   ここへ来て、各社メーカーから新製品があいついで投入され、しかも、金額PI値の高い商品が多く、日経MJ新製品週間ランキングが好調に推移している。特に、飲料とその他商品が好調であり、金額PI値も超Aランクの1,000円を超える新製品も見られ、高い水準の商品があいついで、投入され、注目である。また、菓子でも、ここ最近の新製品が上位にランクされ、冷凍食品ではベスト20、すべてアイスクリームと異常事態となり、冷凍食品の新製品が1品もランクインしない状況であり、アイスクリームが好調である。

   まず、注目は、その他商品の山崎製パン、MR.BRAIN脳トレパン(DHA入り塩キャラメルチョコクリーム&ホイップ)1個であり、金額PI値は1,152円、先週比840円アップという異常値である。日経MJの解説によれば、すでに、TBSのテレビドラマのMR.BRAINの放送が5/23に始まっており、その影響も大きいという。それにしても1週間で840円の金額PI値アップは異常といえ、カバー率も80.8%と高い数字である。今後、どの辺で落ち着くか、特に、初回購買から、リピート購買に移るにしたがい、どのくらいリピートが発生するかにもよるが、当面、注目の大型新製品といえよう。

   ついで、金額PI値2,000円を超えた飲料部門の森永乳業、まきばの空1,000mlが、3/1初登場の新製品であるが、依然として絶好調である。牛乳の重点商品として、組み込むに十分な金額PI値であるが、カバー率が39.6%と伸び悩んでおり、さすがに、牛乳は競争が激しく、新規に定番に組み込むのは中々に難しいようである。牛乳は、食品スーパーマーケットでは50SKU前後であるが、金額PI値2,052円(1人当たり2.052円)は、ベスト5に入る高い数値であり、パワーとしては、十分であるが、既存商品で1,000円、2,000円の商品がひしめき合っており、定番化がなかなか難しい商品群でもあり、カバー率がいまひとつ上昇しないようである。

   飲料部門はこのまきばの空以外にも、今週は金額PI値の高い商品のオンパレードである。2位には花王、ヘルシアスパークリング500mlペットボトル、金額PI値875円が入り、先週比も54円アップ、カバー率も88.0%と確実に市場に浸透しつつあり、好調である。3位には麒麟麦酒、フリー350mlが金額PI値690円で入り、カバー率は93.6%と高いシェアをとっている。

   さらに、4位、7位に初登場のアサヒ飲料、三ツ矢サイダー、オールゼロ500mlペットボトル、1.5Lが入り、金額PI値は624円、428円と高い数字での初登場である。カバー率も86.8%、84.0%と初登場としては、極めて高い数字であり、注目の新製品といえよう。そして、5位、6位に日本コカ・コーラ、爽健美茶2L、500mlペットボトルが入り、金額PI値は623円、511円とどちらも、Aランクとなり、しかも、カバー率は93.6%、96.8%と極めて高い数字である。これ以外にも、飲料はここへきて、気温も上昇しはじめたこともあり、全体として、好調な数字である。
  
   もうひとつの注目部門、その他食品部門であるが、1位は先ほど解説したMR.BRAIN脳トレパンであるが、2位に日清食品、カップヌードル77g、金額PI値はAランクの519円が入った。4/18初登場であるが、先週比21円と上昇している。カバー率は97.6%とほぼ対象49チェーン250店舗に行きわたり、高い数値での定番化が確立したといえよう。日清食品は、これ以外にも、6位、日清御膳きつねうどん81g、金額PI値159円、8位に日清御膳天ぷらそば89g、金額PI値147円、10位に初登場、はんなりどん兵衛京風うどん52g、金額PI値129円、13位にはんなりどん兵衛温つゆおそうめん51g、金額PI値116円、18位に大盛屋豚キムチ109g、金額PI値108円、そして、20位に大盛屋焼豚だれしょうゆ114g、金額PI値102円と、全部で7品、たてつづけに新製品を投入しており、すごい勢いである。
   
   さらに、その他食品では3位に日本製粉、そうめん500g、金額PI値181円、4位に明治乳業、なめらかソフト300g、金額PI値170円、5位に花王、エコナクッキングオイル天ぷら粉セット600g+100g、金額PI値162円と、金額PI値はやや下がるが、各社から新製品が投入されており、飲料に続いて、注目の部門といえよう。
   
   この2部門以外では、菓子部門で1位に初登場のカバヤ食品、生キャラメル2袋×5が金額PI値347円で入り、今後、どこまで伸びるかが注目といえよう。2位、3位はカルビー、ポテトチップスうすしお味60g、コンソメパンチ60gが入り、金額PI値255円、198円と安定した数字を達成している。この60gは7位、11位に湖池屋、Mサイズポテトチップスのり塩60g、Mサイズポテトチップスうすしお味が金額PI値116円、79円で入っており、ポテトチップスはここへきて、60g、100円に大きくシフトしたといえよう。
   
   このように、今週の日経MJ新製品週間ランキングは、飲料、その他商品が絶好調であり、それについで、菓子がアクティブに動きはじめており、全体として、新製品市場が活性化しつつある印象がある。消費環境は消費者物価指数(CPI)が下がりはじめ、家計調査データも低迷気味で推移しはじめており、デフレ傾向が鮮明になりつつある。このような中で、新製品の重要性は増しているといえ、今後、メーカー各社がどのような新製品を投入してくるかに注目したい。

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June 05, 2009

PI値と棚割、ベイシア実験!

   日経流通に、「販売数と陳列、完全連動、ベイシア、商品補充を効率的に」という記事が掲載された。内容は、ベイシアが、販売点数の割合に応じて各商品の陳列数を決める売場作りを始めるというものであり、納豆を事例に解説している。記事には売場写真も掲載されており、その写真を見ると、ちょうど、納豆売場の下段に販売点数首位のおかめ納豆(タカノフーズ)が、売場の5割を占めているシーンとなっている。これにより、ベイシアでは、販売点数の高い商品は「商品の回転率が高く1日3回は補充しなければいけなかったが、今後は1回ですむ」とのことで、今後、新店や既存店でもこの棚割を導入する方針であるという。

   これは、まさに、PI値の棚割への応用事例の問題といえ、特に、作業性を重視した観点からの棚割への応用といえよう。通常、食品スーパーマーケットは客数が約2,000人であり、最新の家計調査データ、2009年4月度で見ると、納豆は金額PI値9.90円、約10円である。もちろん地域差があり、5円にも満たない、地域から、ベイシアの地元、北関東では20円、30円の地域もあろう。仮に、金額PI値が10円であったとすると、納豆の平均単価は100円ぐらいであるので、PI値は逆算すると10円÷100円=10%となる。ベイシアでは納豆のNo.1商品が5割を占めるというので、PI値は5%ということになる。

   これを客数2,000人で計算すると、No.1の納豆は、2,000人×PI値5%=100個ということになる。写真を見ると、ざっと下段の10フェースぐらい売場を占めており、4段積みぐらいであろうか。棚の表面は奥行き2列であるが、さらに、見えない下段の奥の場所に2列2段ぐらいありそうであるので、在庫量は表10フェース×2列×4段+奥10フェース×2列×2段=120個ぐらいであろう。120個は多いか少ないかであるが、客数2,000人、PI値5%で見れば、約2割増であり、仮に、3,000人であれば、150個となるので、80%となる。

   当然、食品スーパーマーケットにおいては、客数、PI値ともに、内部要因、外部要因で変動することになり、上下20%の変動は日常茶飯事で起こるのが実態である。したがって、正確に販売数量を予想するのは極めて難しく、この変動要因をどのくらいで読むかが大きな課題となる。これは、統計学的には、標準偏差の問題であり、平均値+標準偏差、平均値-標準偏差の範囲で約70%が理論的にはカバーできるので、この標準偏差をできれだけ小さくする努力、逆に見れば、平均値に近づけるマーチャンダイジングが安定した予想には不可欠となる。

   ベイシアでは、早くからEDLPを採用しており、実は、これが最もPI値の変動要因を小さくする最良の方法である。先にあげたように、変動要因は内部要因、外部要因があるが、この中で最も影響を当たるのは価格である。価格が通常の何%になるかによって、PI値は大きく変動する。実際、PI値と価格との相関グラフを作ってみると、ほとんどの商品でy=1/xの双曲線に近い分布図となり、価格とPI値はまさに負の相関関係にあるといえ、PI値を安定させる最良の方法は価格を変えないことであることがわかる。したがって、EDLP政策はPI値安定のための最良の政策といえ、結果、客数が大きく変動しなければ、あるいは、客数の予測精度が上がれば、販売数量は安定し、在庫予想が容易になり、結果、作業量も平準化されることになる。

   世界最大の小売業、ウォルマートがEDLPを頑なに守り通すのは、このためであるといえよう。したがって、自然、自動発注も可能となり、その延長線上の自動棚割も可能となる。ただ、ウォルマートの場合は、企業があまりに巨大化したため、小売業の在庫変動がメーカーの生産計画にも大きな影響を与えるまでになり、流通全体の最適バランスをたもつためにやむを得ず、採用した面も大きかったといえよう。その意味で、EDLPはマーチャンダイジングというよりも、ロジスティックスにかかわるテーマといえ、小売業側から見ると、発注、陳列作業量の軽減、人件費の削減、経費の削減というEDLC(エブリデーローコスト)政策の決め手ともいえよう。

   ちなみに、今回のベイシアの納豆など、PI値の極めて高い商品において、ベスト3の発注予想は、客数予想×PI値予想×130%ぐらいの在庫を確保することが望ましい。先ほど、シミュレーションしたように、プラスマイナス20%ぐらいの誤差は出て当たり前といえるので、最重点商品であるPI値の高い商品は予想の30%以上在庫を持てば、欠品はまずなくなり、機会ロスが限りなく0に近づくからである。また、売れ残っても、翌日の午前中には売れる数量であり、場合によっては、値引きすれば、PI値が高い商品であり、いくらでも調整が可能で、打つ手が多いからである。これがPI値の低い商品では、ここまで余裕を持つことは難しく、自然、ぎりぎりの線を狙うことになり、欠品気味とならざるを得ないが、このPI値の低い商品の方が圧倒的に多いのが商品の実態であり、ここは結果、安全在庫を確保した上での補充発注に限りなく近い手法をとらざるをえないといえよう。

   販売数量の予想は小売業にとって古くて新しい問題であり、この精度をいかにあげられるかが、マーチャンダイジング力強化のスタートともいえ、すべては、ここから始まるといえる重要なテーマである。今後、ベイシアの取り組みに大いに期待したい。

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June 04, 2009

消費者物価指数、2009年4月度、昨対割れ続く!

   消費者物価指数(CPI)が5/29、総務省統計局から公表された。この日は、本ブログでも既に取り上げた家計調査データも同時に公開されており、5/30、31が土日の週末にあたるので、この日は金曜日ということもあり、月末の各種統計ラッシュとなった。その結果であるが、消費者物価指数は総合指標、相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指標、そして、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数に分けて公表されるが、いずれの指標でも昨対を下回り、物価は明らかに、昨年と比べ、下落傾向にあるといえよう。

   特に、食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は他の2つと違い、過去4年間で最低の水準となり、しかも、平成17年度を100としても98.9となり、下落傾向が鮮明である。総合指標、相場変動の激しい生鮮食品を除く総合指標では、昨年は下回っているものの、過去4年間の中では一昨年、その前年よりは、依然として大きく上昇ぎみである。これを見る限り、生鮮食品以外の食料品、エネルギー関連がまだ、全体を押し上げているといえ、この2つが、今後、落ち着いてくると、総合指数も、生鮮食品を除く総合指標も大きく下落することが予想され、今後、ますます、物価が下落傾向となり、昨年のインフレからデフレへと消費環境が激変することになろう。

   そこで、問題の生鮮食品を除く食料品、エネルギー関連の消費者物価を見てみたい。まず、食料品であるが、家計調査データでは好調であった穀類と菓子類が前年同月比で103.3%、105.9%と大分類ではトップ2となっている。家計調査データでのこの2部門の好調さは物価上昇に負うところが大きかったといえ、数量よりも、平均単価の上昇が、消費額を押し上げた大きな要因であったといえよう。したがって、今後、この2部門の物価上昇が落ち着くと、消費額も下がる可能性が高く、消費状況もこの2部門次第で大きく変化するといえよう。
 
   この2部門についで、物価上昇がみられる部門は、調理食品102.7%、油脂・調味料102.3%、乳卵類102.2%である。これを公表されているグラフで見ると、昨年は生鮮を除く食料品が1月以降、10月まで右上がりの急上昇で物価が上昇していき、10月以降、下がることなく高値圏で止まっており、現在でもその高値が続いている状況である。したがって、10月に近づくに従い、昨年との物価の差が縮まりつつあるので、今後、月を追うごとに、物価指数は下がってくることが予想される。さらに、この5月から小麦粉の価格も下がりはじめたので、その差はいずれ近いうちに逆転し、昨年を下回ることになろう。こう見ると、あとは、エネルギー関連の状況次第ということになる。

   そこで、エネルギー関連のグラフを同様に見てみると、昨年はすでに1月段階で高値圏にあり、5月以降、さらに、物価が急激に上昇し、8月には125%を超えるピークとなった。そして、その後、世界的な金融不安が起こり、各種相場が急落、それに伴い、エネルギー関連の物価も急落し、12月には105%まで下がった。現在も、この105%前後で推移しているが、すでに、過去4年間の状況に近いところまで下がっており、生鮮を除く食料品よりも、物価は安定しており、現時点でも安定期に入ったといえよう。

   したがって、この4月度の消費者物価指数の中でも、これまで物価を押し上げていたエネルギー関連はすでに沈静化しつつあり、生鮮食品を除く食料品も月を追うごとに、物価が昨年と比べ下がる傾向が明らかであり、さらに、今後、小麦粉をはじめ、原料価格が下がり始めれば、一段と下がることが予想される。この状況を見る限り、今後、物価は徐々に下がり、昨年のインフレからデフレへすでに転換しはじめつつあるといえ、今後は、その傾向が鮮明になるのではないかと予想される。

   実は、この兆候は依然から耐久消費財では明確に表れており、この4月のテレビ(薄型)は-26.6%の下落であり、パソコンはデスクトップ型が-40.3%、ノート型が-45.2%、カメラが-34.8%と大きく下落している。これらを含む、家庭用耐久財全体も-4.6%という状況であり、いつ、食料品もここまで極端に落ちることはないと思うが、物価が下がってもおかしくない状況に入りつつあるといえよう。ちなみに、この4月段階、特に、特徴的な項目として、連休話題となった高速自動車国道料金が-9.7%、新型インフルエンザ関連の外国パック旅行が-15.1%、宿泊料が-1.5%と下がっており、これらは、次の5月度も引き続き、大きく下がるのはないかと思われる。

   このように、この4月度の消費者物価指数は昨対で見ると、すべての指数が下がっており、その中でも食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合指数は過去4年間で最低となり、平成17年度を100としても98.9と下がっている状況である。今後、食料品、そして、すでに下がり始めたエネルギー関連の状況を見ると、今後はさらに物価が下がることが予想され、昨年とは全く反対の消費環境となることになろう。インフレからデフレへの転換である。その意味で、今後はデフレの中でどのように対応するか、昨年とは逆の経営戦略が求められるといえ、食品スーパーマーケットにとっても経営の転換期に入ったといえよう。

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June 03, 2009

家計調査データ、2009年4月度、食品99.5%!

   家計調査データ2009年4月度が総務省統計局から5/29公表された。結果は、外食を除く食品は1世帯1日当たり、1,939.43円(99.5%)と若干下がり、陰りが見え始めたといえよう。外食を含む食料は2,352.87円(99.5%)、全体は10,211.33円(98.6%)と、全体の消費はさらに下がる傾向がでており、ここへきて、消費者の節約志向が鮮明になったといえよう。ちなみに、3月度の外食を除く食品は1,942.03円(99.2%)、2月度は1,934.39円(99.5%)、1月度は1,793.74円(102.2%)、昨年12月度は2,646.16円(99.9%)、11月度は2,019.07円(102.9%)、そして、10月度は1,982.81円(101.9%)という推移であるので、3ケ月連続のマイナスであり、消費の陰りが見え始めたといえる。

   このような中で、昨対100%を超えた部門は穀類223.57円(102.7%)、菓子類211.73円(102.4%)、乳卵類110.20円(101.3%)、油脂・調味料107.47円(101.1%)、果物85.20円(100.9%)、飲料121.53円(100.2%)酒類111.83円(100.0%)と11部門中7部門と大半を占めるが、その伸び率はわずかであり、全体を押し上げるまでにはいたっていない状況である。特に、昨年を下回った4部門には、魚介類222.43円(95.3%)、肉類207.70円(95.8%)、野菜・海藻284.87円(98.8%)、調理食品252.90円(99.3%)と、果物以外の生鮮食品、そして、惣菜が入っており、食品スーパーマーケットの主力部門である生鮮、惣菜の消費状況が厳しい結果である。また、昨年は絶好調であった肉類もダウンしており、全体へ与える影響も大きいといえよう。

   そこで、まず、好調な部門、穀類223.57円(102.7%)、菓子類211.73円(102.4%)を見てみたい。この2部門の中で、特に110%%以上伸びた項目は、穀類では、小麦粉(2.37円:110.9%、消費世帯のみ10.52円:110.8%、消費世帯の割合22.5%:100.1%)、スパゲッティ(4.20円:110.5%、10.76円:100.6%、39.0%:109.9%)、カップめん(8.67円:110.2%、18.62円:98.3%、46.5%:112.0%)という状況である。この数字の中で、初めの数字は全消費世帯の平均数字であり、2つ目が対象項目の消費世帯のみの数字であり、そして、3つ目がその対象項目の消費世帯の割合である。この3つの関係は全体の消費額=対象項目の消費額×対象項目の消費世帯の割合となっている。したがって、全体の消費額を対象世帯のみの消費額が多かったか、それとも対象世帯が新たに増えたのかを判別することができ、同じ110%伸びた項目でも、その中身の違いをみることができる。

   こう見ると、この4月度は小麦粉は消費世帯の消費額が大きく増加しての伸びであり、スパゲティ、カップめんは消費世帯の割合が増えての伸びであることがわかる。小麦粉そのものは新たな消費世帯を増やしてはいないが、消費世帯の量が増えたか、平均単価が上昇したかであるが、恐らく、この段階では、小麦価格はまだ高い状況が続いており、量が増えずに、平均単価が昨年よりも高いために、消費額が上昇しているのではないかと推測される。5月からは小麦粉の価格が下がっているので、5月度の数字には変化が現れるのではないかと思う。そして、スパゲティ、カップめんは逆に、消費世帯が増えての全体の消費額の上昇であり、この2項目はあきらかに、新規顧客を増やしているといえ、消費世帯の需要シフトがみえる。ちなみに、即席めんは(4.77円:108.3%、15.06円:104.4%、31.7%:103.8%)という状況であり、同様に好調であるが、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合も増加しており、理想的な消費額の伸びである。

   ついで、菓子類であるが、カステラ(2.63円:119.7%、23.02円:108.8%、11.4%:110.0%)、アイスクリーム・シャーベット(18.97円:113.6%、31.45円:106.3%、60.3%:106.8%)、キャンデー(7.03円:112.2%、14.99円:106.0%、46.9%:105.9%)と、この3項目が110%以上伸びており、好調である。しかも、いずれも、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合もバラン良く伸びており、菓子は特に好調である。

   これに対して、この4月度、消費が厳しかった部門を見てみたい。魚介類222.43円(95.3%)、肉類207.70円(95.8%)であり、いずれも、95%台と厳しい状況である。この中で、特に、消費が落ち込んだ項目は、魚介のつくだ煮(2.63円:78.2%、19.62円:85.3%、13.4%:91.7%)、いわし(1.70円:79.7%、12.35円:92.0%、13.8%:86.6%)が70%台であり、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合も下がっており、厳しい状況である。また、生鮮魚介では、かつお(5.43円:83.6%、20.71円:89.6%、26.2%:93.3%)、さしみ盛合わせ(14.00円:91.7%、45.78円:96.1%、30.6%:95.4%)、まぐろ(15.63円:92.7%、34.79円:92.9%、44.9%:99.8%)など、主力項目が伸び悩んでおり、しかも、消費世帯の消費額も、消費世帯の割合も双方下がっており、厳しい状況である。

   また、肉類については、昨年は絶好調であった鶏肉が、(34.43円:99.6%、42.37円:99.4%、81.3%:100.2%)と伸び悩んでおり、今期は、この数字を維持できるかが課題といえよう。それ以外でも牛肉(50.30円:92.0%、75.00円:92.5%、67.1%:99.4%)、豚肉(67.10円:96.3%、71.83円:96.3%、93.4%:100.0%)、そして、加工肉でも、ハム(12.40円:95.1%、20.18円:96.6%、61.5%:98.5%)と厳しい状況であり、全体的に伸び悩んでいる状況である。

   このように、この4月度は、消費全体も、食品も消費額が伸び悩み厳しい状況になった。特に、この4月度は生鮮関連部門がほぼ全滅という状況であり、食品スーパーマーケットにとっては、主力部門であり、全体に大きく響いたのではないかと懸念される。昨年の値上げ関連商品の好調さ、節約志向に合致した商品の伸びが、以前よりも見られなくなりつつあり、消費環境が新たな局面に入りつつあるといえよう。ここしばらくは、消費環境がどのようにかわるか、見極めることが重要といえ、今後、極めて先行きが不透明な段階に入るのはないかと懸念される。次回、5月度の家計調査データに注目したい。

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June 02, 2009

改正薬事法スタート、食品スーパーマーケットの意義!

   いよいよ、改正薬事法が6/1をもってスタートした。新聞、雑誌、そして、テレビなどがこぞってとりあえげているが、改めて、今回の改正薬事法が食品スーパーマーケットにとって、どのような意義があるかを考えてみたい。食品スーパーマーケットはこれまで、医薬部外品はもちろん扱っていたが、医薬品を薬剤師なしで扱うのははじめてであり、その意味で、食品スーパーマーケットにとっては、酒以来のラインロビングであり、医薬品をどう取り扱い商品の中に組み込むかが最大の課題である。

   酒の時も、当初は苦労したが、比較的短期間で取り扱い商品に組み込まれ、いまでは、売場の一角を占め、商品部内に酒専門のバイヤーが置かれ、スムーズに運営がいっている。売上構成比も5%前後となっており、10%は欲しいところだが、安定した売上を達成するまでになったといえよう。今回も医薬品を受け入れること自体はさほど苦労せずにゆくと思われるが、導入にあたっては大きく2つの問題があるといえよう。

   ひとつは、登録販売者の確保であり、もうひとつは、医薬品の売上構成比が酒よりもさらに低く、数%止まりとなる可能性が高いことである。この2つの問題がネックになっており、いまひとつ、食品スーパーマーケットとしては、酒の時のような熱気がないのが実態といえよう。ただ、この2つの問題をクリアーしつつ、徐々に、医薬品が食品スーパーマーケットに浸透してゆくことは間違いなく、医薬品を食品スーパーマーケットの戦略商品のひとつに位置づけられるか否かが、今後の明暗を分けることになろう。

   そこで、この2つの問題を改めて考えてみたい。まず、登録販売者の確保であるが、これがなかなか難しい。昨年来、各都道府県で試験が実施され、現在、合格者は約6万人である。したがって、単純に47都道府県数で割ると1,300人弱であり、この人数では全く数が足りない状況である。ドラックストアだけでも、最新の商業統計平成19年度版によれば、12,671店舗であり、1店舗数人は必要であるので、大半はドラックストアが確保することになろう。食品スーパーマーケットは17,882店舗であり、コンビニ43,318店舗、その他、医薬品を新規に扱う可能性の高い小売業が数万店舗はあるので、このペースで合格者が増えて、対象店舗に販売登録者が配置されるまでには、数年はかかるものと思われる。

   しかも、登録販売者の受験資格は、実務経験1年以上が必要であり、ドラックストアに有利になっており、新規参入の場合は、スカウトするか、徐々に経験を積んで、合格者を増やしてゆく以外になく、食品スーパーマーケットとしては、急ぐのであれば、ドラックストアとの業務提携か、思い切ってM&Aをかけるということになろう。したがって、登録販売者の問題は、今後、数年かかる課題であるといえる。

   次に、医薬品の売上構成比の問題であるが、今回、登録販売者で扱える医薬品は第2類、第3類であり、大衆薬の9割といわれている。一見、多いように思われるが、食品スーパーマーケットにとって期待できる売上は、さほど大きいとはいえない。最新の家計調査データ、2009年4月度でみると、酒の場合は1世帯1日当り111.83円であり、食品全体が1,939.43円であるので、構成比は5.8%である。同様に、医薬品の数字を家計調査データから拾ってみると、大衆薬の感冒薬4.53円、胃腸薬3.00円、外傷・皮膚病薬1.50円、他の外用薬7.03円となり、合計16.06円であり、これに、+αがあっても、30円、最大50円ぐらいが限界であるといえよう。したがって、現状の食品スーパーマーケットの取り扱い商品1,939.43円の0.8%にしかならず、30円でも1.5%、50円でも2.6%であるので、医薬品だけでは、数%の売上構成比が限界といえ、酒の半分以下と予想される。

   そのため、専門性からいえば、当然、バイヤーを置かなければならないところであるが、売上規模からいうと、1部門をたてるには、売上構成比が低すぎ、1カテゴリーに近い数字となる。食品スーパーマーケットの典型的なカテゴリーでいえば、豆腐16.00円、ビール35.63円、牛乳45.10円であるので、ちょうど豆腐ぐらいのイメージであり、がんばって、ビール、さらに、強化して牛乳ぐらいの売上の数字といえよう。したがって、この問題を解決するには、商品、売場の再編成が必須といえ、医薬品を新たなコンセプトのもとに根本からとらえなおすことが求められるといえる。

   そのキーワードが、セルフメディケーションであろう。このキーワードのもとに、医薬品だけでなく、これまで食品スーパーマーケットとしては縮小均衡に陥り、売場が縮小されつづけてきた雑貨売場との融合であり、セルフメディケーションに関連する雑貨を医薬品を中心に深く掘り下げ、商品分類を再構築し、売場を再編成し、新たなセルフメディケーション部門を商品部内に設置することであろう。そして、今後、数年かけて、全店のグロサリー売り場を改装し、セルフメディケーション売場を新たにつくり上げ、売上構成比も最低5%、できれば、10%以上を目指すべきであろう。

   ここまで中長期的に考えて今回の改正薬事法の施行による医薬品に取り組んでゆかないと、食品スーパーマーケットとしては、中途半端に医薬品を導入し、経費倒れの非効率な売場となってしまいかねない。いずれにせよ、やっと、医薬品分野への挑戦が食品スーパーマーケットとして始まったといえ、今後の各社の取り組みに注目したいところである。

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June 01, 2009

ウォルマート、2010年、第1四半期決算、減収減益!

    ウォルマートが5/14、2010年度の第1四半期決算を公表した。結果は、減収減益と厳しい決算となったが、その最大の要因は海外部門にある。昨年後半の金融危機以来、ドル高が進んでおり、その為替変動の影響が大きく、現地通貨では好調な海外部門の数字が、ドル換算では減収となり、ウォルマート本体へ大きなインパクトを与えているためである。ウォルマートの海外依存度はこの四半期ベースでは22.7%であり、約1/4の売上構成比である。この売上が激減したため、相乗積から見ても全体への影響は大きく、ウォルマート本体ではカバーができなかった状況である。

    その売上であるが、全体が-0.6%となった。ウォルマートは売上を3つの部門に分けて集計しているが、最も売上構成比の高い部門はウォルマート部門であり、65.5%である。このウォルマート部門が、3.8%とプラスになったが、22.7%の売上構成比の海外部門が-11.1%と、2桁のダウンにより、カバーできず、減収を余儀なくされた。また、もうひとつの部門サムズクラブも売上構成比は11.8%であるが、-1.4%と減収となったこともその要因である。

   ちなみに、既存店であるが、2.9%とプラスとなっており、内訳は、ウォルマート部門が3.6%、サムズクラブ部門が-0.5%であった。この数字にはガソリン等のエネルギー関連が入っての数字であるが、これを除いた場合は、ウォルマート部門3.6%、サムズクラブ部門4.2%となり、全体も3.7%へ跳ね上がる。したがって、サムズクラブ部門のマイナスはガソリン等のエネルギー関連に負うところが大きかったといえよう。

    一方、営業利益であるが、-1.9%と減益となった。売上同様、海外部門の影響が大きく、海外部門が-16.2%となったことによる。ウォルマート部門は3.3%、サムズクラブ部門は0.0%であったので、海外部門がウォルマート全体の利益へも大きな影響を与えたといえる。海外部門は売上-11.1%に対し、営業利益が-16.2%であるので、売上よりも、営業利益の方が大きくマイナスとなっており、この第1四半期は厳しい決算となった。

    ここで、ウォルマートのP/Lを見てみたい。まず、原価であるが、75.3%(昨年75.8%)と昨年よりも、0.5ポイント下がっており、原価の改善が進んでいる。結果、売上総利益は24.7%(昨年24.2%)と、粗利の改善が進んだ。一方、経費であるが、販売費及び一般管理費は19.9%(昨年19.4%)と、逆に0.5ポイント上昇しており、この四半期決算では、経費の上昇がみられる。ただ、これだけの売上規模(934.71億ドル:約9兆円)で、19.9%と20%を下回る経費比率は極めて低い数字といえよう。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は4.8%(昨年4.8%)と、昨年同様の数字となった。これに、その他の営業収入が0.8%(昨年0.9%)のり、営業利益が5.6%(昨年5.7%)となり、わずかではあるが、減益となった。

    これに対して、財務面であるが、ウォルマートの純資産比率は39.4%(昨年38.9%)とほぼ昨年同様の数字であるが、負債に約60%負う財務構造であり、やや重い状況といえよう。その負債の中の有利子負債の状況であるが、667.52億ドル(約6.3兆円:昨年672.70億ドル)と、総資産1,620.90億ドル(約15兆4,000億円)の41.1%とかなり重くのしかかっており、財務的には大きな負担といえよう。一方、資産面に目を転じてみると、出店にかかわる資産である土地、建物等であるが、933.27億ドル(約8兆8,700億円)と、総資産の57.5%であり、純資産比率を大きく超える数字である。したがって、差し引き、出店余力は-18.1%となり、負債に大きく依存する出店構造であり、今後、ウォルマートが安定的な新規出店を果たしてゆくには、財務の改善が課題といえよう。また、在庫であるが、343.91億ドル(3兆2,700億円)と、総資産の21.2%となり、スーパーセンターという非食品の構成比が高い業態を主力としているだけに、かなり、重い、在庫負担であり、これも出店にかかわる資産に加えると一層、出店余力が厳しい状況である。

    この時点でウォルマートを日本の食品スーパーマーケットと同様に独自格付けしてみると、マーチャンダイジング力はAであるが、出店余力はC、有利子負債はCとなるので、ACCとなる。こう見ると、減収減益というP/L上の問題よりも、B/S上の問題の方が大きいといえよう。

    さて、もうひとつの財務諸表、キャッシュフローをざっと見てみると、営業キャッシュフローは35.71億ドル(約3,400億円:昨年37.79億ドル)であり、ほぼ、昨年並みの数字である。投資キャッシュフローであるが、-31.19億ドル(約-2,900億円:昨年-22.33億ドル)であり、結果、フリーキャッシュフローは4.52億ドル(昨年15.46億ドル)となった。今期は新規出店投資は昨年並みであるが、海外投資が一段と進んだことが大きいといえよう。そして財務キャッシュフローであるが、-10.67億ドル(約-1,000億円:昨年7.91億ドル)となり、トータルでは-6.97億ドル(約-660億円:昨年25.03億ドル)となった。キャッシュフローがマイナスとなり、現金及び現金同等物が減ったことがやや気になるところである。

    このように、ウォルマートの2010度の第1四半期の決算は、海外部門の為替変動の影響が大きく響き、減収減益となる厳しい決算となった。ただ、気になるのは、それ以上に、財務面の改善が進んでおらず、出店余力が厳しい状況にあり、さらに、キャッシュフローもトータルのキャッシュが減るなど、気になる数字となったことである。当面、アメリカ経済はもちろん、世界経済も厳しい状況が続くと思われ、今後、ウォルマートにとっても厳しい経営環境が続くと思われる。次の中間決算までに、営業数値はもちろん、財務の改善がどこまで進むか、ウォルマートの今後の動向に注目したい。

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