食品スーパーマーケット、第1四半期決算、公表はじまる!
食品スーパーマーケット業界、2010年2月期、第1四半期決算の公表がはじまった。6/18、平和堂が2010年2月期の第1四半期決算を公表したが、今後、続々と、各食品スーパーマーケットの公表がはじまるといえ、今期の食品スーパーマーケット業界の業績をうらなう上で、重要な数値といえ、本ブログではいち早く、各社の動向を取り上げてゆきたい。その平和堂であるが、営業収益950.23億円(94.3%)、営業利益20.40億円(79.6%:営業収益比2.1%)、経常利益20.01億円(81.1%:営業収益比2.1%)、当期純利益8.04億円(101.6%:営業収益比0.8%)と、当期純利益は増益となったが、営業、経常段階では減益となる厳しい決算となった。
この第1四半期決算では同時に、通期予想も公表しているが、それを見ると、営業収益4,050.00億円(98.2%)、営業利益105.00億円(96.8%)、経常利益105.00億円(96.1%)、当期純利益60.00億円(114.6%)と、ほぼ、同様の傾向である。平和堂は、年商4,000億円を超える、食品スーパーマーケット業界でもトップクラスの売上を誇る企業であり、この第1半期決算、そして、通期予想を見る限り、今期、食品スーパーマーケット業界は、昨年度と一転、厳しい決算が予想されそうである。
平和堂自身も、「当小売業界におきましても、消費者の生活防衛意識が一層顕著となる中、低価格志向での販売競争による収益悪化や引き続きの競争激化で経営環境は大変厳しい状況が続きました。」と、コメントしているように、ここへ来て、経済情勢は昨年のインフレからデフレへ大きくシフトしており、売上が確保しにくい状況に入ったといえよう。
一般に、金額PI値(客単価)=PI値×平均単価で、顧客1人当たりの売上を表すことができるが、デフレになると、平均単価が下がるため、PI値がこれまで通りの数字であれば、金額PI値は下がることになる。したがって、小売業としては、PI値を上げるために、より販促を強化することになるが、販促の前提が、価格訴求となるため、デフレ気味で平均単価が下がっているにもかかわらず、さらに、価格訴求をかけることになり、一層、価格競争が激化することになる。それで金額PI値がもどればよいが、たとえもどったとしても、原価があがり、利益が減り、減益となりかねず、デフレ局面では小売業は経営が極めて厳しい状況になるのが通常である。
このような厳しい局面を乗り切るには、販売管理費をいかに抑えるかが経営の盛衰を決めることになり、デフレ局面では、販売管理費の低い企業が有利となり、企業間格差が鮮明になるといえる。したがって、この第1四半期決算は、企業間格差が一段と開くことが予想され、食品スーパーマーケット業界にとっては、格差が鮮明になる決算となろう。
余談だが、セブン&アイHがセブンプレミアムよりもさらに安いプライベートブランド、ザ・プライスを開発するという。イオンはすでに、トップバリュよりもさらに安いベストプライスを出しているが、そもそも、プライベートブランドが価格訴求の商品であるにもかかわらず、さらに価格訴求の新たなプライベートブランドを出すというのであるから、屋上屋を重ねることになるが、そこまで、消費動向は切迫しているということであり、今期は、昨年のインフレの状況が一変し、空前の価格競争が小売業界全体で繰り広げられる可能性が高まったといえよう。
そこで、平和堂の原価、経費の状況を見てみると、原価は71.30%(昨年70.86%)となり、0.44ポイント上昇しており、結果、売上総利益は昨年28.70%(昨年29.14%)と、この時点で減益となった。一方、販売費及び一般管理費であるが、33.37%(昨年33.96%)と、0.59%引き下げており、経費の削減は進んでいる。今期の厳しい消費環境に対応し、原価の上昇を経費の削減で補っており、差し引き、マーチャンダイジング力は、-4.67%(昨年-4.82%)となり、依然として大きくマイナスではあるが、若干改善している。これに、不動産収入、物流収入等の営業収入が 6.96%(昨年7.56%)のり、最終的に営業利益は2.29%(昨年2.74%)と、0.45ポイント下がり、減益となった。今期は、売上も94.8%となったため、営業利益は昨年と比べ一段と厳しい結果となったといえよう。
これを見ると、平和堂は、原価の上昇を経費の削減で一旦は補ったが、不動産収入や物流収入などの営業収入が減少したため、結果、営業利益が減益となっている。特に、営業収入は売上と連動する面が大きいといえ、売上の不振が影響したといえよう。この第1四半期は、原価の上昇と売上の減少のダブルでの減益要因が大きかったといえ、それだけ、消費環境が厳しい状況にあったといえよう。
このように、平和堂の第1四半期決算が公表されたが、営業、経常段階で減収減益となる厳しい決算結果であったといいえ、ここへきて、消費環境が激変しているといえよう。昨年のこの時期は資源エネルギー関連の空前の上昇により、消費はインフレ環境であったが、昨年後半の9.15リーマンブラザースショック以降、明らかに情勢が一変、その影響が現在も続き、デフレ環境が色濃く表れている。平和堂の決算結果もその影響を大きく受けているといえよう。今後もこの情勢はしばらくは続くと思われ、今期、食品スーパーマーケット業界は厳しい経営環境となりそうである。
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