日本の食品マーケットを概観してみる!
最近、日本全体の食品マーケットについて、よく質問を受けるようになった。そこで、改めて、日本全体の食品マーケットがどのような構造になっているのかを小売業の業態別に概観してみたい。分析データは経済産業省が3年に一度公表している商業統計の最新、平成19年度版をベースに見てみたい。このデータでは、店舗数、売上金額、売場面積まで見ることができ、しかも、前回調査、平成13年度との比較もされており、この3年間でどのような変化があったかを知る上もでも貴重な日本全体の全小売業を業態別に集計した資料といえよう。
まず、小売業全体の構造であるが、総売上金額は134兆5,716億円である。この中には当然、衣食住、ドラックもすべて含まれての数字である。ちなみに、今期決算のイオン、セブン&アイHのGMS、金融を含め全業態の合計営業収益が10兆8,807億円であるので、その構成比は8.0%であり、いかに、日本の小売業はすそ野がひろいかがわかる。
そこで、食品マーケットであるが、最大シェアは何といっても、食料品スーパー、すなわち、食品スーパーマーケットであり、17兆534億円(12.6%)となる。ついで、食料品専門店であり、これが7兆1,586億円(5.3%)となり、コンビニが6兆9,609億円(5.1%)でほぼ並ぶ。食料品専門店は文字通り食料品専門であり、八百屋、鮮魚店、精肉店、お菓子屋さんなどである。そして、次が食料品中心店で、5兆3,991億円(4.0%)であり、いわゆる食品を中心のよろづやといえよう。
ここまで、イオン、セブン&アイHなどのGMSが上がってこなかったが、次が、総合スーパー、GMSである。約2兆9,758億円(2.2%)である。GMSは全体では7兆4,397億円であるが、食品構成比をおよそ40%と見て、2兆9,758億円と見積もってみた。そして、最後が百貨店約1兆5,376億円(1.1%)となる。百貨店も全体では7兆6,883億円であるが、食品構成比を20%と見積もっての数字である。
さて、これで食品の合計金額が出そろったが、すべて、合計すると41兆857億円となる。約40兆円となり、全体の中での構成比は30.5%、小売業全体売上の約30%が食品マーケットであるといえる。こう見ると、食品マーケットはまさに食品スーパーマーケットを中心に動いているといえ、イメージ的にはイオン、セブン&アイHなどのGMSが食品マーケットも制しているように思えるが、実態は違い、こと食品に関しては、食品スーパーマーケットが約40%を握るNo.1業態であるといえる。GMSはわずか7.2%である。ちなみに、コンビニ16.9%、食料品専門店17.4%、食料品中心店13.1%、そして、百貨店3.7%となる。
以上が食品マーケットの実態であるが、これを店舗数と売場面積で見てみると、食品スーパーマーケット17,882店舗(1,081平米:327坪)、コンビニ43,318店舗(114平米:34坪)、GMS 1,583店舗(10,012平米:3,033坪)、食料品専門店175,780店舗(35平米:10坪)、食料品中心店97,754店舗(59平米:18坪)、そして、百貨店272店舗(23,411平米:7,094坪)となる。こう見ると、売場面積では、ちょうど、コンビニの10倍が食品スーパーマーケット、食品スーパーマーケットの10倍がGMSとなっていることがわかる。
また、これを店舗数で見てみると、GMS 1店舗当たり、食品スーパーマーケットが約10店舗存在し、コンビニが約30店舗存在し、食料品専門店が約100店舗存在する構造となっており、GMSの回りを10店舗の食品スーパーマーケットが取り囲んでいる状況である。そして、その食品スーパーマーケットを食料品店が10店舗取り囲んでいる状況である。また、コンビニはその合間を縫って、食品スーパーマーケットの回りを約3店舗で取り囲んでいる状況といえよう。
さて、では、食品マーケットの約40%を占める食品スーパーマーケットの中身をもう少し見てみたい。食品スーパーマーケットはすでに約50社近くが上場しているが、この約50社の総売上を見ると、約9兆円ぐらいとなり、全体に占める割合は50%強となる。したがって、主要約50社で約50%、それ以外の残りの食品スーパーマーケットで約50%となり、小売業全体でもそうだが、食品マーケットのNo.1業態の食品スーパーマーケットでもすそ野がいかに広いかがわかる。ちょうど、各都道府県に1社づつ強力な食品スーパーマーケットが存在しているような状況であり、各地区で、上場食品スーパーマーケット1社とその他の食品スーパーマーケットとシェアを分け合っている状況といえよう。
このように、日本の食品マーケットは業態としては約40%のシェアを食品スーパーマーケットが抑えているとはいえるが、その食品スーパーマーケットの中では、上場約50社でも約50%のシェアであり、食品マーケットはいかにすそ野が広いかがわかる。大きな流れとしては、食品スーパーマーケットが食料品専門店を吸収し、GMSの食品からシェアを奪い、コンビニとともに、食品マーケットのシェアを拡大している状況とはいえるが、その流れは意外にゆるやかであるといえよう。今後、食品マーケットの動向はシェアNo.1の食品スーパーマーケットが鍵を握っているといえるが、いつ、業界再編が本格的に起こってもおかしくない状況であり、その動向が気になるところである。
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