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June 12, 2009

ヤマダ電機の食品売場を見る、意外なポイントの使い方!

   高崎駅前のヤマダ電機の大型店、LABIの食品売場を見る機会があった。地下1階でかなりのスペースを割いて、生鮮品を除く、食品、雑貨、ドラックを大きく展開しており、グロサリーストアといった印象である。すぐに、目につくのは、各商品のプライスカードに示されたポイントであり、原則、全商品に3%ポイントが明示されているのが印象的であった。品揃えは、かなり絞り込んでおり、そのかわり、限界まで価格訴求をかけ、さらに、ポイントをつけるという徹底的にポイントにこだわった販売手法である。

   そのポイントについては、念の入りようで、当日のちらしを見ると、戦略商品には3%以上の10%ポイントがつき、それが、かなりの数に及ぶ。一例をあげれば、ドリンクのおーいお茶、伊右衛門等500ml、87円がさらに、10%ポイントがつく。同様に、2L、165円も10%ポイントがつく。ちらしには、「ケース買いが絶対お得!」というコピーもあり、価格訴求をかけたケース売りの飲料に、さらに10%ポイントがつけば、確かにお買い得であろう。さすがに、ここまでポイントにこだわった食品スーパーマーケットはあまり見ないといえ、独特なポイントの活用方法であるといえよう。

   そのケース売りであるが、たとえば、ペプシネックスは500mlが87円、ケース24本が2,040円(1本85円)であり、これに、10%ポイントがつくことになる。したがって、この10%ポイントをより強調するために、ドリンク関連の10%ポイントのちらし商品はすべて、ケース売りの場合の価格も明示されており、10%ポイントのお買い得感がより、増幅される演出になっている。また、米も同様に、10%ポイント商品があり、北海道きらら5kg、1,780円に10%ポイント、同様に10kg、3,280円に10%ポイントがついている。これ以外では、冷凍食品を超特価で売り、さらに、10%ポイントがつくなど10%ポイントが戦略的に使われているのが、ヤマダ電機の食品のマーチャンダイジングの特徴といえよう。

   また、この戦略的な10%ポイントに加え、日替り商品、特価品も多数あり、価格政策が2重、3重に張り巡らされており、ちらしのタイトルのように、「安さ全開、暮らし、元気宣言!」、「ヤマダなら食品・ドリンク、生活用品も激安!」と、文字通りの商品訴求となっているといえよう。さらに、ちらしには、YAMADAのサッカーボールを持ち、YAMADAのユニフォームを着たサッカー日本代表の中村俊輔選手が右手人さし指を突きあげた写真も掲載されており、激安を印象づけ、インパクトのあるちらしとなっている。

   ちなみに、日替わり商品であるが、日清チキンラーメン5食入り、298円、サンヨー、カップスター(しょうゆ、みそ、しお、カレー南ばん)、各95円、アクエリアス、コカコーラ500ml、各79円(先着100本、お1人様各2本限り)、王子ネピア、ネピアネピネス160W×5コパック(先着60点限り)、198円、ライオン消臭ブルーダイヤ(先着80点限り)、198円、キッコーマン本つゆ1L(先着30点限り)、248円などであり、日替わり、限定ゆえ、かなりの価格訴求であるといえよう。

   こう見ると、ヤマダ電気が食品をどう企業戦略の中で位置づけているかが明解である。特に、戦略上、ポイントが大きなキーとなっていることがわかる。食品の価格訴求をかけ、家電顧客以外の新規顧客を獲得し、店舗全体の客数を増やすと同時に、特に、食品の商圏である小商圏、足元商圏の来店頻度を引き上げようという狙いもあると思われるが、実は、さらに重要な狙いは、家電で貯めたポイントの使い道の選択肢を広げ、B/Sの負債を効果的に削減することの方が大きいように思える。なぜなら、本当に食品の購入顧客を大きく増加させるのであれば、当然、生鮮、日配の充実は必須であり、かつて、百貨店が生鮮カテゴリーキラーをこぞってテナントに入れたように、生鮮、日配の強い食品スーパーマーケットをテナントに入れた方が早いし、確実だからである。ヤマダ電機があえて、自社にこだわり、しかも、グロサリーに特化し、ポイントにこだわるのは、そこに答えがあるといえよう。

   実際、今期のヤマダ電機の決算数値を見ると、経費において、ポイント販促費が1,534.18億円(昨年931.64億円)と、何と、約1,500億円、通常の中堅食品スーパーマーケットの年商分使われており、しかも、伸び率は164.6%と驚異的な数字である。売上対比でも8.2%であり、食品スーパーマーケットでは考えられないポイント比率である。ちなみに、広告宣伝費が302.85億円であるので、いかに、ポイント費用が大きいかがわかる。

   そして、これ以上に経営上、重要なポイントは、B/S上における負債のポイント引当金である。今期は177.00億円(昨年72.00億円)であり、昨年対比245.8%であり、総資産7,784.89億円の2.27%、流動負債1,735.33億円の10.2%であり、存在感のある負債となりつつある。したがって、負債を早く、できれば、家電を購入したその日に削減でればベターであり、そのための、最も有力な戦略商品を食品、特に、グロサリーと位置づけたのではないかと思われる。

   食品スーパーマーケットは食品の中でだけでポイントというID客数PI値(来店頻度)を引きあげる最大の武器を回さざるを得ないが、ヤマダ電気はメインの家電を中心に、今回のように食品を加えることができるので、総合的にポイントがうまく流れ、負債が圧縮され、さらに、家電顧客のID客数PI値(来店頻度)を引きあげ、既存店の売上アップにつながるのではないかと思われる。今後のヤマダ電機の食品、特に、ポイントの活用に注目である。

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