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June 28, 2009

コンビニ問題、ロスチャージ問題と単品管理!

   すでに、本ブログでは数回に渡って、コンビニ問題についてとり上げているが、新聞、雑誌、ブログなどを見ると、どうも、論点がずれているようであり、何が問題なのかがつかみ切れていないように思える。そこで、改めて、コンビニ問題について、考えてみたい。コンビニ問題が理解しにくい最大の理由は、独特なコンビニ会計にあり、いわゆる、ロスチャージ問題にあるといえよう。

   では、ロスチャージとは何かであるが、これは、依然、本ブログでも取り上げたコンビン会計独特のチャージ金額の算定式にすべての答えがある。ここを理解しないと、コンビニ問題は解けないといえ、どうも、新聞、雑誌、ブログではここがあいまいになっているがゆえに、議論がかみ合わないように思える。改めて、その独特なチェージ金額の算定式を取りあげると、

   チャージ金額=本件売上総利益×チャージ率=(売上高-純売上原価)×チャージ率={売上高-(本件総売上原価-廃棄ロス原価-棚卸ロス原価-仕入値引高)}×チャージ率

   であり、これをさらに展開すると、

   チャージ金額=売上高×チャージ率-本件総売上原価×チャージ率+廃棄ロス原価×チャージ率+棚卸ロス原価×チャージ率×仕入値引高×チャージ率

   となる。

   ここで、本件とついているのは、この問題が最高裁で争われた時のものをここでは取り上げたので、最高裁が本件とつけているのは、まさに、これがコンビニ独特の売上総利益であるためである。また、よく勘違いされるが、このチャージ金額は本部だけのものではなく、加盟店も同様であり、この数式は、本部、加盟店双方の共通のチャージ計算式である。本部だけにすべての項目にチャージがかかっているだけでなく、加盟店も同様にチャージがかかっており、その意味では平等な計算式であり、この数式自体は、確かに独特ではあるが、どちらに有利、不利は存在しない。強いていえば、チャージ率であり、この比率をどのくらいにするかが問題といえば問題であろう。

   さて、具体的な数値をいくつか、この数式に当てはめてみる。まず、チャージ率50%で、原価300円、売価500円の弁当を10個仕入れ、8個売価500円で売れ、2個廃棄した場合である。

   この場合、本部、加盟店双方のチャージ金額は、売上高×チャージ率-本件総売上原価×チャージ率+廃棄ロス原価×チャージ率であるので、売上高(売価500円(売価)×8個(販売個数))×チャージ率(50%)-本件総売上原価(原価300円×10個)×チャージ率(50%)+廃棄ロス原価(原価300円×2個)×チャージ率(50%)=(4,000円×50%)-(3,000円×50%)+(600円×50%)=2,000円-1,500円+300円=800円であり、これがチャージ金額であり、これは、本部、加盟店双方のチャージ金額である。したがって、ここまでは問題がないが、ここから、廃棄ロスを加盟店が全額負担した場合、800円-600円=200円となり、加盟店の収入が200円となり、ここが問題の本質といえる。

   次に、同様に、廃棄ではなく、2個を半額で値引きした場合のチャージ金額を計算すると、500円×8個に半額販売の売上が加わり、250円×2個が売上となり、売上は4,000円+500円の4,500円となり、これにまずチャージ率50%がかかり、2,250円となる。ここから仕入原価300円×10個×チャージ率50%=1,500円を引き、750円となる。そして、これに、見切り金額500円×チャージ率50%、250円が加わり、750円+250円で1,000円となり、これがチャージ金額である。これは、本部、加盟店双方のチャージ金額である。そして、ここで見切り金額500円をどちらが負担するかになるが、仮に加盟店が全額負担すると、1,000円-500円=500円となり、加盟店の収入は500円となり、ここが問題の本質である。

   したがって、チャージ金額自体は本部、加盟店、計算式からもわかるように同じ金額であり、問題の本質は廃棄ロス原価、見切り原価金額をどちらがどれだけ負担するかということであり、これまで全額加盟店が負担することが前提となっていたことに問題の本質がある。

   こう見ると単品管理の本質も見えてくる。ことチャージ金額という観点から単品管理を見ると、単品管理の究極はジャストインタイムで廃棄、値引きなしであるので、単品管理が完成すると、廃棄、値引きが0となり、すべて定価で売れることになる。先のケースでは500円×10個×チャージ率50%+原価300円×10個×チャージ率50%=2,500円-1,500円=1,000円であるので、本部、加盟店ともに1,000円となり、これが理論上、最高の本部、加盟店双方のチャージ金額となる。

   ただ、先に見たように、見切り金額を加盟店負担とすれば、本部は廃棄以外は常に、最高のチャージ金額となるので、単品管理は廃棄、見切りを加盟店負担を前提とすれば、0に近づけ、加盟店のチャージ料金は変わらないが、実質収入を最高数値に近づける究極の販売技術といえる。廃棄、見切りが加盟店負担という仕組みが前提となる限り、単品管理の精度が加盟店の利益を左右することとなり、単品管理はその意味で、コンビニ独特の、特に加盟店にとっては死活問題となる販売技術といえよう。 

   セブンイレブンが単品管理にこだわり、そのための情報システムを含め、単品管理の教育体系を構築してきた背景には、これまでのコンビニの利益配分の仕組みを前提とすれば、加盟店の実質収入を最高に近づける確実な方法であったからであるといえよう。仮に、同じ仕組みの中でコンビニが競合すれば、単品管理の差が加盟店の利益の格差そのものとなり、他チェーンと決定的な差別化を図ることが可能となる。その意味で、単品管理はコンビニ経営にとっては、加盟店の利益と直結するものであり、コンビニのビジネスモデルの根幹技術といえよう。

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