最近のお気に入り帳票、品揃えはこれでチェック!
PI値の研究開発を続けて、かれこれ20年余りになる。その間、PI値を活用した帳票を数多く作ってきた。20年前の帳票、10年前の帳票、そして、最近の帳票と、それぞれ研究成果とその時の時代を反映していて、改めて見てみると感慨深いものがある。現在でも様々な帳票を開発し、実践投入しているが、最近の最もお気に入りの帳票は、品揃えを一目でチェックできるように工夫した帳票であり、名前がまだついていないが、ここでは、仮称、品揃えMD評価表と呼んでみたいと思うが、この品揃えのチェック帳票である。
すでに実践投入して、数年になるが、いまでは、MD評価表の補足帳票として位置づけ、現場からも好評である。この品揃えMD評価表であるが、きっかけは菓子パンのマーチャンダイジングの研究から生まれた帳票である。通常のPI値のマーチャンダイジングへの活用は、重点商品を見つけ出し、その商品を極限まで強化することが多い。特に、生鮮、惣菜、日配食品では、重点商品の選定と強化で70%から80%は、マーチャンダイジングの改善が可能であるといっても過言ではない。
ところが、グロサリーや一部の生鮮食品、惣菜、日配では重点商品をどんなに強化しても、全体の数字が改善しないカテゴリーが厳然としてあり、これらのカテゴリーは、重点商品よりも、むしろ品揃えの見直しを行わないとマーチャンダイジングが改善できないといえ、通常のPI値の活用では歯が立たないカテゴリーである。その典型的な商品が菓子パンといえ、食品スーパーマーケットの全カテゴリーの中で、恐らく、最多のSKUで構成されたカテゴリーであるといえよう。
どのくらいあるかであるが、少なく見積もっても月間500SKUは優に超える。これだけSKUが多いカテゴリーはひょっとすると世の中の全商品カテゴリーの中でNo.1かもしれない。したがって、この500SKUの中から重点商品を選定し、それを強化しても菓子パンのマーチャンダイジングは良くならず、場合によっては、悪くなることすらある。菓子パンはむしろ品揃えを見直した方がはるかにマーチャンダイジングが改善し、しかも、劇的に変わるのが、これまで得られた菓子パンのマーチャンダイジングの研究成果のひとつである。
そこで、この品揃えの改善にPI値を活用することはできないかと考え、開発された帳票が仮称、品揃えMD評価表である。当初は菓子パンでもっぱら活用していたが、最近ではほとんどのカテゴリーに、MD評価表の補助帳票として活用し、その帳票をもとに各カテゴリーの重点商品の強化に加え、品揃えの改善もはかっている。
では、その品揃えMD評価表とはどんな帳票かであるが、評価指標を金額PI値だけに絞り、縦に、全SKU、横に、全店舗を並べ、全店平均の金額PI値でソートを掛けたMD評価表である。金額PI値だけに指標を絞っているので、通常のMD評価表の金額PI値=PI値×平均単価の3つの評価指標に、金額PI値の順位を入れた1SKU4行から、1行になるので、ほとんどのカテゴリーはA4 1枚か数枚で収めることが可能である。
そして、金額PI値の大きさを見て、A、B、C、場合によっては、Dランクまでわけて品揃えを判断することになる。たとえば、Aランクは0.5円以上、Bランクは0.2円以上、Cランクは0.05円以上、Dランクはそれ以下などである。そして、この時、品揃えの評価特有のスパイスを加えると、より効果的な品揃えの評価が可能となる。よく、使っているスパイスが導入店金額PI値である。これは、菓子パンなどでは典型的であるが、C、Dランクの商品はまず、全店共通の品揃えはないといっても過言ではなく、各店導入(発注)、未導入(未発注)がまちまちであり、ばらつくのが実態である。むしろ、バラツくべきであるともいえ、このバラツキの中から、最適な品揃えを目指すことの方が現実的であろう。ここまで商品部が決めると、かえって品揃えが硬直化し、顧客のニーズと乖離することが起こるともいえる。そもそも、これらの商品のPI値は見えないほど低いので、その差異を分析し、品揃えを確定することに意味があるとは思えないし、無理があるといえよう。
この導入店金額PI値を活用し、全体の金額PI値とズレが大きい商品は無条件に品揃えに加える工夫をすることが大きなポイントであり、さらに、その中でも、導入店の中で最高の金額PI値をチェックし、一目で把握できるように、ラインマーカー等で目立たせるとより効果的である。それを見ているだけで、発注したくなるといえよう。
これ以外にも実践的な工夫は数多くあるが、工夫次第でこの品揃えMD評価表は実践的で使いやすい帳票に磨き上げることが可能といえ、今後、さらにブラッシュアップしていきたいと思う。当初は菓子パンではじめた品揃えMD評価表であるが、最近では、牛乳、豆腐等の日配品やグロサリーにも活用しており、これまでPI値では十分にフォローできなかった品揃え面の強化に大きく役立ちはじめている。改めて、商品の品揃えの重要性を認識しつつあるといえる。特に、現在の最新の研究テーマはID-POSのID金額PI値の活用に移ってきているが、品揃えの重要性はより増しており、今後は、ID-POSデータを活用した新品揃えMD評価表の開発に挑戦したいと思う。
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