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July 11, 2009

マルミヤストア、2009年5月期決算、増収営業減益!

   九州、大分県を地盤とし、36店舗を展開する食品スーパーマーケット、マルミヤストアが2009年5月期の決算を7/9公表した。上場食品スーパーマーケットで5月期決算は大黒天物産とドミーの3社のみであり、大半が2月期、そして3月期に集中しており、珍しい決算月である。その結果であるが、売上高298.19億円(101.4%)、営業利益4.89億円(99.6%:売上対比1.6%)、経常利益5.84億円(105.6%:売上対比1.6%)、当期純利益3.19億円(144.1%:売上対比1.1%)となり、増収ではあったが、営業利益がわずかに減益となった。ただ、経常利益、当期純利益は増益、特に、当期純利益は大幅な増益となる堅調な決算であったといえよう。

   売上高が増収となった要因であるが、今期、マルミヤストアは新店を2店舗、移転増床を2店舗、改装を3店舗実施しており、これらの政策が店舗全体の活性化につながり、増収となったといえよう。その新店であるが、福岡県八女市に八女稲富店を、宮崎県宮崎郡にアタックス清武店をオープンしている。

   この内、アタックス清武店はディスカウント店であり、結果、ディスカウント事業は売上高が60.90億円(107.7%)と、全体よりも伸び率が上昇、全体の売上増に貢献した。ただ、営業利益は76.8%と、落ち込みが大きく、逆に、全体の営業利益を押し下げる要因となり、今後、利益の改善が課題といえよう。一方、主力のスーパーマーケット事業であるが、八女稲富店の新規出店が寄与し、売上高は236.97億円(100.5%)と微増であったが、営業利益は104.1%とそれ以上に伸びており、利益への貢献は大きかったといえよう。

   マルミヤストアの事業構造は、スーパーマーケット事業が全体の79.5%と約80%、ディスカウント事業が全体の20.4%と約20%であり、その他数%という事業構造であるが、今期は売上構成比20%のディスカウントストアの営業利益が約25%ダウンしたことが、相乗積をとると5%の全体への影響となり、結果、スーパーマーケット事業の増益をカバーできなかった要因である。こう見ると、ディスカウント路線は売上は比較的確保しやすいが、利益を確保することは容易ではないといえ、ここがディスカウント事業の難しさといえよう。

   では、その営業利益が減益となった要因であるが、原価は80.07%(昨年80.56%)と0.49ポイント下がっており、結果、売上総利益は19.93%(昨年19.44%)と上昇している。一方、経費、販売費及び一般管理費であるが、18.75%(昨年18.23%)と0.52ポイント上昇しており、結果、差し引き、マーチャンダイジング力は1.18%(昨年1.21%)となり、わずかに、経費の上昇分が原価の改善分を上回り、マイナスとなっている。それにしても、18.75%は食品スーパーマーケットとしては、かなり低い経費比率といえ、ディスカウント事業が全体の経費比率を押し下げているのではないかと推測される。そして、これに、その他営業収入が0.47%(昨年0.47%)のり、結果、営業利益が1.65%(昨年1.68%)と、微妙に昨対を割ったという状況であるが、ほぼ、昨年と同様な数字と見て良いといえよう。ただ、経費の上昇分はやや気になるところであり、特に、ディスカウント事業の経費をどう抑制するか、さらに、売上増をはかり、相対的に固定費を減らすかの判断が必要といえよう。

   一方、財務面であるが、今期のマルミヤストアの自己資本比率は49.2%(昨年47.3%)と1.9ポイント改善している。その要因を負債面で見てみると、有利子負債が17.63億円(昨年20.43億円)と約3億円削減され、総資産97.35億円に占める割合は18.1%(昨年21.2%)と下がったことが大きいといえよう。実際、財務キャッシュフローを見ると、昨年は有利子負債の返済と借入があったのに対し、今期は返済のみであり、有利子負債が確実に削減されていることがわかる。また、資産の現金及び預金が21.07億円(昨年22.92億円)であるので、実質、有利子負債とバランスがとれており、財務的には大きな負担とはなっていないといえよう。

   これに対して、食品スーパーマーケットの成長にとって最も重要な資産である出店関連の資産、土地、建物、敷金及び保証金の合計であるが、50.87億円(昨年49.08億円)となり、総資産の52.3%となった。ここから、出店余力、自己資本比率から差し引いた数字を見ると、-3.1%となり、ほぼ相殺されている。今後、有利子負債がさらに削減されれば、出店余力もプラスに転じ、自己資本の範囲内で新規出店が可能な財務構造になるといえ、比較的財務は安定しているといえよう。ちなみに、現在の店舗数が36店舗(大分県17店舗、宮崎県11店舗、熊本県4店舗、福岡県4店舗)であるので、1店舗当たりの出店関連の資産は1.41億円と極めて低い出店コストといえ、これが、マルミヤストアの強みのひとつといえよう。

   このように、マルミヤストアの2009年5月期の決算は増収とはなったが、わかずに営業利益が減益となる決算となった。ただ、財務的には比較的安定した基盤ができており、自己資本比率も安定しており、今後、安定的な新規出店による成長は可能といえ、売上好調なディスカント事業に加え、売上高の約80%を占めるスーパーマーケット事業の活性化をどうはかるかが課題といえよう。今後、マルミヤストアがスーパーマーケット事業の既存店の活性化にどのように取り組んでゆくかに注目したい。

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