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July 27, 2009

食品スーパーマーケット売上速報、2009年6月、失速!

   食品スーパーマーケット2009年6月度の売上速報を集計した。食品スーパーマーケット業界では、現在約50社強が上場しているが、その内、月別の売上速報を公表している企業は24社であり、その24社の売上速報を集計した結果、単純平均では全体が101.3%となり、過去1年で最低の伸び率となった。既存店も96.5%であり、ここへきて、食品スーパーマーケット業界も売上が伸び悩み始めたといえ、昨年の状況とは一転、今期は、前半かから厳しい経営となることが予想されよう。

   ここ数ケ月の売上速報の数字を見てみると、5月度104.9%(既存店99.0%)、4月度102.2%(既存店96.9%)、3月度101.5%(既存店 96.4%)、2月度102.3%(既存店96.9%)、1月度104.7%(既存店99.7%)、昨年12月度104.0%(既存店99.2%)、昨年11月度106.2%(既存店101.5%)、昨年10月度103.9%(既存店99.5%)、9月度103.5%(既存店98.4%)という推移である。3月度がこの6月度に近い低い数字であるが、これは、今年は2月が閏月(うるうつき)であったため、1日営業日数が少ないことが影響したためであり、これを除くと、103%前後で推移しているのがわかる。したがって、この6月度の101.3%は明らかに低迷した売上であるといえ、厳しい数字といえよう。

   ただ、このような全体の売上が厳しい中でも、110%以上、2桁の売上を伸ばしている食品スーパーマーケットが3社ある。マックスバリュ東海113.6%(既存店96.0%)、スーパーバリュー112.7%(既存店99.5%)、ダイイチ111.8%(既存店95.2%)である。特徴としては、いずれも既存店が昨対を割り、特に、マックスバリュ東海、ダイイチは95%前後と既存店の落ち込みが大きい。したがって、既存店は厳しい状況にあるが、新店による売上増であることがわかる。実際、マックスバリュ東海、ダイイチはM&Aにより店舗の増加があり、スーパーバリューは新規出店による売上増が大きい。こう見ると、この6月度、売上が好調な食品スーパーマーケットはM&Aか、積極的な新規出店を果たした企業のみであり、逆に、どちらも、十分でなかった企業は、既存店の低迷がそのまま全体に影響し、売上高が低迷したといえよう。

   実際、既存店で昨対を超えた食品スーパーマーケットはこの6月度はわずか3社であり、オオゼキ101.6%、九九プラス100.2%、トーホー100.2%のみであり、全体が96.5%であるので、95%前後の食品スーパーマーケットが大半であり、いかに、この6月度は既存店の売上が厳しかったかがわかる。そこで、既存店が特に厳しかった食品スーパーマーケットを見てみると、ヤマザワ91.0%、Olympic91.9%、いなげや93.5%、マックスバリュ北海道93.8%、バロー93.9%、CFSコーポレーション94.7%、エコス94.8%、イズミ94.8%と8社あり、いずれも既存店が95%を割り込んでいる食品スーパーマーケットである。

   一般に既存店が95%以下となると、固定費が相対的に上昇し、売上だけでなく、利益にも影響を与え、経営が厳しい状況となる。これが90%前後になると、経費過多となり、利益を出すことが難しい状況となる。したがって、食品スーパーマーケットにとっては、売上だけでなく、利益面からも既存店の活性化は重要な経営戦略のひとつといえる。

   ちなみに、既存店の売上がこの6月度厳しくなった要因を、この集計データもとに判断してみると、既存店の客数は99.2%と比較的健闘しているが、客単価が97.0%と落ち込んでいることが大きい。客数、客単価まで公表している食品スーパーマーケットは約半分ぐらいであり、その内、数社がPI値、平均単価まで公表しているので、その少ないサンプルで見ると、客単価の落ち込みは、PI値が100.5%、平均単価が96.3%であり、平均単価の落ち込みが客単価に影響を与え、客数が伸び悩み、結果、売上ダウンにつながっている状況である。すなわち、この限られたケースの集計データであるが、ここから判断すると、既存店の落ち込みの最大の要因は平均単価、価格にあるといえそうである。

   昨年、9.15のリーマンブラーズショック以降、特に、年末ぐらいから本格的にはじまった大手GMSを含め、小売業界の価格競争が、食品スーパーマーケットにまで及び、各社がディスカウント路線に入り、結果、下げた分をカバーする数量、PI値アップができず、客単価を下げ、価格訴求である程度客数は維持できたが、売上をカバーするまでには至らなかったというのが、この集計データから読み取れる既存店不振の要因である。

   このような状況を踏まえ、この6月度、先の3社を除き、売上高が昨対を超えた食品スーパーマーケットを見てみると、ハローズ108.0%、オオゼキ104.5%、マックスバリュ西日本104.1%、ユニバース103.6%、九九プラス102.7%、マックスバリュ中部102.3%、 カスミ101.8%、ヤオコー101.0%、マルエツ100.2%の9社である。これを見ても、105%が、この6月度はいかに高い数字かがわかり、売上を確保しにくかったかがわかる。

   このように、この6月度は、ここ1年の中で、もっとも売上高の伸び率が低い月となり、しかも、既存店の落ち込みが鮮明である。既存店が堅調であれば、新店、M&A等により、全体の売上を伸ばす成長戦略を積極的に打ち出すこともできるが、この6月度は既存店が特に厳しい状況であり、最優先課題は、利益を確保するためにも既存店の活性化であったと思われる。当面、既存店の活性化が食品スーパーマーケットにとって最大の課題といえ、今後、各食品スーパーマーケットがどのように既存店の活性化に取り組んでゆくか、その動向に注目である。

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