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July 10, 2009

オオゼキ、2010年2月第1四半期、増収減益!

   オオゼキが7/8、2010年2月期、第1四半期の決算を公表した。ここ最近の食品スーパーマーケット業界の決算状況を見ると、減益となる企業が多いが、オオゼキも増収とはなったが、減益となる決算となり、やや厳しい数字であった。ただ、今期は数年ぶりに積極的な新規出店に踏み切っており、その経費増による減益といえ、通期では、経費増を相殺し、増益となる見通しである。その数字であるが、売上高173.55億円(103.9%)、営業利益12.83億円(93.4%:売上対比7.4%)、経常利益13.05億円(93.5%:売上対比7.5%)、当期純利益7.44億円(91.1%:売上対比4.3%)であり、増収減益となった。

   増収の要因であるが、2月に池谷店をリニューアルオープンし、4月には待望の3年ぶりとなる新店、市川店をオープンした。この市川店はオオゼキにとっては2つ挑戦課題がある新店である。ひとつは、オオゼキの新たなドミナトづくりである。これまでの東京都から千葉県への新たな立地への出店となり、オオゼキの既存顧客の馴染みのない地区であり、まさに、新規顧客獲得から入らざるをえず、挑戦といえよう。一般に既存顧客を維持する費用と新規顧客を獲得する費用では10倍以上の差があるといわれており、今回は、全くの新規顧客獲得からのスタートであり、数年間は苦労するものと思われる。ただ、新たなドミナントづくりへの挑戦が、将来の安定成長へつながるといえ、重要な決断であるといえよう。

   そして、もうひとつは、大型店への挑戦である。オオゼキの平均売場面積は約200坪弱であり、最も大きい店舗でも高井戸店の340坪であり、400坪以上の店舗はなかった。今回の新店、市川店は488坪(バックヤード、事務所等を含む)であり、売場面積はその70%として約340坪、60%として、約300坪であるので、オオゼキにとっては最大級の店舗への挑戦となる。問題は、店舗面積が大きくなった場合は、オオゼキの最大の強みである坪売上が伸び悩み、相対的に経費が跳ね上がってしまうことである。実際、300坪前後のオオゼキの店舗は坪売上が年間1,000万円を切り、700万円、800万円となるケースがあり、この市川店も、オオゼキの強みを打ち出せるかが課題といえ、まさに、これが挑戦課題であるといえる。

   さらに、オオゼキはこれに加え、5月にも祖師谷大蔵店をリニューアルオープンしており、この第1四半期は新店、リニューアルラッシュといえ、これらが、経費に響き、減益の大きな要因となったといえよう。ただ、いずれも、将来の安定成長を見越しての、積極的な投資といえ、この第1四半期決算の経費増はやむをえない経費増でもある。

   では、さらに、経費増を含め、減益となった要因を見てみたい。まず、原価であるが、75.2%(昨年75.1%)と、ほぼ昨年同様の数字となり、結果、売上総利益は24.8%(昨年24.9%)となった。一方、問題の経費であるが、販売費及び一般管理費を見ると、18.4%(昨年17.7%)と、確かに上昇しており、0.7ポイントの上昇となった。ただ、18.4%は通常の食品スーパーマーケットと比べるとはるかに低い経費比率であり、逆に、これだけ、積極的に投資を行い、よく18.4%で抑えられたことの方がすごいといえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、6.4%(昨年7.2%)であり、確かに大きく、数字を落としており、これが減益要因となったといえよう。これに、不動産収入等が1.0%(昨年1.0%)のり、結果、営業利益が7.4%(昨年8.2%)となり、これが売上高103.9%で相殺できず、減益となった構図である。確かに、経費増が大きかったといえ、今後、売上の伸びで、どこまで相殺できるかが当面の課題である。

   では、オオゼキの今後の見通しであるが、通期予想を見ると、売上高693.77億円(103.9%)、営業利益53.91億円(104.1%)、経常利益54.94億円(103.3%)、当期純利益32.03億円(102.2%)である。これを見ると、売上高は、ほぼこのまま推移する予想であるが、利益は堅調な数字を予想しており、新店、リニューアルでかかった経費を相殺し、プラスになる見通しである。

   今回、オオゼキの第1四半期決算が増収減益となり、利益がやや減少したが、財務では、自己資本比率は77.6%(昨年77.3%)、有利子負債0の無借金経営であり、超健全な財務状況である。しかも、キャッシュフローを見ると、営業キャッシュフロー8.29億円、投資キャッシュフロー-4.21億円、結果、フリーキャッシュフロー4.08億円と順流であり、財務キャッシュフローは-4.87億円である。この-4.87億円は全額、配当金の支払いであり、新店投資と株主還元を重視したバランスのよいキャッシュフローの活用となっている。結果、トータル0.8億円のマイナスであるが、ほぼプラスマイナス0であり、財務的には健全な状況であり、減益とはなったが、深刻な問題ではなく、一時的な新店、リニュールによる経費増であるといえよう。

  このように、オオゼキの第1四半期決算は増収減益となったが、超健全な財務を背景にしての積極的な攻めの経営による一時的な経費増といえ、逆に、売上高103.9%よりも、110%、115%の数字を目指した積極策にでても良いのではないかと思える。オオゼキには、できれば、今回の減益にこだわることなく、今後、さらに、積極的な新店開発を含め、思い切った投資を期待したいところである。

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