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July 08, 2009

サンエー、2010年2月期、第1四半期決算、増収増益!

   サンエーが7/6、2010年2月期の第1四半期決算を公表した。この第1四半期決算は減益となる食品スーパーマーケットが多いなか、サンエーは増収増益となる好決算となった。この好決算の結果を受けてと思われるが、翌、7/7の株価が急騰、3,400円(+270円、+8.62%)と、投資家からの熱い視線が集まっている。その数字であるが、営業収益332.02億円(104.2%)、営業利益23.07億円(106.1%:営業収益比6.9%)、経常利益23.40億円(105.5%、営業収益比7.0%)、当期純利益13.92億円(105.8%、営業収益比4.2%)と、増収増益となり、しかも、利益率が約7%と高収益となった。
  
   通期に関しても、営業収益1,350.92億円(103.0%)、営業利益85.50億円(105.0%:営業収益比6.3%)、経常利益86.48億円(103.2%、営業収益比6.4%)、当期純利益51.89億円(105.9%、営業収益比3.8%)と、増収増益の安定した数字を予想しており、食品スーパーマーケット業界がここへきて、利益面で厳しさが増す中、サンエーは、現在、そして、今期、好決算が予想されよう。
  
   そこで、サンエーの高収益の要因を、原価、経費面から見てみたい。まず、原価であるが、69.4%(昨年70.0%)と、ほぼ昨年同様の数字であるが、わずかに原価が下がり、結果、売上総利益は30.6%(30.0%)と、極めて高い数字となった。サンエーの高収益の最大のポイントはこの売上総利益、すあわち、粗利が約30%と高い点にあり、その要因は食品以外の衣料品、外食、ホテル事業などが、高粗利に貢献していることである。一方、経費、販売費及び一般管理費であるが、26.6%(昨年25.9%)と、昨年よりも、0.7ポイント上昇し、やや気になる数字である。この比率を見る限り、サンエーはローコスト志向で高収益を出しているわけではなく、高粗利で利益を出しており、食品スーパーマーケット業界としては、特異なビジネスモデルといえよう。
  
   通常、食品スーパーマーケットは極限までコストを引き下げ、そのマネジメント力を武器に、粗利を極限まで引き下げ、価格競争に挑み、結果、売上最大を目指してゆくのが、一般的なビジネスモデルである。そして、その結果、坪売上が上昇し、相対的に固定費が下がり、さらに、ローコストを目指す、という、高収益の循環に入るのが通常である。ところが、サンエーの場合は、全く反対のビジネスモデルであり、高コスト、高粗利というよりも、高粗利、高コストと、粗利が通常の食品スーパーマーケットと比べはるかに高い数字を確保できるので、それに見合ったコストをかけ、結果、それでも、十分に高収益になるというビジネスモデルをつくりあげたところに、サンエー独自の強さがあるといえよう。

   結果、差し引き、マーチャンダイジング力であるが、4.0%(昨年4.1%)と、ほぼ昨年同様の数字となり、これに、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が3.2%(昨年3.0%)のり、結果、営業利益が7.2%(昨年7.1%)と、高収益をもたらしている。それにしても、このその他営業収入も、通常の食品スーパーマーケットとしては極めて高い数字であり、GMSまではいかないが、それに近い比率の高さであり、これも、サンエー独特の高収益を生み出す要因である。

   すなわち、サンエーは、通常の食品スーパーマーケットとは、発想の違う高収益のビジネスモデルを生み出した特異な企業といえ、高粗利、高コスト、高その他営業収入であり、通常の食品スーパーマーケットが低粗利、低コスト、低その他営業収入と比べると、全くビジネスモデルの違う食品スーパーマーケットであることがわかる。

   では、この高収益の結果をもとに、この第1四半期決算では、どのようなキャッシュの活用をしたかを、キャッシュフローから見てみたい。まず、投資キャッシュフローであるが、-1.7億円であり、その内訳は、有形固定資産の取得による支出-1.7億円が主であり、この第1四半期は大きな投資を控えたようである。一方、営業キャッシュフローであるが、40.42億円と豊富なキャッシュである。その内訳は税引前四半期純利益23.39億円と仕入債務の増加22.71億円が大半であり、結果、フリーキャッシュフローは38.72億円と潤沢なフリーキャッシュフローとなった。そして、財務キャッシュフローであるが、-7.15億円となり、その内訳は配当金の支払額-5.29億円、長期借入金の返済による支出-1.61億円である。したがって、トータル、31.56億円と大半を内部留保し、この四半期はキャッシュを確保する方針をとったといえよう。消費環境、経済情勢が先行き不透明であるので、手持ちキャッシュを増やすことは、経営上、重要な優先課題といえよう。

   このように、2010年2月期のサンエーの第1四半期は増収増益の好決算となり、キャッシュフローも典型的な順流となり、手持ち、キャッシュも大きく増加している。今期、食品スーパーマーケットの第1四半期決算は利益が特に厳しい企業が多い中、サンエーは極めて好調な決算であり、その独特のビジネスモデルが顧客から強い支持を受けた結果といえよう。今後、消費環境はさらに厳しくなると予想されるが、サンエーがどこまで、収益を拡大するかに注目したい。

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