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July 09, 2009

イオン、2010年2月第1四半期、減収減益、最終赤字!

   イオンが7/7、2010年2月期、第1四半期決算を公表した。結果は減収減益、最終赤字となる厳しい決算であり、先に公表されたセブン&アイHも減収減益となり、小売業業界の2大巨頭が揃って厳しい決算となり、ここへ来て、消費環境の厳しさが改めて浮き彫りになったといえよう。その数字であるが、営業収益1兆2,457.92億円(97.4%)、営業利益87.19億円(38.5%:営業収益比0.7%)、経常利益100.22億円(42.7%:営業収益比0.8%)、当期純利益-24.92億円という結果であった。

   営業収益が97.4%になった要因はGMSの既存店が94.2%になったことに加え、専門店も73.1%になったことが大きい。イオンは営業セグメントを大きく4つに分けて管理しているが、その中で最も売上構成比が高い部門がGMS、食品スーパーマーケット等の総合小売部門であり、70.1%となり、ついでサービス部門17.7%、専門店9.4%、そして、ディベロッパー部門2.8%となる。この内、合計約80%となる総合小売業と専門店部門が厳しい結果となったため、全体に大きく響いた。特に、主力のGMSが不振であり、食品96.4%、衣料91.1%、住居余暇91.5%という状況であり、深刻な状況といえよう。

   7/8の日経MJでも、「イオン、DS、食品主体に転換、岡山に1号店順次「ザ・ビック」に」という記事が掲載されたが、今後、メガマート、マックスバリュだけでなく、セブン&アイHのザ・プライスのように、GMSの転換の可能性もあるといえよう。メガマートからのザ・ビック転換1号店は岡山での出店となるが、岡山は大黒天物産の地元でもあり、ザ・ビックと大黒天物産が激突となり、まさに、その成果が、今後のイオンの経営戦略に大きく影響することになろう。折しも、7/8の日経ではイトーヨーカ堂の創業1号店の千住店が今月末にザ・プライスへ業態転換するとの記事が掲載されたが、セブン&アイHもDS転換への旗手を鮮明にしており、すでに、EDLP路線を確立しつつある西友を含め、GMSは今期、一気にDS路線へ経営戦略の舵を切ることになる。

   さて、イオンの減収、最終赤字となった要因であるが、営業収益同様、総合小売業部門と専門店部門がともに赤字となったことが大きい。その金額は総合小売業部門が66.42億円、専門店部門が36.51億円の赤字であり、これをサービス部門の92.73億円、ディベロッパー部門の92.21億円でカバーした構図であり、小売部門の不振が鮮明である。また、国内と海外に分けてみると、北米が13.93億円の赤字、国内が総合小売部門の赤字を吸収し、61.70億円の黒字、そして、アジアが28.31億円の黒字であり、北米、専門店の不振がイオン全体へ大きな負担となっている状況である。

   ちなみに、国内、北米、アジアの営業収益の構成比であるが、国内91.2%、北米3.2%、アジア5.6%であり、圧倒的に国内部門の比重が高く、国内の不振、特に、GMSの不振がそのままイオン全体の不振につながる構造であり、他の部門でのカバーが難しい現状といえよう。イオンとしては、GMSの立て直しを避けて通ることができない状況といえ、この時点で、まったなしのGMSへの本格的な改革が最優先の経営課題となったといえよう。

   では、全体の原価、経費から減益となった要因を見てみたい。まず、原価であるが、72.5%(昨年71.9%)と、やや原価が上がっており、結果、売上総利益は27.5%(昨年28.1%)と下がっている。現在、イオンのPB、トップバリュの売上規模は1,044億円(昨対131.3%)と、単純計算で全営業収入の約10%近くとなりつつあるが、中々、全体への粗利改善への効果が明確には表れてこない状況といえる。それだけ、NBの価格競争が激しい結果といえよう。今後、PB戦略を含め、どのように、粗利の改善をはかるかが課題といえよう。

   一方、経費である販売費及び一般管理費であるが、38.3%(昨年37.3%)と、昨年よりも1.0ポイントと、大きく上昇しており、厳しい状況である。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は、-10.8%(昨年-9.2%)と1.6ポイントも悪化しており、原価、経費双方が上昇するという状況であり、収益状況が大きく悪化しているといえよう。

   そして、これに、GMS特有ともいえる、その他営業収入が11.6%(昨年11.2%)のり、結果、営業利益は0.8%(昨年2.0%)と、大きく減益となった。それにしても、その他営業収入の利益への比重が極めて大きいといえ、このビジネスモデルそのものを根本的に見直さない限り、GMSの再生は難しいといえよう。特に、経費比率38.3%は異常ともいえる数値であり、原価の見直しには限界があり、この経費比率の見直しの方が急務といえよう。

   そして、そのためには、経費の見直しも重要な課題であるが、坪売上をいかに上げ、相対的に固定費を引き下げる政策の方が優先課題といえ、その意味で、セブン&アイHのザ・プライス、今後、イオンが踏み込むザ・ビック等のディスカウント路線は正解ではあるが、全店をこれに変えることは難しいといえ、同時に、GMS業態の根本的な商品構成、テナント構成等の見直しも課題といえよう。

   これを踏まえて、イオンの通期予想であるが、営業収益5兆2,400.00億円以上(100.2%以上)、営業利益1,300.00億円から1,400.00億円(104.5%から112.6%)、経常利益1,300.00億円から1,400.00億円(103.1%から111.4%)、当期純利益75.00億円から150.00億円(前期は赤字)と、増収増益予想であり、この第1四半期が厳しい数字であっただけに、この数字が達成されるかどうか、次の中間決算が大きなポイントとなろう。イオンがこの第1四半期決算を踏まえて、どのように経営改革を実行してゆくか、その動向に注目である。

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