ライフコーポレーション、2010年2月第1、増収減益!
ライフコーポレーションが7/10、2010年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は営業収益1,175.84億円(103.7%)、営業利益27.43億円(89.2%:営業収益比2.3%)、経常利益26.14億円(89.6%:営業収益比2.2%)、当期純利益15.19億円(100.0%:営業収益比1.3%)と、増収とはなったが、営業、経常ともに利益が減益、当期純利益は横ばいとなる、増収減益の決算となった。食品スーパーマーケット業界は昨年年末から今年に入り、消費環境が一段と厳しくなっており、上場食品スーパーマーケットでも約60%近くが本決算で営業段階では減益となるなど、依然として、この第1半期決算でも苦戦が続いているのが現状である。
では、その減益となったライフコーポレーションの要因を見てみると、原価は74.3%(昨年74.2%)と0.1ポイントわずかに上昇した。今期はGMSをはじめ、食品スーパーマーケット各社が激しい価格競争に入り、売価が急激に下がり、原価の上昇要因となっているが、ライフコーポレーションは原価に関しては、わずかな上昇にとどめ、大きく下がることはなく、ほぼ昨年の水準を維持できたといえよう。結果、売上総利益は25.7%(昨年25.8%)となった。
一方、経費であるが、販売費及び一般管理費は26.0%(昨年25.7%)と、0.3ポイント上昇した。原価よりも、経費の方にやや影響が出ているといえ、経費の上昇が気になるところである。したがって、差し引き、マーチャンダイジング力は-0.3%(昨年0.1%)と、プラスマイナスが逆転し、マイナスとなった。原価、経費双方が上昇したことが大きいといえ、それだけ、この第1四半期決算は厳しい消費環境であったといえよう。そして、これに、不動産収入、物流収入等の営業収入が2.7%(昨年2.7%)がのるが、今期は昨年同様の数字となり、結果、営業利益は2.4%(昨年2.8%)となり、0.4ポイント、率にして、15%近く下がる結果となった。
それにしても、営業収入2.7%は極めて重い数字であり、商品売買から得られる利益であるマーチャンダイジング力のマイナスをカバーし、大きくプラスに引き上げており、いまや、食品スーパーマーケットにとっては、各社、大きな利益の源泉となりつつある。現在、この商品売買から得られる利益、すなわち、マーチャンダイジング力がプラスになる上場食品スーパーマーケットは全体の40%強であり、大半がマイナスであり、これを営業収入でカバーしているのが実態である。ちなみに、GMSのセブン&アイHはマーチャンダイジング力が-5.4%、イオンは-8.5%であり、一方の営業収入が10.9%、10.1%と、むしろこれが本業のような稼ぎ頭となっているのが現状である。食品スーパーマーケットも徐々にその傾向を強めつつあり、今後は、営業収入の利益貢献度が規模拡大とともに重要な位置づけとなろう。
このような厳しい状況を反映してか、キャッシュフローの方にも変化が表れている。昨年の本決算と、この第1四半期のキャッシュフローの状況を比較してみると、営業キャッシュフローをどれだけ投資に割り当てているかを投資キャッシュフローとの割合いで見てみると、本決算時には36.6%であり、上場食品スーパーマーケットの平均が75%近い数字であるので、ライフコーポレーションはかなりひかえめな投資キャッシュフローであった。それが、この第1四半期では、さらに、投資が控えられ、16.4%となっている。したがって、フリーキャッシュフローが潤沢となった。では、財務キャッシュフローはどうかというと、昨年の本決算時には、営業キャッシュフローの46.9%、フリーキャッシュフローでは73.9%を当て、有利子負債の削減を最優先したが、この第1四半期は営業キャッシュフローの15.7%、フリーキャッシュフローのわずか18.8%であり、大半を内部留保したのが特徴である。第1四半期ということで、資金を留保したか、消費環境が不安定であるので、先行き不透明感が高く、手持ち現金を厚くしたか、様々な要因が考えられるが、経営判断としては、手持ち現金を厚くしており、現預金も170億円増加し、今後の環境の激変に備えているように思える。
これに対して、財務面で気になるのは、前期、有利子負債削減を優先したキャッシュフローにより、有利子負債の削減は進んでいるが、依然として487.37億円と、総資産の28.3%と経営に重くのしかかっていることである。結果、自己資本比率が24.6%と低い状況にあり、新規出店を有利子負債に依存する構造となっており、成長戦略が描きづらい経営状況にあることである。したがって、当面、ここにキャッシュフローを重点的に配分する必要があるといえよう。
このように、ライフコーポレーションの2010年度、はじめての決算となる第1四半期決算が公表されたが、増収減益となるやや厳しい決算となり、原価、経費双方に上昇がみられ、消費環境が厳しい状況であることがうかがわれる。今後も当面、この厳しい消費環境は続くと思われ、ライフコーポレーション自身も手持ち現金を厚くして、その状況に備えているが、まずは、原価、経費の改善をどのように取り組んでゆくかが当面の課題といえよう。今後、ライフコーポレーションが、収益の改善をどのようにはかってゆくかに注目したい。
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