イズミヤ、2010年2月期、第1四半期、減収減益!
イズミヤが7/10、2010年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、非常に厳しい数字となり、減収減益、特に、当期純利益は赤字となる決算となった。その数字であるが、営業収益931.27億円(98.8%)、営業利益3.20億円(24.4%:営業収益比0.3%)、経常利益0.13億円(1.2%:営業収益比0.01%)、当期純利益-12.68億円となり、営業段階から厳しい数字となった。特に当期純利益が赤字になった要因は、棚卸資産の評価方法の変更に伴い特別損失が15.60億円となったことも響いた。
棚卸資産の評価はこれまでは取得原価が簿価として計上されていたが、昨年度より、取得原価と正味売却価格を比較して、どちらか低い方を簿価とするという低価法が採用されたことにより、多くの企業で、在庫の評価損が発生し、これが収益に影響を与え始めたためである。
イズミヤの場合は、GMS業態が主体であるため、通常の小売業よりも、在庫が多いのが実態である。今回の第1四半期決算でも、在庫金額は249.39億円であり、総資産2,571.85億円の9.69%であり、通常の食品スーパーマーケットの2倍近い数字である。この第1四半期決算の評価損が15.60億円であるので、単純計算で総資産の6%強であり、売上対比では1.7%強となる。したがって、状況にもよるが、売上対比で2%前後の在庫評価損が出る可能性があるということであり、在庫の多い業種にとっては厳しい評価方法といえよう。小売業で最もこの影響を受けるのは、GMS業態、ホームセンター、在庫の多いドラックストア等であり、食品スーパーマーケット、コンビニ等は比較的影響が少ないといえよう。
ただ、今期のイズミヤの決算数字を見ると、当期純利益以前に、営業利益も営業収益比0.3%、経常利益に至っては、0.01%という数字であり、在庫の評価損よりも、営業面での問題の方がより大きかったといえよう。そこで、イズミヤのこの第1四半期決算の営業利益の状況を見てみたい。
まず、原価であるが、71.2%(昨年69.8%)と、昨年より大きく上昇しており、結果、売上総利益は28.8%(30.2%)と、粗利が下がっている。一方、経費である販売費及び一般管理費であるが、31.3%(昨年31.6%)と、0.6ポイント下がっており、経費の削減は進んだ。結果、差し引き、マーチャンダイジング力は-2.5%(昨年-1.4%)となり、原価の上昇の方が響き、マイナス幅が拡大しており、営業利益を大きく圧迫している状況である。これに、不動産収入、物流収入等の営業収入が2.8%(昨年2.8%)のり、営業利益が0.3%(昨年1.4%)と大きくダウンした状況である。経費の方は若干削減が進んだが、それ以上に、原価の大幅な上昇が響き、大幅な減益となっており、原価改善が急務の状況といえよう。
一般に原価が上昇する要因は仕入れ面と売価面に大きく分けることができるが、昨年は資源、エネルギー関連の値上げ問題が大きく原価の上昇につながったが、今期は、昨年と比べ原価の値上げ要因は小さく、売価面が大きかったといえよう。今年に入って、消費環境は明らかにインフレからデフレに移り、消費者の節約志向が急激に増している状況である。したがって、通常の売価では商品が売れにくくなり、各小売業が一斉に値下げに走っている状況である。イズミヤの主力業態のGMS業界では、トップのセブン&アイHがザ・プライスを本格展開しはじめ、ディスカウント業界に参入した。イオンもトップバリュの強化に加え、さらに、低価格のベストプライスを投入した。また、西友はかつての高品質なイメージを一新、本格的なEDLP主体の日本版ウォルマート化へ向けて走りはじめた。さらに、イズミヤを取り巻く地元食品スーパーマーケットも低価格路線を打ち出しており、対抗上、イズミヤも価格競争に参入せざるをえず、売価が以前と比べ、大きく下がりはじめており、これが、原価の上昇につながったといえよう。
イズミヤ自身も、「この環境変化に対応すべく、3,000品目を「毎日安いお値打ち価格」にて販売する暮らし応援企画を実施しました。現在もEDLP(エブリデー・ロー・プライイス)品目数を拡大して、価格競争力を強化したことにより、食品を中心に客数・買上点数の維持を図れましたが、単価の下落分をカバーすることはできませんでした。」とコメントしており、売価が原価上昇に響いたようである。
このように、イズミヤのこの第1四半期決算の状況は、減収減益、特に、利益面が営業面では原価上昇が、当期純利益面では在庫の評価損が発生するなど、2重の利益への圧迫要因が加わり、厳しい決算結果となった。当面、消費環境は厳しさを増し、消費者の節約志向は加速するものと思われる。それに伴い、これまで以上に、GMS業界、そして、食品スーパーマーケット業界の低価格戦略は一層強化されるといえ、イズミヤとしては、対抗上、売価を下げざるをえない状況が続くものと思われる。したがって、原価上昇基調は当面継続するものといえ、粗利が極めて確保しにくい経営環境が続くものといえよう。この第1四半期決算はまさに、その結果が表れたといえ、今後、イズミヤがどのように原価改善に挑んでゆくか、その動向に注目したい。
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