マルエツ、2010年2月期、第1四半期、堅調な決算!
マルエツが7/9、2010年2月期の第1四半期決算を公表した。結果は、営業、経常段階では、増収増益となったが、当期純利益がわずかに減益となる堅調な決算となった。その実際の数字であるが、営業収益855.33億円(101.3%)、営業利益21.19億円(100.4%:売上対比2.5%)、経常利益20.69億円(101.6%:売上対比2.5%)、当期純利益21.08億円(92.4%:売上対比2.5%)という結果である。ちなみに、食品スーパーマーケットの決算は売上高と営業収益(売上高+その他営業収入)のどちらかをサマリーで公開しているが、上場企業50社強の内、営業収益での公表企業が約6割、残り約4割が売上高での公表である。今回、マルエツは営業収益での公開であるが、営業利益等の対比は、営業収益比よりも、売上高対比の方が実態に即していると思え、売上対比とした。
マルエツの営業収入が増収とはなったが、伸び悩んだ理由は、この第1四半期の新規出店がマルエツナリア武蔵浦和店(埼玉県)の1店舗のみであったことによるといえよう。マルエツは、今回の埼玉県への新規出店を含め、現在246店舗を展開しているが、1店舗の新規出店では1/246、0.4%程度の売上貢献度しかなく、仮に5%以上の成長をめざすには少なくとも年間で12店舗以上は必要といえる。10%以上の成長であれば、24店舗は必要といえ、1店舗では、既存店ががんばっても、0.5%から1.0%ぐらいが限界といえる。したがって、マルエツが今後、105%以上の安定成長を続けるには、毎年12店舗は新規出店が欲しいとところであり、当然、そのための財務余力も確保する必要がある。
そこで、マルエツの出店余力を見てみると、この第1四半期の決算結果では出店にかかわる資産である土地、建物、差入保証金の合計は903.63億円であり、これは総資産1,285.46億円の70.3%を占めている。店舗数は現在246店舗であるので、1店舗当たり3.67億円の出店にかかわる資産となる。したがって、仮に、12店舗を新規出店すると考えると、資産の確保は44.04億円となり、ごく大雑把にいえば、毎年105%の安定成長のためには、約50億円の投資が必要であり、これを借入に頼らず、自己資本で賄ってゆくには、50億円以上の当期純利益が欲しいところである。この四半期が21.08億円、通期の当期純利益の予想が52億円から62億円であるので、全額を新規投資へ振り向ければ、12店舗、105%の成長は可能ともいえる。
ただ、今期のマルエツの自己資本比率は42.3%(昨年42.2%)であり、これまでの出店にかかる資産70.3%をまかない切れないバランスとなっており、差し引き-28.0%のマイナスであり、財務構造としては、負債に大きく依存しており、新規出店に全力を傾けることは難しく、負債の圧縮が当面の優先的な経営課題といえ、堅実な成長路線をとらざるを得ないといえよう。
実際、負債の主要項目である有利子負債のこの第1四半期の状況を見ると、290.80億円であり、これは総資産の22.6%であり、経営に重くのしかかっている状況である。その有利子負債の返済状況であるが、2009年度の本決算、そして、この2010年度の第1四半期の財務キャッシュフローを見ると、2009年度の本決算は借り入れ0であり、返済が58.02億円であり、財務キャッシュフローの-58.35億円の大半を当てている状況である。また、この2010年度の第1四半期も借入は0であり、返済が12.18億円であり、これも財務キャッシュフローの-19.49億円の大半を当てており、負債の圧縮に全力を挙げて取り組んでいる。この第1四半期で有利子負債が300億円を切り、全額返済まで、このペースが継続でれば、5年から6年というところまで来たといえる。
一方、投資キャッシュフローの出店にかかわる資産への投資は、2009年の本決算時が71.02億円、そして、この第1四半期が20.22億円であるので、年間では10店舗を優に超える出店にかかわる資産の投資も同時に行っており、負債の圧縮とキャッシュフロー内での資産の増加の絶妙なバランスがとられつつあるといえる。これまでは、負債の圧縮の方に重点が置かれてきたが、今後は徐々に、純資産を増やし、その範囲内での資産の増加に重点が置かれるものと予想され、徐々に成長戦略を強く打ち出せる経営環境が整いつつあるといえよう。
ただ、若干、気になるのは、まだ、マーチャンダイジング力、すなわち、売上総利益から経費を差し引いた数字が0.6%とプラスではあるが、わずかである点である。経費比率が27.4%と食品スーパーマーケットの平均25.6%と比べてもまだ高目であり、ここにどう取り組むかが、キャッシュフローを増加させるためにも、重要な経営課題といえよう。そして、そのためには、経費の削減もテーマであるが、それ以上に、既存店の底上げにより、固定費を相対的に落とすことがさらに重要なテーマといえよう。
このように、マルエツの2010年度、最初の第1四半期の決算が終了したが、営業、経常段階までは微増の増収増益、当期純利益は小幅な減益という結果となり、営業段階で減益決算が多い第1四半期の食品スーパーマーケットの中では、堅調な決算結果であったといえよう。また、負債の圧縮も進み、財務改善も着実に改善されつつあり、出店余力も増しつつあるといえる。気になるのは、マーチャンダイジング力である。次の四半期、そして、その後の後半に向けて、マルエツがどのようにマーチャンダイジング力を改善してゆくかに注目である。
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