コンビニ売上、既存店昨対割れ-2.3%、2009年6月!
7/21、コンビニエンスストアの売上速報が、社団法人、日本フランチャイズチェーン協会から公表された。対象コンビニはエーエム・ピーエム・ジャパン、ココストア、サークルK サンクス、スリーエフ、セイコーマート、セブン-イレブン・ジャパン、デイリーヤマザキ、ファミリーマート、ポプラ、ミニストップ、ローソンの11社、42,204店舗であり、ほぼ、日本全国のコンビニを網羅しており、コンビニ全体の傾向を示しているといえよう。奇しくも、7/22の日経MJでは「第30回、コンビニエンスストア調査」の結果が公表されており、本ブログでは、この結果も交えて、この6月度のコンビニの売上速報を分析してみたい。
まずは、何といっても、まさに売上であるが、全体が100.9%、既存店が-2.3%(97.7%)となり、全体も低迷、既存店がほぼ1年半ぶりにマイナスとなった。ここ数ケ月の数字を追ってみると、5月3.2%(既存店1.0%)、4月6.5%(既存店4.3%)、3月6.5%(既存店4.2%)、2月4.8%(既存店2.8%)、1月9.6%(既存店7.0%)、そして、昨年の6月6.4%(既存店4.2%)と、極めて好調な売上を維持してきたコンビニであるが、この6月度、転機を迎え、一転、厳しい売上となったことである。もちろん、これはtaspo効果が切れたことにより、いかに、この1年半に渡って、taspoがコンビニを大きく下支えしてきたかがわかる。
逆にいえば、このtaspo効果が切れることは1年前に分かっていたことであり、そのための準備、対策も各コンビニが立ててきたにも関わらず、taspo効果が切れた途端、既存店が昨対割れを起こしたことは、コンビニがtaspoに変わる代替案を見つけることができなかったということを実証しており、今後、コンビニは売上低迷の1年を迎えることになるということであり、厳しい経営が予想されよう。
しかも、現在、セブンイレブンジャパンが公正取引委員会から排除措置命令が発せられており、その対応として、すでに、15%の廃棄分の負担を行い、さらに、値引き販売を認める方向で調整に入っている。当然、この動きはコンビン全体に広がるものといえ、その結果、これまでよりも、本部が利益を上げることは難しい状況に追い込まれる可能性も高く、コンビニは、ここへきて、売上、利益双方の減少圧力にさらされることになるといえよう。この1年で、各チェーン店格差が鮮明になると予想され、合従連衡、業界再編成がいつ起こっても不思議でない経営環境に入ったといえよう。
さて、この6月度の売上速報であるが、既存店が-2.3%になった要因を客数と客単価で見てみると、客数は2.6%のプラスであり、依然として増加している。ただ、1月からの推移を見ると、1月7.6%、2月3.4%、3月5.0%、4月6.4%、5月2.5%、6月2.6%という状況であり、すでに、5月から伸び率は鈍化しており、厳しい状況である。
一方、客単価であるが、-4.8%と大きくダウンしており、客単価のダウンが既存店の売上を押し下げた要因である。これも、1月からの推移を見てみると、1月-0.5%、2月-1.3%、3月-0.7%、4月-2.0%、5月-1.5%、そして、6月-4.8%と、すでに、今年に入って、客単価のダウン傾向が続いているが、この6月度は一段とダウンしており、厳しい状況である。ちなみに、客単価の金額では昨年6月度が584.8円であり、今年の6月度が556.9円であるので、27.9円のダウンである。
では、商品別の状況はどうかであるが、商品別では既存店のみの数字は公表されておらず、全体の売上構成比と伸び率のみであるが、これを見ると、日配-1.8%(構成比33.4%)、加工食品0.6%(構成比30.2%)、非食品3.1%(構成比32.1%)、サービス7.0%(構成比4.3%)という状況であり、相乗積をとると、-60.1%、18.1%、99.5%、30.1%であるので、足して、87.6%となり、全体の売上伸び率100.9%とほぼ一致する。したがって、taspoのたばこの売上は非食品に含まれるが、依然として、売上貢献は高いが、これも1月度は相乗積が918.4%と約10倍であったので、激減しており、明らかにtaspo効果の賞味期限切れといえよう。
これを踏まえて、日経MJの「第30回、コンビニエンスストア調査」を見てみると、その見出しは、「コンビニ転機、次の一手模索」、「市場飽和「常識」崩れる、値引きの動き拡大」、「脱「全国一律」が加速、販促・品そろえ、地域ごとに」、「タスポ特需生む」、「大衆薬、集客の呼び水に」、「首都圏へ回帰鮮明」、「顧客戦略見直し急ぐ」、・・などである。これを見てもコンビンが転機を迎え、今後の経営戦略をまさに模索している状況が浮かび上がっているといえよう。
このように、コンビニがこの6月にtaspo効果による特需が終わり、この約1年半にわたる高成長が一転、低成長時代へ突入したといえよう。特に、既存店の数字の落ち込みが深刻であるといえ、今後、少なくとも1年間は浮上が難しいといえ、この1年の間、コンビニ業界は何が起こっても不思議でない、緊張の経営が続くものといえよう。ただ、見方を変えれば、ビジネスチャンスともいえ、taspo効果に代わる新たな成長戦略を作り出したコンビンが1抜けとなる可能性もあり、当面、コンビニ各社がどのような成長戦略を打ち出すかに戦々恐々といえよう。
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