9月期決算、ダイイチ、マルキョウの中間決算を見る!
食品スーパーマーケット業界の上場企業の5月までの決算がすべて公表された。これで上場約50社強の内、90%以上の食品スーパーマーケットの決算が終了した。あとは9月期を残すのみとなったが、9月期は食品スーパーマーケットではダイイチ、マルキョウ、そして、スーパーセンターのPLANTの3社が決算となっている。そこで、ここでは、食品スーパーマーケットのダイイチ、マルキョウについて、現在、公表されている中間決算について取り上げ、本決算のゆくえをうらなってみたい。
まず、ダイイチであるが、売上高138.43億円(106.9%)、営業利益3.03億円(114.7%:売上対比2.2%)、経常利益2.86億円(116.2%:売上対比2.0%)、当期純利益1.68億円(122.6%:売上対比1.2%)と、増収増益、しかも、利益は2桁の増益となる好調な決算であった。
特に、利益が好調に推移した要因を原価、経費面から見てみると、原価が76.4%(昨年76.3%)と、昨年より、0.1ポイント上昇し、結果、売上総利益は23.6%(昨年23.7%)と、若干下がった。ここへきて、価格競争が厳しい状況となり、原価改善以上に売価ダウンの影響が出ているものと思われる。一方、経費であるが、22.3%(昨年22.7%)と、0.4ポイント改善した。結果、原価上昇分を経費の削減でカバーしており、差し引き、マーチャンダイジング力は、1.3%(昨年1.0%)となり、0.3ポイントの改善、率では130%という大幅な上昇となった。そして、不動産収入、物流収入等のその他営業収入が0.9%(昨年1.0%)のり、結果、営業利益が2.2%(昨年2.0%)となり、増収となった。原価とその他営業収入のダウンを経費の削減でカバーした形であり、経費削減が利益改善に直結した中間決算であったといえよう。
次に、マルキョウであるが、売上高463.84億円(100.3%)、営業利益9.97億円(66.7%:売上対比2.1%)、経常利益10.30億円(66.1%:売上対比2.2%)、当期純利益5.11億円(59.5%:売上対比1.1%)と、わずかではあるが、増収とはなったが、利益はいずれの段階でもマイナスとなり、厳しい決算となった。ダイイチとは対照的な決算結果となったが、売上対比の営業利益等は2.0%を超え、ほぼ同じ数字である。ただ、食品スーパーマーケット業界の今期決算の平均が3.0%であるので、どちらも、この中間段階では、やや厳しい利益率といえよう。
マルキョウの利益が大きく減少した要因を原価、経費の面から見てみると、原価は79.8(昨年79.0%)と、0.8ポイント上昇しており、結果、売上総利益は20.2%(昨年21.0%)とダウンした。ダイイチ、同様、原価の上昇がみられ、九州でも激しい価格競争が原価を圧迫しているものと思われる。一方、経費の方であるが、18.6%(昨年18.3%)と、0.3ポイント上昇し、原価、経費双方が上昇し、利益を大きく圧迫する要因となった。ただ、18.6%の経費比率は、食品スーパーマーケット業界では屈指の低さである。そして、差し引きマーチャンダイジング力であるが、1.6%(昨年2.7%)と、大きく下げており、厳しい利益構造となったといえよう。これに、その他営業収入が0.5%(昨年0.5%)のり、営業利益が2.1%(昨年3.2%)となり、大きく減益となった。やはり、原価、経費双方が上昇したことが大きく、利益を確保するには厳しい中間決算であったといえよう。
これを受けて、残り、半期であるが、本決算の予想は、ダイイチは売上高273.72億円(105.2%)、営業利益4.88億円(103.7%:売上対比1.8%)、経常利益4.45億円(100.4%:売上対比1.6%)、当期純利益2.45億円(112.6%:売上対比0.9%)と、この中間決算と比べると、やや厳しい予想ではあるが、堅調な増収増益予想である。一方、マルキョウであるが、売上高956.00億円(100.9%)、営業利益20.50億円(77.8%:売上対比2.1%)、 経常利益21.15億円(76.6%:売上対比2.2%)、当期純利益10.00億円(73.7%:売上対比1.0%)と、やや、利益が上向く予想ではあるが、この中間決算同様、増収減益の厳しい予想である。
こう見ると、双方、前半の中間決算よりも、後半の方が厳しい予想をしており、後半戦は、かなり、厳しい経営環境が予想される。実際、食品スーパーマーケットの2月期決算の第1四半期決算を見ると、四半期は3月、4月、5月の3ケ月であり、ダイイチ、マルキョウは9月決算であるので、この中間は3月までの数字であるが、現在公表された第1四半期決算の多くの食品スーパーマーケットが増収減益が多く、厳しい結果があいついでいる。すでに、現在、食品スーパーマーケット業界は、厳しい経営の局面に入ったともいえ、後半戦はいかに利益を確保するかが経営の最優先課題となろう。
このように、双方の中間決算結果は、営業利益率はどちらも2.0%強とほぼ同じ数字となったが、ダイイチは昨年対比では大きく上昇、マルキョウは昨年対比では大きく減少と対照的な決算結果となった。また、通期予想は、前期よりも、双方、数字が悪化する予想であり、後半戦は苦戦が予想される。また、営業利益率2.0%は、上場食品スーパーマーケットの平均が3.0%であり、双方、やや、低いのが気になるところである。今後、原価、経費、特に経費の改善により、収益性をどこまで上げられるかが、双方、当面の経営課題といえよう。後半に向けて、どのような経営戦略を打ち出すか、双方の経営動向に注目である。
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